リーマンパッカーのベネズエラ9日間ひとり旅【6】プエルト・ラ・クルス編

2008/09/01 - 2008/09/09

秘境：人の訪れたことのない、まだ一般によく知られていない地域。[大辞林]

あえて辞書にそむいて矛盾した言葉を使うなら、「有名な秘境」。
それが、落差979mの世界最長の滝、エンジェル・フォールのあるギアナ高地だろう。

哀しきサラリーマン、夏休みが決まったのが1週間前。
東京から福岡に異動になり、初の夏休みである。
仕事諸々の関係で、9月の頭でという先輩たちの声に耳を傾け、ありがたくも素直に休むことにしたものの、この「秘境」に行くにしては準備期間があまりに短く、調べごとをする時間のないまま、出発と相成りました。


●プロローグ●
アメリカ経由で一番効率よく行くと、デンジャラスな都市、ベネズエラの首都・カラカスに夜着くのですが、さすがにいやだなぁと。
あえて、アメリカで余裕を持たせて朝着く便でカラカスに入りました。


●旅程●
9/1　福岡0710⇒0855成田（街へ）　1805⇒1120サンフランシスコ（街へ）　2050⇒
9/2　⇒0515マイアミ0720⇒1000カラカス1430⇒1600プエルト・オルダス　1630[バス]⇒1730シウダーボリーバル
9/3　エンジェルフォールツアー1日目（シウダーボリーバル～カナイマ～ラトン島）
9/4　エンジェルフォールツアー2日目（エンジェルフォール～カナイマ）
9/5　エンジェルフォールツアー3日目（アナトリー島～カナイマ～シウダーボリーバル）1700[バス]⇒2130プエルト・ラ・クルス
9/6　プエルト・ラ・クルスとその周辺
9/7　プエルト・ラ・クルス　0840[タクシー]⇒1320カラカス1705⇒2105マイアミ
（プエルト・ラ・クルスからカラカスまでに飛行機が満席で乗れず急遽タクシーで行くものの予定していたサンファン（プエルトリコ）行きの飛行機に乗り遅れ、マイアミ経由でニューヨークへ行くことにするという大ハプニング発生！！）
9/8　マイアミ0635⇒0929ニューヨーク/ラガーディア（街へ）ニューヨーク/JFK1330⇒
9/9　⇒1625成田1955⇒2150福岡


ＦＵＫ～ＮＲＴ～ＳＦＯ（帰りはＪＦＫ）はＪＡＬのマイルを使用。っていっても原油高の折、サーチャージとＴＡＸだけで約￥65000。ひえー。
地方都市からＪＡＬのマイルで海外に行くなら、東京までの航空券代もコミコミなのでかなりお得ですね。

ＳＦＯ～ＣＣＳ（カラカス）～ＪＦＫはアメリカン航空。ＡＡのＨＰから普通に購入しました。まぁ上述のとおり、結局片道しか使わず、カラカス～サンファン～ニューヨークは捨ててしまったカタチになりましたが…（涙）。

また、ベネズエラ国内線は6社くらいあります。しかし、ネットで予約が日本人にとってはわかりにくい上、非常に不親切でだらしないエアラインばかりですので、注意が必要です。私の場合は帰りがたまたま日曜日にはまってしまい、現地にて買えるだろうとタカをくくっていたら、Aserca、Aviorの両エアラインとも満席という不測の事態が発生してしまいました。。。


●レート●
公定レートはUS＄1＝￥108＝2.24VEF（Bolívar fuerte）ですが、基本は闇レートで、US＄1＝3.0-3.6VEF。

詳しくはクチコミへ。
http://4travel.jp/overseas/area/latin_america/venezuela/tips/each-general-10101547.html

2008年1月1日付で通貨切り下げがあり、「0」を3つ切りましたがまだ「20tousand」とか普通に言われます。かなり困惑しました。
ちなみにクレジットカードはほとんど使えませんが、公定レートです。


●マイル●
アメリカン航空はＪＡＬで貯めました。

エリア プエルト・ラ・クルス(ベネズエラ)

• 同行者: 一人旅
• 航空会社: アメリカン航空

バスターミナルから街中まで歩いて10分くらい。
ネオンが結構光ってて、週末だから過去の時間にしてかなりの人が歩いている。

あ、ここは安全な街だな、と直感し、すこしほっとしました。
夜の到着は緊張するよ、どこへ行っても。

さて、今夜の宿を、ってことでいくつかのホテルを飛び込みで当たる。
ちょっと良さそうなホテルは軒並み250-300Bs（＄80-100）。

ちょっと高いぞ、この街。

海沿いのメインどおりから一本中の道に入ったところにある中級ホテルは100Bs（＄30）くらい、だけど、満室お断り、と数箇所にいわれる。

結局、一番初めに入った上にお断りしたMI Hotelというホテルに。
水シャワー、ひとりなのにトリプルベッドで100Bs。

ま、いっか。

ここにする。

適当な中華屋さんに入ってみる。

あ、昼も中華だっけ。

メニューは見たけどまたスペイン語。
漢字メニューはやっぱり置いてない。


そのとき、隣のテーブルへ運ばれるものを見て、指差し注文。

で、出てきたのがこれ。

見たとおり期待をを裏切らぬおいしいフライドチキン。

中華屋だけあって皿だけ中華だけどね。
あ、味も、醤油系の下味がしっかりついてて、皮はパリパリ、中はジュースィーで◎。

あたりじゃん、ここも。

人が多いのでプラプラしてみることに。

警察もいっぱいいるし、軍隊も銃を持って歩いているから、なんだか安心。

街のメインストリートにはでっかい十字架、ネオン付き。


カナイマからの長い長い金曜日が終了。

シャワーを浴びて、ぐっすり。

おお、朝から空手ですか。

空手が出来ればキケンなカラカスでも役立ちますからね。



ということで、なんだかのんびりしてそうなこの街にもう１泊し、明日朝の飛行機で近くの町・バルセロナから直接カラカス空港に入ることにする。
わずか30分の空の旅、これなら安心。
我ながらグッドアイデア。



この判断が実は後で大変なことになることを、このときポゾはまだ知らなかったのであった。

クマナって町に行こうと地元の人の指示で待ってたら、確かに次から次へとバスが出る。

おっきいの、ちっこいの。


よりによってちっこいのに当たる。

天井が、かなりカツカツなんですけど。。。。


しかも、暑い。

おっきいバスに待ってでも乗ればよかったよ。。。

ちょっと郊外へ行ってみることに。

漁村とか市場とかジモティーのビーチとかあるらしい。

とりあえず昨日歩いたバスターミナルへ。

昼間に見るとこういう街だったんだ。

お店も結構あるし朝早くから活気付いてる。

そうとわかれば、今日１日どうするか、です。

ここ、プエルト･ラ･クルスは、カリブ海に面していて、ベネズエラの代表的なリゾート地、マルガリータ島にも船でアクセスが出来ます。

２〜４時間船に乗ってマルガリータ島に行くか、ってのもちょっと考えましたが、行ったらもうお昼過ぎ。

半日しか遊べないのももったいないかな、と思い、カリブ海クルーズは断念。

もう１日あれば絶対行ってたな。

9/6
いい天気。

朝の散歩をしながら考える。
いよいよ明日、ベネズエラを出国。
普通は出国前日に首都に行くのがいつもの旅。

とはいっても、今回はカラカスには行きたくない。

外務省のＨＰによると2008年９月現在、カラカスのセントロには、「渡航の是非を検討してください。」が出ております。

ちなみに2007年の殺人事件は、カラカス首都区で発生率は東京の100.4倍。また、強盗事件の発生率は東京の90倍らしいです。
ガクガクプルプルな数字です。

しかもエンジェルフォールツアーでたまたま同宿だったカラカス在住のおばさん曰く、「絶対にカラカスに来ちゃダメ！！ほんと危ないから。｣とのこと。
おいおい、あんた住んでんだろ、って感じですけど。。。

日本人は僕ひとり。

船を借り切って無人島に渡るツアーもあるらしい。

ひとりじゃちょっと、ねぇ。

カリブ海の幸。

ローカルビーチだけど、国内観光客も多いみたい。

青い空、海もきれい。
でも、イマイチきれいとはいえない砂浜。

案外大きい。

市場を過ぎると海に出る。

お、野生のペリカンすね。

バスに乗ること１時間。クマナだと思ったらサンタフェって町みたい。

クマナはさらに乗り換えして１時間なんだとか。

とりあえず、歩く。

メルカド（市場）サンタフェ。

海といえば、ビール。

ポラー。
２Bs（＝＄0.7）

ここは安いね。

他のレストランではだいたい2.7-3でした。
ま、他の物価を考えたらそれでも安いか。

おなかが空いたのですが、町に食堂っぽいものは見当たらず。

ってか、ここの人たちはみんなビール飲んでる。
男も女も。
でも酒の肴はない。


ツマミがある国、日本とは違うんだよな、この辺が。


まぁ時間もあることだしクマナまで行ってみっか。

ローカルバスはおんぼろ。。。

昨日の長距離バスはなんだったんでしょ。

と、いうことで、クマナまでやってきました！！

バス停横のフードコートっぽい食堂へ。

ある営業熱心なおばちゃんに誘われてお店に。

歩き方によるとクマナはイワシ漁が盛んらしい。

お、イワシのフライトビールなんていいねぇ、と思ってやってきました。

冷蔵庫を見せてもらったら･････

あれ？イワシがないじゃん。

なんだ。

ってことで、日本でもおなじみ、おいしそうな金目鯛に。日本人的には、魚の頭は左、尾は右、なのが常識ですが、ま、いっか。

魚の上にある丸いものは「アレパ」。
トウモロコシの粉を練って油で揚げた、パンみたいな食べ物。
エンジェルフォールツアーからよく出ました。

まぁおいしいかどうかは。。。

クマナでおなかはいっぱいになりましたが、町自体はたいしたことなさそう。。。

ちなみにこの町はスペイン人が南米で最初に築いた歴史ある街なのだそうです。

帰りのバスの車窓から、「車を直す人々」。
よく見る光景。

この辺いったいはモチーマ国立公園といって風光明媚な所として知られています。

ちょっと渋滞にもあいましたが、無事、プエルト･ラ･クルスに帰って来ました。

この日は土曜日。

例の十字架広場でなんだか賑々しくイベントやってました。

夕陽がきれい。

カリブ海に沈む夕陽。

ふとこっちを向いたら、きれいなお姉さんにペインティング中。

ってか、ニップレスだけじゃん。
でもあんまりエロくない。


どこの国でも変わった人はいるもんです。
みんな見てる。

この国の中華に自信を持った僕はさらに中華へ。

まぁアラブ系のシシカバブ、地元系のPOLLO（＝鶏）の類、あとはピザ、くらいしか選択肢がないんで、やはり中華、となるわけです。

ちなみに、POLLOって、「ポリョ」って読んだり、「ポジョ」って読んだりするんですけど、どこにってもあまりハズレないメニューです。

で、ここは、LOU MIEN(労麺)を注文。
こちらはいわゆる焼きそば。

ここもなかなかでした。

あと、春巻。
これはどこへ行って頼んでも、キャベツの千切りを巻いて揚げたもの。
なぜだ？
そんなにおいしくないし。

ひょっとして筍やらきくらげやらがはいった、とろみのある餡が入った日本の春巻が世界標準じゃないのかも。

9/7
5:00起床。

5：50
プエルト・ラ・クルスからタクシーで20分、バルセロナの空港へ。

僕のカラカス発アメリカン航空1738便サンファン（プエルトリコ）行きは13:55発。

バルセロナ⇒カラカスは日曜、朝3便あり、6:00、8:50、9:55。
ここまでは昨日ネットカフェで調査済み。
ネットで買うのは怖かったので、旅行代理店か航空会社のオフィスで買いたかったのだが、プエルト･ラ･クルスの旅行代理店は土曜日はお休みだったのです。

まぁ当日朝行っても一人くらい乗れるだろう。
6:00はさすがにないとして、残り2便を狙っていった。

6:20空港着。
8:50発のアセルカ航空（Aserca）のチケット窓口が開いていない。
まぁ、1時間前には開くだろう、と思ってもまだ開かない。

7:30
ようやくチェックインが始まった。
チケットオフィスはいつ開くのか？
アセルカの職員に聞くと、OK,OK,の連発。
英語は通じないけど、いいたいことはわかってもらえて、待て、の指示。

ひたすら待つ。

8:30
チェックイン終了。
え？チェックインカウンターを閉めちゃうの？
オレは、どうしろと？

英語の通じる旅行代理店の人が取り合ってくれた。
「もういっぱいみたいだよ。次の飛行機にしたら？」
おいおい、オレは2時間もここで待たされた挙句、満席だと？それなら最初から満席といえよ。怒りをぶちまけつつ、9:55のアビオール航空（Avior）のカウンターへ行く。なんとここも同じく「満席｣とのこと。

チーン。


おれは、きょう、日本に、帰えらなきゃ、いけないのだよーー。

訴えてもムダ。

予約してないし。

ひとりくらい、なんとかしてくれよーーーーー。

もしアセルカが最初から断っていれば俺はアビオールに行ったさ。まぁここも最初から満席だった可能性があるけどね。

あせるかの職員がへらへら笑っていたので日本語でまくし立てた。こういうときは日本語に限る。

まぁどうなるものでもないが。

で、さっきの英語の通じる旅行代理店のお兄ちゃんに
マジで相談。
それなら、カラカスまでタクシーで行くしかない！という。そうだろう。車で4時間の距離。バスだと5時間。今から行ったら間に合うもんな。

で、おいくら？

兄ちゃんとタクシードライバーに聞きに行く。

ちなみに飛行機は250Bs（＝＄80）。
なんと････500Bs（＝＄160）だという。

おれ、そんなにボリーバルもってないよーーー。
飛行機用と思って300Bsだけ持っていたのです。
大ピンチ。

空港のＡＴＭで公定レートでおろそうと思ったが動いてくれない。

やばい。

ドルでさえ、サンフランシスコで＄500おろしたのと、もともと持ってきたのが＄300くらいだけだ。
もうほとんどないじゃん、俺、お金。

タクシーの運ちゃんは500Bsからディスカウントしてくれる気配はない。
まぁ正当な運賃なんだろう。
行って帰ったら一日仕事だもんな。

心優しき兄ちゃんは、なんとか、僕をケアしてくれようとしてくれる。

「＄１＝4Bsだから･･･」と両替もしてくれる。

あれ？＄１＝4.0Bsがそれこそ正当な闇レートなん？
思わぬところで本当の闇レートを知ってしまったよ。。

とにかく、ありがとう、ありがとう。

タクシーは動き始めたのであった。


これで一件落着かと思いきや、更なる悲劇が私を待ち受けているのである。。

タクシーは飛ばしてくれてカラカスの街に。

4時間って言ってたけど、もう12:00。

ヤバい。

もう空港についていてもいい時間なのに。

さすが首都。

都会。

山にそって建つ家々。

時間がない。

運ちゃん曰く、13:00には着く。
ギリギリだが頑張る、とのこと。


それが、あろうことか、なんと、渋滞にはまってしまったのです！

カラカスの空港はカラカスの北30kmの海沿いにある。
つまり、海というと、カリブ海。カリブ海の日曜日というと、海水浴。

海に向かう車が高速を占領して空港に行きたい俺をさえぎるのです。。。

この頃にはもう諦めました。

もう、ない。

とにかくあしたのＮＹ発東京行きに間に合うようなんとかしよう。


渋滞を抜け、カラカス空港に着いたのが13:25。
一応出発前だし、ディレイしてるかもしれないし、と思ってアメリカン航空のカウンターへ走る。

残念そうな顔で、クローズ、とお姉さん。

だよなぁ。。。
30分前じゃ、ね。

で、おれはどうしてもNYに明日朝中に行かなくちゃいけないんです。

カタカタと端末を操作し、
「うーん、この後、17:00のマイアミ行きに乗って、あ、翌朝のＮＹ/ＪＦＫ行きに乗れば･･･あ、満席だわ」。って、おいおい。なんとか違う空港を経由してでもいいからいけないのか？

「あ、ＮＹ/ラガーディアならある！」
よし、これだ！！

おいくらですか？
1300Bsです。
あるわけねぇ。
クレジットカード使えますか？
はい、でも、公定レートです。
ご丁寧にありがとう。
でも、僕はお金の持ち合わせがないんよ。
それでもいいです。
ちなみにドル建てでおいくらですか？
＄550です。

はいはい、もう日本に帰ること優先です。
頑張って働きますよ。
ちなみに、このお値段、エンジェルフォールツアーのお値段と一緒。レートが3.2くらいだと＄400なのに。。。手持ちの現金が必要な国ですよ、ここは。

ってことで、憧れのカリブ海の島プエルト・リコにいくことのないまま、来た道を戻る形でマイアミへのチケットを手にしたのでした。

これで何はともあれ一安心。




と思ったら、まだ試練がのしかかってきたのです！！


なんと出国料が115Bs（＝＄40弱）もするではありませんか。
オレ、そんなにドル持ってねぇーーーー！！

大ピンチ。

＄10以上の紙幣は全部タクシー運賃に消えたので、＄5とか＄１とかしか持ってなかったのです。

しかし、今まで貯めていた小額紙幣は手元に50枚くらい。よく持ってたもんだ。

これで闇レートなら空港レートで＄１＝3.0Bs。助かったーっとおもったら、その辺の闇両替してくれる人たちに聞くと、なんと小額紙幣は2.5でしか替えられないというではありませんか。

数人に聞いても同じ答え。
あながちこれもホントっぽい。

ＡＴＭは相変わらず持っているすべてのカード（
VISA、MASTER、AMEX）動かない。
日本円も空港の両替所では替えられますが、異常なレート。1万円⇒170Bs。
なめてるだろー。

こうなればアメリカ人旅行客を探して＄１を＄20にしてもらおう。とアライバルのところへ行く。
旅行客とて、この困った日本人を信じてくれるだろうか？こんなときに日本人いたらなぁ。。誰もおらん。

そうこうしているうちに、闇両替のおじさんにつかまる。事情を話して、なんとかこれで出国税だけ両替してくれと頼むと、最初は2.5だ、といっていたものの、最後にはわかったよ。と渋々の返事。

ああ、これでようやく出国できるーーーー！！

感極まって涙が出そうでした。

長い長い１日。

ありがとうベネズエラ。
旅行しにくい国だったよーーー！！

こうして無事、マイアミへと旅立ったのでした。