若くして急逝したアジアの歌姫が眠る場所です。
- 5.0
- 旅行時期:2002/06(約24年前)
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by たかちゃんティムちゃんはるおちゃん・ついでにおまけのまゆみはん。さん(非公開)
新北 クチコミ:1件
鄧麗君(トンリージェン)と言っても誰?と思われる時代になったのかも知れません。美空ひばりが?日本の歌姫?ならば、鄧麗君〝アジアの歌姫〟つまりテレサ・テンです。1953年生まれ、1995年42歳で急逝した彼女は〝団塊世代〟のアイドルだったのではないでしょうか。
出身国である台湾だけでなくアジア諸国で人気を博したテレサは、よくアイドル路線まっしぐらのように言われていますが決してそうではありません。元々大陸出身の外省人である両親の子として台湾で生まれ14歳でプロデビュー、そして歌姫としての階段を登り始めます。しかし彼女を取り巻く環境は、時を追うごとに煩雑化の一途を辿り、中国への反共の歌として流されていた時代もありました。また正式な国交がなかった日本と台湾の間で旅券法違反に問われて国外退去処分になったこともありました。1年程のブランクを経て復帰し、香港へと活動拠点を移して活動を再開させました。
そして5年の月日が流れた昭和59(1984)年再来日、150万枚が売れた買っつぐない〟〝愛人〟と200万枚の〝時の流れに身をまかせ〟の大ヒットで2年連続紅白歌合戦に出場します。日本での活動もさることながら、両親の祖国である中華人民共和国の共産党の一党独裁政治に否定的な考えを持っていたこともあり、民主化支援コンサートに参加し、30万人もの民衆の前で歌の披露と中華人民共和国の民主化実現を訴えかけました。
国が例え弾圧しても水面下では流通してしまう時代、中華人民共和国ではテレサの歌の販売や所持を禁止する措置を取っていたものの、実際には海賊版のテープが多数流通しており、それによってテレサの歌に触れていた国民も多かったようです。〝ふたつの祖国〝のひとつ、両親の出身地である大陸でのコンサートをテレサは熱望していました。しかしそこで起こった天安門事件、1990年に予定されていたコンサートはテレサの生前にはついに行われることはありませんでした。
その後1989年には単身パリへと移住して表舞台から距離を置くようになり、もっとも公演を行っていた日本へも稀にしか来日しなくなりました。そして1995年5月8日静養のため訪れていたタイ・チェンマイにて気管支喘息により逝去します。享年42歳でした。
台湾が誇るアジアの歌姫の葬儀は、テレサ・テンを知らない若い世代にもその名を知らしめることになりました。国葬として当時の中華民国総統〝李登輝〟氏も参列し、棺には中華民国国旗と国民党党旗という〝中華民国の英雄〟の死としてマスコミにも取り上げられ、式典には3万人を超える世界中のテレサを慕うファンが参列したとされています。
国民的英雄のテレサは、中華民国総統の〝蒋介石〟〝蒋経国〟と同じように荼毘には伏されず土葬されて新北市金山郊外の高級霊園〝金寶山墓園〟にて永遠の眠りに就いています。霊園の一角〝鄧麗君紀念墓園・筠園〟は、入口を入ってすぐの場所にある約50坪の区画になります。それを取り巻くように作られている約100坪の広場には、歌姫を髣髴させる〝巨大な鍵盤〟と赤外線で人の進入を感知しテレサの名曲が流れるシステムが備わっています。また墓園には〝テレサの歌う金の像〟や〝胸像を合わせたお墓〟があり、テレサを慕う多くの人々が訪れています。
豪雨の中訪れたため参拝者は他には見受けられませんでした。しかしテレサの歌声(台湾語)やピアノの音は確認でき、やっと巡ってきた今回の来訪、そしてこの雨の中にも拘らず人がいないことをいいことにしばらく佇んでいました。
何人かで行く分に関しては台北市内から車をチャーターすることでも良いかも知れません。ただ淡水からのバス便はそれ程本数がないこともありあまり実用的ではないように思います。今回は台北から基隆まで台鉄を利用し、そこからバスで金山へ。バスターミナルからタクシーで向かいました。タクシーは天気や時期のこともあるのか往復200元で行ってくれました。公共の交通機関を利用するのも確かに旅の醍醐味ではあると思うものの、やはり本数の少ないバスの時間を気にしながら回る場所ではないように思います。ちなみに漢字で書くと難しいこの〝鄧麗君〟ですが、地元のドライバーは〝トンリージェン〟や〝トンリージェンム〟と言えばわかってくれます。
日本に帰ってからもテレサの歌声を聴く度に思い出すこの場所、天気のいい時にもう一度訪れてみたいと思います。
- 施設の満足度
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5.0
- 利用した際の同行者:
- 一人旅
- 観光の所要時間:
- 1-2時間
- アクセス:
- 3.0
- 基隆火車站からバス60分で金山。金山からタクシー20分。
- コストパフォーマンス:
- 5.0
- 入場料は要りません。
- 人混みの少なさ:
- 5.0
- 雨の日は空いていました。
- 展示内容:
- 5.0
- テレサ・テンの偉大さを改めて感じました。
クチコミ投稿日:2016/02/09
いいね!:14票
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