2024/10/12 - 2024/10/12
109位(同エリア311件中)
さるおさん
10軒程の温泉宿が並ぶ山間の小さな温泉郷「銀山温泉」。その素朴な風情が人気と聞き、かねてより一度訪れたいと思っていた。念願叶って訪れた昔懐かしい温泉はは思った以上に小さな温泉郷でした。
御宿:昭和館
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山形空港、手荷物受取所から到着ロビーに出ようとして、"一回出ると、もう入れませんよ"と係員に止められる。軽く"は~い"と返事して、そのまま出ようとしたら、また止められた。"だから、一回出ると、もう入れないんだって"と今度は強い口調。さすがに私も今度は係員の目をまっすぐに見ながら答えたよ、"判ってる!"。あれか、手提げ袋一つ持って飛行機から降りてきたから、荷物取り忘れてるって思われたのか。自慢じゃないけど、私ゃ、荷物の少ない女なんだよ。一泊旅行なら手提げ袋で充分。
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山形空港から銀山温泉までは「おいしい山形空港観光ライナー」という乗合タクシーを利用(要予約)。予約不要のシャトルバスもあったけど、万が一飛行機が遅れてバスに乗れなかったら怖いので。銀山温泉、空港から遠くはないが、公共交通機関で行くには厳しい場所。午後の便だったし、バスに乗り遅れて自力で行くとなると到着が19時近くになっちまう。予約制なら、飛行機が遅れても待っててくれるでしょ。石橋は叩いて渡る慎重派です。
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乗合タクシーだけど利用者は私一人。運転手さんは礼儀正しいが無口な方だった。私も無口。おかげで約一時間の道中、社内はとても静か(笑)。「白銀橋」まで送っていただく。そこから先、銀山温泉は車の乗り入れ不可。
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タクシーから見た第一印象、"人が多い"。銀山温泉は川を挟んで温泉宿が並んでいる。両脇の歩道は幅も狭く車も走れない。その狭い道が多くの観光客で溢れていた。ついに一時間の沈黙を破り、私が運転手さんに声をかけた。"観光客が多いですね"。運転手さんの説明では、それでも今日は少ない方でコロナの時はもっと多かったとのこと。12月から入場制限を掛けるらしい。
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最後に、運転手さんは宿までの道順を親切に教えてくれた。お礼を言ってタクシーを降りる。改めて温泉街を見渡してみる。思った以上に小さな温泉街。やっぱり人口密度は高い。
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銀山温泉は昭和の初めの洋風木造建築が多く、その微妙に和と洋が混ざり合った感じがレトロと人気の旅館が多い。鏝絵で有名な「古山閣」さんも人気旅館の一つ。
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鏝絵…漆喰を用いて作られるレリーフ。左官職人が鏝(左官ごて)で仕上げていくことから名がついた。
この鏝絵を見るのも楽しみだった。各旅館で沢山飾ってあるのかと思ったが、多く飾ってあったのは「古山閣」さんぐらいだった。 -
「古山閣」さんの鏝絵は十二月の行事が描かれており、その題材も興味深い。10月は稲刈りと紅葉、11月は七五三。
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「古勢起屋別館」
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「本館古勢起屋」
窓に映る山の緑が美しい。 -
「能登屋別館」
4階の望楼が目を引く建物は国の登録有形文化財。 -
「能登屋別館」入り口の鏝絵。富士山に松に宝船、御目出度い物尽くし。
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この鏝絵、大きく職人の名前が刻まれているのかと思ったら、木戸佐左エ門さんて鏝絵の職人さんじゃなくて銀山開拓に貢献された方でした。
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「千と千尋の神隠し」のモデルにもなったと言われる「能登屋別館」。素敵なたたずまいだが、それにしても「千と千尋の神隠し」モデル説多すぎ。
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こちらが、今夜お世話になる「昭和館」さん。温泉街の中ほどにあります。銀山温泉は一人客は受け付けておらず、特に私のように平日に休みと取れない人間が一人で宿泊するのは至難の業。そんな中、土日でも一人客を受け入れてくれたのが「昭和館」さんでした。
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最近、一人客用のお部屋をリニューアルされたようですね。正直、最初は銀山温泉でベッドの部屋なんて風情がないと期待していませんでした。実際お部屋に入ってみると、きれいにお掃除されており、そのミニマムさがむしろ心地良かったです。ただし(写真には写ってませんが)冷蔵庫が赤色で、そこは少々たじろぎましたが・・・。
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とりあえず、部屋に荷物を置いて「白銀の滝」まて行ってみました。銀山川の水はきれいです。
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御宿に帰って夕食。前菜に"そばがき""柿の白和え"など。お料理は全部美味しかった。ここ何軒か訪問した旅館の中で一番かもしれない。私の口に合ったのだと思います。
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お味は良かったのですが、一つ難点が。
広間にいくつかのテーブルが置いてあって、そこで頂くのですが、一人客のテーブルが三つ横並びにセッティングされていました。衝立はありません。テーブルとテーブルのスペースは狭く十分話掛けられる距離。隣の方との距離がなんとも微妙でした。
写真:山形牛陶板焼き -
夕食は3人とも同時間のスタートでした。横に並ばされた大人三人。私は三人席の真ん中。両隣は男性の方でしたが多分私が一番年上。ここは年長の私がリードして話しかけるべきなのかどうかすごく悩みました。ホントなら、のんびり美食に舌鼓を打つ時間なのに変な緊張感を感じました。
写真:洋梨のグラタン -
でもね、一人旅の人って微妙じゃないですか。中には話しかけられたくない人も居るだろうし。"だから一人で来てんだよッ"っていうタイプ。"ゆっくり食事させろや"って思う人。この両脇の方々が、どういうタイプかわからないし。で、さるおの出した結論、"話かけたきゃ相手から話掛けてくるでしょ"。話かけられれば笑顔で受け答えをすればよいのです。そう結論づけてしまえば迷うことなし。美味しいお料理を楽しみます。結局、最後までどちらからも話しかけられることはありませんでした。もしかしたら私一人が勝手に気を揉んだだけかもしれません(笑)。
写真:山形名物芋煮汁 -
昭和館さんのお風呂は二つ。最上階にある展望風呂(男女交替制)と二階にある内風呂です。どちらも源泉かけ流し。二つとも左程大きな湯舟ではないので、混んでたらイヤだなと心配していましたが、両方とも、略独泉状態で楽しめました。
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館内にはおかみさんが作られたという民芸品で溢れていました。販売もしているそうですよ。
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ガス灯がともり始める夜の銀山温泉。このガス灯が"大正ロマン"と言われる由縁でもある。
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夜景が人気と聞いて煌びやかな灯りを想像していたけど、もっともっと素朴な感じ。それがまた魅力。この夜の風景が見たくて、わざわざ高い宿泊料を払って銀山温泉に宿を取ったのだ。ゆっくりと散策。
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<銀山温泉の歴史>
江戸時代初期、「延沢銀山」が大銀山として栄える。明治に入り延沢銀山は衰退。人口は激減したが、世間とは遮断された仙境で人々は湯治客相手の湯端宿屋などを行って生活していた。ところが、大正2年銀山川の大洪水でほとんどの温泉宿が流されてしまう。その後は温泉の湧出量が少なく、川水が進入し温度も低かったので温泉としては繁栄しなかった。 -
昭和元年に源泉のボーリングで高温多量の湯が湧出し、各旅館は一斉に洋風の3~4層木造構造に建て替えを行う。戦後は温泉街の洋風化も落ち着き、外観は和風に近づいていく。これらの風情ある旅館を保存し観光復興に生かすことによって観光客の数も増え現在に至る。
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毎週土曜日に催される「花笠踊り」。尾花沢市伝統の踊りで、大正時代灌漑用の水を確保しようと徳良湖築堤の工事が行われ、その際今の「花笠音頭」が唄われ、その唄とともに笠を廻して即興で踊ったものが起因らしい。
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「花笠踊り」というぐらいだ。花を飾った笠を付けた女性が踊る優美な踊りというイメージ。しかし実際は笠を勢いよく廻して踊る躍動感にあふれた踊りだった。
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特にこの男の子。踊り手で唯一の男子。踊りがキレッキレッで迫力があった。「花笠踊り」のイメージが一変した。
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仄々とするお爺ちゃんとお婆ちゃんの人形。これも女将の手作りだろうか。今日の締めに温泉に入って就寝。To be continued。
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この旅行で行ったホテル
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味とまごころの宿 昭和館
3.39
銀山温泉(山形) の旅行記
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