現在は遊歩道となっている明治時代の鉄道トンネル
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- 旅行時期:2014/05(約12年前)
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by yoshimune-kunさん(男性)
和歌山市 クチコミ:65件
和歌山市と海南市の境界にほど近い毛見地区に「鵬雲洞(ほううんどう)」というトンネルがあります。
このトンネルは、もともとは海南駅前から和歌山市駅を結ぶ鉄道(いわゆるチンチン電車)のために和歌山水力電気株式会社が掘削したものです。
「和歌山軌道線」と呼ばれるこの鉄道は、「和歌山水力電気株式会社」が開設したもので、明治42年に県庁前−和歌浦口間で営業運転を開始。その後、同年に市駅−県庁前、明治44年に紀三井寺−琴の浦、を順次開通させました。
そして、明治45年に開通した琴の浦−黒江の路線の一部として掘削されたのが、この「鵬雲洞」なのです。
その後、大正2年には和歌浦支線(和歌浦口−新和歌浦)開業、昭和4年には海南駅前まで延伸、昭和5年には公園前−和歌山駅前開業と、どんどん路線を延ばしていきました。
この間、営業母体であった和歌山水力電気は大正11年に京阪電気鉄道に合併され、その後、合同電気、東邦電力、阪和電気鉄道、南海鉄道、近畿日本鉄道、和歌山電気軌道、南海電気鉄道とめまぐるしく変遷していきます。最終的には「南海電鉄和歌山軌道線」として運営されていましたが、モータリゼーションの波には勝てず、昭和46年3月31日をもって全線が廃止となってしまいました。
この時期での廃線については、その翌年の和歌山国体に向けて道路整備を進めていくという政策の影響もあったと言われています。
鉄道の紹介が長くなりましたが、この鵬雲洞は、明治44年に竣工したもので、専門的に言えば「楯状迫石を持った煉瓦づくりの坑門」という明治時代の鉄道トンネルの典型的な構造なのだそうです。
このトンネルを含む紀三井寺〜琴の浦間はいわゆる路面電車ではなく、専用軌道がひかれていましたので、その跡地は現在も「紀三井寺緑道」として歩行者・自転車専用の遊歩道になっています。貴重な土木遺産の見学がてら、紀三井寺まで延長約3kmの遊歩道ウォーキングを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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4.0
- 利用した際の同行者:
- 一人旅
- アクセス:
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- 人混みの少なさ:
- 3.0
- バリアフリー:
- 3.0
- 見ごたえ:
- 3.0
クチコミ投稿日:2015/10/06
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