2016/04/06 - 2016/04/06
52位(同エリア164件中)
玄白さん
今春の我が家のマイブーム、あまり知られていない穴場スポットを訪ねる小旅行第3弾は、鹿沼の田んぼの中にポツンと浮かぶ古墳に咲く桜。なんだかんだ言っても、やっぱりこの時期、花と言えば桜になってしまう。
古墳の名前は判官塚古墳。桜はまだそんなに樹齢は古くはないようで昼間眺めても平凡で面白くないので、真夜中の星空の下でLEDライトで照らして、にわか夜桜を演出。当然のことながら、何にもない田んぼの中、夜中にわざわざ桜を見にくるような酔狂な人は誰もいない。同行した連れ合いも車の中で爆睡。ひとり、古墳の周りをうろついて星と夜桜の撮影を楽しんできた。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 自家用車
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名の知れた観光地ではないので、まずは所在地の説明から。
近くに適当な目印はないので、最寄り駅東武日光線東武金崎駅からの道順をGoogleMapで示した。金崎駅から車で10分ほどのところである。
日光西街道(国道352号)沿いにある。 -
夜が明けて明るくなってから、場所の説明用に撮影した「磐裂根裂神社(いわさくねさくじんじゃ)」
無人の小さな社だが、この神社の正面の田んぼの中に判官塚古墳がある。
なお、「磐裂根裂神社」で検索すると、壬生町に同名の神社があり、そちらがヒットする。壬生町の神社は氏子も大勢いそうな立派な神社だが、こちらの神社はヒットしない。
この神社の前に2台ほど駐車できるスペースがある。 -
神社の前から判官塚古墳を眺めたところ。
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さて、ここには夜中の2時に到着。
さっそく、星空と桜の撮影に取り掛かる。拡大しないとよくわからないが、左側に北斗七星、桜の真上に北極星がある。 -
イチオシ
田んぼのど真ん中とはいえ、遠くに民家の明かりが見えたり、日光西街道が幹線道路で、ときどき車が通るので、星空の撮影としては必ずしも条件は良くない。今回は星の日周運動の撮影に徹することにした。
約35分相当の長時間露光。実際には20秒露光を連続して繰り返し、比較明コンポジット合成した。
5秒ほど、LEDライトで桜を照明。ライトの光のせいか、桜がちょっと青みを帯びたピンク色に写り、妖艶な雰囲気になった。 -
超広角にして、古墳全体を入れての撮影。古墳の根元に菜の花が咲いている。
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LEDライトで照明しなくても、1分の露出で、かろうじて桜のピンク色が写る。
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古墳の西側に回り込み、東の空を撮影。右側の明るい星は土星。
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LEDライトで桜に照明するとこんな具合になる。
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イチオシ
春分を過ぎ、日の出の時間が早くなった。この日の日の出は5時19分。4時50分ごろには朝焼けで東の空が朱に染まってきた。
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古墳のそばまで近づいてみる。
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斜面をよじ登って古墳の上へ。
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この古墳、きれいな前方後円墳で、よくその形が残っている。後円部から南西方向の前方部を見たところ。桜の木は2本あり、いずれも前方部にある。
前方部の幅が後円部の直径より広がっている古墳時代後期の典型的な前方後円墳である。7世紀前半の築造と言われている。 -
古墳の南側の裾には菜の花が咲いていた。
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後円部の斜面は水仙が真っ盛り。桜、水仙、菜の花のコラボ
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水仙と桜
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前方部の墳丘の上、桜の根元には小さな祠と鳥居がある。
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後円部の水仙が咲いている左側の淵の中腹に石室への入口があるが、今は埋め戻されて中には入れない。どんな人物の墓かは定かではないらしい。
源九郎判官義経が奥州に逃れる途中、この古墳に立ち寄り、冠を埋めたという言い伝えがあるため、判官塚古墳と呼ばれるようになった。 -
離れたところから古墳全体を撮影。
明治時代まで、判官塚古墳の周りに小さな古墳があり、判官塚古墳群と言われていたようだが、大正時代の農地区画整理ですべてつぶされ、この判官塚古墳だけが残ったそうだ。 -
イチオシ
日光西街道の歩道から古墳を遠望。
草原の海に浮かぶひょっこりひょうたん島のようだ。草原のように見えるが、稲の切株から新芽が生えているのである。 -
古墳の墳丘に咲く桜を眺めていて、ふと梶井基次郎の短編小説「桜の樹の下で」を思い出した。たしか、その書き出しは
「桜の樹の下には屍体が埋まっている! これは信じていいことなんだよ。何故って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。・・・・」
古墳も墓である。名前は分からぬが古代豪族の遺体が眠る墳丘に桜が咲いているのは、まさしく、梶井基次郎の短編小説の世界である。 -
平安時代までは花と言えば梅だったが、武士が支配階級になってから、桜に変わった。常に死ぬ覚悟をしながら生きる武士にとって、美しく咲き潔く散る桜に美意識を感じ、生と死をつなぐ魔性を見ていたのかもしれない。梶井基次郎の小説を引くまでもなく、長く武士の支配する歴史を通じてそんな桜に対する思いが日本人全体の心に沈殿してきているのだろう。そんな風に考えねば、現代まで続く日本人独特の桜への思い入れは説明できないように思うのである。
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田んぼのあぜ道に咲いていた雑草の花。雑草という名の植物はないので、何らかの名前はあるのだろうが・・・
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4月にしては冷え込んだので、ところどころに朝霧が立ち込めている。
今日は東京で現役時代の同期仲間の飲み会があるので、帰宅したら、上京の予定。少し早めに上京して都会の桜の名所に行ってみることにしよう。長い長い一日になりそうだ。
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この旅行記へのコメント (2)
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- 琉球熱さん 2016/04/18 22:32:04
- 毎度のことながら
- 玄白さん
毎度のことながら、見事な作品ですね。
いやはや、すごい。
被写体選びからして感服です。
北斗七星もばっちり写っていますね。写真で見ることは稀なので、ちょっと感動です。
陽光の下のサクラも良いですが、夜〜夜明けも乙ですね。新たな発見です。
「雑草の花」は何でしょうか?マメ科の植物にも見えますが、初めて見る感じです。
またまた良いものを見せていただきました。
- 玄白さん からの返信 2016/04/20 22:32:17
- RE: 毎度のことながら
- 琉球熱さん、こんばんは。
桜と星の組み合わせは、以前から温めていたアイデアなんですが、気軽に出かけられる良い場所がみつかりませんでした。ようやく見つけたのが、この古墳の桜です。
本当は天の川と桜を狙っていたのですが、南の空には薄雲がかかっていたのと、町の明かりで水平線近くは光害で天の川は見えませんでした。
田んぼの畦に咲いていたレンゲのような花はなんでしょうかね。さすがの琉球熱さんにもお判りになりませんか・・・
玄白
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