旅友と行く国内旅行（１２）東北・遠野の旅（前編）

8いいね！

2019/10/06 - 2019/10/09

3695位(同エリア6699件中)

エリア

岩手

旅行の満足度: 4.5

同行者: 友人

一人あたり費用: 3万円 - 5万円

交通手段: 自家用車

旅行の手配内容: 個別手配

　東北道の高速をひた走りに走ってまず着いたのは九戸城跡。正面に見える高台が九戸城の跡です。九戸城は続日本100名城にも選ばれています。現在は建築物は残っていませんが、かつては白鳥城と言う別名もあったと言う名城だったようです。

　その昔、九戸政実5,000人が籠る九戸城を豊臣勢60,000人が包囲しました。圧倒的な勢力差で蟻のはい出る隙間もなかったそうです。豊臣にへへーっと下った諸大名の軍勢は九戸城をぐるっと囲んで、その配置図も案内所に残っていました。
　もう十倍以上の圧倒的な兵力差なので籠城しても持たないことは一目瞭然です。写真の中に「現在地このへん」と書かれた地点がふたつ上の写真で私たちがいる地点です。そこからガイドさんの案内で城中から外回りまでぐるりと説明付きで案内して貰えました。
　久戸城は自然の要害部分が多く、写真のような切り立った崖がぐるりを囲んでいて容易に落とせる城ではなかたったそうです。確かにこの崖を登るのは困難な気がしますね。中に入れる大手門だけ強固に固めれば良いので、籠城する方に取っては守りやすい城だったようです。反対に攻め落とそうとする方は一筋縄では行かないのはこの絶壁を見れば想像できました。

　そこで九戸氏の菩提寺・鳳朝山長興寺の薩天和尚を九戸城に派遣し婦女子の命を助けるからと騙して降伏させたそうです。城主の一戸実富らは白装束姿にて降伏したと言いますが、助命の約束は反故にされて、城兵らは二の丸に押し込められ、女・子供構わず惨殺、撫で斬りにされたうえに、火をかけられました。酷い時代ですね～。武士の矜持も誇りもなにもあったもんじゃありません。例の坊主はどう責任を取ったのでしょうか？戦国時代としては、豊臣秀吉に反発した最後の乱と言うことです。これだけ容赦なく皆殺しにされたら、誰も挑もうとはしませんよね。見せしめの大虐殺は成功したんでしょう。

　ガイドのおば様は「ここに二の丸があって、なで切りにされたそうです」なんて説明してくれるので、かつては実際にここが虐殺の舞台になったのかと、おどろおどろしい空気を感じました。ところで「なで切り」という言葉、「なでて」と入ってるので優しさを感じそうですが、皆殺しの意味だそうですよ。怖いですねー、なで切り。
　青いジャンパーを着たボランティアのご婦人が私たちに付ききりでずっと解説してくれました。場内をくまなく案内してくれて、随所で詳しい説明をしてくれるので、入場料以上の価値がありますね。あれ？ここ無料だったろか？
　大手門を破られても城の中に更に堀があるので、容易に天守には近づけなかったようです。ボランティアのおば様は至る所で逐一説明してくれてます。歴史好きで百名城コレクターのＵさん大喜び。

　九戸城を後に市内に入っていくとまた城のような砦のような公園に着きました。この辺りは根城南部氏がおさめていたそうです。根城とは北奥羽地方を治める根の城と言う意味らしいですが、良く分かっていません。
　先ほどの九戸城は強者どもの夢の跡状態でしたが、ここは良く整備されていて完璧な公園でした。幾つもの建物が保存されていました。本物を保存してあるのか現代で作ったのかは分かりません。上の写真のような鳥瞰図や立体の配置図もありました。この公園、金掛かってるなーと思いました。
　鳥瞰図の写真、右に「入場口」と書いておきましたが、それが上の写真の場所です。この日は何かイベントがあって、それで沢山の人が出ていたようでした。
　大きな建物の中では殿様を囲んで会議を再現してるのでしょうか、それぞれの前にはお膳みたいのがあるので、何かの祝いでしょうかね。
　こちらは「二の間」と案内があるので、控えの間とか、そういったものでしょうか。

　ここは漫画の舞台となった所でした。その漫画のページが２枚、誇らしげに掲示されていました。吹き出しを読むと「戦だ！」「勝ち目はなくとも八戸武士の意地を見せつけて雄々しく死んでやる」なんて悲壮なキャプションが付いてますね。戦国時代は東北の地も過酷な運命に翻弄されてたんですね。
　場内には色んな小屋が点在していました。食料庫だったり武器製造だったり、こちらは鍛冶をするための工房です。馬小屋もありました。外にあったトイレは水洗でした。小川利用の水洗トイレじゃなくて現代の水洗トイレですよ。
　城のお宝を集めた部屋もありました。漆塗りの立派なテーブルや宝が入っていたらしい箱が展示されていたほか、生活用具の酒器や石臼などもありました。
　今晩のお宿は八戸の「ホテルセレクトイン」我々が泊まるんだから勿論ビジネスホテルです。ここから歩いて行ける所に屋台村の「みろく横町」があるのです。酒飲みの二人なので、屋台村は今回の旅で楽しみにしていた所です。
　さっそく八戸屋台村みろく横町へ繰り出しました。想像よりかは小振りでしたが、狭い通りに沢山の屋台が並んでいるので楽しくなります。屋台と言うより小さな店という感じかな。どこの店も飲食スペースの他に調理場もあるし本物の屋台とは違いますね。

　「どれにしようかな」と物色しながら歩いていると、おかみさんから愛想良く声が掛かったのでここんちにしました。小さなカウンターひとつには先客のお兄ちゃんが隅っこで一人飲んでいました。看板娘は可愛らしいアルバイトの女子大生でした。やっぱりこれだけ屋台が立ち並んでいる所では、看板娘は重要のようです。アルバイト代以上の集客効果があるでしょう。
　次は屋台村とは別の通りに引っ越して、屋台でない普通の居酒屋に入りました。かなりインパクトのある店先ですが、八戸ではこれが普通なんかな？
　ここんちには利き酒セットがあったので、ノータイムでお願いしました。３年前に奈良で飲んだ利き酒セットはお猪口の小ささに閉口しましたが、ここんちのはその倍はあるぐい飲みだったのでこれは満足。おまけにそれぞれの盃の前には手書きでお酒の名前まで書いてある親切さでした。こうしてくれると飲む方には「いま○○と言う酒を飲んでるんだ」と意識できるのでありがたいです。そうは思ってもその時だけで、次に同じ酒を飲んでも絶対に当てられませんが。
　私この飲み屋で酩酊してしまったのか、ここがスペインと勘違いしちゃいまして、壁に日本語が書かれていることに驚いてしまいました。「あっ、日本語あるよ日本語が」などと口走ってしまいました。二人は私が相当に酔ったものと思ったことでしょう。まぁそう思われても仕方ありませんが。
　また歩いてホテルに戻りました。飲み屋街が歩いていける距離にあるのは良いですね。今回もいつもと同じ、一人一部屋です。ビジネスホテルなので一般の旅館のように一緒の部屋にしてくれなんて言われないのが良いです。関西ではそう言われたこともあるので。

　少し長目になってきたので前後編に分割することにしました。翌日は三陸の種差海岸やＮＨＫの朝ドラ「あまちゃん」で脚光を浴びた久慈駅、この旅のメイン遠野と松島を旅します。