2015/03/07 - 2015/03/07
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たびたびさん
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特に意図したわけではなかったのですが、結果として、ここ何年かで全国のひな祭りを見ることになりました。やはり、この流れで行けば、どうしても庄内のひな祭りは外すわけにはいかない。今回の二日間の旅では、ひな人形、ひな祭りとはどんなことなのか。一区切りできる旅にできればと思います。
鴻巣びっくりひな祭り(埼玉)
人形のまち岩槻 まちかど雛めぐり(埼玉)
真壁のひなまつり(茨城)
村上 町屋の人形さま巡り(新潟)
越後長岡ひなものがたり(新潟)
佐賀城下ひな祭り(佐賀)
筑後吉井おひなさまめぐり(福岡)
天領日田おひな祭り(大分)
初日の酒田雛街道では、山居倉庫酒田夢の倶楽華の館から、本間家旧本邸、旧鐙屋、酒田市立資料館、本間美術館、酒田あいおい工藤美術館を回りました。やや番外編ですが、酒田夢の倶楽の加藤家のお雛様は、五人囃子が見たこともないような巨大な作り。表情も個性的でまったく度肝を抜かされました。ただ、それでもやはり圧巻は、本間美術館でしょう。享保雛、古今雛だけではなく、御所人形から、装束人形や歌舞伎などの風俗をテーマにした創作人形は、幅が広く、系統だてて展示されていて、そのバランスの良さには舌を巻くしかありませんでした。京都の嵯峨人形の家の感動をちょっと思い出してしまいました。
そして、地元ならではの押し絵や古裂、傘福も素朴で、これはこれの味わいがある。さすが酒田の一言だし、目的のヒントも得られたように思います。
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庄内空港からバスで酒田市内に向かいます。
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ここで、予定通り、途中下車して、まずは酒田市美術館に向かいます。
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小高い山の上にある美術館はコンクリート打ちっぱなしのしゃれた建物。
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イチオシ
展示は、所蔵品が中心。
酒田市美術館 美術館・博物館
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文化勲章受章でもある森田茂の荒々しいタッチの黒川能のほか、全国的には無名だと思いますが、酒田市出身の斎藤正治の叙情的な作品が特に印象に残りました。ネームではなく、いいものはいい。酒田市民の審美眼が反映されているようなコレクションだと思います。
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出羽遊心館は、酒田市美術館の隣り。
出羽遊心館 美術館・博物館
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生涯学習施設ということらしいですが、茶室も備えた数寄屋造りの建物は、
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非常にこだわりを持って作られたということ。
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大広間もいくつかあって、規模も大きいし、
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遠くには鳥海山も眺めるというロケーションの良さもあります。
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公共施設にしては、ぜいたくすぎるような気もしなくはないですが、これが酒田の心意気ということなんでしょうか。内部の見学は自由です。
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酒田の市内では、どこでも乗り捨て自由という観光自転車があって、市内を回るにはとても便利。その観光自転車の拠点の一つが、このかんぽの宿酒田。これを利用するつもりで途中下車した次第です。
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ただ、簡保の宿でも、
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ちょっとした土人形の展示がありまして。
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なかなか
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よいではありませんか。
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こちらでは鵜渡川原人形といいます。土人形ですから、これは京都の伏見人形の流れを汲むものです。
さて、ここで自転車を借りて、出発です。 -
まずは、近くの南洲神社へ。飯森山公園の続きと言った場所です。
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南洲は西郷隆盛のことですが、庄内藩と西郷隆盛の関係は、戊辰戦争の後の寛大な処置が縁となったもの。鶴岡では、関係資料の展示等を見たことがありましたが、酒田にもあったんですね。
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敷地内にある南洲会館では西郷との交わりの深さを示す、ゆかりの品々が豊富に展示してあって、
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これは意外に見応えのある施設だと思いました。
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飯森山公園は、以前、土門拳記念館に行った時に通ったくらいだったのですが、今回、改めてその土門拳記念館のほとりにある池の周囲とかを歩いてみて、美しい公園であることがよく分かりました。
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まだ、冬枯れの感じだったのですが、季節になるとさらによくなりそう。それなりの広さもあるし、家族で行くにはいい場所だと思います。
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さて、酒田市内は、この橋を渡った先です。遠くには鳥海山が見えていますね。
で、実は、なんとここでカメラが壊れてしまったんです。あーれー。肝心な時にカメラが使えないって、最悪ですね。しかし、旅は始まったばかり。急きょ、デジカメを買って、何とか記録だけはとどめたいと思います。 -
気を取り直すために、とりあえず、昼飯を食いましょう。
ところで、庄内地方は、内陸部が山形牛といった牛肉文化なのに対して、豚肉の文化。その豚肉文化を今や代表するのが金華豚の平田牧場です。ただ、不便な場所なのでこれまではこれていなかった。今回は、自転車なので、ここに行かないわけにはいかないと思っていました。 -
いただいたロースのトンカツは、口に入れるとさっと油が溶けてくるような感じ。この油のうまさはかなり特徴的ですよ〜。確かに他ではなかったかもしれません。
しかし、一方で、写真はイマイチ。デジカメだとかなり画質が落ちますね(T_T) -
瑞穂野木村屋は、平田牧場から酒田市街中心部に戻る途中。大通りに面した大きくてきれいな店舗。車でも立ち寄りやすいんでしょう。お客さんがけっこう入って賑わっていました。
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いただいたのは、生ブッセ。解凍するため1時間してから食べてくださいということでしたが、ちょっとアイスクリームを挟んだような感覚。バニラの香りがすごくいいと思います。
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酒田夢の倶楽の加藤家のお雛様です。五人囃子の人形は途方もない大きさ。表情も個性的で全く度胆を抜かされました。
ただ、雛人形は、雛というくらいですから小さく作るところに、得も言われぬかわいらしさが出るものなんですよね。大きく作ってしまうと、その肝心なところが失われてしまうのは避けられない。
文化もそういうところがあって、何か制約があることで、逆に味わいが深まるようなことはよくあることです。ちょっと違う話ですが、以前、大館の鳥潟会館で、玄関の大きさがそうでもないですね。とコメントしようとしたら、係りの人が血相を変えて、そんなことはないと反論するんです。そうじゃなくて。。肝いりの時代に作られた玄関だから、藩政時代の制約があって、一定の大きさ以上には出来なかったはずで、そこに歴史的な価値がある。後で、増築した建物はそうした制約もないので、ただ贅沢に作っただけ。意味が全然違うんですよね。そうしたところもちゃんと勉強してほしかったんですが、とても残念。そんなことも思い出してしまいました。 -
こっちの方は、撮影可。
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イチオシ
土人形に、
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糸手まり。九州だと柳川が有名ですけどね。。米沢なんかでもあるし、どこが本場なんでしょうか。ただ、この赤が紅の赤なので、そういう意味では山形も関係が深いというこでしょう。
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ほかには、こんなのも。
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子供を入れておくかごですよね。東北地方独特のでしたっけ。ちょっと、よくわかりません。
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さて、こちらが本間家本邸。
本間家旧本邸は、本間家3代当主が、幕府の巡見使一行を迎えるための本陣宿として建てたもので、二千石格式の長屋門構えの武家屋敷です。ということで、一旦は、庄内藩主酒井家に献上したのですが、その後、改めて、酒井家から拝領し、以降、代々、本間家の本邸となりました。長屋門を入ると、まずびっくりするのが、屋根に覆いかぶさるように生えた樹齢400年という赤松。ちょっと、ほかでは見たことがありませんね。土塀をめぐらす構造は、災害にも強く、有名な昭和の酒田大火の惨事でも、災害を逃れました。 -
玄関を入ってすぐの大広間に、本間家伝来の雛人形。
大きな段飾りも悪くないですが、御膳、双六・将棋・碁のお遊び道具、お茶道具、貝合わせ、文房具に、お化粧道具などの雛道具もこまごまと展示されていて、たぶん、孫の誕生とか、娘の結婚とか。それぞれにいろんな意味があったものでしょう。だからいくら本間家の雛人形と言っても、人にどうだと見せるつもりのものではない。指の長い華奢な五人雅楽にしても、何かその時の心模様のようなものを感じれたらいいなあと思いました。 -
別館「お店」
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こちらは撮影可。
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さっき見た五人雅楽の写真があって、これは撮らせてもらいましょう。
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次の会場に移動する途中に、竹内菓子舗。酒田の市街。相生町二丁目交差点の角。ただ、外観が地味なので、ちょっと目立ってないかもしれません。
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ゆべしをいただきましたが、ちょこっとクルミが入った柔らかいゆべしです。食べると口の中で溶けてしまいそうな柔らかさなんですが、これが特徴的。これが鶴岡の人の好みなのかなあとも思います。
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で、今度は酒田市立資料館。
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企画展は、雛と古裂-押絵と創作人形-。
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雛人形に、
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イチオシ
これはお雛菓子をモチーフにした庄内押し絵雛菓子。
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なるほど。押し絵というのは、分かりやすい名前です。
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あねさま人形は、実際に遊ぶための人形です。
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九州だと「おきあげ」っていいましたけど、
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イチオシ
モノ的には全く一緒ですね。
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ということは、どこかにルーツがあるはず。
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やっぱり京都のどこかなんでしょうねえ。また、どこかで分かるといいんですがね。。
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これは本物のお雛菓子。
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おいらん道中は、創作人形ですね。
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人形の出来は、正直、あんまりよくないんですが、テーマの面白さが優先です。
以上、一つ一つは素朴だけど全体にちょっとした組み合わせの妙のようなところがあって、雛祭りの企画としては十分合格点だと思います。 -
旧鐙屋は、元禄時代に豪商として全国に名を馳せた鐙屋惣左衛門の邸宅です。
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酒田は、江戸時代には「西の堺、東の酒田」と謳われた豪商の街。西回り航路の重要港として栄えた街には、日本一の大地主といわれた本間家の旧本邸に、井原西鶴の「日本永代蔵」に北国一の米商人と書かれ、酒田を代表する廻船問屋であったこの旧鎧屋などの豪商が軒を連ねていたという、こちらも酒田を代表する史跡です。
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ここから上がって、奥へ。
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こちらでやっているのは、
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阿部テイ子和紙人形展。
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これが紹介。
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創作人形なんですが、
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こういう作家さんの人形は、もう雛人形の範疇ではありません。
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広間に、
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展示された人形は、
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それぞれに命を吹き込まれた人形たち。
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イチオシ
雛人形のようにかわいがってあげる人形ではなく、
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こちらと対等な関係にあるような存在感さえ漂います。
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イチオシ
門司の関門海峡ミュージアムには、平家物語をテーマにした人形展示があって、作家たちの迫力ある競演が見事でしたが、そんなのも思い出してしまいました。
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奥に進んで、
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厨房を抜けると
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土蔵があって、
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そこは資料館。先ほど紹介した日本永代蔵です。
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旧鐙屋を後にして、こちらは酒田町奉行所跡。山居倉庫の川を挟んだ向かいです。簡単な門柱が建っていて、説明板がありました。
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江戸時代は、ここが町政の役所だったもの。町奉行は、庄内藩の制度として鶴岡にもあったようですが、酒田は本間家もいて豊かな街。その酒田にあった奉行所ですから、庄内藩でもきっと特別な存在だったのだと思います。
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酒田市民会館の希望ホールは、酒田市役所の隣り。ここは、映画「おくりびと」で、劇中のオーケストラによるコンサートシーンの撮影に使用されたことで、有名になったという場所。
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中に入っても、特にどうということはないのですが、やっぱり、庄内を有名にした貢献があった建物と言うべきです。
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商店街でもひな祭りをやっているはずなんですが、めぼしいものは見当たりません。
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で、途中に寄ったのは酒田木村屋。
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アンパンが目当てだったのですが、それはなくて。代わりに甘食をいただきました。どこにでもあるパンなんですが、しっとり感があって、二個セットの甘食でしたが、パクパク一気に食べちゃいました。期待通り。ちょっとおいしいパンでした。
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妙法寺は、酒田駅にも近い酒田市街。表通りから少し入った場所なのですが、急に開けた景色になって、境内はどうかすると公園のような感じ。
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奥に、本堂が建っていなければ、お寺とは思わないかも。ここでイベントが行われたりするようですが、確かにちょうどいいでしょう。
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で、今日のハイライトとなるのは、やっぱり本間美術館ですよね。
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玄関を入って、
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すぐの広間には、こんな大きな段飾り。
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脇には、女性の雅楽。
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なるほど、なるほど。これだけの人数で作られているのは、多分特注品ですね。時代は古いものではないでしょうが、本間家のためにといった気持がこめられているような気がします。
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イチオシ
こちらは、一点もの。大木平蔵のもののようですが、まあ、お土産に買ってきたというくらいのことかもしれません。
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二階の展示は、ちょっとカジュアルです。
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本間家にはこんなのもあるよというくらいのものかもしれませんが、
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掛け軸を交えて
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雛菓子と組み合わせれば、またちょっと気品が出る。
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雛人形は、単独で見るだけじゃなくて、
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イチオシ
ある程度行きついてしまうと、
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最後は、それらをどうやって見せるかというまた違った局面に入って行くような。
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イチオシ
いいものを買いそろえた人も偉いけど、
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組み合わせ等で、それをどう見せていくか。受け継いだ人にも、腕の見せ所はちゃんと用意されているし、そうじゃなければいいものであっても残りません。
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一階の展示は圧巻ですが、
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二階の展示も、そんなことを教えてくれるような気がします。
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美術館の本館の方は撮影禁止なので、ここでは紹介できませんが、いいものは当然そちらにあります。雛人形は、享保雛、次郎左衛門雛、有職雛、古今雛などの歴史はあるのですが、それを追いかけてもイマイチ。単なる流行の移り変わりといった感じにしかならない。そうではなくて、木製の嵯峨人形、木目込みの加茂人形、土人形の伏見人形、嵯峨人形から進化した御所人形といった系譜の方が正当だと思いますが、ここでもそうした考え方で整理されていて、これもグッド。ここまでちゃんと京都の基本がわかっているのかという感じです。
つまり、あえて言えば、雛人形は人形の中のごく限られたジャンルだし、歴史もそんなにあるものではない。いわんや、それが京都の伝統文化を代表するものでもないということなんです。それが分かった上での雛人形展。深いですねえ。 -
本間美術館の印象が最高だったので、もう酒田はこれでおしまいにしたかったのですが、駅の近くだし、この前、庄内のひな祭りをしきりにアピールしていた酒田あいおい工藤美術館にも行ってみることにしました。
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イチオシ
それに、こちらは、高校の先生をしていた人が個人で開設した美術館。
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そういう意味だと庄内の雛人形とはといった話ができるかも。
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とうことで、雑談をしている中で。。
先生曰く、庄内の人は紅花で染めた着物を着たいが高価なのでなかなか着れない。せめて、雛人形にでも着せたいという思いもあったのではと。 -
いや、私の考えもそうなんです。京都の人形って言えば、観光スポットだと宝鏡寺に、嵯峨人形の家くらい。御所人形ならあちこちにありますが、ひな祭りといった大きなイベントはありません。
つまり、雛人形になんか託す必要がない。西陣織の着物の方がいいし、蒔絵などの漆塗り器に、能面や仏像の方がいいじゃないですか。ひな祭りより、祇園祭の方が大事でしょっていう感じなんじゃないでしょうか。 -
人形に託したり、人形を通じて何かの文化を垣間見ると言った必要性は京都にはないんですよね。
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地方の雛人形のニーズには、京都の逆の思いがあったのも事実でしょう。
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ただ、それが、そこで終わるのか。それとも、そこから、また地方独特の美意識によって、違う発展があるのかないのか。そこがもう一つの分かれ目でしょう。
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そして、そうした目さえあれば、楽しみは無限。
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武田人形や、
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うちかけがちょっと置いてあったり、
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この美術館の展示内容も
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そうした可能性を示しているのではないかと思います。
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さて、ちょっと頭の整理ができてきたところで、晩飯にします。
酒田のトンカツといえばお昼に食べた平田牧場が有名なんですが、これに対して酒田駅近くにあるこのわたりも根強い人気店。ちょっと食べ比べで訪ねてみました。 -
カウンター席に座って、ゆったりこれはいい感じ。平田牧場ではこうはいきません。
で、トンカツの方は、肉厚でじっくりとワイルドな豚肉のうまさを味わうといった本格派タイプ。ソースのうまさも抜群で、これはいいお店。女将さんもきさくです。 -
今夜の宿の酒田ステーションホテルもすぐそば。駅から近いし、安いので利用しました。もう古い建物だと思うのですが、私としては微妙に許容範囲内かなあ。朝は、勝手にカウンターに鍵を置いて出て行くスタイル。いろんな省力化で工夫しているようなホテルです。
さて、明日は、鶴岡を回ります。
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