2022/08/20 - 2022/08/23
785位(同エリア927件中)
あるさん
夏に、「平泉~象潟」間の「おくのほそ道」を旅してきました。皆様の旅の参考になれば幸いです。
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7時56分東京駅発の東北新幹線に乗り、一ノ関駅で東北本線に乗り換え、10時23分に平泉駅に到着しました。
一ノ関から平泉の距離は2里(8キロ)で、芭蕉一行は2時間ほどかけてこの道を歩いたと思われますが、現在は文明の力で電車で8分でアクセス可能です。 -
平泉駅を出てすぐ近くに、レンタサイクルがありました(写真左の建物)。今回は電動自転車(4時間700円)を借りて平泉を観光します。
なお「曾良旅日記」によると、芭蕉一行は、5月13日朝一ノ関を出発して、「巳の刻(午前10時)」平泉に到着、日中滞在の後、「申の上刻(午後3時40分)」に一ノ関に戻っています。平泉には10時~14時の4時間程度滞在をしたようで、ほぼ今回の自分の旅と同じような時間付けです。健脚芭蕉翁を333年後、電動自転車に乗った若者が同じ道を追いかける旅のスタートです笑 -
最初に、「平泉世界遺産ガイダンスセンター」に立ち寄りました。平泉についての知識がほとんどない自分も、非常にわかりやすく楽しい展示でした。
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センターの内部はこんな感じです。令和3年に開館したばかりで、施設はきれいですし、映像や体験型の展示も多く、小さいお子さんも楽しめる展示が多かったと思います。
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藤原泰衡の奥州合戦時の逃避行の地図が展示されていました。1189年、源頼朝に追われる泰衡は、平泉に火を放った後、秋田県大館市まで逃れていたんですね、知らなかったです。
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センターのすぐ横には堀があります。ここ、センターの北側のエリアは「柳之御所」と呼ばれ、奥州藤原氏の政治・行政の中心地があった所だと考えられているそうです。周囲を囲んでいたであろう堀は、現在南側の堀のみ復元されており、全体像の解明はこれからと解説にありました。
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平泉の地形図です。北は衣川、東は北上川、南は太田川が境界となっていて、西は金鶏山を始めとする山々が迫っており、平地はかなり限られていることがわかります。平泉を拠点にすることは、藤原氏にとって、大都市の形成ではなく、宗教的(または政治的)役割に主眼が置かれていたように感じられます。
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柳之御所遺跡は、写真のように整備されています。
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センターをさらに東に進み、「高館橋」から写真を撮りました。このところ雨が続いていたので、北上川はかなり水の勢いがありました。左の土手を越えたすぐ裏が柳之御所遺跡で、奥に見える少し突き出た山が高館です。
平泉は北上川による水害が多く、柳之御所も、昭和63年に大規模発掘調査が行われるまで、洪水ですでに遺跡は失われていたものと思われていたそうです。 -
センターから高館を目指す途中に、「無量光院跡」がありました。平泉の世界遺産は5つの構成資産からで登録されており、その一つです。3代秀衡が建立した寺院です。
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高館義経堂に到着しました。入山料は300円です。丘の下に駐車場があって自転車はそこに停めたのですが、自転車ならここまで上がれたようで、失敗しました…。
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高館頂上から北側を見た景色です。衣川が北上川に落ち入る景色、芭蕉が笠打敷きて俳句を詠んだのは、まさにこの景色を見ながらだったのではないかと思うと感慨深いです。
なお、この時「おくのほそ道」では「康衡等が旧跡」が北方の防備となっているように見える、とも書かれていますが、北側にそうした遺構はのこっておらず、謎となっています。しかし近年、大規模な居館跡の接待館遺跡の調査が進み、衣川の北側にも、当時市街地が広がっていたことが明らかになってきたそうです。当時、北側に見えるとある遺跡が、泰衡の旧跡として芭蕉に伝えられた可能性は否定できないと思います。 -
そしてありました、「夏草や 兵どもが 夢の跡」の句碑です。今回の旅では度々芭蕉の句碑が出てきますが、まず第一弾です笑 昔自分は、「兵」は義経は当然として、奥州藤原氏も含めた者たちのことを詠んだものと思い込んでいましたが、やはり前段をしっかり詠んで、この景色を見れば、芭蕉が「泪を落し」て詠んだ対象は、義経郎党のことなのだと確信できます。
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頂上に義経堂があります。中には義経の木造がありました。ちなみにこちらが建立されたのは、芭蕉が訪れる6年前の1683年です。古びて朽ちた義経堂に、芭蕉が哀愁を感じる絵を勝手に想像していましたが、きれいなお堂で地元でも話題のスポットをどれどれと尋ねる芭蕉一行を想像すると、印象が変わりますね笑
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高館には無料の資料館がありました(入山料は既に徴収されてますが笑)。一室のみであまり大きくない施設でした。
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高館に、何故か幕末の尊攘派志士である頼三樹三郎の詩碑がありました。ここを訪れた際の碑なので、あってもおかしくはないのかも知れませんが、ここを管理する毛越寺とどういった経緯があってここに設置されたのかは、調べてみましたがよく分かりませんでした。
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高館をおりて、中尊寺を目指す途中、弁慶の墓がありました。史実かどうかは別にして、有名な衣川の立ち往生はこの辺りが舞台なんですね。
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中尊寺の境内に入っていきます。こちらは表参道月見坂で、写真のとおり、軽い登山感がある道のりです。周囲は立派な杉の木が並んでいますが、中尊寺HPによると、これらは樹齢350年ほどで、江戸時代に仙台藩が行った大規模な植樹によるものだそうです。
とするとこの杉の木たちは、江戸時代に芭蕉一行を見ている訳ですよね。改めて感慨深いです。 -
入口から30分ほど歩いたところで、金色堂に到着しました。見えているのは金色堂を覆う覆堂ですが、この絵自体があまりにも有名ですね。内部は当然に素晴らしかったのですが、金色堂の解説と感想は他の方で大変素晴らしいものがたくさんあると思うので、割愛します笑
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金色堂横には「五月雨の 降りのこしてや 光堂」の句碑がありました。芭蕉が訪れた前日は強い雨が降っていたそうなので、雨の陰気が残る中、余計に光輝く光堂に対してコントラストの印象が強く残ったのではないでしょうか。
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写真は経堂です。ぱらぱらと雨が降ってきました…。
有名な話で恐縮ですが…、「曾良旅日記」では別当がいなくて経堂の中は見れなかったとあるのですが、「おくのほそ道」では芭蕉は経堂の中の3代のお経を見たような書きぶりです。これは「おくのほそ道」ではよくあることで、平泉の段では、狙って数詞を多く登場させており、「紀行文」においては「経堂の三将」とうワードを入れること自体に意味があった訳です。紀行文は事実の羅列ではなく、その文自体に詩的要素があることが多くの人を惹きつける要因となっています。 -
さらに進むと、覆堂がありました。これは1963年に現在の覆堂ができるまで、金色堂を覆っていた、いわば先代の覆堂です。芭蕉が訪れた際に見たのもこの覆堂と思われます。
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中尊寺を後にして、観自在王院にやってきました。2代基衡の妻が建立した寺院で、こちらも世界遺産です。池などが整備されていましたが、特段建物等の復元物がある訳ではありませんでした。
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続いて毛越寺に到着しました。ちなみに拝観料は中尊寺が800円で、こちらが700円。優しくこまめにボディーブローを入れてくる街、ヒライズミ。
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毛越寺内はとてもきれいでした。創建時のものは全て一度焼失しており、礎石などから往時を偲ぶしかありません。芭蕉一行が毛越寺に立ち寄らなかったのでは現代からすると意外な感もありますが、江戸期は今ほど整備もされていなかったため、今ほど外せないスポットという位置づけではなかったのだと思います。
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毛越寺の伽藍復元図です。山上にある中尊寺は焼失を免れましたが、平地にある毛越寺は争乱の被害から逃れることはできなかったのかもしれません。
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小雨が降ったりやんだりという天気でした。割と雨が多い「おくのほそ道」ですが、平泉での1日は天気が良かったようです。もし1日しかない中で、途中雨が降りすべての行程を周れていなかったら、あの有名な句たちが違うものになっていた可能性があると思うと、恐ろしく感じます。
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8月下旬にして、一部紅葉が始まっていました。東北の秋は早いですね。
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最後に、平泉文化遺産センターに立ち寄りました。先に述べたガイダンスセンターと役割が重複している感は否めず、こちらは時間がある場合のみ立ち寄れば十分だと思います。
ここまで電動自転車を飛ばして2時間半。「曾良旅日記」で記載の場所を芭蕉一行が4時間で全て見たとすると、かなり効率よいルートでないと、到底周れません。ルートは諸説あるようですが、例えば下記のようなルートであれば、ぎりぎり4時間で、巡って俳句詠んで、も可能ではないかと考えてみました笑
秀衡やしき(伽羅御所)→高館→桜山(束稲山)と金鶏山は遠景のみ→櫻川→衣ノ関→中尊寺(光堂のみ)→衣川→泉城→月山、白山は遠景のみ→無量光院 -
平泉駅前の「芭蕉館」さんで、わんこそば(2000円)をいただきました。平泉のわんこそばは、「盛り出し式」で、おかわり分がはじめからお椀に入った状態で出てきます。一人旅的にはこちらの方が恥ずかしくなくて嬉しかったです笑
15時10分平泉駅発の電車で、本日の宿泊地、古川駅に向かいます。 -
古川駅を初日の宿にしたのは、この吉野作造記念館があったからです!
芭蕉とは全く関係ありませんが、興味があるので仕方ないですね笑 入館料は500円、閉館ぎりぎりに駆け込みで見学させていただきました。大正デモクラシーの旗手、吉野先生は古川の出身だったんですね、勉強になりました。
夜は、宮城県ということで牛タンを食べて明日に備えました。明日は山を越えて、山形を目指します!
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