2026/06/27 - 2026/06/28
1605位(同エリア1848件中)
じゅりさん
癒しを求めて小田原の凛門を予約していた6月末。
ところが関東には台風7号と8号のダブル台風が接近中。藤原の効果も発動して全然台風が抜ける気配もなく、週末は相当な悪天候が予想されました。
宿からも「台風につき無料でキャンセルできますが…」と、わざわざ電話がかかってくる始末。
私も前日まで「これは無理なのでは…?」と思っていましたが、夫の「いけんじゃね?」という力強い言葉(?)に背中を押され、向かってみることにしました。
結果的にものすごくレアな体験になりました。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 4.0
- ホテル
- 5.0
- グルメ
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- レンタカー
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
都内から一路、小田原に向けて出発です。
さっそく東京タワーにかかる雲がやばい!!
台風接近中だけあって、上半分がすっぽり雲に飲み込まれています。宿に「これから向かうことにしました!」と電話したところ若干驚かれましたが、天気予報と道路状況をにらみつつ、慎重に車を走らせます(夫が)。 -
あっという間に海老名SAに到着です。
いつ来ても大賑わいの海老名ですが、この日は台風のせいかさくっと駐車でき、フードコート内の人も少なめ。そりゃこんな日にわざわざ遠出する人、あんまりいないですよね。 -
海老名SAに来ると必ず食べてしまう、えびえび焼きです。
たこ焼きの海老版みたいなもので、ぷりっとした海老とソース&マヨの組み合わせが安定のおいしさ。なんだかんだ毎回これを食べています。
他にも鯵の丸ごと唐揚げやカルビーキッチンの揚げたてピザポテトなど、定番スナックを制覇しました。 -
そして見慣れないハンバーガー屋さんを発見。
「100% HOMEMADE HAMBURGER」という看板がまぶしい、「JB’s TOKYO」というお店です。比較的最近できたのかな。
海老名SA限定らしいバーガーがあったので、こちらも食べてみることに。 -
出てきたバーガーはバンズではなく、厚切りのトーストで挟んである珍しいスタイル。
パティにチーズ、野菜、さらに大きなベーコンがどーん。ちょっと食べづらいけどパンもパティも素朴なおいしさで、豪快にかぶりつきました。 -
そして無事、江之浦リトリート凛門に到着!
東京から小田原って本当に近くて、高速を走っていると拍子抜けするくらいスパッと着きました。まずはこの大雨の中、何事もなく辿り着けたことにほっと一安心。 -
ロビーから見えるテラスです。
本来なら相模湾を一望できるのでしょうが、この日は雨と霧で一面真っ白。海がどこにあるのかも分かりません。
それがかえって幽玄で、「私たちはいったいどこに迷い込んでしまったのか…」という非日常感がものすごいです。 -
チェックイン後、雨景色を眺めながらウェルカムドリンクのバジルティーとニューサマーオレンジをいただきました。
そしてここで衝撃の事実が判明。この日の宿泊客は、私たち以外は全員キャンセルだそうでした。まさかの貸切状態です。
宿のスタッフの方は「今日は別荘だと思ってお使いください」と言ってくださいました。ありがたいけど急展開すぎるよ! -
今回のお部屋は「コーナークアッド」。
まず寝室からして広い!低く設えられた大きなベッドと間接照明で、落ち着いた和モダンな雰囲気。二人で泊まるには贅沢すぎる空間です。 -
そしてベッドルームの隣には、さらに畳スペースとリビングまで。
十分広いどころか、完全に持て余す広さですねえ。
しかも今日は館内そのものがほぼ貸切。雨音しか聞こえない静かな部屋にいると、本当にどこかの別荘へ籠もりに来たような気分になってきました。 -
こちら、ぱっと見では何だかわかりませんが、お部屋の空調設備。
一般的なエアコンのように風を直接吹きつけるのではなく、この部分を冷やしたり温めたりして、輻射熱で室温を調整する仕組みだそうです。風がないので部屋が乾燥しにくく、じわっと優しい空調。設備までずいぶん凝っています。 -
洗面スペースもすっきりとした和モダンなデザイン。
引き出しを開けると部屋着やアメニティがきれいに収まっていました。館内着とパジャマ、靴下なども質の良い織りで、気持ちいい手触りでした。 -
冷蔵庫にはお水のほか、緑茶とルイボスティーが用意されていました。
どちらもおいしくて、かなりの量があったので、瓶のミネラルウォーターの方は味わえずじまい。 -
凛門はこの年で開業5周年だそうで、お部屋には記念に作られたうちわが置かれていました。
「よろしければお持ち帰りください」とお声かけいただいたのでありがたく頂戴し、今でも家で普通に使っています。 -
そしていよいよ大浴場へ。凛門独自の「ルフロ湯治」に挑戦です。
本来ならお風呂は男女別ですし、当然こんな写真も撮れない場所なのですが、今日は何しろ館内には私たち二人だけ。
「ご夫婦でお好きなようにお使いください」とのことで、大浴場まで完全貸切です。
いやもう、たぶん二度とこんな機会ないでしょ!
雨音の向こうで湯気が漂う浴場を夫婦二人で独占する、なんとも現実離れした時間でした。 -
ルフロは、温泉成分をたっぷり含ませた蒸気がもうもうと満ちる室内で10~15分ほど横になり、その後クールダウン。また入って、また休んで…を何セットか繰り返す、岩盤浴にも似た独特の湯治スタイルです。
ルフロの休憩スペースには冷たい飲み物とタイマーが置かれていて、水分補給の備えも万全です。
実はこの日は仕事のことでかなり重たい課題を抱えていて、心の奥にずっと心配事が居座っていたのですが、温かな蒸気の中でゆっくり呼吸しているうちに、少しずつ肩の力が抜けていきました。これも湯治の力でしょうか。 -
お風呂のあとは、いよいよ夕食。相変わらずレストランも私たち二人だけです。
こちらは最初に出てきた地蛤の酒蒸し。
ひと口すすった瞬間、おおっと驚くほど貝の旨みを鮮烈に感じました。派手な味ではないのに舌の上にぐっと残る味わいで、続くお料理への期待が高まります。 -
続いて「恵饌」の3種。
手前は神奈川産の目鯛、真ん中が鯵の胡麻和え、奥が桜肉の風干しにウニをあしらったもの。
私は鯵の胡麻和えがとても気に入りました。魚の旨みに胡麻の風味が重なって、日本酒が進んじゃいますね。
夫は特に目鯛が気に入った様子。身の中に旨みがぎゅっと凝縮されていて、二人であれこれ感想を言いながらいただきました。 -
そして夕食の途中、ふと窓の外を見ると、あれほど降り続いていた雨がいつの間にか止んでいました。
雲の切れ間から夕陽が差し込んで、入江の向こうの小田原の街が淡い金色に光っています。数時間前まで海も空も白く煙って何も見えなかっただけに、場面転換がドラマチックで、思わず箸が止まってしまいました。 -
こちらはメニューには載っていない、料理長からの差し入れ。
もち米の上に、蒸したとうもろこしの組み合わせ。見た目はとても素朴なのですが、食べてみるとびっくり。とうもろこしももち米も、とにかく甘い!
余計なものをほとんど足さず、素材そのものの甘さだけで成立している、ある意味すごい一品です。凝った料理が続く中で、こういうものがさりげなく挟まるのもまた印象に残りますねえ。 -
お刺身はもちろん文句なしにおいしいのですが、意外なほど印象に残ったのが添えられた地野菜。
魚だけが主役という感じではなく、野菜ひとつひとつが瑞々しいし切り方も手が込んでいて、すべておいしくいただけます。調味料も醤油だけでなくポン酢や塩と、どれをつけるか迷ってしまいました。 -
またしてもメニューにはない、料理長からの差し入れ。今度は小さな巻き寿司です。差し入れ多いな!w
とはいえ一品一品が本当に小ぶりなので、お腹いっぱいで苦しくなる心配もなく、嬉しいおまけでした。
そして窓の向こうは、もうすっかり夜。昼間の嵐が嘘のように、江之浦の海が深い紺色へ沈んでいきます。 -
メインは足柄牛のすき煮。お肉がとろけます~。
お箸でほぐれるほど柔らかい牛肉に、にんにくの効いた濃厚なタレ。そして温泉卵を絡めると一気にまろやかに。終盤の満足感をぐっと高めてくれる一品です。 -
締めのごはんの盛り、こうして見ると本当に控えめです。
直前には、土鍋いっぱいに炊き上がったごはんをわざわざ見せに来てくださったのですが、そこから盛られたのはほんの少し。おそらく私たちの食べ進み具合をずっと見ながら、最後までおいしく食べきれる量に調整してくださっているのだと思います。
料理だけでなく、スタッフの方がお話していて本当に心地よくて、細かなところまでホスピタリティに満ちている宿だなあと感じました。
お腹いっぱいになって部屋へ戻り、この日はぐっすり休みました。 -
そして翌朝。昨日はいい感じに晴れて一安心!と思っていたのに、まさかの雨が復活です。
外の景色も再び雨で白く煙って、さっぱり見えなくなってしまいました。それでも濡れたテラスと霞んだ海を眺めていると、これはこれで江之浦らしい幽玄さがあります。 -
朝食も豪華!細長いお重に、焼き魚や野菜、ちょっとしたおかずが少しずつぎっしり。こういうちょっとずつ色々いただくスタイルが大好きです。
ひとつひとつつまんでいるうちに、朝からしっかり満腹になりました。 -
卵料理は好きなスタイルを選べるとのことで、私はだし巻き卵をお願いしました。
ふっくらぷるぷるで、箸を入れるとじゅわっと出汁がにじむ、良きだし巻きでした。
夫はスクランブルエッグを選択。それぞれ好きなものを作ってもらえるのもいいですね。
朝食の腹休めにもう一度ルフロを堪能して、いよいよチェックアウトです。
たった一晩だったはずなのに、嵐の中で館内を二人占めしていたせいか、ずいぶん長くここにいたような奇妙で強烈な感覚が残りました。 -
チェックアウト後は、凛門のすぐ隣にある江之浦測候所へ。
入口には「甘橘山」の大きな看板が掲げられています。
名前だけ聞くと気象観測施設のようですが、実際はそんな簡単な言葉では括れない場所でした。
ここから先、だんだんと「私はいったい何を見せられているんだ…?」の世界へ入っていきます。 -
雨に濡れた石畳の先に、古い門がぽつん。見どころのひとつ、明月門です。
江之浦測候所は、写真家・現代美術家の杉本博司氏が構想した施設で、ギャラリーだけでなく、庭園や門、茶室などさまざまな建築物が広大な敷地に点在しています。また、古代から近代までの建築遺構から集められたものも各所に配されています。 -
「写真家の施設なら、写真を見るところかな」と思って来たら、全然そんな単純な話ではなく、氏が全国から集めてきたもの、移築された建築物、土地そのものを使った作品が集結しています。
そしてそれぞれの由来を説明されてもなお「???」となる前衛的な空間。
江之浦測候所という場所自体が、ひとつの巨大な作品なのかもしれないと思いました。 -
暗い鉄骨の隧道の先に、ぽっかりと浮かびあがる海と空。
冬至光遥拝隧道という、冬至の朝に昇る太陽の光を遥拝するためのインスタレーションです。
この上にも登れるようになっていて、海に向かってせり出した鉄骨の上で、インバウンドのお客さんたちが楽しそうに自撮りしまくっていました。 -
庭の中に、突然にょーんと天へ伸びる謎の物体。
「数理模型0010 負の定曲率回転面」という作品だそうですが…
周囲には木々、その向こうには海。その真ん中に鎮座しているインスタレーションに、謎は深まるばかりです。 -
今度は真っ赤なお社が登場。
奈良の春日大社から分祀されたお社だそうです。ついさっきまで現代アートのような造形物を眺めていたところに、いきなりこの神域。
古代、近世、現代アート、建築、海、山。全部が同じ敷地に放り込まれているのに、不思議とひとつの世界として成立しています。
貸切状態だった昨夜の凛門からここまで、ずっと狐につままれたような非日常の中を歩いている気分でした。 -
そして江之浦測候所を後にして立ち寄ったのが、漁港の駅 TOTOCO小田原。
ショーケースいっぱいに、ホタテや魚のカマ、シイラまで海産物がてんこもりです。
つい数十分前まで「冬至の光とは…」「これは芸術なのか…?」などと考えていた脳が、猛烈な勢いで現世へ引き戻されます。
いやー、下界に帰ってきたという謎の安心感に包まれますね。
もちろんお土産もたっぷり買いました! -
2階には「小田原漁港 とと丸食堂」。
これまでの静謐な世界から一転、お客さんでいっぱいのにぎやかな食堂です。
こういう活気も小田原の海のもうひとつの顔ですね。ここで旅の締めに海鮮ランチをいただきます! -
左は夫が注文したアブラボウズとしらすの丼、右は私が頼んだなめろう丼です。
アブラボウズは生と炙りの2種が楽しめて、なめろうは卵をつけていただく珍しいスタイルです。
同じ小田原の魚を使った丼でも、まったく違う楽しみ方ができるのが面白いです。 -
そしてこちらが、お土産に買って帰った小田原漁港プリンです。
白いプリンの上に青いゼリー、その中を赤や紫のお魚が泳いでいます。かわいくて映えも抜群!
こうして振り返ると、こんな近場の小田原なのに、これ以上ないくらい非日常を満喫した二日間だったと思います。
家に帰りついてプリンをすくっていると、無事幽玄の世界から現世に戻ってきたのだなあ…と、しみじみ実感したのでした。
ちなみに頭を悩ませていた仕事は、旅の気分転換パワーで、週明けに無事切り抜けました!
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