香港旅行記(ブログ) 一覧に戻る
 アンリ・カルチェ・ブレッソンが撮った芸術家のポートレートの中でも、このマチスは秀逸だ。もうダンスする裸婦達にも興味を示さなくなった巨匠が鳥達の生命力の中に新たな視点を模索する一瞬を捉えていてHCBの傑作群の中でも、私のお気に入りの1枚だ。<br /><br />この写真を見るたびに、私は1970年代、香港の下町にあった、ある茶楼を思い出す。 それは九龍側の旺角 上海街にあった雲来茶楼という店だ。<br /><br /> <br />その店には朝早くから、鳥の愛好家が、鳥籠を持って集まった。1階の入口から、階段を昇る内に、鳥の鳴き声が高まり、3階に辿り着くと、大きな窓側の席に、鳥籠が7~80位吊されていて、朝飯を食べに来たのに、突然、動物園に彷徨い混んだような驚きを感じたものだった。<br /><br /><br />彼等は殆どが、おじいさん達で、お互い鳥の品評をしたり、餌を交換したり、また新聞をゆっくりと読んだりしながら、一つのお茶に1~2個の点心だけで、ゆったりと、朝の時間を愉しんでいた。 <br /><br />しかし、猛烈な都市開発の流れの中で、旺角から油麻地に数軒あった茶楼も、廃れていき、2003年に発生したSARSの猛威により、この美風は香港では消滅してしまった。 <br /><br /><br />その後、イェンポー街に、雀鳥花園というバード・ガーデンが出来て、東南アジアの珍しい鳥達も揃う眼にも鮮やかなマーケットが出来たのだが、朝の飲茶を摘みながら、鳥の鳴き声を愉しむという思い出は、数多くある、OLD HONG KONGの1ページとなっていた。<br /><br /><br />そんな事を、この正月に香港の友人のヤン君に話すと、新界の方に、鳥籠を持って人々が集まる茶楼があると云う。 それで、今回、御一緒した小疇さんを誘って、土曜日の朝に訪れてみた。<br /><br /> MTR&#33603;灣線の終点のチュンワンまで行き、そこから80番のミニバスで、20分位で辿り着く自然豊かな山村に、その店はあるという。 <br /><br /><br />バス停に降り立つと、&#33603;錦幻 一帯の深い緑が眼前に広がり、空気も水を澄んでいるのが実感される。尖沙咀の喧噪から僅か50分あまりで、こんな別世界に来られるので、香港も奧深いものだと思う。 なだらかなな坂に降りるうちに、だんだん鳥の鳴き声が聞こえて来て、目指す瑞記茶樓の看板が見えてきた。<br /><br /><br />到着したのは午前7:00位でしたが、店内はすでに9割方、満席で、あとからあとから自家用車で辿り着いた人が入って来る。<br />この店は、セルフサービスで、案内してくれる給仕もいないので、自分で先ず、席を確保します。  <br /><br />私達は先ず2階に行ってみました。そこは鳥籠のオンパレードで、みんな鳥籠に白い覆いをしています。 鳥の雑念を払う?のかなあ。<br /><br /><br />ここに座っていると、まるで鳥のオーケストラの真ん中でいるようですが、残念ながら満席だったので、1階に降りて、鳥達のアリアを間近で聴ける席を確保しました。<br /><br /><br />その次ぎに、給湯場に向かいます。 そこには、箱で区分けされて、3種の茶葉が詰まっています。 客は、そこから好きな茶葉を選び、スプーンで茶器に入れます、、おっと、その前に急須、茶碗、皿、箸をお湯で洗浄しておかなければなりません。 年配の人の所作を真似て、我々の分も清めてから、茶葉を入れ、熱湯を注ぎました。<br /><br /><br />ここは香港でも珍しく、水の美味しい土地で、天然水を沸騰させているので、普通の茶葉なのに他よりも、美味しい味わいです。 一服してから、いよいよ飲茶を取りに向かいます。<br /><br /> ここで供される品は、飲茶、焼肉・排骨、粥麺甘味ですが、、それに土日だけ、その天然水で豆腐花が作られるので、新鮮な一品を求めて土日は早朝から食いしん坊なお客が押し寄せます。<br /><br />厨房の側で待ち、蒸し終わったばかりの蒸籠を自分で取って、テーブルに運びます。チャーシュは部分や厚さを指定して切り、よそったご飯に乗せます。豆腐花は取り放題で、そこに蜂蜜を垂らして、デザートにします。<br /><br />簡素な食卓ですが、眼に染みいる緑の中で、鳥達のアリアを聴きながら、のんびり、かつ、マイペースで、広州の朝飯を愉しみました。 <br /><br />恐るべき香港 ! まだまだ奧が深いなあ、、<br />ズボンのベルトを緩めながら、お店を後にした我々でした。 <br /><br /> 

鳥の鳴く茶楼         香港・新界・川龍村

5いいね!

2009/03/19 - 2009/03/22

14109位(同エリア19688件中)

0

0

bloom3476

bloom3476さん

 アンリ・カルチェ・ブレッソンが撮った芸術家のポートレートの中でも、このマチスは秀逸だ。もうダンスする裸婦達にも興味を示さなくなった巨匠が鳥達の生命力の中に新たな視点を模索する一瞬を捉えていてHCBの傑作群の中でも、私のお気に入りの1枚だ。

この写真を見るたびに、私は1970年代、香港の下町にあった、ある茶楼を思い出す。 それは九龍側の旺角 上海街にあった雲来茶楼という店だ。

 
その店には朝早くから、鳥の愛好家が、鳥籠を持って集まった。1階の入口から、階段を昇る内に、鳥の鳴き声が高まり、3階に辿り着くと、大きな窓側の席に、鳥籠が7~80位吊されていて、朝飯を食べに来たのに、突然、動物園に彷徨い混んだような驚きを感じたものだった。


彼等は殆どが、おじいさん達で、お互い鳥の品評をしたり、餌を交換したり、また新聞をゆっくりと読んだりしながら、一つのお茶に1~2個の点心だけで、ゆったりと、朝の時間を愉しんでいた。 

しかし、猛烈な都市開発の流れの中で、旺角から油麻地に数軒あった茶楼も、廃れていき、2003年に発生したSARSの猛威により、この美風は香港では消滅してしまった。 


その後、イェンポー街に、雀鳥花園というバード・ガーデンが出来て、東南アジアの珍しい鳥達も揃う眼にも鮮やかなマーケットが出来たのだが、朝の飲茶を摘みながら、鳥の鳴き声を愉しむという思い出は、数多くある、OLD HONG KONGの1ページとなっていた。


そんな事を、この正月に香港の友人のヤン君に話すと、新界の方に、鳥籠を持って人々が集まる茶楼があると云う。 それで、今回、御一緒した小疇さんを誘って、土曜日の朝に訪れてみた。

 MTR荃灣線の終点のチュンワンまで行き、そこから80番のミニバスで、20分位で辿り着く自然豊かな山村に、その店はあるという。 


バス停に降り立つと、荃錦幻 一帯の深い緑が眼前に広がり、空気も水を澄んでいるのが実感される。尖沙咀の喧噪から僅か50分あまりで、こんな別世界に来られるので、香港も奧深いものだと思う。 なだらかなな坂に降りるうちに、だんだん鳥の鳴き声が聞こえて来て、目指す瑞記茶樓の看板が見えてきた。


到着したのは午前7:00位でしたが、店内はすでに9割方、満席で、あとからあとから自家用車で辿り着いた人が入って来る。
この店は、セルフサービスで、案内してくれる給仕もいないので、自分で先ず、席を確保します。  

私達は先ず2階に行ってみました。そこは鳥籠のオンパレードで、みんな鳥籠に白い覆いをしています。 鳥の雑念を払う?のかなあ。


ここに座っていると、まるで鳥のオーケストラの真ん中でいるようですが、残念ながら満席だったので、1階に降りて、鳥達のアリアを間近で聴ける席を確保しました。


その次ぎに、給湯場に向かいます。 そこには、箱で区分けされて、3種の茶葉が詰まっています。 客は、そこから好きな茶葉を選び、スプーンで茶器に入れます、、おっと、その前に急須、茶碗、皿、箸をお湯で洗浄しておかなければなりません。 年配の人の所作を真似て、我々の分も清めてから、茶葉を入れ、熱湯を注ぎました。


ここは香港でも珍しく、水の美味しい土地で、天然水を沸騰させているので、普通の茶葉なのに他よりも、美味しい味わいです。 一服してから、いよいよ飲茶を取りに向かいます。

 ここで供される品は、飲茶、焼肉・排骨、粥麺甘味ですが、、それに土日だけ、その天然水で豆腐花が作られるので、新鮮な一品を求めて土日は早朝から食いしん坊なお客が押し寄せます。

厨房の側で待ち、蒸し終わったばかりの蒸籠を自分で取って、テーブルに運びます。チャーシュは部分や厚さを指定して切り、よそったご飯に乗せます。豆腐花は取り放題で、そこに蜂蜜を垂らして、デザートにします。

簡素な食卓ですが、眼に染みいる緑の中で、鳥達のアリアを聴きながら、のんびり、かつ、マイペースで、広州の朝飯を愉しみました。 

恐るべき香港 ! まだまだ奧が深いなあ、、
ズボンのベルトを緩めながら、お店を後にした我々でした。 

 

同行者
友人
交通手段
鉄道
航空会社
JAL

PR

この旅行記のタグ

5いいね!

利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。 問題のある投稿を連絡する

コメントを投稿する前に

十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?

サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)

報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。

旅の計画・記録

マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?

香港で使うWi-Fiはレンタルしましたか?

フォートラベル GLOBAL WiFiなら
香港最安 293円/日~

  • 空港で受取・返却可能
  • お得なポイントがたまる

香港の料金プランを見る

フォートラベル公式LINE@

おすすめの旅行記や旬な旅行情報、お得なキャンペーン情報をお届けします!
QRコードが読み取れない場合はID「@4travel」で検索してください。

\その他の公式SNSはこちら/

PAGE TOP