京の宿らしさが無い

予想に反して駐車料金が1,000円、切らなくてもよい切符を二枚も渡され見せることも無くチェックアウトで払った。何か妙な宿と直感、チェックインの担当は男性スタッフであったが、初めての客にやたら早口で事務的、説明が多過ぎて頭に入らない。大きな館内地図を渡してここで何してここで何してこの辺りで待ってくれとか、このくらいなら最初から一緒に部屋まで案内すればいいのにと思う。心からの歓迎とは思えない。仲居のいない旅館も増えてきたが、部屋への案内は心を籠めてしっかりしないといけない。これでは京の宿でゆったりする感覚が薄れてしまう。普通のプランより一人4,000円も追加で和洋室を頼んだ。部屋は二階で清潔ながらも広くはない。窓を開ければ駐車場や近所の住宅やらアパートらしき建物、おまけに宿の何十台もの空調設備の乗った建物のすぐ近くでがっくり、定宿の京都市内の旅館は6,000円も安いのに手入れした庭が見える。食事はよくはやる居酒屋のような感じ、女性スタッフが多い。ここでも説明がやたら多く筆記用具を渡され希望の料理に幾つまで○を付けるとか宿側はユニークなサービスのつもりであろうが、こんなことは客にさせるものではない。料理の質はまあまあよい方である。そして飲み物が料金に含まれているとのことであったが、時間制限もあり料理は多いからそんなに飲めない。
部屋にユニットの小さいバスはあったが、狭いから使わなかった。此処は風呂を売り物にしている湯屋の宿で完璧なまでに設備の整った大浴場の他にいろんな貸切家族風呂が幾つかあり無料で勝手に使える。ところが清掃なしだから空いたら入れる貸切風呂は不潔感がある。狭い上に明らかに若いカップルが使った後と分かりこれなら有料できれいにしてくれた貸切風呂のが余程よい。更にカルキ臭もありこりゃ駄目ということにもなった。風呂上がりの夜泣き蕎麦やデザートサービスは味もよく救いであった。朝は小規模のバイキングも付いて味も上等であった。結局のところ、味よしだけの印象の宿で基本的なことがなってない。此処だけではないが、チェックアウトの10時はゆっくりできない。玄関に主らしき二人が丁寧に見送ってはくれたが、何も言わず何かが足らない気持ちで嵐山を後にした。
同じ宿泊料金でもサービスに不満があると高く思えるし心から満足すると安く思えるのである。何百もの旅館に泊まったが、初めて経験したあのチェックインの時と夕食の時の盛り沢山な煩わしい説明は恐らく接客マニュアルが細かくそつなくしてあるからと思われる。スタッフが若く客層を見極める資質も無い。食事はかなり良いが、旅慣れた客には本物のおもてなしの心に物足らなさを感じると思う。客を迎えるには女将かベテランスタッフの丁寧な対応が大切である。旅行社にパンフレットのプラン外の部屋の設定で問い合わせや予約してもらった意味も効果も無かった。

クチコミ投稿日：2013/02/10