
2024/07/04 - 2024/07/04
75位(同エリア1015件中)
Noraさん
この旅行記のスケジュール
2024/07/04
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自宅からドライブ
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シカゴボタニックガーデン
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自宅までドライブ
この旅行記スケジュールを元に
この旅行記はCBGの日本庭園後半の部分とあまり訪れる人がいないディクソンプレーリー自然保護区をカバーしています。
CBGの中でも比較的知名度がすくない特殊な自然領域、それがディクソンプレーリー自然保護区でしょう。失われてしまったプレーリーを長い時間をかけて修復している(100年近く)領域です。大開拓時代、資源は無限とばかりに略奪と乱伐で絶滅に近くなるほど減少させられた動植物。あるいは増大する人口に対応するため人為的に大穀倉地帯に転換させられた自然地域。シカゴボタニックガーデンのディクソンプレーリー自然保護区は消滅したそれらの自然環境、動植物相を修復、回復するために存在するセクションです。しかし現在でも消滅してしまったプレーリーの僅か1%しか修復できていないと生態学者はインタビューで言っていましたが。。。
彼らは後世の人々に手渡すことのできる遺産として我々が為すべきことに地味ながら黙々と取り組んでいます。環境保護と言う言葉は久しく言われてきたことですが、ここではそこから一歩進んだ ’消滅した環境の修復’ が進行中です。
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大草原(Great Plain)とは北米の広大な平原地帯を指し、この地域はロッキー山脈のすぐ東に位置し、その大部分は草原、ステップ、草地で占められている。プレイリー(Prairie)はこの大草原(Great Plain)の一部とされ、西部は短草の、東部は長草の草原となっている。
因みにプレイリー(Prairie)とはフランス語で牧草地または平原を意味して、もともとはラテン語のpratum(同じく平原の意味)から来ている。-wikiより。
紹介するプレイリーの野草について:ディクソンプレーリー自然保護区に見られるいくつかの野草は近隣の個人の庭園でも見ることが出来ます。メールーオーダーで購入した種子や種苗を園芸種と混栽して楽しんでいるホビーガーデナーも増えてきました。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 徒歩
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ディクソンプレーリー自然保護区部分の拡大図。スコーキーラグーンの中にあるイブニングアイランド(多分、人工島)を経由して徒歩で行く。サービスロードはあるのだが一般車に開放はされていないので徒歩の一択しかない。
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’イブニングアイランドはこちら′ の表示。クラブアップルの枝の影が通路上に有機的な線を描いている。
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イブニングアイランドに行くアーチブリッジのたもとにシュウメイギク(Japanese Anemone) のコロニーがある。’そろそろ出番’の合図を待つ花たち。
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イブニングアイランドに向かうアーチブリッジからの眺め。
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カナディアンギース(Canadian Geese)の集い。基本的に草食だが、小さい昆虫や魚類を食べることもある。おおかたの鳥類がそうであるように彼らも一夫一婦制であり、殆どが一生を添い遂げる。(重婚やモルモンのような一夫多妻はないようだ).元来渡り鳥であるが、イリノイ州に定住しているケースもある。
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イブニングアイランドの中ほどにあるノーティラスのテラス(上から見るとオウムガイ形状のスパイラルになっている)。
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スコーキーラグーン。対岸の川岸には人工的植栽、手前はほぼ自然のままの植物相。対比が面白くてシャッターを切った。
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アーチブリッジからの眺めと蓮のコロニー。
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スコーキーラグーン#1。
生息する淡水魚:ウォールアイ、ノーザンパイク、オオクチバス、アメリカナマズ, ブルーギル、コイ等。 -
マガモ達(Mallards)。北半球のほぼ全域に分布する野生のカモ.
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スコーキーラグーン#2。
スコーキー(Skokie)とはこの地域の先住民であるポタワトミ族の言葉で沼地(Swamp)を意味する。彼らは、この大きな沼地を「チューワブ スコーキー=大きく湿った草原」と呼んでいた(沼地という語彙がなかったので湿った草原と呼んだものと思われる)。1929 年、沼地を一連のラグーンに変える計画が始まり1942年に完成。現在スコーキー川の水路でつながれた7つのラグーンのシステムを総称してスコーキーラグーンとよんでいる。
参考:https://fpdcc.com/places/locations/skokie-lagoons/#:~:text=Civilian%20Conservation%20Corps%20Project&text=Between%201933%20and%201941%2C%20thousands,new%20landscape%20featuring%20seven%20lagoons. →History -
スコーキーラグーン#3。
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ディクソンプレーリー自然保護区の標識。
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ブルーステム、インディアングラス、スイッチグラス等の長草が茂るプレイリー自然保護区。
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保護区の中は道が作られ歩きやすいように考慮されている(大半がこの画像のように未舗装だが部分的にアスファルト舗装されている箇所もある。が、クラックが入っているので足元注意)。
右下の画像:長草の高さを歩いてくる人物(赤丸)の背の高さと比較してみるといいかも。 -
スコーキーラグーンに掛かる無名の橋。手前に見えるのはプレイリーの代表的長草のひとつ、フェザーリードグラス(Feather Reed Grass,イネ科クサヨシの一種)。
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ロイヤルキャッチフライ(Royal Catchfly)
草原の植物の中で珍しい赤色をまとう。多くの花粉媒介昆虫は、赤の範囲の光スペクトルに鈍感で引き寄せられることがないらしい。がしかし、ハミングバードや一部の蝶は赤という色彩を感知できることが知られている。これらの特定の鳥と昆虫を惹きつけるためにロイヤルキャッチフライは自ら独創的なデザインを工夫したようである。例えばハミングバードや蝶の長い口吻は、萼によって形成された細長い管の底にある蜜に簡単に届くし(口吻の短い昆虫は届かない)、またその広がった花びらは、蝶の脚が着地するのに適切なプラットフォームを提供している。因みに′キャッチフライ’という名のとおり、この植物は萼と茎の上部にある粘着性の毛で招かれざる客(ハエやスズメバチなどの昆虫)を捕まえる。一応、食虫植物のカテゴリーには入っているものの、厳密にはとらえた昆虫を捕食しない。殺虫後、酵素の働きで死骸をクリーニングする。あくまでも自前のディフェンスシステムをつかって葉や茎を食する昆虫を退治するのが目的である。この珍しい野草は草原の生息地の減少により今や希少種となり、一部の州では絶滅の危機に瀕している。
参考:https://www.illinoiswildflowers.info/prairie/plantx/royal_catchflyx.htm -
シモツケ草(Meadowsweet)
野生の花とよく間違われるようだが、厳密には低木のカテゴリーに入っていて、高さ 3 ~ 6 フィートの高さの木に白い花が房状に咲く。Meadowsweetの名前は、アングロサクソン語の「meodu-swete」に由来している。これは「ミード甘味料」と訳され、古代からミード、ワイン、酢、ビールの風味付けに使用されてきたためであると。。。この植物はスコットランドで5000年以上もの間、ハーブティーやミードの風味付けに使用されてきたようで、人間と共に歴史を重ねてきた植物と言えよう。
*ミード(mead)とは:蜂蜜と水と酵母菌を発酵させてつくる醸造酒。人類最古の酒と称され、1万年以上前(旧石器時代?)から存在していたという説もある。 -
ブルーバーベナ(Blue Verbena) 湿地を好むのでスワンプバーベナ(Swamp Verbena)とも呼ばれる。北米原産。カンデラブラ形状で下から上に上昇しながら花冠をつける。薬用効果があり、北米先住民は、傷や腫れ物の外用にこの植物をよく使用していたという。
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マウンテンミント(Mountain Mint)。シソ科の耐寒性宿根草で、葉茎から爽やかなミントの香りがする。
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野生ベルガモット(Wild Bergamot)、北米原産の多年草。
モナルダやビーバームの名前でも呼ばれている植物で、多くの北米先住民によって薬草として扱われてきた。最もよく使用されていたのはこの植物の免疫力亢進作用を利用した風邪の治療であった。またその強力な殺菌作用のためにこの植物をすりつぶしものを皮膚感染症や軽い傷の患部に湿布し治療してもいた。
現代の市販のマウスウォッシュの処方の主な有効成分である殺菌チモール(thymol)の天然源でもある。(葉の部分から抽出) -
フォックスグローブ・ビアードタン(Foxglove Beardtongue )
ジギタリス(通称はフォックスグローブ)の仲間。2年生で毒性の強いヨーロッパジギタリス(ジギタリス)と混同されることがある。しかしこのフォックスグローブ・ ビアードタン(Penstemon digitalis =Foxglove Beardtongue)には、毒性は全くない。あるのは雄しべに付着したひげによく似た毛の房である(ビアードタンの名の由来)。
参考:https://gobotany.nativeplanttrust.org/species/penstemon/digitalis/#:~:text=Foxglove%20beardtongue%20can%20reach%20three,for%20the%20native%20plant%20garden. -
パープルプレーリークローバー(Purpple Prairie Clover)
パープルプレーリークローバーは、大草原やその他のオープンランドによく適応した、干ばつに強い植物。根が深く、浸食を防ぎ、土壌の健康を改善するのに役立つため、生態系の修復や土壌安定化プロジェクトによく使用される。また、この植物は外見がいいだけではなく手入れが簡単で、一度定着すると水やりや肥料をほとんど必要としない優れもの。 -
クイーンアンズレース(Queen Anne's Lace)
ワイルドキャロット(菜人参の原種)=旧大陸から持ち込まれた種とこの北米原産のクイーンアンズレースとが混同されるがこちらのクイーンアンズレースには中心部に赤い斑点がない。
参考:https://www.eattheweeds.com/daucus-carota-pusillus-edible-wild-carrots-2/
因みにローマ人はワイルドキャロットを野菜として食べていた。北米開拓時代のヨーロッパ人はクィーン アンズ レースを栽培しその主根をスープ、シチューにして食していたという。主根は糖分が多く、糖分含有量はビートに次いで 2 番目とか。。
またこれらのクイーンアンズレースやワイルドキャロットの仲間と極似している植物にドクニンジン(poison hemlock)がある。(日本では北海道に帰化しているとのインターネット情報あり。)古代ギリシャでは、このエキスを罪人処刑(毒殺)に用いていた。哲学者ソクラテスが、この毒によって最期を遂げたことは有名。参考:https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/higher_det_14.html -
トウワタまたはミルクウィード(Milkweed)
オオカバマダラまたはモナーキ(Monarch)の幼虫の必須の宿主であり、この蝶のライフサイクルにおいて重要な役割を果たしている植物。(モナーキの幼虫はこの植物のみを食して育つ)。カリフォルニアとメキシコの越冬地で記録されたモナーキの個体数の減少は北米全土に広がる彼らの春と夏の繁殖地でこの植物が激減したことが原因とされている。農業の集約化、農村地帯の開発、道路脇の植生を制御するための草刈りと除草剤の使用がその背景にある。
*イリノイ州のモナーキ(Monarch)保護対策:
イリノイモナーキプロジェクト(Illinois Monarch Project =IMP)やイリノイ州天然資源局(Illinois Department of Natural Resources =IDNR)等のイ二シャティブのもとに2014 年以来、イリノイ州全域の保護地域ネットワークに 3,000 エーカーを超える新たなモナーキの生息地が設けられ、推定132万本のミルクウィードの茎が供給されている。そこでは除草剤、殺虫剤が禁止され、すべて有機的な自然のサイクルに任せてある。
参考:https://illinoismonarchproject.org/
https://dnr.illinois.gov/education/atoz/monarchgen.html#:~:text=The%20monarch%20(Danaus%20plexippus)%20was,larva%20eats%20milkweed%20(Asclepias%20spp. -
ラトルスネークマスターまたはガラガラヘビマスター?(Rattlesnake Master)
北米中部および東部原産のこの野生の花は、北米先住民の部族によってヘビに噛まれたときの治療に使用されていたため、「ラトルスネークマスター」という通称で呼ばれていた。それ以外にも伝統的に発熱、頭痛、腹痛などの他の病気に対する治療薬として利用されてきた長い歴史をもつ。また、開拓者たちは、この植物を使ってお茶を作り、さまざまな症状の緩和剤として使用したようである。 -
プレーリーアイアンウィード(Prairie Ironweed)
一見、魅力的しかし実は有毒で、ほかの類似した野草と間違えて食した場合、吐き気、嘔吐、皮膚の炎症を引き起こす。 -
カルバース.ルート(Culver's Root)
背が高くshowyな北米原産の野草。イングリッシュガーデンで園芸種とミックスして植えられていたりする。 -
ルドベキア(Rudbeckia)またはコーンフラワー。
このルドベキアの名前は、カロルス・リンネが、彼のパトロンでありウプサラ大学の同僚植物学者であったルドベックとその著名な博物学者であった父親に敬意を表して付けたものである。-wiki
ルドベキアには抗菌作用、駆虫作用、抗炎症作用があり、北米先住民の薬用植物として用いられていた。 -
トールシンクフォイル(Tall Cinquefoil)
北米原産。Cinquefoilとは古フランス語で ’5葉’の意味でこの植物の葉の形状に由来する。その名の通り、通常5つに分岐した葉と5つの花びらを持つ。
日本ではキジムシロの仲間として紹介されているようだ。収斂、鎮痛等の薬用効果があり、北米先住民族は傷の手当、口腔内の洗浄や止血等に利用していた。 -
アメリカキササゲ(Catalpa ovata)
(花の画像は春に撮影したもの。)
北米原産の落葉広葉樹。中国を原産とするキササゲの仲間。この植物には鎮静作用があるほか、軽い麻薬作用もある。
チェロキー族やイロコイ族は、熱、咳、皮膚疾患など、さまざまな病気の治療にこの花を使用していた。また乾燥した種子からつくった煎じ薬は慢性気管支疾患、心臓疾患等の治療に、葉または根から取った汁は、皮膚疾患の治療にも使用された。
参考:https://plants.usda.gov/DocumentLibrary/plantguide/pdf/pg_casp8.pdf -
キバナトチノキ(黄花栃の木)Yellow Buckeye
トチの木の仲間では最も大きく、ネイティブアメリカンは焙煎と浸漬によって毒性成分(サポニン)を取り除いた実(ナッツ)を食していた。外側の厚いベージュの果皮をむいてナッツを取り出したあと、それらをゆっくりと焙煎し硬い外皮を取り除く。取り出した中身を薄くスライスして布袋に入れ、小川で2~3日間すすぎ、蒸す,ゆでる等の調理加工をしていたようである。 -
ミミヒメウ(Double-crested Cormorant)
パーキングロットに向かう途中の北湖岸でハンティング中(フィッシング中?)のミミヒメウを発見。1回ダイブすると15分位浮上しない。
北米に分布するウの仲間で米国南部にて冬季を過ごし、夏季に米国北部・カナダに渡り繁殖する。年中暖かいカリフォルニアにすむミミヒメウは渡り鳥生活をやめて定住しているようだ。 -
そして、もみじ(Japanese Red Maple)。
この美しいクリムゾンレッドの日本のモミジは、ガーデニングを趣味とする人々の間でとても人気がある。繊細な葉の形状と鮮やかな色が庭のアクセントになるのだそうだ。
追記:シードバンク
シカゴボタニックガーデンにはディクソン国立トールグラス プレーリー シード バンクというシード バンクがある。そこでは、在来植物種の保護と科学研究の支援のため、数百万の種子が -20°C の金庫に保管されている。
またシード バンクには特別プログラムがあり、園内での種子の保管、他のシード バンクへの種子の送付、地元の都市農家との協力なども実施されている。
参考:https://www.chicagobotanic.org/research/seed_bank#:~:text=Millions%20of%20seeds%20sit%20frozen,or%20contribute%20to%20scientific%20research.
これにてCBGディクソンプレーリー自然保護区の散策記は終了とします。
お付き合いくださってありがとうございました。
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