2026/07/07 - 2026/07/17
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おくぅーんさん
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今年のカレンダーを見ると、夏には久しぶりのまとまった休みがある。「これは家でゴロゴロして終わらせるにはもったいない!」ということで、旅心がむくむくと目を覚ました。
候補地はいくつもあったものの、頭の中では毎日のように観光大臣、予算大臣、体力大臣による白熱した協議を開催。その結果、満場一致(異論はあった気もするが)で目的地は九州に決定したのであった。
やはり飛行機に乗ると、「さあ、旅が始まるぞ!」というスイッチがカチッと入る。その高揚感を存分に味わうには、九州くらいの距離がちょうどいい。
しかーし、九州は広いのでアール。
「あそこも行きたい」「ここも外せない」と欲張って予定を詰め込むと、気づけば観光より車に乗っている時間のほうが長くなり、「今回の旅の思い出は高速道路でした」なんてことにもなりかねない。
そこで今回は思い切って鹿児島県一本勝負。あちこち駆け回るのは潔くあきらめ、一か所一か所をじっくり味わう"腹八分目ならぬ、観光八分目作戦"を採用したのであった。
そして宿泊先も、、財布の紐も今回くらいは緩めようということで、普段なら予約ボタンを押す指が「本当に押していいの?」と震えそうな豪華温泉旅館を選択。果たして、そのお値段に見合う感動が待っているのか、それともチェックアウト後には財布の中身まで露天風呂でさっぱり洗い流されてしまうのか──期待と少しの不安を胸に、旅は幕を開けた。
だけど、旅館で豪華にいくと決めた以上、どこかで帳尻を合わせなければならないんだよね。そして、その白羽の矢が立ったのが飛行機代である。
航空運賃というものは実に気まぐれで、曜日や時間帯、航空会社の組み合わせ次第で、まるで気分屋の株価のように上下する。「少しでも安く」を合言葉に、何日も検索を繰り返す姿は、旅行計画というよりデイトレーダーそのものであった。
その結果、当初は3泊4日の予定だったはずが、「この日に帰れば安い」「いや、一日延ばしたほうがもっと安い」という航空会社の巧みな誘惑にまんまと乗せられ、気が付けば4泊5日に増量。旅程を決めているのは私たちではなく、どうやら航空運賃のほうだったらしい。
さらに航空会社も、最初は往復ともANAで行く予定だった。しかし料金表を前に何度も作戦会議を重ねた結果、富山~羽田はANA、羽田~鹿児島はJALという"いいとこ取り"の組み合わせに決定。航空会社へのこだわりよりも、我が家の家計簿には逆らえなかったのだ。
こうして、「泊まるときは豪華に、飛ぶときは節約」という、実にメリハリの利いた旅行プランが完成した。旅館では少し贅沢をし、その分、飛行機代は知恵を絞って節約する──そんな我が家らしい作戦で、鹿児島への旅がいよいよ始まるのであった。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 5.0
- グルメ
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- レンタカー JALグループ ANAグループ
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
【一日目】
そして、いよいよ出発当日の朝を迎えた。朝一番の富山空港からの出発は、もはや慣れたもの。早起きも苦にならず、空港までの道のりも「いつものこと」といった感じで、余裕を持って到着した。
ただ、ひとつだけ気になることがあった。それは羽田での乗り継ぎである。
今回は富山~羽田はANA、羽田~鹿児島はJALという乗り継ぎパターン。となると心配なのがスーツケースの行方である。「羽田に着いたら一度荷物を引き取って、その足でJALのカウンターまで運んで預け直すという、ちょっとした荷物リレー大会をしなければならないのでは……」という不安が頭をよぎった。
できればスーツケースは、「私は鹿児島まで先に行って待っています」とばかりに、こちらの手を一切煩わせず目的地まで旅をしてもらいたいところである。
そんな淡い期待を胸に手続きをしてみると、なんと「そのまま鹿児島までお預かりできますよ」とのこと。
思わず心の中でガッツポーズ。スーツケースを抱えて羽田空港内を右往左往する羽目にならずに済んだ。旅の始まり早々、ひとつ心配事が解決したことで、気分もすっかり晴れやかに。
これであとは飛行機に乗るだけ。鹿児島への旅は、幸先の良いスタートを切ることができたのであった。
そして定刻どおり、ANA機は富山空港を飛び立ち、何事もなく羽田空港へ到着した。
……ここまでは完璧だった。
問題はその先である。
「さて、鹿児島行きのJALにはどうやって乗り継ぐんだ?」
これがさっぱりわからない。頭の中は「?」マークでいっぱいになり、一瞬プチパニック状態に。
とりあえず近くにいた空港スタッフらしき方に尋ねてみたものの、その方も「あれ?どうだったかな……」という雰囲気で、さらに別のスタッフへバトンタッチ。まるで乗り継ぎ案内までリレー方式である。
そこでようやく判明した。
到着したのは第二ターミナル(ANA)。そして鹿児島行きのJALが出発するのは第一ターミナル。つまり、一度第二ターミナルを出て、羽田空港内を巡回している無料連絡バスに乗り、第一ターミナルまで移動しなければならなかったのである。
考えてみれば当たり前の話なのだが、これまで羽田ではANAしか利用したことがなかった私の頭の中では、「羽田空港=ANAのターミナル」で完結していた。まさか羽田空港に三つもターミナルがあり、それぞれ役割が違うとは夢にも思っていなかったのである。
もし時間に余裕がなかったら、「鹿児島へ向かう前に、羽田空港で迷子になる」という、なんとも締まらない旅行のスタートになっていたかもしれない。危うく"羽田空港遭難記"の第一章が始まるところだったが、幸い乗り継ぎ時間には十分余裕があり、無事に第一ターミナルへ到着した。
「なるほど、JALに乗るときはこうするのか。」
鹿児島へ向かう前に、まず羽田空港のシステムを学習することになるとは思わなかった。まあ、旅にはこういう予定外の出来事がつきものだし、「経験値が1上がった」と思えば悪くない。
無事に第一ターミナルへ到着すると、思わず周りを見渡してしまった。
「えっ、本当にここも羽田空港?」
同じ羽田空港とは思えないほど雰囲気が違う。案内板も、お店の並びも、人の流れまでもが新鮮に映る。これまでANAしか利用してこなかった私にとっては、まるで初めて訪れる別の空港に迷い込んだような感覚だった。
「羽田空港って、こんな一面もあったんだ……。」
そんな小さな発見にひとり感心しているうちに、搭乗案内が始まった。今度はJAL機に乗り込み、ようやく鹿児島への本当のスタートである。
つい数十分前までは「本当に鹿児島へたどり着けるのか?」と少し不安になっていたが、今ではすっかり落ち着きを取り戻した。あとは座席に身を預け、機長さんとパイロットの腕前を信じるだけ。ようやく旅らしい旅が始まるのであった。 -
それから鹿児島空港には無事到着し、予約していた空港近くのレンタカーを借りた。
この日は午後3時には宿にチェックインしたかったため、あまり寄り道はできない。とはいえ、お腹だけは待ってくれないので、ホテルへ向かう途中にある「よし宗」でランチをとることにした。
ところが、平日にもかかわらず店の前には順番待ちの列。
「平日なのに!?」
さすが人気店である。待っているだけではもったいないので、少し周りを歩いてみると、目の前には霧島神宮の大きな鳥居がドーンと現れた。
「えっ、こんなところに霧島神宮!?」
……もちろん知っていた。
前回の鹿児島旅行では境内をしっかり参拝し、御朱印までいただいている。今回は「また来ましたよ」と鳥居に軽くごあいさつだけして、おとなしく店へ戻ることにした。 -
ほどなくして順番が回ってきて店内へ。
-
実は、うなぎといえば「愛知か静岡でしょ」というイメージしかなかったのだが、調べてみると、なんと全国一の生産量を誇るのは鹿児島県。
「これは期待せずにはいられない。」 -
というわけで、迷わず“うな丼”を注文。運ばれてきたうなぎを一口食べると、その柔らかさにびっくり。
「なるほど、鹿児島のうなぎ、おそるべし。」
人気店なのも納得。旅のスタートを飾るには、これ以上ないおいしい一杯だったのである。 -
実は、少し時間に余裕があれば、ランチの後にもう一度霧島神宮へ参拝しようかな……と密かに企んでいた。
前回の鹿児島旅行では、境内までしっかり歩いて参拝し、御朱印までいただいた思い出の場所。今回は「せっかく近くまで来たのだから、もう一度ごあいさつしておきたいな」という気持ちがあったのである。
ところが、まさかの人気うなぎ店での順番待ち。おいしいものを食べるためには多少の待ち時間は覚悟していたものの、まさか神社参拝の時間まで削られるとは……。
「うなぎを待つか、神様を待たせるか……。」
そんな究極の(?)選択を迫られた結果、今回はおいしいうなぎをいただけたことに感謝し、霧島神宮への再訪は次回のお楽しみにすることにした。
後ろ髪を引かれる思いで車を走らせ、本日の宿泊先である「おりはし旅館」へ向かう。 -
その後、予定どおり旅館へ到着。まずは受付前に車を停め、チェックインの手続きを済ませる。
いよいよ、今回の旅の大きな楽しみのひとつである温泉宿での時間が始まるのであった。 -
さて、次なる問題は「車はどこに停めるんだ?」である。
普通なら旅館の駐車場を探して、そこに車を停めるところなのだが、今回は勝手が違った。
旅館の方が「こちらです」と先導してくれるので、その後ろをゆっくりと車でついていく。すると、そこには想像していた“旅館”というよりも、まるで小さな集落のように、木々の中に離れの建物が何棟も建ち並んでいるではないか。
「えっ?ここ全部が旅館なの?」思わずそんな声が出そうになるほどの光景である。 -
そして、その中の一棟が今回私たちの宿泊する離れとのこと。さらに驚いたのは、その建物の目の前まで車を乗り入れて停められるということだった。
-
つまり、荷物を持って長い廊下を歩く必要もなければ、重たいスーツケースをゴロゴロ引きずる必要もない。まさに「部屋の玄関までマイカー直行便」である。
これまでいろいろな温泉宿に泊まってきたが、こんなスタイルは初めての経験。
「いや~、これはすごい。びっくらぎょうてんのすけとは、まさにこのことかもしれない。」
まだ部屋にも入っていないというのに、到着した時点ですでに「ここ、ただ者ではないぞ」という期待感がどんどん膨らんでいくのであった。 -
いよいよ部屋の中へ案内される。そして、ここでまたしても驚かされることになる。「えっ……これ、本当に旅館の部屋?」目の前に広がっていたのは、広々としていて清潔感あふれる空間。もはや「部屋」というより、「そのまま何泊でも生活できそうな家」である。
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あまりの快適さに「ここなら普通に暮らせるんじゃないか?」と思ってしまうほど。旅館というより、ちょっと贅沢な別荘に来たような感覚である。
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さらに嬉しいことに、部屋には専用の内湯に加えて露天風呂まで完備。
-
しかも、おまけのようについている水風呂まであるではないか。「これは温泉好きにはたまらないぞ。」好きな時間に、誰にも気兼ねなく温泉を楽しめるなんて、まさに最高の贅沢である。到着して早々、「ここを選んで大正解だったな」と、今回の旅への期待がますます高まるのであった。
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部屋付きの露天風呂も魅力的ではあるが、やはり温泉好きとしては、チェックイン後にひと息ついたらまず大浴場へ向かうのが“温泉人の鉄則”である。
-
というわけで、さっそく大浴場へ。
内湯には「あつ湯」と「ぬる湯」の2種類が用意されていた。季節的にも少しぬるめのほうが気持ちいいだろうと思い、まずはぬる湯へ入ってみる。
すると、これが予想以上に快適。
熱すぎず、ぬるすぎず、体にじんわりと染みわたる感じで、「これはいつまででも入っていられるぞ」と思ってしまうほどだった。
ただ、ここでひとつ問題が発生。
快適すぎて、今度は「いつ出ればいいのか」というタイミングが分からなくなってしまうのである。
熱い湯なら「そろそろ限界だな」と自然に出るきっかけがあるのだが、ぬる湯の場合は「あと少しだけ……」が永遠に続いてしまう。
温泉好きにとっては嬉しい悩みなのだが、気を抜くと湯船と一体化してしまいそうである。 -
そして、その流れで大露天風呂へ向かうのは、温泉人として当然の行動である。
-
広々とした露天風呂に浸かりながら、「やっぱり温泉はこれだな」としみじみ感じていると、なんとここには珍しくサウナまで付いているではないか。
「えっ、サウナって普通は内風呂側じゃないの?」
なんて思いながらも、せっかくなのでゆっくり汗を流すことにした。 -
そして、サウナといえば当然セットになるのが水風呂。
そこには、大きな亀のような形をした器から、静かに水が流れ続ける水風呂が待ち構えていた。
「これは……いきなり飛び込むのは無理だな。」
さすがに「どぼーん!」なんて勢いよく入る勇気はなく、まずは腰あたりまで。続いて腕をゆっくり入れ、少しずつ体を慣らしていく。
まるで冷たい水との“にらめっこ”である。
ところが不思議なもので、慣れてくるとこれがたまらなく気持ちいい。
最初は「冷たい、これは修行か?」と思っていたのが、いつの間にか「もう少し入っていたい」に変わってしまうのだから、水風呂の魅力は奥が深い。
「肩まで入ったのかって?」
その質問については……ノーコメントでお願いしたい。
そこは温泉人としての小さなプライドと、現実とのバランスを考えて、そっと秘密にしておくのであった。 -
温泉と冷泉を行ったり来たりしながら、ゆっくりと贅沢な時間を楽しんでいると、楽しい時間というものは本当に早く過ぎていく。「まだもう少し入っていたいな」と思っていたのも束の間、気が付けば夕食の時間を迎えていた。
夕食は本宅にある個室を用意していただき、落ち着いた雰囲気の中でいただくことになった。
料理への期待はもちろんあったのだが、それ以上に印象に残ったのは、従業員の皆さんの温かい接し方だった。
案内してくださる方も、料理を運んでくださる方も、皆さんとても丁寧で、何気ない会話の中にも優しさが感じられる。「やっぱり、いい宿というのは料理や温泉だけではなく、人のおもてなしなんだな。」そんなことを思いながら、すっかり心地よい気分になっていた。 -
夕食はどの料理も美味しく、大満足。温泉宿に泊まったら、まずは恒例となっている「地元の冷酒」で乾杯である。
しかも今回は、冷酒が冷えた徳利に移されて運ばれてきた。こんな粋な演出は初めてだ。中には市販の瓶のまま「どうぞ」と出てくることも珍しくないだけに、このひと手間が何とも嬉しい。こういう気遣いができる宿は、それだけでポイントが高い。さらに、「せっかく鹿児島まで来たのだから」と、今度は焼酎にも手を伸ばす。冷酒に焼酎とくれば気分もすっかり上々。旅先では「今日は特別」という便利な言い訳があるので、お酒もついつい進んでしまう。 -
料理は最後の一品まできれいに完食。量は多すぎず、かといって物足りなさもない。満腹なのに苦しくないという、なかなか出会えない絶妙なボリュームである。
おかげで食後も動けないほど満腹になることはなく、ぬる湯、露天風呂、そして部屋付きのお風呂までしっかりと湯めぐりを満喫。「食べて終わり」ではなく、「食べてからもうひと楽しみ」ができる、理想的な夕食だった。
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