2022/03/27 - 2022/03/27
579位(同エリア2955件中)
のまどさん
やはり移動制限のあったロックダウン中、アール・ヌーヴォーの館めぐりは数少ない楽しみのひとつでした。図書館でCécile Duboisの『Bruxelles Art Nouveau』を借り、全行程制覇しました。文化財の大切さを痛感しました。今回はサン・ジョス地区の館を紹介します。
時を経て今年3月文化団体Banadが主催するアール・ヌーヴォー/アール・デコ祭りに参加して数軒内部を見学したのでその時の記録を投稿したいと思います。イベントは毎年開催され、常に公開されている有名な建築物から個人の邸宅として使われている館まで数多く見学できるので、私は毎回参加しています。
https://www.banad.brussels/en/
今回内部見学したのは自宅近くのソルヴェ図書館と福祉団体の施設として使われているゴヴァルツ邸。珍しく内部の撮影が可能だったので、ステンドグラスからドアノブまで写真に収めることができました。
久しぶりにBGMを付けておきます。ミーシャ・マイスキーの無伴奏チェロ組曲一番。全く館とは関係ありませんが、ステンドグラスに似つかわしいと思ったので。マイスキーはベルギー在住だと最近知りました。自身の経験から反戦の声を上げ、3月にチャリティコンサートを開いたようです。知ってたら行ったのに。
https://www.youtube.com/watch?v=mGQLXRTl3Z0
- 旅行の満足度
- 5.0
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散策開始です。はじめはシャルリエ美術館(Musée Charlier)。外面は地味ですが、中は古典絵画や家具が展示されたこじんまりとした美術館ですが、この時はロックダウンで中に入れず。
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続いて『4連の家』。この4軒全てレオン・スネイヤース(Léon Sneyers)初期のアール・ヌーヴォー作品。
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スネイヤースはポール・アンカーと幾何学主義から影響を受けたようです。4軒のうちこの邸宅が一番目を引きます。出窓が特徴的です。
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続いて認可されていないけどそれらしきと思われるこの邸宅。目を引くのは赤い窓枠とやはり三角形の出窓。
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またまた『3連の家』こちらはガストン・アヨワ(Gaston Hayois)作。竣工1912年とアール・ヌーヴォー後期なのでオルタの初期の作品のような前衛的な構想はなく、幾何学的な折衷主義だそうです。
ピンク色の2軒は線対称、左側のクリーム色の邸宅は城塞のようなデザインとのこと。 -
ドゥヴァルク邸(Maison Devalck)
1900年に建築家自身の母上のために建てられた。ステンドグラスがきらびやかで、今回見学する予定が日にちを間違えるという失態を犯しました。
ウワバミに「この中に入ることは一生叶わないと思うよ」と冷笑されましたが、いつか入ってやりますよ! -
非認定の邸宅その2。2階部分の出窓とその下のローマ風の支柱が重厚です。
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イチオシ
『建築家ミシェル・マイヤース(Michel Mayeres)の邸宅兼アトリエ』
これは強烈なファサード。今まで見てきた中で一番の衝撃。本には「気まぐれ」なデザインとあり、マイヤースは変人に違いないと思って検索したところ、この邸宅を設計したという記述以外ありませんでした。つまりは一発屋か。 -
アンリ・ヤコブ作『スカールベーク集合住宅(Foyer Schaerbeekois)』
今までアール・ヌーヴォーのアパートがあることは知りませんでした。個人住宅の流行をアパートにも取り入れたような印象を受けますが、おしゃれな雰囲気はありました。と言ってもこの時は工事中でしたが。 -
コンドネ旧ホテル(Ancien hôtel Cohn-Donnay)
ここは現在レストランになっています。地球の歩き方に載っていたような。https://www.ultiemehallucinatie.be/
蛇足ですがUltimate Hallucination「究極の幻想(毎度拙訳)」なる店名は何が由来なのか。 -
時を経て2022年3月。
のまど宅から徒歩5分の『ソルヴェ図書館』。Banadのツアーで中に入りました。外装はこれと言ったアール・ヌーヴォーの特徴はないので、ガイドさんの説明はもっぱら所在地のレオポルド公園の成り立ちでした。この辺りは富裕層の住宅街だったため現在の官庁街に移行しやすかったとか、公園内にある不思議なダチョウの群像は昔動物園だった跡という居住者として知っておくべきことを聞きました。 -
肝心なのは図書館の中です。撮影禁止なので中の様子はサイトからどうぞ。
http://www.edificio.be/en/solvay-library/
イベントに使われ、あのアインシュタインも来たというのが売りです。 -
さて、今回の目玉ゴヴァルツ邸に入ります。ガイドはフラマン人(=オランダ語系ベルギー人)の若い女性で情熱ほとばしるオタク。期待できます。
外観は線対称でこのシリーズに共通する出窓があり典雅ですが、アール・ヌーヴォー色が弱いのは1864年にネオ・ゴシック様式で建てられたものを内部改装したからのようです。 -
この館は公共施設として使われているので珍しく内部の撮影が可能なので嬉しい限りです。
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通りに面した居間はバロック風。建築家の自宅への意気込みを感じます。シャンデリアが豪華です。
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凝っているのはドアノブ。全部屋で異なるデザイン。
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隣接した客間は外装と同じネオ・ゴシック。このシャンデリアも居間のと違うデザイン。
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そして、アール・ヌーヴォーのダイニング。天井の葉のモチーフなど生命の躍動が感じられます。
この施設は社会福祉団体が所有していて、高齢者がここで食事をしたりするそうです。利用者も居心地がいいと思うし、建物が健全に利用されているのは嬉しいです。 -
イチオシ
庭に面したサンルームから撮影した三間。光の差し方が芸術的です。サンルームは冬の短い日照時間の中でも光を取り入れようとして当時流行った技法でした。採光はオルタなど他のアール・ヌーヴォー建築家も創意工夫を凝らしました。
ベルギーのアール・ヌーヴォーを生んだのがベルギー人曰く当時大英帝国にも迫る勢いだった経済的成長(←まゆつば)と自然回復思想で、それを育んだ要素の一つに今でも誰しもがぼやく悪天候があったのです!ベルギー、万歳!! -
ドアに設置されたステンドグラス。モチーフはブリュッセルの市花アイリスかな。きれいだけど、開放禁止の表示が残念。
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続いて2階。やはりこのステンドグラスをみんな撮影します。館は一時期野放しにされていたので改装したようですが、これは現物だそうです。
アール・ヌーヴォーの主役は個人邸宅、その肝はステンドグラスにありというのが持論です。 -
ゴヴァーツ氏の寝室だった部屋は装飾天井が現存し、その下には館に滞在していた作曲家と女優の人形。何だか滑稽。
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大理石のマントルピース。ギリシア神話をモチーフにしていてアール・デコ調。「このマントルピースは邸宅が作られた時にあったのですか?」との見学者の質問に対してガイドが「いい質問ですね。残念ながらはっきりとしていません」と。
オタク、万歳。 -
裏庭の景色はブリュッセルではよくあるものですが、ステンドグラスがあるとやはり一味違います。
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イチオシ
階段を降りた後、振り返って。やはりずっと見ていたくなります。アール・ヌーヴォーの館は中に入れるところは多いですが大多数が撮影禁止なので、自由に撮影できるのがありがたかったです。ガイドの説明も充実していたので大満足。
Banadのツアー、来年も楽しみにしています。
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この旅行記へのコメント (2)
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- jijidarumaさん 2022/06/24 19:12:46
- アール・ヌーヴォーのステンドグラス
- のまどさん、
今晩は。お元気そうで、何よりです。
お好きなアール・ヌーヴォーの館巡り、楽しまれた様子、結構ですね。
最初の建物群、印象が暗かったので、後半のゴヴァルツ邸にきて、納得しました。
<アール・ヌーヴォーの主役は個人邸宅、その肝はステンドグラスにありというのが持論です>
ご尤もで、日常的にこうしたものを見る機会がある事に、羨ましく思います。
当方は千葉の近郊巡り、マーそれなりの面白さがありますけど(笑)。
それではまた。
jijidaruma
- のまどさん からの返信 2022/06/27 05:48:51
- Re: アール・ヌーヴォーのステンドグラス
- jijidarumaさん、こんばんは。
外出先のネット環境がいまひとつだったため、お返事が遅くなってごめんなさい。
>最初の建物群、印象が暗かったので、後半のゴヴァルツ邸にきて、納得しました。
散策は毎週冬の午後だったので、日没と行程完了が競うような時間になってしまいました。もっともアール・ヌーヴォーの主要な名所は既にブログで書いたので今後も書くとすればマイナーな個人邸宅に限定されると思います。
>当方は千葉の近郊巡り、マーそれなりの面白さがありますけど(笑)。
遠方に出かけることが躊躇われるようになって久しいですね。jijidarumaさんの日本の旅行記、毎度楽しく拝見させていただいています。丹念に調べられているのでしょうが、博学が伺えます。ご出生地の青梅の旅行記が印象深かったです。
それではまた。
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