年老いた小野小町の像が保管されている寺
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- 旅行時期:2014/10(約11年前)
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by yoshimune-kunさん(男性)
和歌山市 クチコミ:65件
和歌山市里に「遍照寺」というお寺があります。
この寺には、小野小町が88歳の時の姿をうつしたものと伝えられる木像が安置されています。
「絶世の美女」と謳われながらその生涯が謎に包まれている小野小町ですが、その晩年についてもやはりよく判っていません。京都府井手町にあった井提寺の別当の妻となり、幸せな晩年を過ごして69歳で没したという説もあるのですが、若い頃の栄華に反して大変不幸な晩年を送ったという話の方が多く伝えられています。
その代表的なものが鎌倉時代の説話集「古事談」にあります。
平安時代の歌人 在原業平が東北地方へ行ったとき、突然
「秋風の 吹くにつけても あなめあなめ」
(秋風が吹きつけて 目が痛い目が痛い)
という和歌の上の句が聞こえてきました。
ところが、あたりを見回しても人の姿は見えず、代わりに眼の穴からススキが生え出した髑髏が見つかったのです。土地の人が「あれは歳をとって醜い老婆となり、行き倒れになった小野小町の髑髏だ」と言うので、哀れに思った業平は髑髏を人目につかない別の場所に移し
「小野とは言はじ 薄(ススキ)はひけり」
(小野小町の哀れな最期とはいうまい。ただ薄が生えているだけのことだ)
と下の句を付けて、小町の霊を慰めたと言うものです。
小野小町は晩年、年老いた姿で全国を流浪したとも伝えられますが、和歌山の伝承によれば、熊野参詣を果たした後、雄ノ山峠を前にしたこの地で落命したと言われます。遍照寺に伝わるのは、その時88歳であった小町の姿を写したとされる木像です。
私も実物を見たことはないのですが、資料によれば高さ50cmほどの木像で、あばらの浮き出た胸をはだけ、左膝を立てて座っている姿のものだそうです。お世辞にも「美女」と呼べる容姿ではないということで、小町の晩年の哀れさを際立たせるものとなっているのでしょう。
一般に広く公開されているものではありませんが、機会があればぜひ遍照寺を訪れて小野小町と対面してみて下さい。
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3.0
- 利用した際の同行者:
- 一人旅
- アクセス:
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- 人混みの少なさ:
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- バリアフリー:
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- 見ごたえ:
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クチコミ投稿日:2015/10/13
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