2025/05/03 - 2025/05/05
7460位(同エリア20554件中)
ヒデールさん
香港に騎楼型民家の集落があることを最近になって知った。
※ 騎楼とは道路に面した建物の1階部分がアーケードのように吹き抜けになってる箇所及びその建物が連なる状態を差します。
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香港滞在1日目 午後12:30. 新田郷から小巴に乗り竹園村で下車。
目的地はこの村ではなく、お隣の新圍村。 -
新圍村は1988年に高速道路の新田公路(写真)が建設され東側の上新圍村と道路を挟んだ西側の下新圍村に分かれることになった。
今回ワタシが目指すのは騎楼型家屋が何軒も残る上新圍村の方。
なので歩道橋を渡り新田公路の東側へ向かう。 -
歩道橋から眺める感じだと香港の郊外ならどこにでもありそうな普通の村に見える。
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新田公路と並走するように延びる青山公路を6分ほど歩くと左手に周りの家屋とは明らかに異質な年季の入った建物が見えた。
おおぉ~
ここが新圍村87番地のお宅だ。
NETで見てたより実物は騎楼の存在感が強い。
煤にまみれ色褪せ荒れてはいるがアーケードテラスのデザインや山花の彫刻が威厳に満ちていて格好いい。 -
緑の小壁と山花の稲穂の彫刻が目を引く。
ファサードもいい。
香港三級歴史建築のカテゴリー。 -
1911年の辛亥革命で清朝が滅び新たに誕生した中華民国の政策の一環として、近代的都市建設計画を謳い華南地方の都市部に騎楼を建設したことがきっかけで騎楼は一気に広まったそうだ。
その波は形を変えここ新圍村にもやって来る。
1920年~1930年代、主に広東省台山の出身者が挙って新圍村や逢吉郷などで土地を買い当時の流行だった騎楼を用いた民家を建設したそうだ。
この87番地も先祖が台山出身という楊雲龍氏が建てたそう。
1980年代後半まで楊氏の息子が住んでいたが転居したため以降は空き家となってる。 -
87番地は現存する新圍村の騎楼型家屋では最も古く1920年頃に建てられている。
てことは築100年以上だ。
ただ管理する人がいなければ朽ちていくのは早いだろう... -
村内の路地を南東の方角へ歩く…
目指すところが観光スポットじゃないので情報が乏しい。
5分後、そんな中でも迷うことなく71番地に辿り着いた。
ただ綺麗にリノベーションしたのはわかるが個人的にはがっかり。
感性の問題だからしょうがないけど。 -
家主はアピールが上手い。
門のところに歴史的建造物であることを誇らしげに主張する立派なプレートが設置されてる。
こちらも建てたのは台山出身の白氏。
1937年の建築で1988年以降空き家だったが近年リノベーションを施し住まれてるそうだ。
香港三級歴史建築と記されてる。 -
お隣の72番地の方が味がある。
ただ郵便受けが香港特有のブリキじゃないのは違和感があるけど。 -
近くにあった70番地のお宅は、以前は騎楼型家屋だったが跡形もないほど現代の建物に生まれ変わってる。
時代と共に形が変わるのも当然の流れだ。
それにしても玄関に置かれた獅子像はまるでシーサー。
瞬時に沖縄を思い出したが、大陸から沖縄へ伝わっていったことを思えば香港にあっても不思議ではないが、一般の住宅で目にするのは珍しい。 -
最初に見た87番地の方へ戻る。
87番地から少し北へ向かったところに35番地36番地の騎楼型家屋がある。
うん、これは保存状態が良さそうだ。 -
ファサードはこんな感じ。
山花には建てた年数を表す1932の数字が辛うじて残ってる。
手前の塀は昔からある物ではなさそうだ。
87番地や71番地の家屋との大きな違いは騎楼の2階がバルコニーではなく屋内になってる点。 -
騎楼の1階のポーチ部分は新しく修復されてる。
モノトーンで統一されてるので変な違和感がない。
2階は既に封鎖されてるそうだが1階は現役だ。
やはり住人の有無によって保存状態には大きな差が出るね。 -
こちらの家屋もまた台山出身者でアメリカへ渡った李延子氏が1932年に香港へ戻り、二人の息子のために建てたそう。
香港三級歴史建築のカテゴリーだ。 -
村内の路地を東へ向かう。
この辺りは宅地が少なく草むらが広がってる。 -
4分ほど歩いたところで50番地と51番地に着いた。
この二軒は笑えるくらい似てる。
まるで双子だ
ただ同時期に建てられたものではなく左手の50番地は1939年。
右手の51番地は1931年。 -
二軒とも騎楼の箇所を改装してるのでファサード上は築年数ほど古くは見えない。
やはり騎楼の部分は屋外のためどうしても傷みが早くなるようだ。 -
51番地を横から見るとわかりやすい。
もはや騎楼と母屋は別ものでしょ。
「取って付けたような」て表現がぴったりくる。 -
母屋や隣にある平屋の離れを見ると築94年も頷ける。
こちらの家屋は朱さんという方が建て、今でもその子孫が住んでるそうだ。
隣の50番地とこちらの51番地はどちらも香港三級歴史建築のカテゴリー。 -
残念な話がひとつある。
数少ない資料によると51番地の家屋は日本統治時代(1941年~1945年)に日本人に占拠され家具は全て撤去されたそうだ。
朱一家は村内の61番地に隠れてたらしい。
この事は日本に帰ってから知った。
自分が目の前で見た一般人の民家がそんな被害に遭っていたとは…
真実なら ちょっとショックだ。 -
51番地の東側付近にはあと2軒騎楼型家屋が残ってる、と言っても空き家だが。
その内の1つが57番地の家屋。
ただアクセス出来る道が閉鎖されていてこれ以上近づけない。
ここは凝った騎楼の造りが評価され、この村で唯一の香港二級歴史建築に分類されてる。
そんな貴重な家屋が廃墟と化していくのは残念でならない。 -
57番地の更に奥には61番地の騎楼型家屋がある。
ここも家屋へ繋がる道が失くなっていて、ここから眺めるだけだ。
他にも別のルートがあるのかもしれないが深追いはしない。
57番地はアメリカへ渡った華僑 ウォン・リー・ハン氏によって1931年に建てられたが、何らかのトラブルにより2008年に火葬会社に買収され住人は強制退去という憂き目に遭ってる。
人生いろいろだ。 -
ワタシの傍で道路を掃いてる婆さんがいたので広東語で話しかけてみた。
ワタシは日本人旅行者で香港の古民家や古廟に興味があるんです、て。
ただ反応がいまいちだった…
この時は自分の広東語の能力の低さが理由なんだろうと余り気にしてなかったが、後から思えば日本人に対する印象が良くなかったせいかもしれない。 -
次は村の北部へ向かう…
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細い路地の右手に煉瓦造りの古民家がある。
恐らくここは40番地と思われる。
騎楼型ではないが歴史を感じる建物は好きだ。 -
村内には廃墟がちらほらある。
こういう朽ち果てた姿を見る度に住人がいた時代の姿も見たかったと思う。 -
近くに古井戸の跡があった。
嘗ては村人の生活を支えたであろう大事な水源がここにはあった。 -
数少ない情報を元に村内の騎楼型家屋を求め歩いてみたが61番地以降は見つけることが出来なかった。
村内に残る古民家は既に空き家や廃墟が多く、時代が過ぎ去ったことを痛感する。
廟堂と違い所有者が一個人の場合は潤沢な資産でもない限りは古い建物を維持するのは難しいだろう。 -
日頃の運動不足とこの暑さでバテてきた…
ぼちぼち退散することにしよう。 -
新田公路の東側の下新圍村にも古民家が数軒残ってるらしいがもう充分だ。
騎楼型家屋は碉楼(望楼とも呼ばれ広東省開平の世界遺産が有名)のミニチュア版的な雰囲気もあって自分は気に入ってる。
この新圍村のことは香港へ来る10日ほど前に知ったばかりで余り情報を持たずに来たが、そもそも観光地でもないこの村に関する情報自体ほとんどないようだ。
なので歩いてみてわかったことがたくさんあったので まとめます。
村の散策時間は50分。
主な見どころは35番地36番地、87番地、50番地、51番地。
路地はどこも狭いが舗装されていてキレイ。
狭いため車が通らないので安全。
アップダウンはほとんどない。
一部マンションは立入り禁止エリアがある。
番犬はいない(遭遇してないし遠吠えも聞いてない)
村人も余り遭遇しない(笑)
コンビニなし。
バス停は村の入り口にある「新圍村」
※ 注意点
この地区に限ったことではないかもしれないが住民感情として日本統治時代の影響が残っているかもしれない点。
あとは一般の方が暮らす場所なので住人の方に配慮した散策をお勧めします。 -
午後1:33. 新圍村のバス停から小巴に乗車。
待ち時間は5分ほど。
シートに座るなり頭上にあるクーラーの通風口を調節し涼しい風を浴びる…
ふー -
午後1:37. 元朗の YOHO Mix前に到着。
早い!
新圍村から僅か4分で着いた。
途中1~2カ所停まったけど、道路がいいからなんだろうね。 -
腹は減ってないがどこかで休憩したい…
YOHO Mixの中にあるTommy Yummyて店でパッションフルーツのドリンクをオーダーする。
店内が混んでたので店先でオーダーして(ワタシの前にいた客もそうしてたので)から店の中で飲もうとしたらスタッフから「ドリンクのオーダーだけだと店内食は出来ません、持ち帰りのみです」と言われる。
そんなルール 日本人は知りませんよ、て感じだがしょうがない。 -
近くにテラスへ出るドアがあった。
32℃もある中、誰もテラスで食事を取らないので貸し切り状態。
日陰は風も吹いててかなり快適。
店内食よりも逆にこっちの方が良かった。 -
午後2:15. 今から葵涌のホテルへ向かえばちょうどチェックインの時間になる。
部屋で少し休もう。
元朗站からMTRに乗り荃灣西站へ移動する。 -
荃灣西站からはバスに乗り替え葵涌へ移動。
途中窓の外に20年前に宿泊した懐かしのパンダホテルが見えた。
さぁ もう時期ホテルだ。
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