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坂の上の雲』は、司馬遼太郎の歴史小説。明治維新を成功させて近代国家として歩み出し、日露戦争勝利に至るまでの勃興期の明治日本を描く。<br />司馬の代表作の一つとして広く知られ、長編作品としては初めての近代物である。維新を経て新国家に生まれ変わった日本が、欧米列強にさかんに学びながら近代国家としての体制を整えてゆき、日清戦争など幾多の困難を乗り越えて、ついには日露戦争においてロシア帝国を破るまでを扱う。<br />旧伊予国(愛媛県)松山出身で、日本陸軍における騎兵部隊の創設者である秋山好古、その実弟で海軍における海戦戦術の創案者である秋山真之、真之の親友で明治の文学史に大きな足跡を残した俳人正岡子規の3人を主人公に、彼らの人生を辿りながら物語が進行する。<br /><br />司馬は本作において、明治維新から日露戦争までの三十余年を「これほど楽天的な時代はない」と評している。近代化によって日本史上初めて国民国家が成立し、「庶民が国家というものにはじめて参加しえた集団的感動の時代」の中、秋山兄弟や子規に代表される若者達は新興国家の成長期に青春時代を送り、「個人の栄達が国家の利益と合致する昂揚の時代」 に自らが国家を担う気概を持ち、その意識を疑うこともなく政治・軍事・学問など各々の専門分野において邁進したと述べている。タイトルの『坂の上の雲』とは坂の上の天に輝く一朶の雲を目指して一心に歩むが如き当時の時代的昂揚感を表したもので、日露戦争とは官から民の端々までがそういった「国家が至上の正義でありロマンティシズムの源泉であった時代」 の情熱の下に一体となって遂行された国民戦争であり、「国家の重さに対する無邪気な随従心をもった時代におこなわれ、その随従心の上にのみ成立した」 としている。また、本作の舞台となる日清・日露戦争期は戦争が多分に愛国的感情の発露として考えられており、帝国主義が悪であるという国際常識が無く、そうした価値観が後世とはまったく異なっていたことに留意するよう繰り返し著している<br />2007年(平成19年)春には、3人の主人公達の故郷である愛媛県松山市に『坂の上の雲ミュージアム』が開館した。<br /><br />まことに小さな国が、開化期をむかえようとしている。<br />明治維新を成功させ、近代国家として生まれ変わった極東の小国・日本。時に世界は帝国主義の嵐が吹き荒れ、極東の端に位置するこの国も西洋列強の脅威から無縁ではなかったが、しかし逆境の中にありながらこの誕生したばかりの小国には亡国の悲愴さを吹き払う壮気があった。近代化を遂げて史上初めて「国民国家」となったこの国は、民族が一体となるその昂揚感の下で国民の端々までもが列強に伍する強国への飛躍を夢見て邁進していた。殊に維新の成立と同時期に生を受け、新興国家の青春時代に自らの青春を重ねる若者達は、一人一人が国家の興亡を担わんという客気を胸に成長した。旧伊予国松山出身の三人の若者も、同様の気概を抱いて世に出ようとしていた。陸軍に入り、騎兵部隊の創設に生涯をかけることを誓った秋山好古。好古の弟で海軍に入り、海戦戦術の開拓に人生を捧げる決意をした秋山真之。そして真之の親友で文芸の道に入り、俳句・短歌といった伝統文芸の近代化を目指さんとする正岡子規。彼らもまた多くの若者達と同様の志を持ち、さながら坂の上の青い天に輝く一朶の白い雲を目指すが如く、昂揚の時代の中でその一歩を踏み出そうとしていた。<br />日露戦争の戦勝は黒船来航以来日本を突き動かしてきたエネルギーの到達点であったが、あるいはあの日本海の海戦を頂点として、開国以来この国を支え続けてきた何事かが終焉を迎えたのかもしれない。好古に騎兵隊を作らせ、真之に海戦戦術を創始させ、子規に文芸改革をさせた時代、そして日本人全体を突き動かして白人の大国に対して奇跡の勝利を成させしめた昂揚の時代は、あの海戦を最後に幕を下ろしたのであろうか。<br />極東の小国が「坂の上の雲」を目指して歩み続けた時代は、日本海の砲煙の消失とともに終わりを告げたのかもしれない。<br />(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用)<br /><br />坂の上の雲ミュージアム については・・<br />https://www.sakanouenokumomuseum.jp/<br />

松山‐7 坂の上の雲ミュージアム 見学 ☆日露戦争まで「これほど楽天的な時代はない」と

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2022/01/19 - 2022/01/19

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マキタン2

マキタン2さん

坂の上の雲』は、司馬遼太郎の歴史小説。明治維新を成功させて近代国家として歩み出し、日露戦争勝利に至るまでの勃興期の明治日本を描く。
司馬の代表作の一つとして広く知られ、長編作品としては初めての近代物である。維新を経て新国家に生まれ変わった日本が、欧米列強にさかんに学びながら近代国家としての体制を整えてゆき、日清戦争など幾多の困難を乗り越えて、ついには日露戦争においてロシア帝国を破るまでを扱う。
旧伊予国(愛媛県)松山出身で、日本陸軍における騎兵部隊の創設者である秋山好古、その実弟で海軍における海戦戦術の創案者である秋山真之、真之の親友で明治の文学史に大きな足跡を残した俳人正岡子規の3人を主人公に、彼らの人生を辿りながら物語が進行する。

司馬は本作において、明治維新から日露戦争までの三十余年を「これほど楽天的な時代はない」と評している。近代化によって日本史上初めて国民国家が成立し、「庶民が国家というものにはじめて参加しえた集団的感動の時代」の中、秋山兄弟や子規に代表される若者達は新興国家の成長期に青春時代を送り、「個人の栄達が国家の利益と合致する昂揚の時代」 に自らが国家を担う気概を持ち、その意識を疑うこともなく政治・軍事・学問など各々の専門分野において邁進したと述べている。タイトルの『坂の上の雲』とは坂の上の天に輝く一朶の雲を目指して一心に歩むが如き当時の時代的昂揚感を表したもので、日露戦争とは官から民の端々までがそういった「国家が至上の正義でありロマンティシズムの源泉であった時代」 の情熱の下に一体となって遂行された国民戦争であり、「国家の重さに対する無邪気な随従心をもった時代におこなわれ、その随従心の上にのみ成立した」 としている。また、本作の舞台となる日清・日露戦争期は戦争が多分に愛国的感情の発露として考えられており、帝国主義が悪であるという国際常識が無く、そうした価値観が後世とはまったく異なっていたことに留意するよう繰り返し著している
2007年(平成19年)春には、3人の主人公達の故郷である愛媛県松山市に『坂の上の雲ミュージアム』が開館した。

まことに小さな国が、開化期をむかえようとしている。
明治維新を成功させ、近代国家として生まれ変わった極東の小国・日本。時に世界は帝国主義の嵐が吹き荒れ、極東の端に位置するこの国も西洋列強の脅威から無縁ではなかったが、しかし逆境の中にありながらこの誕生したばかりの小国には亡国の悲愴さを吹き払う壮気があった。近代化を遂げて史上初めて「国民国家」となったこの国は、民族が一体となるその昂揚感の下で国民の端々までもが列強に伍する強国への飛躍を夢見て邁進していた。殊に維新の成立と同時期に生を受け、新興国家の青春時代に自らの青春を重ねる若者達は、一人一人が国家の興亡を担わんという客気を胸に成長した。旧伊予国松山出身の三人の若者も、同様の気概を抱いて世に出ようとしていた。陸軍に入り、騎兵部隊の創設に生涯をかけることを誓った秋山好古。好古の弟で海軍に入り、海戦戦術の開拓に人生を捧げる決意をした秋山真之。そして真之の親友で文芸の道に入り、俳句・短歌といった伝統文芸の近代化を目指さんとする正岡子規。彼らもまた多くの若者達と同様の志を持ち、さながら坂の上の青い天に輝く一朶の白い雲を目指すが如く、昂揚の時代の中でその一歩を踏み出そうとしていた。
日露戦争の戦勝は黒船来航以来日本を突き動かしてきたエネルギーの到達点であったが、あるいはあの日本海の海戦を頂点として、開国以来この国を支え続けてきた何事かが終焉を迎えたのかもしれない。好古に騎兵隊を作らせ、真之に海戦戦術を創始させ、子規に文芸改革をさせた時代、そして日本人全体を突き動かして白人の大国に対して奇跡の勝利を成させしめた昂揚の時代は、あの海戦を最後に幕を下ろしたのであろうか。
極東の小国が「坂の上の雲」を目指して歩み続けた時代は、日本海の砲煙の消失とともに終わりを告げたのかもしれない。
(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用)

坂の上の雲ミュージアム については・・
https://www.sakanouenokumomuseum.jp/

旅行の満足度
4.0
同行者
一人旅
一人あたり費用
3万円 - 5万円
交通手段
高速・路線バス JALグループ 私鉄
旅行の手配内容
個別手配

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