2022/10/06 - 2022/10/09
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montarouさん
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2022年の10月3日から31日のかけて、カラコルム山脈のスカルドゥ、マチュルー、カプル―、ギルギット、フンザ、パスー、タリシングなどを訪れ、その後ラホールやイスラマバード辺りも見物した。ここではマチュルーについて記す。
一般的注意として、ギルギットとスカルドゥ以外の山間部の発電機のない宿では、給電が夜間だけで、一時停電や全日停電もあった。大半の宿にWiFiがあったが、非常に遅い。なおタクシー等によるボッタクリに注意。
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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マチュルー(Machlu)行きの10時発の公共バンはグーグルマップに記載のないJail Garh Bus Stop(35.2858, 75.6655)(写真)から出る。昨日に予約し、今日10月6日は、朝の9時にバス停に行って800Rs(550円ほど)を払い、荷物を預け、バンの到着を待った。今日は雲が多く、風が強い。
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このバス停の周囲には、商店と主に果物屋の露店が並んでいた。靴屋もあるが、古い古い靴を丁寧に繕っていた。私はパキスタンから帰国前に荷物を機内に持ち込める7㎏以下にするため、わずか5mmほどのほころびが出来たトレッキングシューズを空港で捨てた事を反省します。
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公共バンは11時近くなってからバス停に着いて、人と荷物を降ろし始めた。この辺りで見るほぼすべての公共バンがトヨタ製の古い中古車で、日本では元々10人乗りと思うが、運転席の後ろ3列から、4列に改修、通路に折り畳み椅子を置き1列4人、運転席は3人掛け、これで19人乗りだが、さらに子供を押し込み、通常二十人以上を乗せ、時には車外に5人近く乗ることもあり、本来の定員の2倍以上が普通である。ただ、女性の場合、人数によるが、前の1~2列は必ず女性だけが座る席で、男女を分けるだけでなく、女性を優遇する文化が、この地方の常識であった。
ここで満員の人を下ろし、屋根上の山のような荷物を下ろし、なお残っている荷物を配送するため、車は直ぐに出て行った。帰って来て、また山のように荷物を積み、人を押し込み、出発は12時近くになった。公共バンは真に地方と町を繋ぐ人と物流の主動脈である。インダス川沿いの道路の両岸は草木の生えていない岩山と荒地で、谷の扇状地や、水を引いた平坦地以外に緑はなかった。 -
スカルドゥを出て1時間余りで小さな集落のレストランの前で止まって昼食休憩。道路沿いは真直ぐなポプラ、後ろは標高4千~5千mまで続く急な崖が普通の風景だ。
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レストランに入ってみたが、写真メニューが無いので何を注文するか困り、客が食べていた蒸し上げごはんのようなもの(後で調べたらプラオかビリヤニ?)を頼んだ。結構美味しい。野菜が付いてきたので、生は食べないように注意した。近くで家を建てている所があり、曲がった支柱は、コンクリート入れると木枠が下がるので、支柱を叩いて木枠を水平に保つのだと言う。
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昼食休憩は半時間ほどで、出発した。この先は穏やか地形で、川原の白砂が美しい。
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スカルドゥとカプルーの中間ほどに検問所があり、e-ビザとパスポートを見せるだけのチェックを受けた。注意として検問所でe-ビやパスポートのコピーを取り上げる検問所があり、特にイスラマバード行きのNATCOバスはe-ビとパスポートのコピーを各12枚ずつ要求し、返してくれない!公共バンは3時半になってカプルー(Khaplu)に到着した。ここはスカルドゥの上流で最大の町で、さすがに賑やかだ。
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公共バンはカプルーの途中までに数人と少しの荷物を降ろしたが、ここではかなりの量の荷物と客を降ろし、また荷物を積み込み、再度出発した。インダス川を渡るサリング橋(Saling Bridge)の手前から、今回の第一目的のハリデ針峰群(Haldi Cones)が見えてきた。橋の手前は、写真の右下の素掘りの半トンネルのような、落石の心配な道だった。
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カラコルム山塊に針峰群は幾つかあるようだが、アクセスが容易で有名なのは、ここ以外にはパスーのTupopdan山群 (別名Passu Cathedral)である。サリング橋を渡ると、ひどいデコボコ道で、さらに岩が落ちてきそうな道を走り、マチュルーを越えて、マチュルーとタリス(Talis)中間にあるゲストハウスの前で降ろしてもらった。到着は5時近くで、ここの標高は2700mである。木の間が宿。
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この公共バンはどこまで行くか知らないが、荷物と人を乗せたまま上流に走り去った。運転手は朝の暗い内から、お金の勘定、荷物の集荷と配送、人や乗り降りのすべてを一人の頭脳で差配し、危険な悪路の細道を、高速で長距離を走行し、夕方の暗くなるまで、休みなく動き回っている。日本では労働基準法違反だが、今の日本人には、この1/3も働けないだろう。
ゲストハウスの入り口で管理人と客のスペイン人の若者が待っていた。このスペイン人とは、半月ほど後になってナンガパルバットの麓で再会した。このゲストハウスは2階建てだが、客室は一階に3つだけで、左半分は厨房など管理人の部分、2階は宴会場のような大広間とシャワー室とトイレだけ。宿の管理人は一人だが、毎晩若者が数人集まって、公民館のようでもあり、集落の祝い事などに使っているような感じか? 建物はスペイン人が建てたというが、その理由は聞かなかった。給電は夕方だけであるが、ソーラー発電をバッテリーに貯め、夜間の照明に使っている。それでもヘッドライトは必須だ。WiFiはあるが、非常に遅く、次の宿を予約するのに苦労した。管理人はイスラマバードで日本人と働いたことがあると言い、少し日本語ができるが、十分な意思疎通はできない。
6日の夜からハリデ針峰群に雪が降って、7日の朝には好天になり、針峰群は予想を超えた綺麗さだ。写真の建物は、宿の前の学校で、黄色いポプラの風情も最高だ。 -
今日7日は、マチュルーやタリスの散策の予定だ。朝は家畜の放牧から始まるようだ。多いのはヤギ、次いで牛で、羊は多くない。
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朝食後、スカルドゥで買ってきたマンゴージュースと乾燥食を持って、マチュルー村の入り口に向かった。メインロードを歩いて5分ほど下ると、日当たりの良い畑の石垣の前で、羊の毛を刈る人がいた。平和そのもの、ほのぼのである。
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この辺りは石垣で平らにした段々畑ばかりで、石垣の多さ、その高さには驚いた。またハリデ山群の左端の鋭い三角峰は標高6千mに少し足りないようだが、ここから見える範囲の標高差でさえ2千m以上で、マッターホルン北壁の2倍もある。この山の裏(北側)の標高差はマッターホルン北壁と同じほどの標高差で、登った人も数人いると聞いた。
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少し下ると、フーシェ(ハッシェ、Hushe)谷の広い川原が見えて来て、そこに平坦で広い耕地があることが分かった。そこのポプラは川岸から離れるほど高くなることから、時には洪水被害があるようだ。
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ここでは急斜面を段々に刻み、雨による表土流出を防ぎながら、時々水を入れてアプリコットの木を育てる。古くからの経験から生まれた知恵だろう。
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さらに少し下ると、道路端でアプリコットの種を乾燥、選別している女性に呼び止められ、種を頂いた。作業自体を見ても面白かったが、ここはイスラム教徒の世界で、女性の写真撮影は厳禁、私は手だけ写した。美味しかったので、後に宿に1㎏を頼んだ。
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種を食べながら村の入り口まで下り、良く使われる撮影ポイントで、モスクと民家とハリデ針峰群の写真を撮った。
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マチュルーの入り口では、村人が道路の修復を行っていて、大きな岩を長いバール1本で動かすのを見て驚いた。力もあるが、このような技能を使い、畑から岩を移動し、石垣を築いて、畑やアプリコットの果樹を育て、生きてきたのだと実感した。
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マチュルー谷は涸れ川で、川に沿う自動車道を登って行くと、斜面を掘った大きな溜池があった。しかし、それを使っているようには見えなかった。標高2900m余りまで登ってから、そこから戻り、右岸の横道に入ると、家並みが増え、小さな商店もあり、鳥の血を抜く堀?もあった。
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鳥を集める車も通ったが、そこの鳥は生きていたが、毛がむしられ、裸であった。冷蔵庫がないので、活かして輸送し、売買するのだ。
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そこを越えると、モスクに達した。立派なモスクではないが、私のような不信心者には近寄りがたい雰囲気があり、バチを恐れ近づかなかった。
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モスク横の坂を登ると、土を運んできて土ブロックを作っているところがあった。山が高いため、谷間の雨量は少ないので、土のブロックも広く使われている。
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歩いた範囲はマチュルーの上部だったが、商店がわずかにあるだけでATMはみなかった。この道は宿への自動車道に繋がり、宿の前を越えてタリスに向かった。タリスへの途中の道は眺めが良い。
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ポプラの木の布が巻き付けてあるのは、木の皮を羊やヤギにかじられ、木が枯れるのを防ぐためだ。ポプラは重要な建築材料で、大切に育てていることが分かる。
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途中で公共バンに会ったが、車上には鶏が入った檻、その上に4人、車の後の立ち乗りが一人、車内は満員なのだろう。
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タリスは小さな集落で、遠望の風景はきれいだ。
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フーシェ谷の奥の高山群も見える。
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畑もポプラの風景も、南側の雪山も望める。
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村に入ると、子供たちが群がってきた。マチュルーとタリスの距離は2~3㎞であるが、マチュルーの子供は外国人に慣れているが、タリスでは外国人が珍しいようだが、7~8人が“マニ”と手を出して、金を求めてきた。マチュルーでも集団ではなく個々の数人に、“マニ”と言われたことがあったが、その内の一人は肥料用に牛の糞を集めていた女の子だった。また宿の管理人に食事をもらっていた老人も見た。国の貧困扶助はないようだが、村社会に飢え死にしない程度の扶助があるのだろう。
マチュルーの谷は涸れ川だったが、タリスの村の端の川には橋があって、その川には勢い良く水が流れていた。涸れ川のマチュルーの人口が多いが、木や畑に水をやったり、泥やコンクリートブロックを造るほど水に余裕がある。 -
奇妙に思って、宿に帰って管理人に聞くと、マチュルーの川上に氷河はないが、タリスの上の山には氷河があり、水が豊富だと言う。そして数年前にマチュルーはタリスに水を分けてくれと申し出て、拒否され、争いになり、人口の多いマチュルーが勝って水路を引いたと言う。水の余っている所は、足りない所に分け与えるべきだが、結局は力に物を言わせ水を引くというのは、世界の縮図その物だ。遺恨が残らなければと祈る。
ここでは明け方の給電がないため、朝食は早くないが、その前に管理人が、階段の窓からマッシャーブルム(Masherbrum)が見えると言う。マッシャーブルムの標高は7821mで高さは世界22位で、古くはK1(Kはカラコルムの1番目の山)と発表されていた有名な山である。 -
世界2位の高峰のK2は、人の住む集落から見えず、他方ナンガパルバットは余りに平野に近く、強烈な怖さがある。マッシャーブルムの奥深く直線的なフーシェ(Hushe)谷の突き当りに聳えている。近すぎず奥ゆかしく、貴婦人と言われるにふさわしく、カラコルム一番目の高峰としたのだろう。ちなみにフンザの眼前の、多重三角形に見えるラカポシ7788m(世界27位の高峰)はカラコルムの帝王と言われる。マッシャーブルムを見るには、道路の反対側の学校の裏側からの眺望が最高であった。
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K2が見えるなら見たいと思って、管理人に話すと、マチュロ・ラ(Machulo La)が良いと言う。マチュロ・ラはマチュルーの川を登った標高5千mの稜線上で、2泊3日の行程で行く。後日ナンガパルバットの麓で会ったイギリス人が登ったが、K2は雲で見えなかったと言っていた。私は4千m前後まで登れば、K2の頭が見えると推測していたので、管理人に聞くと、マチュルー川沿いに4千m余りまで登り、急な右岸の道でトラバースし、4200mのコルに登れば見えると言う。登り片道6時間と言う。昨日、途中まで車で行けるのを確認したが、1日で2700mから標高差1500mの往復は苦痛である。しかも到着は午後で雲が出やすい。私は宿から西の稜線を3800mくらいまで登れば、周囲の山も見えるだろうし、幸運ならK2も見えるかも?と実行したが、これは大失敗であった。
朝、宿の西の急な石積段々畑を高差百mほど登ると、石積で区切ってある広々とした緩やかな放牧地になる。その先は氷河モレーンの崖が崩れたような急斜面で登行は危険そうで、緩やかに見えた左端まで、涸れた水路を辿り、それから登りだした。途中から踏み跡が現れ、踏み跡の尾根状のところを選んで登った。しかし時間を掛けすぎで11時にやっと標高3000mだった。 -
その後も踏み跡を辿りながら登ると、予期せぬ尾根筋に出た。先に進むためには、高度差百m近くを下り、また5百m以上も登らねばならない。あきらめてこの小尾根の頂上の標高3280mまで登って、2時過ぎで、登る事をお仕舞にした
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危険な崖が続いたとは言え、1時間で高度差百mしか登っていない。そこから見える西南側の山々は、入域許可がないと入れないインドと国境紛争地帯である。
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周囲の眺望は乏しく、マッシャーブルムも半分しか見えない。ハリデ針峰群の風景も大きくは変化しなかった。
夕食時に管理人に、明日チェックアウトだが、マチュルーからカプルー(Khaplu)まで1時間ほどなので、ここからKhorkondus の高温の温泉を経由して、カプルー行くにいきたい。カプルーからよりマチュルーの上流の橋を渡って温泉に行く方が近いので、温泉経由でカプルーに送ってくれる車を斡旋してくれないかと頼んだ。すると管理人は、そこに行くには軍の許可証が必要で、ヤウチャング(Youchung)検問所に行けば取れると言う。それで明日の早朝の暗い内にカプルーに行く車を拾い、カプルーで車をチャーターし、検問所で許可証を取って、温泉に行こうと決意した。そして早く寝た。
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