男のエゴと美人悲話の伝承~マムヤの墓~
- 5.0
- 旅行時期:2015/04(約11年前)
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by たかちゃんティムちゃんはるおちゃん・ついでにおまけのまゆみはん。さん(非公開)
宮古島 クチコミ:16件
私の行く場所にはどうして美人悲話の伝承が多いのでしょうか…。宮古島最東端東平安名崎(ひがしへんなざき)へと向かう道中、一際目を引く巨岩が見えてきます。マムヤの墓、
平家の落人として近隣の保良村へと都落ちをしてやってきた絶世の美女マムヤは、この地を治める按司(守護職)に見初められ、嫌がるマムヤに勝負を挑み、自分が勝てば妻になれと言い寄りました。その勝負に金と人をつぎ込んだ按司の前に敗れてしまったマムヤは、約束通り妻となります。しかし按司には妻子がおり、本妻から嫌がらせを受けて精神的に追い詰められたマムヤは按司に訪ねます。「私を奥様のどちらを取るのか?」と。
以前按司は叔父にマムヤの自慢をしたことがありました。私の妻は小便の匂い、マムヤは香草の匂いがすると…。そのとき叔父は按司を諭すように言ったそうです。「今はマムヤかも知れないが、月日が経つと子供の母親である妻の方が良いことに気付くだろう」と。そのことを伝え聞いたマムヤはいたたまれなくなり、按司の元を離れます。そして人と関わることを避け、この平安名崎の地の洞窟でひとり機を織って暮らしていたそうです。マムヤのことを忘れきれない按司は、あらゆる手段を使ってマムヤを探します。そして按司からするとやっと見つけたのかも知れません。マムヤの姿を…。しかしマムヤからするともう会うことのない男との再会は、驚きではなく絶望でしかありませんでした。もはやこれまでと按司の目の前で海へと身を投げました。当然歓迎されるとばかり思っていた按司は、目の前の出来事が信じられず、失意のもと政治を怠り、滅び去ったとされています。
マムヤは海に飛び込む際に呪いをかけました。自らが美しさゆえに味わった不幸せを、村の娘たちには味わせたくないとの気持ちから、この保良村には美しい娘が生まれてこないように…と。
しかしそれがそのまま残っているかというとそうではなく、満月の夜に平安名崎の芝生の窪みに溜まった水にその満月が光り輝いているとき、妊婦さんがその水をすくって飲むと呪いは消え去るとただひとつ?呪いを解く術?を残したそうです。
今なおその伝承が残る保良村では現実にはともかく、我が子が美しくあれと願う母の気持ちのもと満月が浮かぶ平安名崎の芝生の水を味わっておられるのかも知れません。宮古島でも美人が多い集落のひとつとして挙げられることを考えると…。
現在とは違うのかも知れませんが、優柔不断な男に翻弄された美人悲話は日本全国に多く残ってはいるものの、マムヤ伝説のように手を下したも同然的に言われる伝説も少ないのかも知れません。なにごとも感情的にならず話し合いを持ってやらなければ、必ず不幸になる者が出る…、そんな警鐘を鳴らしているのかも知れません。巨石の中のマムヤ像は…。
- 施設の満足度
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5.0
- アクセス:
- 5.0
- 東平安名埼園地入口から徒歩10分弱。
- 人混みの少なさ:
- 4.0
- マムヤの墓を訪れる方はそう多くはありません。
- バリアフリー:
- 3.0
- 足元は砂地です。
- 見ごたえ:
- 5.0
- 美人悲話の哀愁を感じました。
クチコミ投稿日:2016/01/05
いいね!:7票
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