2023/11/06 - 2023/11/06
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mom Kさん
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あれは、日田の帰りだった。ここ(九州)まで来たのだから、乗り継ぎ乗り継ぎの旅だから、歩いた記憶のない下関で最後の1泊をしようと決めたのだった。
港町だから、きっと楽しいに違いない。朝鮮半島とのつながりが随所で味わえるにちがいない。
下関駅周辺の市場と長屋という雰囲気の古いアパートを眺め、かつてのメインアーケード街を歩いて、「長府」という地名だけに魅かれて、この町までやって来た。
長州 毛利藩。そこは、とんでもないものに溢れていて、ここは、ここだけで来なくてはいけないと心に刻んだ。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.5
- グルメ
- 4.5
- ショッピング
- 5.0
- 交通
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 3万円 - 5万円
- 交通手段
- 高速・路線バス 船 JRローカル 徒歩 Peach
- 旅行の手配内容
- 個別手配
- 利用旅行会社
- ブッキングドットコム
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駅近のホテルを8時半に出る。本日天気予報、お昼ごろから雨。午後は80%となれば、祈る思い。足元は、水の浸みるスニーカー。
せめて、毛利邸へ着くまでは、、、 -
「長府城下町」に向かう車窓から。一組の観光客グループがツアー旗の下でガイドさんの説明を聴いていた。
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海岸沿い幹線道路をサンデンバスは、ひた走り15分。もう着いた。
前回は、名だけでJR[長府]駅に降り立ち、戸惑った。「ここはどこ?」状態。駅舎も名にふさわしくないし、無人。誰も降りない。駅があることが不思議な駅前・・・どっちに歩けばいいの。私によくある旅のパターン。ようやく出会えた人に、「あのう、町はどちらの方でしょうか。」と尋ねて向かうこと、30分はかかった気がする。旧長府街並みへ。
この町へは、バスが便利とあの時知った。 -
看板地図で確かめ、今回は雨が相手、フラフラしないで直行。
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この誘惑を振り切る。
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見事に真っ直ぐな往時の道。落ち葉一つ落ちていない溝。
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というのも、右手向こうのお家の前で上品な奥様がお帽子を被り、一心に溝そうじをしておられた。
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朝の挨拶も控え、そっと通り過ぎる。
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ここまで来て、振り返ってしばらく拝見。奥様は、手を止めて、上の木を見上げ、思案気。そして、お向かいのおうちの溝に移って、作業再び開始。
ただいま、9時20分。どうぞ雨が来ませんように。 -
角を曲がれば、到着。
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14代当主毛利元敏公住まい明治36年完成。同じ洋行帰りながら松山の萬翠荘は、フランス式洋館。明治期と大正期建築の別荘という違いだけではないような気がする。
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受付の女性は、以前の方と違って見えるが、雰囲気は全く同じ。
お茶をお願いしておく。 -
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お床の花器も見事です。
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お屋敷(武家)に相応しいものが選ばれている。
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向こうの手水鉢に水を入れているのは、その風貌からお庭手入れの植木屋さんかなと思って、朝の挨拶。お返事くださったので続けて、「毎日のお手入れですか」と尋ねた。♂「掃除ですか。はい、毎日ですよ。」
お掃除する方でした。最後の仕上げにお水を入れてたようです。それからすぐに消えられました。 -
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一番奥にひっそりと言ってよいような小さな”殿様のお部屋”
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続きが奥様のお部屋とお子様のお部屋二つ。
これは、最も印象的でよく覚えていた。殿様のお部屋の方が狭く、奥様のお部屋の方からは、お庭の眺めもよいからです。今回も顔がほころんでしまう。 -
お茶席でお庭を眺めていたら、ちょうどよいころに運んできてくださった。
♀「お菓子は、○○さんの”ゆきころも”でございます。・・・」
まだほかに来館者がいません。以前偶然訪れたこと、邸と受付の女性を覚えていての再訪であることを告げた。その人と彼女は背の高さが違うだけで、話し方、物腰がとてもよく似ている。自然と私も背筋が伸びる思い。 -
梅の木に小さな鳥が、数羽飛び回っては、止まる。
白梅だそうで、下の梅園より少し遅れて咲きますが・・・と彼女は教えてくれた。
自分からは何も話されないが、尋ねた事にはゆっくりと美しい言葉で応えてくれる。 -
団体さんが入館されたようです。私が一人座っているのを目にしたその中の男性が、5歳くらいの男の子に静かにするようにたしなめている。全然騒いでいないのに。
女性たちがにっこりしたので、私は、「台湾からの方ですか。」と尋ねた。彼女たちは、こっくり頷いてくれた。私は、心の中でもうすぐあなたのお国に行きますと応えた。
もうお暇するころ合い。
心ゆくまで、極上のひととき。 -
門を出て、時計を見たら、1時間近く独り占めさせてもらっていました。
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彼女に、「名前は憶えていないのです。店構えが質素で、お店には割烹着を来た年配女性が何人もおられて、素朴な芋羊羹を売っているお店なんですが、・・・ご存じですか。」と尋ねた。
彼女、即答。♀「それは、出雲屋さんです。よく覚えておられますね。」とマスク越しの笑顔に、目が留まる。肝心の店名を覚えていなかった私。 -
坂を下りながら角で左右を見るが、らしいお店も見えない。年配ご夫婦がなかよく歩いてこられる。
「おたずねします。”出雲屋”さんに行きたいのですが、どこでしょうか。」♂♀「あの角を曲がったところですよ。」やはり一つ下り過ぎていました。
同じ方向に進みながら、私は、「芋羊羹のお味が忘れられなくて。」と話すと、お父さん、「あそこの芋羊羹は、まだ食べたことないなあ。」と言う。私は、気持ちが焦って、一層急ぎ足。お二人と離れる。後ろから、お父さん、「あなたが、あまり足が速いから。」と呼びかけてくる。お母さん、「あなた!車が!」と叫ぶ。私、大声でさよならをする。 -
記憶と全く変わっていなかった。棚の上の芋羊羹に安堵。いっぱい買って帰ろう。
「これは、いつまでもちますか。」♀「冷蔵庫に入れて、明日までです。」左側のもう一つの陳列棚にある方は、少しだけ日持ちすると教えてくれる。この棚全部は、今日明日中に召し上がる商品。悩む。 -
選んだ。
以前に見ていないソフトクリーム注文。今どきたっぷりで150円。
先ほど、お店に近づいている時、男性が片手に持って出てきていた。
「こちらで、食べさせてもらっていいですか。」♀「どうぞ。」と、あっさり。 -
お店の横は、軽自動車車庫ぐらいのスペース。お行儀悪いけれど、長府にふさわしくないけれど、立ったまま道行く人を眺めながら、賞味。
こんなに喉の渇きも癒せるソフトクリームは、食べたことがない。シャーベット状でもない。コーンに伝っても来ない。舌にも優しいお味。
食べさせてあげたい人が、次々に頭に浮かぶ。 -
お向かいに渡って、お店を心に刻み付ける。また軽トラックが止まって、男性が入っていく。今回もお客さんが絶えない。工事現場のおやつにどれにしようか相談する事務服の女性も見かけた。そんなお店だ。創業70年と教えてもらった。お赤飯も炊きごみご飯も一人前ずつのパックが山盛りだった。ご先祖様は、山陰地方かなあ。
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出雲屋さんから出た途端、ぽつりぽつりが始まった。お見事!
傘を広げて急ぐ。
下関駅行きだからか、本数が多く、すぐに乗れた。
関門海峡を大型貨物船がゆく。てっぺんと橋げたの高さが同じぐらい。
今、干潮時かなあ。 -
日持ちをする陳列棚から、唯一選んだ最中。手荷物でそうっと持ち帰ったつもりが、6個とも少しずつ割れていた。
でも、お味は、上等「城下町」。
帰宅翌日の朝に。
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この旅行記へのコメント (6)
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- salsaladyさん 2023/11/17 09:47:57
- 小さな「お殿様」の部屋。。。
- ☆想像してみると、ちょっとエスプリが効いて~奥方様の方に選択権があったのかな?
☆何でもない日常みたいな世界を歩いてく感じが面白いなあ~山口県ですよね。
☆福岡から関門トンネルを抜けるとこんな静かな一角がある。萩とは又違った社会~
☆生ものはお早く召し上がれ!です。昔淡雪の菓子で疫痢になりかけたと親が言いました。
- mom Kさん からの返信 2023/11/17 18:22:45
- Re: 小さな「お殿様」の部屋。。。
- salsaladyさん、感想をありがとうございます。私は、彼女(奥方)でなく、彼に思いを馳せました。お庭も端っこという感じで、一人で思索にふけるには、良い広さ。誰も寄るなという感じで閉じこもれる趣き。フランスに若いころ留学されていたそうです。奥方とお子様と一緒に過ごすためにあちらを広くし(仕切りがなく、ふすまだけでしたから)、案外皆さんで遊ぶためだったかもしれませんね。よき家族のイメージでした。
幕末の藩主は、「そうせい公」と呼ばれ、ずいぶんこだわりのない性格。それもあの血気盛んなやんちゃが多い長州に、情勢が絶えず変化していた時代。決して俺についてこいタイプではなく、懐の深い趣味人、穏やかで良き家庭人であったような印象を私はあの場所で感じました。
萩は学生時代に松下村塾だけに訪れたっきり、何も見えていなかったと思います。長府を今の年で訪れたことも幸運と思えました。
はい、栗羊羹とともに買った羽二重餅2個。その夜と翌朝に。とてもとても美味。これだけのためにでも、これからは九州帰りの途中下車は、長府にと考えました。
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- 機乗の空論さん 2023/11/16 08:14:10
- おはようございます!
- 初めまして!、有難うございます。私も出雲屋さんでよもぎ餅や大福などを買っていただきましたが、素朴で美味しいですね。菓匠や和菓子屋というよりは饅頭屋とか餅屋と言った雰囲気の飾り気が無いのが素敵ですね。齢を重ねると甘いものが欲しくなるようです?、これからも宜しくね!。
- mom Kさん からの返信 2023/11/16 09:52:57
- Re: おはようございます!
- 今朝も寒い朝です、機乗の空論さん。こんな時こんなお店を想像するだけで、美味しい気分。ご存じでしたか。そうです。最近すっかり和菓子派に。それも、北海道旅で目覚めてしまいました。洋もの系イメージの北の大地が、小豆の産地でもあること再認識。でも出雲屋さんほど好きなところは、まだ見つかってはおりません。こちらこそ、よろしくお願いします。
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- エフサさん 2023/11/08 20:40:57
- ゆったりとした時間
- お屋敷の庭を眺めながら、一人静かに至福のひととき。ゆったりとした時間が伝わって来て、こちらもちょっと得した気分になりました。さりげないお裾分けに感謝です。
お菓子の「ゆきごろも」は「阿わ雪」を薄焼カステラで包んだお菓子。ワシも2年前、下関の松琴堂で見つけました。
40年以上前に仕事で北九州・下関を訪れた際、この土塀の間の細い道を車でゆっくりと素通りしました。現地スタッフの粋なはからい。土塀の黄土色が記憶にはっきりと残っています。でも何の仕事で訪れたのかは全く覚えていません。
この旅行記でパーツを一つ分けて頂き、中途半端な記憶が一つの形になった様な想いです。
12月にパッケージツアーで長州へ行くのですが、訪れる場所は萩と岩国。Kazukoさんの旅行記が一足早いオプショナルツアーとなりました。
- mom Kさん からの返信 2023/11/09 07:00:22
- うわっ!
- お師匠さまは、なんでもお見通し。「阿わ雪」?「松琴堂」?彼女の声の響きがまだ残っています。もしや・・・お菓子の銘柄説明で、「こちらは、創業○○年の○○堂さんのゆきごろもでございます。」と言われました。私は、少し尋ねたので、「あとでパンフレットをお持ちいたします。」と。買い求めるのは、固く芋羊羹と決めているのになあ。申し訳ないなあと思いつつ受け取りました。
まだ解き終わっていない荷(ザックも全てゆうパックで小倉から送ったので、昨日着)から取り出しました。
Dr.! BINGO!!その通りです。
今丁寧に見ながら、この「ささめゆき」は、泡盛にも珈琲にも合いそうだから買い求めればよかったなあと反省。まだまだ長府に出会いたいので、九州帰りは、下関途中泊が続きそうです。今後の課題①・・・松琴堂を訪れること。
師匠、ご注進。前回訪問時の女性も今回のMさん(お名前を聞かずにはおれなかった)も、まるで着物でおもてなしを受けているような美しく静かな動きをされます。しかも、マスクごしにほほほほと声を出さずにの笑顔ときたら、ワタシでもとろけました。
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