2024/07/13 - 2024/07/15
221位(同エリア553件中)
さるおさん
花巻二日目。昨日は移動だけなので本格的な観光は今日から開始。足と体力のない私は、花巻観光協会が運営する乗合観光タクシー(ワゴン車)「どんぐりとやまねこ号」を利用。タイトルの"心優しき案内人"とは、観光協会の方も含めて、この「どんぐりとやまねこ号」のこと。感謝の意を込めて。
行程:「ホテル花巻」→「高村光太郎記念館」→「花巻東高校」(2021MLBオールスター菊池・大谷両選手選出記念モニュメント) →「宮沢賢治記念館」→「宮沢賢治童話村」→「宮沢賢治イーハトーブ館」→「早池峰と賢治の展示館」→「新花巻駅」
※写真は「宮沢賢治記念館」の展示「猫の事務所」のイラスト(写真撮影可)。4番目の猫"窯猫"。可愛かったので表紙に拝借。
- 旅行の満足度
- 5.0
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おはようございます。朝から温泉を満喫しての朝食バイキング。
この後、ホテルロビーで「どんぐりとやまねこ号」待ち合わせ。待ち合わせ時間5分前にホテルをチェックアウト。チェックアウト時、フロントスタッフが、"さるお様、「どんぐりとやまねこ号」が正面入り口でお待ちです"と教えてくれた。完璧な対応。 -
最初の行き先は「高村光太郎記念館」。
詩人、彫刻家の高村光太郎は、戦時中、以前から知己の間柄であった宮沢賢治の弟清六方に疎開して花巻で過ごしている。記念館には光太郎の代表作である「手」や「乙女の像・中型試作」等彫刻の他、花巻での山居7年で遺された様々な資料を展示している。
光太郎の詩を朗読して聞かせてくれるコーナーがあり、「レモン哀歌」を聞いた。智恵子さんを亡くした悲しみと愛情が伝わる美しい詩だった。深々と心に染みる。
最初、この記念館には興味を持っていなかった。コースに入っているので仕方なく来ましたって感じ。でも、来てよかった。「レモン哀歌」が聞けただけでも、ココまできた甲斐がありました。 -
「高村光太郎記念館」直ぐの「高村山荘」。ここは「どんぐりとやまねこ号」の料金に含まれず。別料金。
光太郎は宮沢賢治の弟を頼って疎開したものの、宮沢家も戦災を受けたため、太田村の小屋に移り、農耕自炊の生活を始める。冬には、雪が吹き込むようなあばら屋の高村山荘。そんな生活を送ったのは、戦争中に戦意高揚のために多くの詩を作ったことへの贖罪の意味があったらしい。現在の高村山荘は、套屋によって保護されているが、これは、光太郎を敬慕する村人達が一本一本持ち寄った木で建てられたもの。高村光太郎、地元の人から愛されていたのだな。多分人柄によるもの。地元の子供たちに交じってサンタクロース姿の光太郎の写真があった。気の良い人だったのだろう。智恵子さんと籍を入れたのも、智恵子さんの病気が重くなってからだし・・・。一生、面倒を見るつもりだったのだろうな。智恵子さん、良い人に出会ったな。 -
「高村山荘」のシグネチャーとも言える"光"の文字。光取りとして山荘の厠に光太郎が彫ったもの。
「どんぐりとやまねこ号」では運転手さんがガイドもしてくれる。専門のガイドさんとは違い、日常会話のように出てくる運転手さんの言葉が耳に心地よかった。岩手弁て、訛りはあるけど聞きやすいのね。素敵な言葉だ。 -
「花巻東高校」
言わずとしれた大谷翔平君の母校。高校の隣が市民公園のようになっていて、そこから野球部のグランドが見える。そこにモニュメントがあり一般の方が見学できるようになっている。この日も凄い人。駐車場もいっぱい。その駐車場の交通整理をしているのが野球部の子たち。暑い中、お疲れ様です。もう車を止める所が無くて"高校の敷地内に止めてください"とのこと。ラッキー、高校の敷地に入れる! -
花巻東高校正面。時々野球部の子が通るんだけど、皆、野球帽取って"今日は!"って元気に挨拶してくれるの。オバサン、感激しちゃった。会社の若い子なんて社外で会ったら挨拶しないのよ。あれは何? プライベートのオンとオフを分けてるわけ? お前は芸能人かって突っ込みたくなる。最近は、そういうのがフツーなのかと思っていたから、大きな声で挨拶してくれる若者を見て気持ち良かったわ。
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大谷君や菊池君に交じって東大に合格した子の垂幕も。その子も野球部なんですって。中学当時から成績の良い子で進学校に行くように勧められたけど、どうしても花巻東で野球がしたくて入学したんですって。それで監督が勉強しやすい環境を作ってあげようと一人部屋を与えてあげたりいろいろとフォローをしてあげて、本人もその期待に応えて、見事、東大に合格したわけね。メジャーのMVPを取った大谷君や菊池君と並んで、その子の垂幕が掛かっているのが素敵じゃない。メジャーリーグでの大活躍も東大進学も、どちらも我が校の誇りですよっていうのが伝わってくる。
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モニュメントの案内板。たくさんの人が見物に来ていた。「昔は賢治、今翔平」ガイドさんの言葉。翔平君の出身地は義経伝説の残る奥州市。五条大橋や壇ノ浦で翔びまくった義経。壇ノ浦では"八艘跳び"なんて言葉も残していますね。翔平君の名前は、その義経から来ているそうです。運転手さんの説明。ガイドというよりは大谷翔平好きのオジサンの翔平自慢を聞いている感じ。なんだか微笑ましい。
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グランドでは女子野球部が練習中。女子野球か。私の学生時代にはなかったな。女子はマネージャーになるものと決まっていた(そして野球部のマネージャーは倍率が高く可愛い子が多かった。あとサッカー部のマネージャーと・・・)。今は、女子も選択肢が増えた。諦めなくていい時代。良いことです。
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大谷君の手形。自分の手と合わせてみる。大谷君、手、大きいな。
私、大谷君て人間離れした感じがして、まるで民話の主人公みたいに思っていたのね。"三年寝太郎"とか"金太郎"とかみたいな。でも、ココ花巻東に来ると、何となくリアルに受け止められたというか。なんか、この空間自体がが浮世離れした印象なんだよねぇ。星屑のように美しい言葉を紡いだ宮沢賢治、仙人のような生活を送っていた高村光太郎、太陽のように輝きながら挨拶をする若者たち。どれもこれもお伽話やん。そういえば、民話の聖地"遠野"近いし。花巻、異空間を感じる場所だった。 -
花巻東は野球の強豪校なので県外からも選手が集まって来るのかと思ったら、岩手県の子しか入れないんですって。それでも、これだけの有名選手を輩出しているのか。魔法の粉がかかっているとしか思えない。
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続いて「宮沢賢治記念館」。"宮沢賢治の世界との出会いの施設"という触れ込みで、資料の展示が主です。ガイドさんは、全国で二番目に入場者数の多い施設だと言っていた。
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「どんぐりとやまねこ号」の本来のコースは「宮沢賢治記念館」で80分(自由昼食込)、その後、ワインシャトー大迫(30分)→早池峰と賢治の展示館(15分)→宮沢賢治童話村(30分)→新花巻駅 という流れだった。
ただ、私は、宮沢賢治童話村(30分)が短すぎると思い、その時間を延ばすため、ワインと早池峰の展示館は行かなくていいから、この記念館でコースを離脱、童話村で再合流ができないかと事前に花巻観光協会に問い合わせていた。観光協会の答えはイエス。良かったと喜んでいたのだが・・・。 -
出発2日前に、念のために観光協会に確認メールを送信しておいた。で、二日前の19時ごろ、観光協会からの返信メールに気づく。メールだけでなく電話も二回ほどかけてくれたようだ。日中はプライベート携帯はカバンの中に入てロッカーに放り込んでしまうため受電に気づかないことが多い。内容は"残念ながらご希望に添えない、最初の回答と違う結果になり申し訳ない"というものだった。"できないものはしょうがないので構わないが、記念館でコースを離脱させてほしい、何度か電話をいただいたようだが気づかなくて申し訳なかった"と返信メールを送る。
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出発一日前、再度観光協会からメールあり。"タクシー会社に確認し当初の希望通りのコースで受けれることになったが、それで構わないか"との照会。観光協会のスタッフがタクシー会社に、わざわざお願いしてくれたのだろう。その経緯がメールの文面から伝わって来た。が、しかし、今回もメールの受信に気づくのが遅く、気づいた時には観光協会の営業時間を大幅に過ぎていた。"当初の予定でお願いします"とメールするものの明日から観光協会は土日の休みに入るため直接の連絡はつかない。どうなる、さるお?
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案の定、運転手さんに連絡はいっておらず(時間がなかったのでしょうがない)、直接コース変更を運転手さんと交渉した。結果"お客さんの希望通りでいいよ"との言葉をいただく。午前中は参加者が私も含め6名だったが、一日コースを申し込んだのは私だけだったようで、午後からは一人だけだから好きにしていいよとのこと。ラッキーだった。運転手さんと打ち合わせ、3時間後に童話村でピックアップしてもらうことになった。
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「宮沢賢治記念館」は、こんな感じで資料の展示が主。賢治自筆のメモなどが展示してある。
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で、この旅行記のタイトルにもなっている「イーハトーブ」です。宮沢賢治は「心象中にこのような情景をもって実在したドリームランドとしての日本岩手県である」と書き残しています。賢治の愛した岩手県に重なり合いつつ"あらゆる事が可能である"心象中の世界なのです・・・???(笑)。Wikipedia先生の解説も載せておきましょう。"イーハトーブとは、宮沢賢治による造語で、賢治の心象世界中にある理想郷を指す言葉である" つまり賢治が作り上げた空想の世界ということでしょうか。
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高台にある「賢治記念館」から、この階段を下りていくと「宮沢賢治童話村」へ行くことが可能。童話村は記念館と道路を挟んで向かい合わせの立地。
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ランチは童話村横の蕎麦屋さんで「葉わさびそば」を。当初は記念館にある"山猫軒"("注文の多い料理店"をモチーフにしたレストラン)を候補に挙げていましたが、三連休の中日のこの日、店頭に行列ができていました。このお蕎麦屋さんも略満席でした。
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「宮沢賢治童話村」入口「銀河ステーション」。ジョバンニとカンパネルラの冒険の始まった場所。
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「宮沢賢治童話村」は賢治童話の世界で楽しく学ぶ「楽習(がくしゅう)」施設。「銀河ステーション」、「銀河ステーション広場」、「妖精の小径」、「天空の広場」、「山野草園」、そしてメインの「賢治の学校」があり、賢治の学校の中は「ファンタジックホール」、「宇宙」、「天空」、「大地」、「水」の5つのゾーンに分かれています。ログハウスは展示施設「賢治の教室」。
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賢治の童話を彩る主人公たち。
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電信柱の列を軍隊行進になぞらえた「月夜のでんしんばしら」より。ここから「妖精の小径」へ入っていく。
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暫し歩いて「山野草園」へ。
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「山野草園」は森へ続く。入口に"熊に注意"の立看板。早々に撤収。君子危うきに近寄らず。
昨今の山里は、どこでも熊ですねぇ。花巻でも熊は出るらしく、小学生・中学生は、熊に出会わないようタクシー通学しているそうですよ。教員委員会が費用を出してるんですって。これも運転手さんに教えてもらいました。 -
緑の芝生が広がる私の好きな光景。奥の建物は「賢治の学校」。
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芝生の向こうに「賢治の教室」。
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「のっぽになるゲート」。このケートを抜けて「賢治の学校」へ。
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「賢治の学校」。入って直ぐの「ファンタジツクホール」。
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「天空の部屋」。足元に見えるのは花巻の町。
他に巨大万華鏡の中を歩く「宇宙の部屋」など。宇宙の部屋、一番楽しみにしていましたが暗くて老眼のオバサンには歩くのが、やっとでした。 -
「大地の部屋」。スクリーンに映し出された巨大ネコに追いかけられる?
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「セロ弾きのゴーシュ」や「注文の多い料理店」再現したミニジオラマの展示。
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こちら「注文の多い料理店」。
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ここからは「賢治の教室」。賢治の童話創作に影響を与えた「植物」「動物」「星」「鳥」「石」に関する展示施設。まずは「石の教室」。
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「星の教室」
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全て見終わって、運転手さんとの待ち合わせまで未だ時間があったので、童話村から歩いて3分程度の「宮沢賢治イーハトーブ館」へ。
賢治作品の愛好者、研究者の集まりである"宮沢賢治学会イーハトーブセンター"の本部でもある「宮沢賢治イーハトーブ館」。こじんまりした文学館という感じ。入場無料。資料展示がメインですが賢治の童話を題材にしたアニメが上映されていますよ。 -
「宮沢賢治イーハトーブ館」でアニメが見たかったけど、さすがに時間がなく運転手さんとの待ち合わせ場所へ。次は盛岡へ行くと言ったら、運転手さん、新幹線の時刻を調べてくれた。もし時間に制約がないなら、もう一か所行こうかと運転手さん。イヤ、私の勝手でスケジュールを変更したのだから、このまま駅でいいですよと私。すると運転手さん、なんか自分が仕事してないみたいで、このまま帰すのは申し訳ないと仰ってくださって。それじゃあとお言葉に甘えて「早池峰と賢治の展示館」に連れて行ってもらいました。
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「早池峰と賢治の展示館」到着。童話村から結構距離があったんですけど。なんか恐縮しちゃうわ。
「早池峰と賢治の展示館」
童話「猫の事務所」のモデルといわれる旧稗貫郡役所を復元した展示館。早池峰と賢治にかかわる作品紹介、賢治が常宿としていた旧石川旅館の部屋再現、風の又三郎の舞台といわれる猫山のモリブデン鉱石などを展示。2階の第三展示室には《賢治文庫》が設けられており、宮沢賢治の童話や関連書籍を自由に閲覧することができる。 -
運転手さんが1on1でガイドしてくれるので恐縮2倍。でも、この「早池峰と賢治の展示館」が思っていた以上に雰囲気があって良い場所で。この展示館のある大迫町は、古い町並みが残っていて車窓からの街並みが風情があって、その街並みにこの展示館がすごくマッチしていて有名観光地にはない素朴さが素敵でした。
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「花巻の人にとって賢治はどういう存在なんですか」という私の質問に答えてくれた運転手さん。「名前は知ってたけども、別に特別でもなんでもなかったなぁ。ただ、この仕事(タクシー)をするようになって、いろんな所からお客さんがやってきて、皆、賢治、賢治って嬉しそうに話すんだ。それ見てたら、すっごい人だったんだなぁって思うようになった。それからさ、興味を持ち始めたの」。運転手さん、素敵な答を有難う。
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「新花巻駅」到着。お礼を言って運転手さんと別れる。駅の待合室から花巻観光協会へ感謝のメールを送信。お陰で希望通りの観光ができたこと、何度も連絡をいただいて申し訳なかったこと、花巻は良い所だったこと、運転手さんにも親切に対応いただいたこと、全部ひっくるめて感謝。後日、心温まる返信メールをいただいた。
花巻観光協会さんも、運転手さんも、高村光太郎も、花巻東高校も、そして宮沢賢治も、皆が素敵な町でした。やっぱり花巻は賢治が愛したイーハトーブ! -
花巻ゆかり、"魔法の粉"がかかった野球選手たち。イーハトーブを後にして東北新幹線で盛岡へ・・・To be continued。
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