2026/08/26 - 2026/08/28
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gyachung kangさん
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私、年に数本、山に登ります。へなちょこ登山者の身でありながら実は一年の山登りにはシーズン毎の山択びの原則、これがあります。まず梅雨明けまでは日帰り可能或いは足馴らしになる比較的低い山、がターゲット。9月以降は紅葉含めて秋の気配を感じられる山、がターゲット。んで、盛夏の頃。ここは標高が高くて歩行距離も長い技術的にも体力的にもタフなカテゴリーの山、これを択びます。
さて今年8月。山登りハイシーズン、今回のターゲットは塩見岳。南アルプスのど真ん中、山脈の要の位置に座る山であります。高さも歩行距離も申し分無し。持てる力を遠慮なくぶつけられる相手でありますが直前の雨雲急接近でなんだか危うい山行に。撤退も覚悟で南アルプスの深部に向かうことになりました。
- 旅行の満足度
- 4.5
- ホテル
- 4.0
- 交通
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 3万円 - 5万円
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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朝、新宿から特急あずさを利用して上諏訪駅で乗り継いでお昼前に着いたのはここ、JR飯田線の伊那大島駅。
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駅を出ると目の前に夏季限定一日ニ便のみで塩見岳へのアクセスポイントになる鳥倉登山口まで運行するバスの乗り場があった。この日は直前で天気予報が怪しくなって、そのせいかバス利用者は私の他には登山者1組のみだった。
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のどかな山里を抜けて山道に入ったバスは午後2時前に鳥倉登山口に到着。この時点で既に一山登って下りてきたくらいの心境であるが何も始まっちゃあいない。今から3時間かけて今日の目的地の山小屋までたどり着かなければならない。私の過去登山にない異例のレイトスタートになる。
ではいざ、お久しぶりの南アルプスへ。どんな山道でありますか、期待と不安が入り混じる。 -
今日の目的地は標高2615メートルの地点にある中継小屋となる三伏峠小屋。この三伏峠小屋までの経過表示のサインがある。これがあると登山者にとってはありがたい。最近は序盤戦で調子が出ないまま早バテするパターンが多い。この日は歩行速度を少し落として登っていく、そんなペース配分。
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うん、うん、序盤はまずまずの調子かも。真夏の猛暑で汗がしたたるような気温ではなく樹林帯に陽射しが差し込んでくる適度な気温感。
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1時間経過。三伏峠までまだ2時間かかる。なんせ登山としては原則やってはいけない遅い時間の入山なんで自然と気持ちは焦り気味。
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頼もしい階段が現れた笑
踏み抜かないように慎重にクリアする。 -
ロープ初登場。こういう場所はロープよりもまず両手を使ったほうがはるかに楽ちん。
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この樹林帯歩きがグッと南アルプスらしくなってきたような気がする
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文字通り道半ば。まだまだ全然油断できないよ~。
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塩見岳、登山道は歩きやすいほうだと思う。但し、木の根っこは多めである。しっかり脚を上げないと躓きからの転倒になるから要注意。
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真ん中の三本を信用するしかないねココ
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鉄階段の乱れ打ちが始まった。15ヶ所以上はあったかもしれない。
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花はなく代わりに苔むす山道。このへんが南アルプスらしさの一つだと思うんだけど。いや、これって私の勝手な決めつけなんですけどね。もちろん異論は満遍なく受けつけます笑
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ところところでハードルは出てくるが慎重に足場を選べば難儀ではない
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うし。射程圏!
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三伏峠小屋まであと200歩~
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ほぼ予定通り午後5時前に到着。よかったあ。大安堵。今日はここまでじゃあ。
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この三伏峠(さんぷくとうげ)、日本一標高が高い峠なんだそうで。私は全く知らなかった。この三伏峠と北アルプスの針の木峠、埼玉と山梨を結ぶ雁坂峠を日本三大峠と呼ぶらしい。まだ書き下ろしたばかりの手書きのウェルカムボード、登山者に対してねぎらいが溢れている。やさしいな。
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支払いは予約サイトでクレカ決済済み。チェックインが終わるとジャストタイミングで夕食になった。今回の行程は東京からの7時間移動+即3時間の山登りで昼食をとる暇が無い。小屋での夕食はいつにも増して有り難かった。
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部屋は大部屋式だった。連日天気予報が目まぐるしく入れ替わり、直前に晴れ予報が雨予報に変わってキャンセル多発、この日は30人前後の宿泊客になって寝る場所には余裕ができた。それはよかったんだけど。この三伏峠小屋からは塩見岳の姿を望むことはそもそも出来ない。何度チェックしても天気予報は好転しないまま毛布をかぶる。
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朝が来た
この三伏峠小屋、朝食はお弁当事前渡しシステム。前の晩に予め翌朝の朝食弁当を受け取り、早立ちする登山者は持って出発、5時以降に立つ登山者は食堂で食べてよし、味噌汁を出しますよ、というスタイルになっていた。私は弁当を持って食堂へ。起き抜けの味噌汁とあったかいお茶が欲しかった。 -
5時半、準備は整った。天気予報は概ね曇りで小雨有り。もうどうにもならん。必勝を期して塩見岳に向けて出発!
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三伏峠小屋にはテン場もあった。私は未だにテント泊には手をを出さない。テント道具を担いで山を登るなんてへなちょこ登山者には地獄の荒行である。
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今日も長い樹林帯になりそうだ。塩見岳の登山路は樹林帯の多さと全体距離の長さ。2日目にして第二宿泊地となる塩見小屋まで3時間半、そこから塩見岳山頂まで1時間20分かかる。この間に雨に捕まったら大惨事確定。それだけはヤダ。
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分岐だ 塩見岳は左か
この塩見岳、もう一つの特徴、てか注意点は登山者が少ないこと。とにかく少ない。ほとんど会わない。これ北アルプスや南アルプスのメジャーどころとの決定的な違いである。登山者が少ないということは負傷や道迷い、万一の場合のリスクがぐんと高まる。ルートの見誤りは絶対に回避しないと。 -
三伏山を越えて行く
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ここでこの登山初めて塩見岳の姿を捕らえた
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ズームすると雲に覆われて山頂は見えていない。が、鉄兜とも例えられる形とどっしりとした重量感がいい。山頂下のバットレスも大迫力。さすが3000メートル峰の貫禄充分である。
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このコース初めての尾根歩きに入る。右前方視界に塩見岳。
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再び樹林帯へ ピンクテープは命綱
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のぞき岩
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切れ落ちた断崖から中央アルプスの展望が広がっていた。雲がなければ木曽駒ケ岳も空木岳もハッキリわかるんでしょう。惜しい~
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展望が全くきかないこのあたりからアレ、ひょっとして道を間違えたんではないか?と不安になってくるほどの下り、そして登り返しのアップダウン地帯が延々と続く。この日のように陽射しが無くて薄暗いと精神的にもすり減ってくる。塩見岳に挑むならこのアップダウンは間違いなく耐えどころ。
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三伏峠小屋2615メートル→塩見小屋2766メートル、ってことは標高差150メートルしかない。なのに区間標準タイムは3時間20分。このタイム設定がアップダウンのキツさを物語る。こんなルートは経験したことないなあ。
気分が停滞してきた時にこの手彫りサインが登場。
小屋は、じきかやぁ いんねあと40分だに
ああ、つまり
小屋はすぐかなあ いやあと40分だよ
と言ってるんだよね。温かみがあると言えばその通りだが、こんなところで方言を使われても汗だくの登山者は戸惑うだけ。山の中のサインは簡潔明快が最優先、それしかない。私、ちょいとお怒りモード。お願いです。標準語に差し替えてくださいね。 -
やりました、想定時間内で待望の塩見小屋に到着!
もう今日はここまで。と言いたいとこなんだけど。本日のメインイベントがこのあとに待っている。まずチェックインを済ませて寝場所の確保、それが終わったら荷物を部屋にデポして山頂アタックとなります。 -
塩見小屋からは塩見岳を見ることができる。
見上げるとピークがあるが、ありゃ、もういっちょなんかあるぞ?ガスが巻いてきてようわからん。 -
秒刻みで瞬く間にガスが沸いてきた。
ピークはふたつ。わかった、手前が天狗岩、奥が本丸の塩見岳、だな。
問題は見ての通り、天気。途中で雨が降ってくる可能性は大、見送って明日の朝アタックをかける手もあるが天気予報は好転する兆しが無い。
おし。腹を決めてここで勝負をかけることにする。 -
繰り返しになるが入山者が極端に少ない塩見岳。周りを見渡してもこの時私の前後にチェックインした登山者はどうも2組しかいない。
誰か先に行ってくれる人おらんかなあ~ 様子を伺っていたが動く気配のあるお仲間は誰もいないようである。
意を決したものの、私、弱気。
塩見岳はこっちなのね、行ってきます泣 -
おお ここでやっと本丸への登山ルートが見えた。ただ、見えているのは前衛峰の天狗岩まで。その奥に待ち構えている塩見岳は未だ正体をハッキリと見せてくれない。私はつぶやいた。
Show me , 塩見岳!
ショウミー,しおみだけ!
シオミ~, シオミダケ!
大丈夫。君はまだちょっとだけ余裕がある。 -
余裕をかましてる場合ではない。
足場が見えているうちにどんどん高度を稼がないと。 -
え・のっけから岩だよ~
てっぺん周りが岩稜帯かと思いこんでた。なんてこった。 -
こりゃダメだ。ヘルメット出動!
-
一難超えたらすぐ一難がやってくる。
鳥海山の山頂下岩場は登り下りで50分。塩見岳は登り下りで2時間10分。岩稜帯の規模が違っていた。この期に及んで今更ながら長野県山岳グレーディング体力度7技術難易度Dの意味を理解した。単独峰評価ではあの奥穂高岳が7のC。つーことは塩見岳のほうが上になる。そういう山なんだな。しがみついて登りきる、それしかない。 -
お次は黄色マークを越えていく。高度感があるトラバース。
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鎖場も長い長い。鎖の張り付きに沿って進む。
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頂上の匂いがしてきたかも
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何一つ見えない中、塩見岳西峰に到達。
そして…… -
塩見岳のリアル山頂です。
東峰3052メートル、登頂。
何一つ見えないけどな~笑笑 -
日本百名山であり且つ3000メートル峰。これに該当する山は全13座しかない。その中で地味さランキングでは多分1,2を争うのがこの塩見岳。アピールポイントは“山頂から遮ぎるものがなく富士山が見える山” これであった。しかしながら頂上は全方位ガスのカーテン。富士山も他の山も何一つ拝むことは叶わなかった。まあ、これも山、悔しさ無し。登頂した達成感を越えるものは他に無いんだから。
私が山頂に着いた時、先行者が一人。山慣れした雰囲気の女性だった。泰然としたその姿はちょっと頼もしかったなあ。私もああなりたいものよ。 -
雨と雷だけには絶対に捕まっちゃあいけない。
全力で下山します。 -
11時過ぎ、塩見小屋に下りてきた。この天候、あの岩稜帯をよくぞご無事で。いつものように自らの健闘を称えて解放感に浸りきる。
さあお湯を沸かそう~ 今日の目標㊗️達成! -
小屋からたびたび塩見岳を眺めていたら奇跡的にガスが飛んでほんの僅かな時間だけ塩見岳のてっぺんが露わになった。手前の天狗岩、こいつを右サイドからトラバースして鞍部に下り奥の塩見岳に登ったということになる。うん。
日本百名山を選定した文筆家の深田恭子、あ、いや、深田久弥氏は塩見岳を称して鉄兜、と表現しているが、このアングルから拝むとなるほどなあと頷きたくなる。 -
夕食タイムは午後5時。塩見岳にアタックして一泊する人、今日宿泊して明日アタックする人が一同に会して食事。15人くらいかなあ。ランチョンマットが賑やかでメニューにロールキャベツとは。山小屋としてはなかなか珍しい。食後はひたすらまどろみの時間。明日の天気を案じながら宿泊者同士の和やかな山談義に。
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翌日
朝食を食べ終えてパッキングを済ませたら準備完了。5時半、下山を開始する。やっぱり今日も天候の好転は望めそうもない。下山路は真っ白けの中だった。 -
下山は登りの時とは周囲の見え方が全然違うからね。塩見小屋⇄三伏峠小屋みたいなメリハリの少ない樹林帯はピンクテープを黙々と追って行く。
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頭上も注意。頭、よくやっちゃうんだよね。
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この尾根を越えると
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そう、この登山ルートのオアシス三伏峠小屋に到達
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三伏峠小屋からは800メートルの下降になる。道中の唯一の水場ほとけの清水を経過する。
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あったあった。やらかさないように慎重に。
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ゴールテープ、あとひと踏ん張りです~
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最後のカーブを曲がると遂に開けた空間が待っていた。
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鳥倉登山口、戻って参りました。
この瞬間、いっぺんに全ての緊張から解放される。脱力する。この脱力がなんと晴れやかなことか。自分の踏ん張りが報われたってことなんだな。 -
私が登山口に下山した時、この場所には誰もいなかった。今から山に入っていく登山者もやって来ない。一日に2本しかないバスがやってくるまでたっぷり時間がある。雨の気配は消えていたので腰を下ろしリュックからバーナーを取り出してコーヒーを淹れた。
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時刻表の時間ピッタリにバスがやって来た。乗車したのは私の後に下山してきた男性が二人と私だけ。
塩見岳はツアー登山者無し、大人数グループ登山者無し、外国人登山者無し、クマの心配は無く、時たま鹿が現れて、南アルプスらしい長くて静かな山歩きと北アルプス級の核心部岩登りが同時に味わえる、思っていた以上に個性のあるお山でした。上高地や富士山だけがお山に非ず。賑わいとは無縁の塩見岳、私はこのままでいいと思う。登山者冥利に尽きる山、登ることができて実によかった 🙌
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