2024/04/02 - 2024/04/04
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「その2」は松島の宿《松島佐勘 松庵》宿泊と瑞巌寺訪問の記
松庵の部屋から見る松島の入江
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 4.5
- ホテル
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- JRローカル 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
松島海岸からタクシーにて20分程で今夜の宿《松島佐勘 松庵》に到着。
-
玄関
しっとりした和風建築 -
松島湾北方に伸びる岬の先端にある宿である。
『奥の細道』
「江上に帰りて宿を求むれば、窓を開き二階に作りて、風雲の中に旅寝するこそ、あやしきまで妙なる心地はせらるれ。」
芭蕉の[あやしきまで妙なる心地]を再現できる[窓を開き二階に作りたる]宿かと思わるる。 -
廊下
-
廊下の置物1
-
廊下の置物2
-
部屋の扉
海に近い角部屋で、二階に作りたる部屋だった。 -
部屋名
同行者の俳号に似た名称だった。 -
部屋にに入ってすぐに障子を開くと、窓外は閑かな入江だった。どこからともなく鶯の囀りが聞こえてくる。
【俳句 9】
身辺りに鶯来鳴く海の宿 -
ベランダへ出る。
静寂の海だった。
【俳句10】
春の海入江に浪の音もなし -
室内から春の海を感じる事が出来る。
-
岬全体が宿の敷地である。
岬の先端まで散歩に出掛ける。
途中の道端に何やら薄緑色が見える。 -
蕗の薹だった。
富山在住時に雪の下から顔を出した蕗の薹をみて、北国の春を強烈に感じた事を思い出した。
【俳句11】
岬まで続く小径や蕗の薹 -
散歩道の先端からは松島湾が一望できる。
「松と海」のコラボが何処までも続く。 -
夕闇が迫ってきた。
-
松島の夕日
-
部屋に帰ってくる。
洗面所はこの横にもう一つ洗面台があった。 -
室内風呂
大浴場に行ったので、内風呂は使わず。 -
床の間の軸
「春暁や人こそしらめ木々の雨」
私の全く知らない句であり、作者も知らない。芭蕉の句であればよかったのに。
ところが同行者は知っていた。
「日野草城(ひのそうじょう)の作だわ。
句意は漢詩“春眠暁を覚えず・・・”と同じ。春眠の俳句版かな。そこそこ有名句だけど、秀句というほどではないわね。」
とのことである。 -
同行者の解説が続く。
「日野草城は若い頃は高浜虚子が期待した弟子だったの。しかし、『ミヤコホテル』というエロティックな俳句句集を出版したのヨ。そういうのは虚子が最も嫌うことなの。それで破門された。その後は虚子に反抗して独自の俳句を詠むんだけど、結局、晩年は病魔に襲われ、右目を失明し、失意の内に亡くなったわ。
ミヤコホテルは奈良ホテルのことよ。奈良ホテルに泊まった時、ロビーに草城スキャンダルの資料があったわよ。忘れた!!」
忘れるも何もそんな資料を見た覚えもない。 -
大浴場に向う。
その途中に岩波文庫だけの書籍部屋があった。
旅先の宿に岩波文庫が並ぶ。異様か!
この宿の経営者の感覚は少し変わっている。 -
風呂場へ向う廊下にあった人形
【俳句12】
春の燭出湯へ続く渡り廊 -
階段の踊り場に掲げてあった絵画
岩波文庫と日野草城の軸から想像すると、恐らく何らかの意図を含んで架けてあるのだろう。
【俳句13】
露天湯に望む静寂春の海 -
夕食
私の旅は食べることが目的ではなく、通常はホテルに泊まり、夕食は近辺の食堂にて粗食ですます。今回は皆様の真似をして夕食内容を詳報してみる。
【俳句14】
春灯心づくしの宿の膳 -
前 菜
“春の香” -
吸 椀
“蛤真薯鶯仕立て”
容器が素晴らしい -
造 り
“鮪 白魚 白牡丹海老 北寄貝 赤貝 帆立” -
焼 物
“仙台牛炙りグリル野菜添え 海老と鮑の西京味噌クリーム焼き” -
しのぎ
“新玉葱のムース”
玉葱がムースになる。初めて食べた。 -
温 物
“鶏団子と牡蠣の小鍋” -
食事・香物
“お好み釜炊込御飯”
【俳句15】
松庵てふ宿に頂く春の膳 -
甘 味
“パンナコッタ果実添え”
ごちそうさまでした。 -
食事が終わって部屋に帰ってきた。
『奥の細道』の冒頭
「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり。・・・・・松島の月まず心にかかりて、・・・・・」
芭蕉の陸奥への旅の目的は松島の月を観ることだった。 -
『奥の細道』
松島ー雄島が磯の段
「月、海に映りて、昼の眺めまた改む。」
この海に映る月を眺めたい。宮城県の今夜の月は月齢22.7の下弦の月である。 -
ベランダに出るも月は見えなかった。
月齢は調べたが、この日の月の出時刻は確認していない。
慌ててスマホで調べる。
何と!!!! [午前1時06分だった。]
【俳句16】
松島や月なき海の朧かな -
夜中の1時とは。トホホホ・・・。
松島の月は夢と消えた。
【俳句17】
松島の海に芭蕉の月はなし -
月を諦めて10時頃就寝する。
快適なベットにてぐっすり眠れた。 -
翌朝は朝6時に起床。
海への散歩に出掛ける。 -
散歩道
昨日も鳴いていた鶯が今日も囀っていた。
【俳句18】
鶯の声に誘われ岬まで -
岬の先端からの松島湾
【俳句19】
松島は天の造化や松の芯 -
朝の松島
松島は名前のとおり「松」と「島」と「海」の世界だった。
-
俳句の作者です。
【俳句20】
春暁や墨絵めきたる島の景 -
朝食
一階の食堂から見る海。
二階の部屋とは印象の異なる景だった。 -
同行者は和食
-
私は洋食
いつものことだが意見の一致をみない。一緒に旅行が出来るのが不思議である。 -
タクシーが迎にくるまでロビーで待つ。
-
昨日から感じているがこの宿の経営者は自分の感性だけで宿を設営しているようだ。
通常の宿ならこんなロビーにはしないだろう。
洋風と和風が奇妙にマッチした空間だった。 -
宿全体がこの机の脚のように独特の感性にて設えてある。しかし、それが特に押しつけがましくもなく、ゆったりと過ごせた。
私の採点は100点満点。同行者の採点も同じ。 -
岬の宿からタクシーで瑞巌寺に来た。
タクシーはお寺入門受付直前に着けてくれた。
拝観料は700円/一人。京都辺りと大差がない。地方寺院では高いだろう。 -
最初に宝物館をみる。撮影禁止なので写真なし。
雄島にあった板碑の本物が展示されていた。
庫裏から入って本堂をぐるっと一周する。 -
本堂
同じく内部は撮影禁止なので写真なし。
伊達政宗関連の展示あり。孔雀の間・上段の間など華美な装飾が施された部屋があった。豪華を強調するも、田舎寺院の枠をでないか。 -
枯山水の庭
写真が撮せる箇所は外部だけである。
古刹らしい庭であるが、特別に風雅と言えるか・・。 -
枯山水の庭ではなく、その横にあった岩窟に目を瞠った。
昨日雄島で見た岩窟と同じである。規模は大きい。
瑞巌寺の本堂の真裏になる場所である。何故、寺の真ん中に岩窟があるのか。寺の案内書には岩窟があることさえ記載されていない。 -
瑞巌寺の本堂裏に岩窟がある。不思議な気がした。だがこの時はその意味を特に気を留めることもなかったが・・・・。
【俳句21】
落椿御堂の裏の洞の塚 -
外に出て本堂正面に廻った。
広い空間になっている。 -
庭の左右に臥龍梅が植わっており、満開だった。
紅梅
【俳句22】
正宗の御墓所に笑ふ臥龍梅 -
紅梅
関西では梅は2月から3月初旬である。
ここは北国だった。 -
白梅
京都北の天神の梅と異なる印象がある。左右が離れすぎているからだろうか。
【俳句23】
紅白の翼を広げ臥龍梅 -
梅は俳句の格好の句材である。
【俳句24】
咲き満ちて紅白匂ふ臥龍梅 -
中門を出て、少し歩くと右側に大きな洞窟があらわれた。これも意想外だった。
-
法身窟の扁額あり。
岩石の重量を感じる窟である。 -
有名な僧侶が修行した洞窟と解説にはある。
本堂裏の岩窟とこの修業洞窟は雄島と同じ取り合わせである。 -
来る時は横から入ったので気付かなかったが、そこから長い参道が続いている。
-
そして、参道の左側を見た時一瞬息を呑んだ。
岩窟が延々と続いているではないか。 -
今までの不審が一挙に解決した。
「松島は古来納骨や供養の為の神聖な霊場であった。」と記載されている。そう、ここは死者の霊を供養する霊場であった。その場所に瑞巌寺を建てたのである。この岩窟群が先にあったのであり、それなら本堂裏の岩窟も納得される。同時にここが僧侶の修行場所であったことも了解できる。松島一帯はそういう場所だったのである。
本来は風光明媚な場所ではなく死者を弔う場所だった。 -
膨大な数の岩窟が続く。雄島に比べて何倍も規模が大きい。
その洞にひらひらと蝶が舞っていた。
【俳句25】
蝶現るる洞にうごめく死者の霊 -
巨大な岩窟群である。
いつ頃に掘られ、いつまで続いたのだろう。
【俳句26】
岩窟に在ます仏春寒し -
大規模な岩窟
瑞巌寺の案内書にはこの岩窟群の記載がない。
瑞巌寺はこの岩窟群を祀るために建てられたのではないのか・・。
【俳句27】
春陰やこの世を見詰む磨崖仏 -
最近の石碑と五輪塔が刻まれた古い洞。
【俳句28】
春愁ひ洞に崩れし五輪塔 -
参道入口
この右側に岩窟群が連なる。
本来はここからお詣りするのであろう。本日は逆行した。
季節は春。鶯がすぐ近くで鳴いていた。
【俳句29】
岩窟を祀る大寺囀れる -
参道入口の門(瑞巌寺専門道場と記す)
この塀の外側にも岩窟は続いていた。
瑞巌寺は有名ではあっても地方の古刹なので特に何かを期待して参詣したわけではない。確かに本堂や宝物館は特記するほどではないが、この岩窟群には驚嘆した。
無知であった。関西と東北の位相の差異を如実に表しているではないか。 -
瑞巌寺から歩いて松島海岸駅まできた。これから仙台市内に向う。
「その3」に続く
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この旅行記へのコメント (2)
-
- 熟年ドラゴンさん 2024/04/30 06:58:17
- 奥さまの俳号気になります。
- 春眠暁を覚えず
処処鶯を聴く
夜来風雨無く
臥竜梅多少
ですかね?
やはり俳句入の旅行記いいですね。
『身辺りに』はどう読むのですか? みあたり?
- ソウルの旅人さん からの返信 2024/04/30 17:33:40
- Re: 奥さまの俳号気になります。
- 作者に尋ねましたら、『身辺りに』の読みは“みほとり”だそうです。
俳号は恥ずかしいから公開しないそうですが、『露』の字がはいります。
今回は同行者の吟行に付き合わされたような形になりました。俳句を作る人は方々を見て廻るので、歩くのが遅い。ペースがあいませんでした。
ソウルの旅人
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