台湾のお盆（六氏先生のお墓参り）

2021/08/12 - 2021/08/12

台北市士林区にある芝山巖惠濟宮の後方に六氏先生のお墓がある。8月10～12日に芝山巖惠濟宮で盂蘭盆の行事が行われるのに合わせ、お墓参りに行ってきた。

六氏先生（芝山巖事件犠牲者）をご存知ない方はインターネット上に多くの紹介記事があるので、参考にしてください。

エリア 台北(台湾)

お墓参りの前に、六氏先生のお墓をお守りいただいている芝山巖惠濟宮にお参り。

お墓の周りには多くの枯葉。花入は固定式で内部の水を取り替えることも洗うこともできない。

惠濟宮でお借りした竹箒で墓周りの枯葉を掃き、墓石をスポンジできれいにした。蒸し暑い中、マスクをして（新型コロナウィルス感染予防のため、外出時は着用義務がある）清掃に1時間ほどをかけた。しかし、長年の汚れを完全に取り切ることはできなかった。

飲み物は紙パックの台湾緑茶を準備。せっかくなので、お菓子は日本から輸入された宗家 源吉兆庵の「京織おり」をお供えさせていただいた。お線香は日本のものが入手できず、台湾のものを使用。すべてが整い、般若心経を唱えた。

1896年元旦に発生した芝山巖事件により、六氏先生は殺害された。実際には日本人用務員1名もこの時に惨殺されており、犠牲者は7名。100人余りの反日ゲリラの手になるとされているが、六氏先生の衣服や所持品のほか、学堂にあった備品や金品も略奪された。

六氏先生のお墓は、芝山巖に建てられたが、戦後に芝山巖神社の解体時に取り除かれ、その時に歴史文物なども失われた。1995年になり、芝山巖学堂の後進である士林小学校の校友会が開校100週年記念の一環として、花崗岩でお墓を再建。

2000年、元の位置に戻された學務官僚遭難之碑（伊藤博文揮毫）。抗日記念碑と並べるか、記念館に置くのはどうかと意見も過去にあった。

芝山巖事件碑記

2000年に元の様子に戻された故教育者姓名碑。

形状が似ていることから、これも故教育者姓名碑かと思われる。

惠濟宮の盂蘭盆行事

三川殿の中央門を突き抜けて並べられているのは......

お施食

廟の外にもお施食

法船

イカやカニなどをかたどったパンが供えられている。

以前は海鮮物そのものが供えられていた。

やがて、法船を燃やす準備。

紙製の家屋も一緒に燃やされる。

台湾南部で行われる「送王船」は船自体がとても大きいので、短い時間では燃え切らないが、この法船は30分ほどで燃え尽きてしまった。

お墓参りをした翌日、豪雨に見舞われた。生花が心配になり、翌朝早く様子を見に行くと、1対の花束はなくなっていた。豪雨にさらされているのをかわいそうに思った人が持ち帰り、大切にしてくださっているのだろうと判断。

「六氏先生の歌」（作歌: 加部巌夫、作曲: 高橋二三四）
　やよや子等 はげめよや
　　学べ子等 子供たちよ
　　　慕へ慕へ 倒れてやみし先生を
　歌へ子等 思へよや
　　すすめ子等 国のため
　　　思へ思へ 遭難六氏先生を

日本時代、警察官は怖かったけれど、先生は皆熱心でやさしかったというのは、以前、高齢者からよく聞いた話。高い志をお持ちだったのに、逃げることなく殉職された六氏先生のことを心に留めておくとともに、良好な日台関係が永続することを心から願う。

この旅行記へのコメント （2）

• hiroshi_kakogawaさん 2021/08/19 11:04:03

  感謝です

  こんにちは。旅行記拝読させて頂きました。 六士先生のお墓参りに関し感謝致します。 この六士先生の子孫は私の高校時代の同級生で私が台湾へ留学(師範大学で華語を１年間、中華語文研習所で台湾語を１年間)していた時、わざわざ会いに来てくれた仲で福岡へ帰省する度、再会を繰り返していました。悲しい事にこの友人は一昨年、病で黄泉の国へ旅たちました。今では亡くなった友人の奥様とFBでやりとりしています。

  xiaomaiさん からの返信 2021/08/20 00:06:56

  Re: 在台邦人日本人としてできること

  hiroshi kakogawa さん
  
  旅行記（実際は旅行ではないのですが）のご高覧、ありがとうございます。実は、六氏先生のお墓へはよくお参りに行っており、お盆に合わせ、今回お墓のお掃除をさせていただきました。惠濟宮の方も六氏先生のご命日にお墓の周りを掃除してくださっています。在台邦人として、今後も定期的にお参りを続けて参ります。
  
  日本の新型コロナウィルスの大流行の状況を知るたび、とても心配させられます。ご健康をお祈りいたしております。
  
  xiaomai