2026/07/20 - 2026/07/20
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おくぅーんさん
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今年のカレンダーを見ると、夏には久しぶりのまとまった休みがある。「これは家でゴロゴロして終わらせるにはもったいない!」ということで、旅心がむくむくと目を覚ました。
候補地はいくつもあったものの、頭の中では毎日のように観光大臣、予算大臣、体力大臣による白熱した協議を開催。その結果、満場一致(異論はあった気もするが)で目的地は九州に決定したのであった。
やはり飛行機に乗ると、「さあ、旅が始まるぞ!」というスイッチがカチッと入る。その高揚感を存分に味わうには、九州くらいの距離がちょうどいい。
しかーし、九州は広いのでアール。
「あそこも行きたい」「ここも外せない」と欲張って予定を詰め込むと、気づけば観光より車に乗っている時間のほうが長くなり、「今回の旅の思い出は高速道路でした」なんてことにもなりかねない。
そこで今回は思い切って鹿児島県一本勝負。あちこち駆け回るのは潔くあきらめ、一か所一か所をじっくり味わう"腹八分目ならぬ、観光八分目作戦"を採用したのであった。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 5.0
- グルメ
- 5.0
- ショッピング
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- レンタカー JALグループ ANAグループ
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
【三日目】
指宿フェニックスホテルは、正直なところ建物の年季は少し感じられる。
しかし、そこはやはり指宿の温泉宿。
肝心の温泉については期待を裏切らず、お湯の肌触りはとても心地よく、「やっぱり温泉は建物の新しさだけでは語れないな」と改めて感じさせてくれた。
温泉でしっかり癒やされた翌朝は、まずは朝食へ。
朝食はバイキング形式。
旅先の朝食というものは不思議なもので、普段の朝よりもなぜか食欲が増してしまう。
「今日は移動もあるから、ほどほどにしておこう」と思っていたはずなのだが、目の前に並ぶ料理を見ると、そんな理性はあっという間にどこかへ消えてしまう。
気が付けば、お皿にはしっかり料理が盛られ、出発前からお腹は満員御礼状態。
とはいえ、旅先での朝食はこれも楽しみのひとつ。大満足でホテルを後にした。 -
そして、本日の最初の目的地である「長崎鼻」へ向けて出発する。
その道中、車窓からひときわ目を引く山が姿を現した。
「なんと綺麗な形をした山なんだろう」
まるで富士山を思わせるような、整った美しいシルエット。
そう、これが鹿児島を代表する名峰、「開聞岳」である。
さらに進んでいくと、途中には色鮮やかなお花畑が広がっていた。
これはもう、写真を撮らずにはいられない。
開聞岳だけでも十分に絵になるのに、そこへ花畑という最高の脇役まで登場。
「鹿児島さん、ここまで撮影条件を整えてくれるとはなかなかやりますな」と言いたくなるほどの絶好の景色である。
思わずシャッターを切った一枚は、自画自賛ではあるがなかなかの出来栄え。
もちろんプロの写真家には敵わないが、自分にとっては旅の思い出として十分すぎるほど満足できる一枚となったのであった。 -
長崎鼻の手前にある駐車場に車を停め、そこから数百メートル歩くと、いよいよ目的地が見えてきた。
その道中にはいくつかのお店が並んでいたのだが、そこで目に入った看板がなかなか個性的だった。
「夫婦喧嘩のため、本日臨時休業いたします」
……なかなか正直すぎる理由である。 -
さらに別のお店には、
「焼酎飲みすぎました。臨時休業」
という、これまた衝撃的な看板。
普通なら「都合により休業します」で済ませるところを、ここまで堂々と事情を公表する潔さには、思わずクスッとしてしまう。
「本当にそんな理由なのか?」
「それとも、お客さんを楽しませるための作戦なのか?」
真相は分からないが、少なくとも我々の足を止める効果は抜群であった。 -
そして、ほどなくして目に飛び込んできたのが龍宮神社。
真っ赤な社殿と白い壁のコントラストが美しく、青い海との組み合わせも相まって、とても印象的な雰囲気を醸し出していた。 -
さらに灯台へ向かう途中には、浦島太郎のモニュメントまで登場。
「なるほど……ここがあの竜宮伝説の舞台だったのか!」
と、ここで初めて知る我々。
いやいや、普通なら訪れる前に調べておくべきところである。
「観光地に着いてから歴史を知る」という、いつもの行き当たりばったり観光スタイルを今回も見事に発揮してしまった。
とはいえ、何も知らずに訪れたからこそ、「えっ、ここが竜宮伝説の場所だったの?」という嬉しい発見もあり、結果的には楽しさ倍増。 -
長崎鼻を後にして、次に向かったのは日本最南端のJR駅である「西大山駅」。
「日本最南端の駅」と聞くと、もっと人里離れた静かな場所で、ひっそりと佇んでいる駅を想像していた。
ところが、実際に到着してみると、その予想は見事に裏切られた。
確かに駅自体は無人駅。
ホームも小さく、のんびりとした雰囲気ではある。
しかし、そこにはなぜか観光客があちらこちらに。
「えっ?ここって電車を待っている人たち……ではないよね?」
と思ってしまうほど、皆さんカメラを片手に思い思いの場所で写真撮影を楽しんでいる。どうやらこの駅の魅力は、単に「日本最南端のJR駅」という肩書きだけではないようだ。 -
その最大の理由は、駅と一緒に雄大な開聞岳を写真に収めることができる絶景スポットだからである。
なるほど、この景色を見れば観光客が集まるのも納得。
小さな無人駅が、いつの間にか立派な観光名所になっているのだから面白い。 -
そして、もうひとつ印象的だったのが、駅前に設置されている黄色いポスト。
普段見慣れている赤いポストとは違い、このポストは鮮やかな黄色。遠くからでも「私はここですよ!」と全力で自己主張してくる存在感だ。
しかも、その後ろには堂々と開聞岳。まるで「主役は私です」と言いたげな黄色いポストと、「いや、主役は私だ」とどっしり構える開聞岳の共演は見事なもの。結果として、「ここで写真を撮らずに帰る人なんているの?」と観光客に無言の圧力をかけてくるような、絶妙なフォトスポットになっていた。 -
西大山駅を後にして、次はお腹を満たすためのランチタイム。
せっかく鹿児島まで来たのだから、ここならではの美味しいものを……と思い、いくつか飲食店を探してみた。
しかし、なかなか「ここだ!」と思えるお店に巡り合えない。
あれこれ迷っているうちに、気が付けばお昼ご飯探しのほうが、ちょっとした観光イベントになりかけていた。
そんな中、最終的に選んだのが**「らーめんのやまちゃん」**。
暖簾をくぐり、引き戸を開けると、そこには昔ながらの雰囲気が漂う、こぢんまりとしたお店が。
店内では、おばちゃんが一人で切り盛りしていた。 -
「これは注文してから料理が出てくるまで、少し時間がかかるかな」と思ったのだが、そんな心配は無用だった。
何を注文しようか迷い、おすすめを聞いてみると返ってきた答えは……
「ちゃんぽんがおすすめですよ」
……ん?
ちゃんぽん?
「ちゃんぽんといえば長崎では?」という素朴な疑問が頭をよぎる。
しかし、ここは鹿児島。
旅先では固定観念に縛られてはいけない。
「おすすめなら間違いないでしょう」と、素直にちゃんぽんを注文することにした。
一人で作っている様子だったので、少し待つ覚悟をしていたのだが、これがまた予想外。
思っていたよりも早く料理が登場し、「えっ、もうできたの?」とこちらが驚くほどの手際の良さ。
肝心のお味のほうもなかなかで、ほっとするような優しい味わい。
高級店のような特別感というより、「近所にあったらふらっと通いたくなる」そんな親しみやすさのあるお店だった。 -
もしこの近くに住んでいたら、間違いなく「今日のお昼、やまちゃん行く?」という会話が出ていたかもしれない。
旅先で偶然見つけた小さなお店。
こういう出会いもまた、旅行の楽しみのひとつなのである。 -
そして、本日のお宿である「手塚ryokan」には、予定どおりチェックイン開始時刻の少し前、午後2時50分に到着した。「今回は時間どおりだね」と少し得意げな気分で館内へ入ると、その気分はすぐに別の驚きへと変わる。
まず目に飛び込んできたのが、フロント前の空間。「ここ、本当に旅館ですか?」
と思わず聞きたくなるほど、洗練されたおしゃれな雰囲気が広がっている。 -
高級ホテルのラウンジのような落ち着いた空間に、到着早々のウェルカムドリンク。
「長旅、お疲れさまでした」と言われているようで、この時点ですでに心をつかまれてしまった。 -
チェックインを済ませ、いよいよ部屋へ。
ドアが開いた瞬間、思わず二人そろって声が漏れる。
「……なんじゃこりゃ!」
写真では「いい部屋そうだな」と思っていたが、実物はその予想を軽々と飛び越えてきた。
広々とした室内に、落ち着いた和モダンの雰囲気。
「こんな立派な部屋、本当に我々が泊まっていいんですか?」と、予約した本人でさえ少し遠慮したくなるほどである。 -
そして、とどめを刺したのが部屋付きの露天風呂。
好きな時間に、好きなだけ温泉を楽しめる。
「大浴場が混んでいないかな」などと心配する必要もなく、完全なるプライベート空間。
もう、この時点で「観光に出かけるのがもったいない」と思い始めてしまった。
これまでいろいろな温泉宿に泊まってきたつもりだったが、この部屋を目の当たりにして思った。
「鹿児島のレベル、高っ。」
いや、正確には……
「参りました。完敗です。」だれの何に対してかは定かではないが。
そんな言葉が自然と口をついて出るほど、期待をはるかに超える、贅沢な時間の始まりであった。 -
部屋の素晴らしさに感動したのも束の間。
温泉好きにとって、チェックイン後にまず向かう場所はひとつしかない。
部屋の探索でもない。
荷ほどきでもない。
ましてやベッドに寝転ぶことでもない。
まずは大浴場。これが温泉好きの、いや「温泉人」の鉄則なのである。
というわけで、荷物をひとまず置くと、吸い寄せられるように大浴場へ向かった。
そして、密かに期待していたことがあった。 -
「これだけの高級旅館なら、チェックインしてすぐに『何はともあれ風呂!』と突撃する人は、きっと少ないはず。」
その予想は見事に的中。大浴場に入ると、お客さんの姿はなく、湯船は完全貸し切り状態。
思わず心の中で小さくガッツポーズである。広々とした湯船に一人でゆったり浸かる贅沢。
「この温泉、今日は私のために用意してくれたのかな?」
……もちろん、そんなわけはないのだが、貸し切り状態になると、ついそんな勘違いまでしてしまう。
内風呂も露天風呂も隅々まで手入れが行き届いていて、とても清潔感がある。
湯に浸かりながら、「やっぱり少し奮発して正解だったなあ」としみじみ実感。
こうして、手塚ryokanでの最初の温泉は、静けさも贅沢さも独り占めという、これ以上ない最高のスタートとなったのであった。 -
温泉にゆったり浸かっていると、時間というものは実に不思議である。
気が付けばあっという間。
「もう少しだけ…」を何度繰り返したことか。しかし、温泉の神様もさすがに夕食の時間までは止めてくれない。
名残惜しく湯船をあとにし、いよいよ楽しみにしていた夕食会場へ向かった。
係の方に案内されたのは、照明がほどよく落とされた、とても落ち着いた空間。 -
店内は決して暗いわけではないのだが、料理だけがスポットライトを浴びているように美しく浮かび上がり、まるで一皿一皿が主役である。
「料理って、照明ひとつでこんなに美味しそうに見えるんだ。」
いや、正確には見えるだけではなく、本当に美味しい。目でも楽しみ、舌でも楽しむとは、まさにこういうことなのだろう。 -
もちろん、せっかくの料理である。ここは冷酒もいただこうということで注文してみた。すると運ばれてきたのは、冷酒の瓶が氷の中に美しく収められた一品。
「なるほど、その手があったか!」
飲み終わるまでしっかり冷えたまま楽しめるという、実に粋な演出である。
「さすが高級旅館。こういう細かいところまで抜かりがない。」 -
料理はもちろんのこと、その見せ方やお酒の楽しませ方まで含めて、おもてなしを味わっているような気分になった。
この日の夕食は、お腹を満たしたというより、五感すべてを満たしてもらった、そんな贅沢なひとときであった。 -
夕食後は、少し館内を散策しながらラウンジへ向かうことにした。
そこには、なんとも魅力的な光景が広がっていた。
なんと、いろいろな種類のお酒が「どうぞご自由に」と言わんばかりに並んでいるではないか。
焼酎に限らず、さまざまなお酒が用意されていて、まさにお酒好きには夢のような空間。
しかし、ここで一つ問題が。
普段なら「もう少しいただこうかな」と思うところだが、この日はすでに夕食時に美味しい料理と冷酒を楽しんだ後。
お腹も気持ちも、すでにかなり満足している状態である。
……なのに。
そこは悲しいかな、根っからの貧乏性。
「せっかく無料でいただけるのに、飲まないのはもったいない!」
という謎の使命感が頭をもたげる。
結果、飲める自信もないのに焼酎を二杯分、コップに注いで部屋へ持ち帰ることにした。
しかし、現実は甘くない。
一杯目はなんとか美味しくいただいたものの、二杯目に手を伸ばす頃には、体から「もう十分です」という無言のメッセージが発信されていた。
そして二杯目の焼酎はというと……
そのままテーブルの上に鎮座。
まるで「いつでも飲んでください」と待機しているかのような姿で、最後まで出番が訪れることはなかった。
そんな二杯目の焼酎を横目に、こちらは布団に入った瞬間、あっという間に夢の世界へ。
翌朝までぐっすり爆睡。
結局、無料のお酒を最大限楽しもうとした結果、一番楽しんだのは焼酎ではなく、快適な布団だったのかもしれない。
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