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昨日、所用で水戸へ行った折、午後の時間を利用し、大洗まで出る。今回の東日本大震災で大きな被害を受けた大洗の海岸を見ておきたかった。<br /><br />水戸から大洗までは第三セクターの電車、大洗・鹿島線で、3つ目、20分も掛らず行くことができる。しかし今震災の影響で、1時間に1本程度しか運行されていない。更にその先の鉾田までは2−3時間に一本、鉾田から先大洋町の一部区間は未だ復旧されず、バスの代行運行になっていて、取り敢えずは鹿島神宮まで繋がった形にはなっている。<br /><br />水戸発2時の電車に乗って、2時18分、大洗駅に到着する。幸いなことに駅でレンタサイクルの提供をしていて、1日借りて200円。JRでは「トレンタ君」と言って、トレインとレンタカーをセットしたサービスを提供していて、以前当方も北海道や九州の旅行で利用したこともあったが、この大洗でのレンタサイクルは安くて手軽で良い。今のエコノミカルな時代にマッチしている。<br /><br />そのレンタサイクルにまたがり、早速大洗港に出てみる。目指すはマリンタワーだ。この辺り大きな被害を受けたと震災直後のテレビ報道等で連日映像が放映され、目に焼き付いている。しかし海岸に近付いても、それらしき災害の痕は見当たらない。ごく普通の生活を営んでいるようだ。一体この町にあのテレビで放映されたような大きな災害があったのなど、想像すらできない。<br /><br />埋立地に立つマリンタワーに行ってみると、もう既に営業は再開されている。海岸際に立つこの施設も大きな津波の影響を受けた筈だが、どこにも傷跡は見えない。唯一その痕跡と言えるものは、営業再開を記念して、当分の間、入館料を無料にするということ。<br /><br />シースルーのエレベーターに乗り地上60mの展望台まで上がる。ウイークデーの午後、無慮とは言え来ている人は数家族程度でガランとしている。目の前に太平洋が広々と広がっている。目の下のフェリー乗り場ももう完全復旧しているようだ。小さな大洗漁港にも何艘かの漁船がもやっていて、岸壁にも損傷はないようだ。<br /><br />大洗マリーナの先の海岸線は遥か先、鹿島灘の先の銚子の値付けまで弧を描き伸びていて、春霞の中に鹿島臨海工業地帯の煙突なども薄らと見えている。塊りのようになって見えるから、幾つもの工場群が重なりあっているのだろう。<br /><br />その手前には動燃の原子炉建屋と大きな煙突が松林の中に忽然と収まっている。東電の福島問題があって、今や日本中で原発反対の声が盛り上がっているが、この事故が起きる前までは、原発は超近代化の象徴のようなもので、人々から憧憬されていた。動燃もこの町の人に取って誇りの一つであったかも知れない。<br /><br />背後の町の方へ眼を向けると、遥か先に筑波のツインピーク、それに連なる加波山、更に右手奥の日光連山、案外近い場所にある那須連峰、等々、こうしてみるとこの常陸の国は、前が海に開け、後方が大きな山に囲われた、風光明媚な大きな平野と良く分かる。奈良時代以前から続くつくば(菟玖波)郡、稲敷郡。この穀倉地帯の茨城米は何故か県独自の銘柄を付けていないが、いま放射能問題で大きく揺れている。農家、県民にとっては1日も早い解決を望んでいるに違いない。<br /><br />< 菟玖波根の 稲敷遥か 春遠し ><br /><br /> <br />地表60mと言ったら、ビルで言えば20階程度の中高層のビル。しかし何故かこの建物は良く揺れる。左右に動いたり、ぶるぶる震えたり。海っぺたで風のせいもあるかも知れないが、この揺れは、風ではなく、地震の揺れだろう。昼間水戸駅前のビルの中の食堂で食事をしていたが、矢張りぶるぶる揺れていた。北茨城では余震が頻発している。そして隣町の鉾田ではいつも大きな震度を記録している。このタワーが倒壊することはないと思うが、気持ちの良いものではない。展望室を二巡し、早々に降りることにした。<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br />

大洗海岸「マリンタワー」からの眺め。

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2011/04/20 - 2011/04/20

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12

ちゃお

ちゃおさん

昨日、所用で水戸へ行った折、午後の時間を利用し、大洗まで出る。今回の東日本大震災で大きな被害を受けた大洗の海岸を見ておきたかった。

水戸から大洗までは第三セクターの電車、大洗・鹿島線で、3つ目、20分も掛らず行くことができる。しかし今震災の影響で、1時間に1本程度しか運行されていない。更にその先の鉾田までは2−3時間に一本、鉾田から先大洋町の一部区間は未だ復旧されず、バスの代行運行になっていて、取り敢えずは鹿島神宮まで繋がった形にはなっている。

水戸発2時の電車に乗って、2時18分、大洗駅に到着する。幸いなことに駅でレンタサイクルの提供をしていて、1日借りて200円。JRでは「トレンタ君」と言って、トレインとレンタカーをセットしたサービスを提供していて、以前当方も北海道や九州の旅行で利用したこともあったが、この大洗でのレンタサイクルは安くて手軽で良い。今のエコノミカルな時代にマッチしている。

そのレンタサイクルにまたがり、早速大洗港に出てみる。目指すはマリンタワーだ。この辺り大きな被害を受けたと震災直後のテレビ報道等で連日映像が放映され、目に焼き付いている。しかし海岸に近付いても、それらしき災害の痕は見当たらない。ごく普通の生活を営んでいるようだ。一体この町にあのテレビで放映されたような大きな災害があったのなど、想像すらできない。

埋立地に立つマリンタワーに行ってみると、もう既に営業は再開されている。海岸際に立つこの施設も大きな津波の影響を受けた筈だが、どこにも傷跡は見えない。唯一その痕跡と言えるものは、営業再開を記念して、当分の間、入館料を無料にするということ。

シースルーのエレベーターに乗り地上60mの展望台まで上がる。ウイークデーの午後、無慮とは言え来ている人は数家族程度でガランとしている。目の前に太平洋が広々と広がっている。目の下のフェリー乗り場ももう完全復旧しているようだ。小さな大洗漁港にも何艘かの漁船がもやっていて、岸壁にも損傷はないようだ。

大洗マリーナの先の海岸線は遥か先、鹿島灘の先の銚子の値付けまで弧を描き伸びていて、春霞の中に鹿島臨海工業地帯の煙突なども薄らと見えている。塊りのようになって見えるから、幾つもの工場群が重なりあっているのだろう。

その手前には動燃の原子炉建屋と大きな煙突が松林の中に忽然と収まっている。東電の福島問題があって、今や日本中で原発反対の声が盛り上がっているが、この事故が起きる前までは、原発は超近代化の象徴のようなもので、人々から憧憬されていた。動燃もこの町の人に取って誇りの一つであったかも知れない。

背後の町の方へ眼を向けると、遥か先に筑波のツインピーク、それに連なる加波山、更に右手奥の日光連山、案外近い場所にある那須連峰、等々、こうしてみるとこの常陸の国は、前が海に開け、後方が大きな山に囲われた、風光明媚な大きな平野と良く分かる。奈良時代以前から続くつくば(菟玖波)郡、稲敷郡。この穀倉地帯の茨城米は何故か県独自の銘柄を付けていないが、いま放射能問題で大きく揺れている。農家、県民にとっては1日も早い解決を望んでいるに違いない。

< 菟玖波根の 稲敷遥か 春遠し >

 
地表60mと言ったら、ビルで言えば20階程度の中高層のビル。しかし何故かこの建物は良く揺れる。左右に動いたり、ぶるぶる震えたり。海っぺたで風のせいもあるかも知れないが、この揺れは、風ではなく、地震の揺れだろう。昼間水戸駅前のビルの中の食堂で食事をしていたが、矢張りぶるぶる揺れていた。北茨城では余震が頻発している。そして隣町の鉾田ではいつも大きな震度を記録している。このタワーが倒壊することはないと思うが、気持ちの良いものではない。展望室を二巡し、早々に降りることにした。















同行者
一人旅
一人あたり費用
1万円未満

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  • 大洗海岸に立つマリンタワー。

    大洗海岸に立つマリンタワー。

  • 地表60mの展望室からは遥かに太平洋が望まれる。

    地表60mの展望室からは遥かに太平洋が望まれる。

  • 眼下の大洗漁港はもう完全に復興しているようだ。カネフクの明太子パークも既に営業を開始している。

    眼下の大洗漁港はもう完全に復興しているようだ。カネフクの明太子パークも既に営業を開始している。

  • 鹿島灘が弧を描いて伸びている。遥か先に鹿島臨海工業地帯の煙突なども見える。

    鹿島灘が弧を描いて伸びている。遥か先に鹿島臨海工業地帯の煙突なども見える。

  • 手前の動燃の原子炉建屋。以前はあこがれの的だったが・・

    手前の動燃の原子炉建屋。以前はあこがれの的だったが・・

  • 水戸の町の向こうには筑波山の山並も見える。天気が良ければ、この展望台から富士山も見えるという。

    水戸の町の向こうには筑波山の山並も見える。天気が良ければ、この展望台から富士山も見えるという。

  • 日立のエレベーター実験棟も見える。その後方には那須連峰の山並みも見えている。

    日立のエレベーター実験棟も見える。その後方には那須連峰の山並みも見えている。

  • 広々とした平野の広がる常陸の国。

    広々とした平野の広がる常陸の国。

  • 街路樹の躑躅も塩にやられて赤く枯れている。

    街路樹の躑躅も塩にやられて赤く枯れている。

  • しかし一方で、桜などは塩に打ち勝ち、今満開となっている。

    しかし一方で、桜などは塩に打ち勝ち、今満開となっている。

  • ここからは東海村は見えないが・・。ましてや福島など見え様がない。

    ここからは東海村は見えないが・・。ましてや福島など見え様がない。

  • しかし海上の道は意外と近い。フェリーで行けば、室蘭まで728キロ、苫小牧まで758キロ。・・大阪難波津へ行くのと同じくらいの距離か・・

    しかし海上の道は意外と近い。フェリーで行けば、室蘭まで728キロ、苫小牧まで758キロ。・・大阪難波津へ行くのと同じくらいの距離か・・

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