2021夏 千葉・銚子ローカル線の旅 ～嗚呼、銚子電鉄に栄光あれ！～ 【犬吠編】

2021/07/22 - 2021/07/22

日本の鉄道の定時運行率の高さたるや・・・


これは世界トップクラスの正確性を誇っており、その路線、その駅、その時間にホームに立っていれば、当たり前のように電車が滑り込んでくる。別の鉄道会社に乗り入れをしていてもそれは変わらず、さらには電光掲示板を見れば乗ろうとしている電車が今どのあたりまで接近してるのか、そこまで教えてくれる。

１分、２分でも遅れようものなら、「お急ぎの所、申し訳ございません。」とお詫びのアナウンスが入り、運休したならば、すぐさま別の鉄道会社に振り替え輸送をしてくれる。


…そんな鉄道事情が、いまや当たり前の光景になっています。



しかし、そんな「当たり前」の状態を生み出すために、鉄道マンたちの努力の結晶が常にそこにあることを忘れてはなりません。
時間ぴったりに運転する熟練の運転士、スムーズにドアの開閉やアナウンスをする車掌、見えないところで、みんなが夜寝ている中で日頃から車両・設備・システムのメンテナンスをする技師、柔軟に駅務に当たる駅員…

なかなか目が向きにくいものの、こうした人たちがいてくれるお陰で、我々は安全安心に通勤通学、旅行ができるわけなのです。


銚子電鉄ももちろんそう。
安全運転を実現するだけでなく、鉄道の存続のためにありとあらゆる手段をもって額に汗するその姿には力強さがこもっており、いつしか多くの人を魅了するようになりました。


そんな魂のローカル線の旅、後編は外川から犬吠へと移動します・・・

エリア 銚子(千葉)

• 旅行の満足度: 4.0
• 観光: 3.5
• グルメ: 2.5
• 交通: 3.0

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: JRローカル 私鉄 徒歩

前編の旅行記はこちらから↓
https://4travel.jp/travelogue/11711804

榊原豆腐店で豆乳プリンのおやつをいただいた後は、もう暑くてすることがないので外川駅まで戻ります。

外川駅 駅

外川の駅舎には、おそらくどこかの小学校から寄贈されたのでしょう、児童用の机と椅子が置いてあり、ちょっとした図書コーナーになっています。

今思えば机の面積狭いな～
この広さで勉強したり図工したり書道したり給食食べたり…
よくやったものです(笑)


スマホの電池が少なってきたのでモバイルバッテリーで充電を・・・あれ？あ……(；´Д｀)

僕が持ってるモバイルバッテリーですね、スマホへの差込口が旧型のやつなので今の型式に合わせるためのアダプタを付けてるんですよ。
で、そのアダプタを忘れてしまったと…(笑)

痛恨のエラーです。スコアボードに「Ｅ」の文字が点灯です。すぐさまグーグルマップで犬吠駅近くのコンビニを確認、よし、ここで買えば大丈夫だ！

外川駅折り返しの電車も、行きと同じニュージンジャー号。

若干心の余裕を失った僕を乗せて、電車はすぐに銚子方面へ発車。

窓の向こうにいるデハ801に別れを告げます。

すぐに隣の犬吠駅に到着。
ポルトガルの宮殿風になっており、関東の駅百選にも選ばれている駅です。

南欧のリゾート感が出ていますね～

犬吠駅 駅

駅構内には銚子電鉄社長・竹本勝紀社長のパネルが！

まもなく工事を迎える変電所の工事費用を少しでも賄うためにクラウドファンディングで資金を募り、『電車を止めるな！』という映画を製作、その広告パネルです。

後日談ですが、近くの公民館で上映会をやっており、この映画観に行ってまいりました。
地元愛、鉄道愛、家族愛…、銚電らしさ満載で予想外の展開に涙してしまいました(泣)
同じく一緒に観ていたおばさんも泣いていました。

オススメですよこれは。

さあ、ここからまずはバッテリーのアダプタを買いにコンビニへ行かなければなりません。近くにセブンイレブンがあってよかった…


てくてく歩いてコンビニへ。これでもう安心・・・あれ、売ってなくね…？
アダプタどころか充電器等スマホの周辺機器類も一切置いてありません。マジで？ここ天下のセブンよね？？


・・・＼(^o^)／ｵﾜﾀ

ご覧ください。無限に広がる青い空、穏やかな海。
晴れやかな夏景色とは対象的に、僕の心は焦りの暗雲に満ちております。それはそれはもう心に余裕がございません。
コンビニなのにこれじゃあコンビニエンスの意味がねぇ、なんで売っていないんだ…(泣)


「たまにはスマホの縛りから解放されるのもいい」という意見も世の中には散見されますが、そうは思いません。救急車、警察、いざ緊急の時に連絡が取れなくなったら、場合によっては人の生命財産をも救えないわけです。やはりライフラインの確保は大事ですよ、ええ。

…まあアダプタ忘れたあっしが悪いんでございますが(笑)

そんなこんなでも、次の目的地である犬吠埼灯台へと歩みを進めます。

犬吠埼マリンパークかぁ、懐かしいな～。
小学生の頃、中学生の頃と行ったことがあります。イルカショーが観れたりとなかなか楽しかった記憶があります。

遠目から建物を見てひょっとしてと思いましたが、やっぱり閉館してました。どうやら2018年に閉館しており、再開を見越して補修工事を行う予定のようですが、どうなるのかな？

年々来場者数も減少し、厳しい経営状況にあったようです。
自分の行ったことのある施設が閉まってしまうと、ちょっと物悲しいですね…

犬吠埼マリンパーク 動物園・水族館

犬吠埼灯台に着きました。
昔来たときにはありませんでしたが、敷地内に犬吠テラステラスというめっちゃシャレオツな観光施設が爆誕しておりました。

１階は飲食コーナーやお土産店、２階にもお土産コーナーとハンモックで休めるスペースもあります。
このお土産コーナーに充電器のアダプタがないかとわずかな期待をいだきながら店内を巡回しましたが、その淡い期待は見事に打ち砕かれました。やっぱりない。無念…。

残りのバッテリーは４％。灯台のあと近くの犬吠埼ホテルの日帰り温泉に行こうとしてましたので、グーグルマップでその場所をパパっと暗記(笑)


本当でしたらこの犬吠テラステラスの写真も撮りたかったのですが、今一度申し上げます。スマホのバッテリーがないため私の心に余裕がございません。そのため写真を撮ることを忘れておりました。申し訳ございませんm(_ _)m

まあ、とりあえず灯台に登るべ。

犬吠埼灯台 名所・史跡

ー　犬吠埼灯台　ー　　

世界の灯台１００選、国の登録有形文化財に指定されている灯台。犬吠埼近辺の海は岩礁が多く、海難事故も起きていたことから海の安全を守るために灯台の建設が求められ、1872年に工事着工、1874年に竣工、初点灯しました。
灯台の高さは31.3メートルあり、日本では２番目の高さです。

てっぺんまでは99段の階段を登ります。
レッツゴー！

なかなか狭い螺旋階段でございますからね、階段はここだけですし降りてくる人とすれ違うときは適宜譲り合いの精神を発揮しましょう。

ふ～、てっぺんに到着！
太平洋方面を眺めます。さすが灯台の上だけあって、風が吹いていて涼しい…。

ここ犬吠埼は関東最東端の場所であり、日本で１番先に初日の出が見られる場所として知られています。

この灯台、小学生の頃は高いところが特に怖くて苦手で、てっぺんには登れなかった記憶があります(笑)

君ヶ浜方面。

灯台の本来の役割、目的というのは、明かりを照らして海を通る船舶の安全を守ることですが、今回の僕の目的は別にあります。
それは、この次寄る犬吠埼ホテルまでの道順を確認すること！
もうスマホの電池切れているからですね、目視です目視。
幸いホテルは灯台から近いところにありますので、あの道をああ行って行けばいいんだなとすぐに把握できました。

リアルグーグルマップですね。いや、グーグル先生の力は使ってないし況んや地図をや。もはや完全なる物見です(笑)
デジタルの手段が無くなった以上、アナログで勝負するしかない…!!

っちゅーことで辿り着けました！バンザイ！！

手元に観光パンフレット等もありませんでしたし、灯台の上から道を確認するという超絶原始的な方法を初めて適用しましたが、いやーなんとかなるもんですね(笑)

ロビーの係の人に日帰り入浴の利用である旨を申し出て、フロントで精算。タオルの引換券をもらい、風呂場の入口でタオルを借ります。

温泉で汗をきれいさっぱりに流して、休憩コーナーで涼みました。無論、スマホは使えないので、銚電のパンフレットを何周も読んだり、テレビで放送されているサスペンスドラマを眺めたりしてました。
自分が座っていた正面の窓の外がプールになっていて、家族やグループ連れが楽しそうに遊んでいましたね。

別のホテルでしたが、僕も初めて銚子に来たときはホテルのプールで遊んだので、なんだか懐かしい気分になりました。

絶景の宿 犬吠埼ホテル 宿・ホテル

事前に暗記してあった犬吠駅の電車のダイヤにちょうどよく間に合うタイミングで、ホテルを出発。

このホテルでは外でペンギンを飼っているようですね。
こんな間近でペンギンを見たのは初めてか？

犬吠駅に戻り、お土産を買います。
ここでも１日券を見せれば100円引きになる特典付き。
それなりに買ったのでおまけでプレミアムぬれ煎餅１枚をもらいました。

電車の時刻が近づくと、それなりにお客さんが集まってきます。時間的にも帰りでしょうね。

銚子電鉄 犬吠駅売店 グルメ・レストラン

さあ、今回最後の銚電に乗って銚子駅まで戻ります。
やってきたのは・・・、

犬吠駅 駅

やっぱりピンクニュージンジャー号ですね(笑)
今回この車両にたくさん乗りました。
あ、袖山さんも乗ってる！

ソーシャルディスタンス確保のためチーバくんが席を陣取ってます。

千葉県民のみなさんにはお馴染みですが、千葉県公式のマスコットキャラクターなんです。

本銚子駅から外川方面にあるこの空間が「緑のトンネル」と言われるところで、線路の両脇を木々が囲っていて、ちょっとしたスポットになっています。ここを電車が通るときはゆっくり雰囲気を味わえるように徐行するんですよ。


しかし銚電の車掌さんはホントにすごいですね。何せ検札からドアの開閉、無人駅では改札もやるので大忙し。
駅間も短いですから、２両編成の車両の前と後ろを駆け足で移動したり、のんびりしてる暇はありません。
しかも途中から乗ってきた人を瞬時に把握して、車内検札では的確にその人に切符の確認を求めに行く……

本当に素晴らしい仕事ぶりです。そんな様子を見て、こちらも思わず「頑張れ」と応援したくなります。
銚電という会社にもそこで働く人にも、熱い魂を感じます。

そんな魂のローカル線の旅もこれで終わり。
終点の銚子駅に到着し、乗客は全員降ります。

銚子駅 駅

ピンクニュージンジャー号は、外川へ折り返し。
今回僕はもう乗りませんが、銚電はこれからも逆境に立ち向かい、地域の足として、日常に欠かせないものとして必ずや走り続けていくでしょう。

楽しい旅をありがとう、銚子電鉄。

銚子駅の外に出ました。
駅前のファミマに飛び込み、無事に充電器のアダプタをゲット！
すぐにスマホの充電を開始し、僕のメンタルゲージも回復いたしました。

あ～一安心(笑)

なんか銚子は日本初の修学旅行到達の地らしいです。
1886年に、東京高等師範学校（今の筑波大学）が長途遠足の名目で東京からここ銚子まで12日間かけて歩いたのが「修学旅行」の元祖なんだとか。

みなさんは修学旅行はどこに行きましたか？
僕は小学校では日光、中学では京都奈良、高校では沖縄でした。

駅前商店街にはトゥクトゥクの店が。
トゥクトゥクとは東南アジアでよく見られる三輪タクシーのことですね。
なんでもここはトゥクトゥクをレンタルできるんだとか。
（普通免許があれば大丈夫らしいです）


このまま商店街を直進します。

銚子セレクト市場。
ここで夕食にしようかと思っていましたが、どうやらお土産屋以外ほとんど閉まっている様子…。緊急事態宣言下ではありませんでしたが、やっぱりコロナの影響が濃いんでしょうね。仕方ない、夕食は他の場所を探すとしましょう。

銚子セレクト市場 市場・商店街

銚子駅から真っ直ぐ歩いて、河岸公園へ。
ちょうど目の前が利根川です。

あれに掛かるは銚子大橋。
全長1.45キロメートルで、対岸は茨城県神栖市です。

銚子大橋 名所・史跡

ここから先にずっといくと太平洋に出ます。
右手奥に見えるのが銚子ポートタワーですね。

じゃ、そろそろ駅方面に戻りますか。

早めの夕食はモスバーガーで済ませることにしました(笑)
久しぶりに食べましたけど、やっぱり出来たてでおいしいです。

ササッと食べて、銚子駅に戻りました。
何年か前に駅舎がリニューアルし、醤油蔵をイメージした造りになっています。

では、帰りの電車の時間になりましたので改札内へ。

銚子駅 駅

帰りは成田線経由の普通千葉行きに乗ります。
行きはしおさいでしたが帰りは鈍行。決して特急料金をケチっているわけではありません(笑)。


実は、今回の銚子旅の真の目的がここに。



この電車の車掌さん、なんと僕の友人なんですっ！
何度か友人が乗務する電車に乗ったことがありましたが、久しぶりに乗ってみたいなと思い、これに乗り合わせるために予定を立てたのです(笑)
銚子から乗るのは初めてです。

２時間ほどかけて、千葉駅に到着。

車掌さん（友人）は相変わらずとてもスムーズな仕事ぶりでした。
乗務を終え下りてきた友人に犬吠駅でもらったおまけのプレミアムぬれ煎餅を差し入れ。このあとまた銚子に戻って明日また銚子から乗務なんだとか。本当にお疲れ様！


普段何気なく使ってる鉄道ですが、こうして身近な人が鉄道の仕事に携わっている姿を見ると、こうやって電車は動いていくのかと手に取るように分かり、本当に感動します。
当たり前のように動いていても、実は一人一人の正確な仕事があってこそそれが成り立つんですね。
銚子電鉄にしても、見方を変えることでまた新しい鉄道の在り方を知ることができるのが、これまた面白いもので、鉄道マンに尊敬の念を抱かずにはいられません。


この後はまた乗換えて帰宅し、今回の旅は終了！

千葉駅 駅

今回のお土産。
・銚子電鉄再建最中（優待１日乗車券付き）
・まずい棒　岩下の新生姜味
・いわしそぼろ
・プレミアムぬれ煎餅　カツオ味

さすがは関東最東端の食品メーカー、品揃えも豊富で食べるのが楽しみです。僕のわずかなお土産代金が、明日の銚電の血となり肉となることを願ってやみません。


「銚子電鉄もいつかはローカル線としての使命を終えるかもしれない。だけれども、今はその時ではない。」

竹本社長はこうも言っており、何よりこの言葉が明日の銚子電鉄をつき動かしているのだと思います。


輝かしい未来に向かって、いつまでも走り続けることを祈って。
嗚呼、銚子電鉄に栄光あれ！

https://youtu.be/6UggOrwMnGE


ー　2021夏 千葉・銚子ローカル線の旅　了　ー

この旅行記へのコメント （3）

• ひでじいさんさん 2022/09/01 08:12:32

  銚子電鉄がんばれ！！

  私は外川⇔銚子を往復しただけです。車で行ったので外川駅に無料駐車場があったためですが。行ってみるとアニメの舞台だったのでびっくり。
  Fidelio さんのような「乗り鉄」ではありませんが、途中駅で下車すると色々な景色がありいいですね。
  車旅なので新幹線は20年以上乗ってません、近くの小田急も年に10回位。
  「乗り車」の爺さんでした。

  Fidelioさん からの返信 2022/09/02 18:20:41

  Re: 銚子電鉄がんばれ！！

  ひでじいさん　様
  
  こちらの旅行記にもコメントをありがとうございます。
  実は昔から家に車が無くてですね(笑)
  自分も含め家族はみなペーパードライバーなので、旅行に行くときは公共の交通機関を使うことが必須なのです(；´Д｀)
  （車でないと行かれない観光地やお店が星の数ほどあることは重々承知なのですが…）
  
  ローカル線は本数が少ない分、途中で立ち寄る場所はどうしようかと、自ずと吟味しますね。次はどこのローカル線に乗ろうかな…
  
  
  Fidelio
  

  ひでじいさんさん からの返信 2022/09/02 18:59:36

  Re: 銚子電鉄がんばれ！！ 続き

  少し前にローカル線が全国に有り赤字で廃線の危機が新聞で載ってました。
  東海道新幹線以外は皆赤字なんでしょうか、車社会になっているのでね。
  ローカル線を少しでも応援したく旅にはローカル線を旅程に入れてます。
  年を取るとローカル線は懐かしく行きたくなります。（まだ15路線ですが）
  最近、路面電車にも興味を持ち始め、これもいいですね。
  年金暮らしの年寄りには旅に対し様々なテーマが増えてきます。
  8月は旅行記お休みで過去の回顧録でｐｔ獲得してます。
  
  ローカル線頑張れ！！！　　でした。