2023/01/07 - 2023/01/08
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鯨の味噌汁さん
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年明けの三連休、かーちゃんとふたりで関西に出かけることにした。年に一回、大阪に住む次女夫婦の顔を見に行く旅だ。ついでにテキトーに関西観光。
が、その前に。念のため、夫婦でPCR検査を受ける。(ヒマなの)
会場は浦和駅から5分ほど歩いた雑居ビルの2階。
狭い階段を上がって検査会場に案内される。
スマホを用意し、QRコードの指定されたサイトに飛び、住所やら生年月日を記入。「送信」ボタンを押すと、すぐに「クジラさーーーん」と名前を呼ばれる。早いな。
で、蓋つきのプラスチック管を渡される。
「この線まで唾液をためてください、泡はダメです」
個別ブースに移動して、頑張ってツバを口の中に貯める。
だがしかし、枯れかけのジジイなので、なかなかツバが出てこん。
やむなくスマホで梅干の画像を探し、それをジッと見つめ、ツバが浮かぶのを待つ。
ジジイが無理にオツユを出すって色々としんどいのである。(下ネタになりそうですが大丈夫です)
それでも何とかサンプルを提出し、お役御免。
トントンと雑居ビルの階段を降り、下でかーちゃんを待つ。
10分ほど待ってかーちゃんが降りてくる。
「時間かかったねぇ」
すると哀しげにうつむき、
「ダメ出しされました」
なんやそら。
「ツバの半分以上がアワなのでやり直しと!!」
ええい、ドンくさいやっちゃ。
結果は当日夜に判明する。お知らせはショートメール。
もしどちらかでも陽性だったら、関西旅行がパーである。
「キミが陽性の確率が高いよなぁ」
「オッサン陽性、あたし陰性でしょう」
お互い好きなこと言ってる。
家に戻り、洗濯物を取り入れ、コタツでウトウトしてると
「ちゃらららーん」
ワシのスマホにショートメールの着信音。
かつてこれほどまでに緊張するショートメールがあっただろうか。いやない。(反語)
シュタッとスマホを開き確認。
[PCR検査センターからお知らせです。検査結果は「陰性(-)でした。]
「わはははははーーーーザマーミロ、ワシ陰性だもんね」
かーちゃんが口惜しそうに画面をのぞき込む。
「あとはキミだけだ、むひょひょー」
すると彼女のスマホがピコピコする。キタキタキタキター。
「あたしも陰性!」
なんだつまらん、と罵倒し合う。だがしかし、これで堂々と関西に行ける。
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 新幹線 私鉄
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行なし)
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で、三連休当日。
東京駅で弁当を買うが、品川までで食い終わってしまう。毎度のことではあるが遺憾である。
新大阪で地下鉄に乗換。ホテルは淀屋橋に取った。
夜は梅田のお好み焼き屋で次女夫婦と飲み会なのだが、それまでじゃっかん時間がある。
彼女は「適塾跡」なんぞを見に出ていったが、ワシはホテルのサウナで時間を潰す。(何しに来た)
いい具合に乾燥し、日没後、次女夫妻との飲み会へ。ふたりとも元気そうだった。平日は忙しく働き、週末はスポーツ観戦だそうな。結婚して4年、まだペタペタ仲が良さそうだ、おまえら新婚か。 -
翌日曜、高野山を目指すことにする。(⇒朝メシを食い終わってから決めた)
中学校の歴史で、空海が高野山金剛峯寺、最澄が比叡山延暦寺、なんて習った。いわゆる密教ってヤツですね。
ナウな唐の仏教が日本に輸入された時代。空海も最澄も、遣唐使船に乗って大唐の都・長安を目指した。
仏教がインドで発生し、シルクロードを経由して奈良までやってきたルートは過去に歩いているから、今回は日本の密教の足跡を見物するのもよかろう。
そういえば司馬遼太郎「空海の風景」もワケワカランまま頑張って読破したし。内容は8-10%(消費税相当)しか理解しなかったが。
地下鉄御堂筋線をなんばで南海に乗り換え、ひたすら南下。
堺を過ぎ、河内長野を越えたあたりで山峡に入る。左右の山が迫り、トンネルが増えてくる。 -
やがて、県境を越えて和歌山県。橋本で二両編成に乗換え。
ここからは山越えだ。電車は苦しそうな音を立てながら山塊に這いこんで行く。
線路脇の段々畑に梅林が目立ってくる。紀伊は梅の国なのである。
勾配がきつい。ほとんど山岳鉄道だ。叡山電車と似ている。宗教のお山に向かう鉄道は、どちらも過酷な勾配を電車に課すらしい。いずれも切り通し・手掘りのトンネル・急勾配がフルに揃う。 -
極楽橋、というありがたい名前の駅でケーブルカーに乗換え。同じ南海の経営なので改札はない。
するとケーブルカーの向かい席に、でかいスーツケースを引っ張ったアンちゃんが座った。180センチ80キロ(推定)、きれいな坊主頭に野球帽。
高野山には高校があり野球部もあるから、そこの生徒だろうと見当をつける。バットケースは持ってないからピッチャーだろう。
「野球部かい?」
隣席のよしみで声をかける。
「いえ、修行の身です」
野球部ではなく、本職の僧侶だった。正月休みを終えて、西宮から高野山に戻って来たところだそうな。
今は3年目で、まだ1年修行が続くという。
修行は厳しいけれど、いいお師匠さんについて勉強できるのは幸せです、なんてことをゆうていた。 -
でもってケーブルカーを降りたら、道路わきには雪が積もっていた。めたくそ寒い。
乗り継いだバスのアナウンスによると、高野山は標高900メートルだという。そうゆう話はもっと早く言え。
ももしきや ふるき破れてケツが出て 雪の高野に陳子縮まる
思わず吟ずる鯨である。(ぱくり) -
だがしかし、もう来てしまったんだから諦めて観光するしかない。
とはいえ歩き回るには寒すぎるので、金剛峯寺だけ見物することにし、残りは潔くパスすることにする。(何しに来た×2)
1000円払って中に入ると、空海の足跡が部屋ごとに襖絵や屏風絵で再現されていた。
遣唐使船で唐入り。長安での修行。帰国して山での修行。高野山の開山。なかなか楽しい。
でもって描いているのは「狩野なんちゃら」とか「雪舟」とか、日本史の教科書に載ってるような方々である。さすが拝観料1000円だ。 -
ちなみに最澄と空海は同じ回に遣唐使船に乗っている。
最澄はすでにしてエリート官僧だったが、空海は大学寮を飛び出して山野で修行をしていたから、いわば「通訳」の身分であった。
ちなみに「大学寮」は今でいう国家公務員養成機関で、戦前の東京帝国大学みたいなものである。
なんで空海がその大学寮を飛び出したのかは知らない。そのまま行けば高級官僚としての春秋が待っていただろうに。
当時の遣唐使船は文字通り「命がけ」だった。紙ヒコーキを小川のこちらから対岸へひょいと飛ばすようなもので、無事に対岸につけば儲けもの。ひとたび嵐に遭えば簡単に遭難した。
五島列島や対馬に流れ着くのはまだいいほうで、難破して100人中生還者5人、なんて話がゴロゴロとあった。蕃夷の地に漂着し首ちょんぱ、生き残りは捕虜、なんて話もあった。 -
空海の船も遭難し、流されて福州沿岸に漂着。そこで空海は中国語がペラペラ、書も超一級だったため「物凄いヤツがいる」と唐で有名になったそうな。同時に遣唐使の間でも名声が高まった。
大陸に行ったことがない空海が、なぜ中国語ペラだったのか。
きっとおそらく、当時NOVAがすでに駅前留学をやっており、若き空海はそこで学んだ…というのはもちろんウソで、大学寮には音博士(おんはかせ)という教官がいて、経文を漢語で読むことを教授しており、天才・空海はなんなく中国語の発音を会得していたらしい。 -
金剛峯寺を見物した後は、甘味茶屋に潜り込んでぜんざいなど食ってあったまる。あー極楽極楽。(何しに来た×3)
帰りは(もう帰るんかい)、なんば行きの特急「こうや」に乗り込んで爆睡。
終点のなんば駅でスマホで特急を撮ってたら、見るからに鉄オタのお兄さんが
「おふたり、撮ってあげます」
なんて言いながら撮影してくれた。難波の鉄ちゃんは優しいぞ。 -
ちょっとだけ町を歩き、グリコの前でバンザイなどしてみる。(ワシが強制したのではなく自発的にやった)
それからホテルに戻ってサウナに飛び込み、1時間粘って汗をかいたら、ようやく体から寒気が消えた。
大阪までサウナに入りに来たようなものである。(何しに…以下略) -
夜は梅田に繰り出し、串揚げ屋にもぐりこんで乾杯した。
初日お好み焼き、二日目串揚げであって、あくまでベタな大阪の夜だった。
今回の教訓は
1.「寒い時期に寒いところに行ってはいけない」
2.「粉ものと串揚げを二日続けて食ってはいけない」
ふたりともデブになって浦和へ帰っていったのである。
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この旅行記へのコメント (4)
-
- きなこさん 2024/02/24 16:00:32
- 空海
- こんにちは
空海は大学寮を飛び出したんですか?
関連があるのか無いのか分からないんですが、大阪で言う「知らんけど」ですが
空海のお母様が「女人高野」と呼ばれる「慈尊院」に暮らしておられて、空海は母恋しで毎晩山野を走って会いに来られてた、とお寺の方から聞いたことがあります。
きなこ
- 鯨の味噌汁さん からの返信 2024/02/25 11:38:45
- Re: 空海
- 「大学寮」は「官僚育成機関」で、身分の高い一族の中から秀才が集まる機関だったのでしょうね。なんでそこを辞めちゃったのかは誰にもわからなんじゃないかと。最初から宗教家を目指していたわけではないんですね。お母さんは実際に空海が出世してから近くに住んでいたらしいです。
-
- mistralさん 2023/01/17 19:05:42
- 冬の高野山
- 鯨さん
こんばんは。
今年もよろしくおねがいします。
高野山、寒いんですよね。
雪も降ったようですし。
風邪をひかれませんでしたか。
大阪から日帰りで行ってこられたんですね。
すごいスピード感溢れる旅でしたね。
旅の内容は別にしても、鯨さんのコメントは相変わらず軽快で
歴史上の解説も素晴らしくて、なるほどなるほどと
頷きながら拝見しました。
今年もワクワクさせられるような旅を!
mistral
- 鯨の味噌汁さん からの返信 2023/01/18 09:00:43
- RE: 冬の高野山
- mistralさん
いつもあたたかいお手紙ありがとうございます。
中身が薄いっす。
そらそうだ、行って帰ってきただけですものねぇ。
ワシの悪いクセで、たどり着いただけで満足しちゃう。
金剛峯寺も外から見ただけで満足。入らなくても良かったかなと。
同じ山の中でも、比叡山延暦寺は都の近くだけど、ここは遠いのね。
最澄は戦略的に選んだろうけど、空海は迷い込んだんじゃなかろうか。
そのせいで焼き討ちにも遭わなかったのかしら、なんて考えてました。
あと、シチリア行った時に「日本には山上に町を作る文化はない」と思ったけど、高野山や比叡山はそれに当たるんだなと。両方とも都市国家みたいなもんですものね。
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