ノールーズ最初の墓参りーイラン人にとって墓参は大切な日常

2021/03/26 - 2021/03/26

　イラン人にとって墓参は大切な人を偲ぶ大事なイベントです。イスラム教での法事は、亡くなって翌日の埋葬、3日、7日、9日、40日、3カ月10日、1年・・・というように行われます。特に、月命日、命日はいうに及ばず、イランの暦の週末、木曜日に墓参をします。コロナ感染の前には、広大な敷地にめぐらされた道路が車で渋滞するのはいつものことでした。
　シラーズには2つの墓地があり、今日は、古いほうの、Dar al rakhmeh　と呼ばれる墓地に来ました。ノールーズ最初の木曜日は、特に混み合うことを考え、すいているだろう金曜日に来ました。
　墓地の入り口近くには、墓前に供える花を売る露店花屋が並んでいます。こちらで売られるのは、赤やピンクなど明るい色の花々で、バラが主です。
　敷地内では、一人静かに墓前に座りひと時を過ごす人、何人かのグループできて思い出話に花を咲かす人たちが三々五々、見られます。それらの人たちに交じって、手に箒と水の入ったボトル持ち墓石をきれいにするお小遣い稼ぎの子供たちや、墓前でコーランの1節を読ませてくれというチップ目当てのみすぼらしい老人も見かけます。
　コロナがまだなかったころは、墓参に来た人たちはそれぞれキャンディーやデーツやお菓子などを、亡くなった人たちのために祈ってくれるように行きかう人達に配る、という光景があちらこちらに見られましたが、今はそれもなくなりました。
　ここには40年以上前に起こったイラン・イラク戦争の戦死者が眠っている一区画があります。戦死者一人ひとりの顔写真が掲げられており、墓石の周りには花や小木が植えられています。私の友人は、ご主人がこの戦争で傷痍した軍人でした。地雷撤去の任務で、撤去する際に爆発した破片が背中に突き刺さり、3年前に亡くなるまで、足や背中に痛みがあり時には歩けなくなるくらい足が腫れることもあったそうです。今はこの地区に眠っています。
　墓苑に植えられているたくさんのオレンジの木には白い花が付き始め、いい香りをふりまいています。ここに眠っている人たちにも安寧を与えているような気がしました。
　
アクセス：地下鉄Jonbazan駅下車、路線バス117番でDar al Rakhmeh下車（乗車時間5分）、又は地下鉄Gasr Dasht駅下車　路線バス117番でDar al Rakhmeh下車（乗車時間30分）　
　

エリア シラーズ(イラン)

• 交通手段: 鉄道 高速・路線バス 徒歩

　大通りから右に入ると入り口が見えてきます。今は車が敷地内に入ることは禁止されています

明るい色のバラなどが並べられている花屋。一本１US$位で売られています。

墓参に来ている人たち。敷地内では女性は黒のチャドルを着るのが礼儀だそうです。

墓前に花を供える人。花は花びらをバラバラにしておきます。そのまま置いておくと、そのまま取られて別のところに飾られるからだとか。花を飾る前に水で墓石を清めるのは日本とおなじです。

イラン・イラク戦争で亡くなった人たちが眠る一角です。彼らの魂が平安であること祈るのみです。