2021/03/20 - 2021/03/20
129位(同エリア759件中)
Weiwojingさん
- WeiwojingさんTOP
- 旅行記996冊
- クチコミ137件
- Q&A回答106件
- 2,118,128アクセス
- フォロワー194人
「古代エジプト展 ー 天地創造の神話」を見に江戸東京博物館へ出掛けた。古代エジプトは四大世界文明の発祥地のひとつであるが、小生にとっては歴史の教科で習った程度で、あまり馴染みのない世界であった。
しかし、今回の展覧会はドイツの国立ベルリン・エジプト博物館から世界でも珍しく、またより優れた美術品が紹介されているということで、大いに触手が促され、見に出掛けた訳である。
エジプトの古代文明には様々な神々が登場し、まるで百花繚乱といった様で、歴代の多くの王と結びつきながら神話の中で活躍してきた。インドや中国で見る神々や仏とは異なり、はるかに想像を超えた古代神話の世界に紛れ込んだ様であった。
美術品はどれも確かに素晴らしいものばかりである。古代エジプトの様々な神々は理解を超えた存在感を感じた。もう一つ、この展覧会で気に入ったことは会場での写真撮影がすべて可能なことであった。たくさん撮ってみたが、見学者が写り込んだり、照明が暗かったりと、なかなかうまい具合にはいかなかった。
- 旅行の満足度
- 5.0
PR
-
今回の展覧会はベルリン国立博物館群エジプト博物館から130点の展示品が公開された。
-
展覧会会場にはあちこちにこのようなイラストが描かれている。どのような意味なのかよく分からないが、今回の展覧会を象徴するような面白いデザインではないだろうか。
-
同じく会場にはこんなイラスト風の絵が柱に掲げられている。これは古代エジプトの墓に描かれている絵画に基づいているものである。
-
少しずつ展覧会の展示品を見ていきたい。すべて写真に収めた訳ではないので、小生の気に入った作品を中心に紹介したいと思う。
●「3匹のとロータスを描いた浅鉢」(新王国時代・第18王朝、前1450~前1400年頃)
この容器には、生命を与えるナイル川を象徴する魚とロータスの花で描かれている。魚は、3匹の魚が描かれているが、頭は一つしかない。その頭はそれぞれの魚の頭のように見える。それは神聖の統一とその多様性を象徴しているという。 -
●「シュア神とテフヌウト女神の頭部を装飾したメニトのおもり」(末期王朝時代、前664~前332年頃)
メニトとは元来、首飾りを胸の正しい位置に保つためのおもりにすぎなかったが、後に独自の宝飾品になった。 -
●「ゲブ神を象徴する雁(がん)のついた杖の上部の装飾」(末期王朝時代、前664~前332年頃)
これは、恐らく神殿における儀式で使われた杖の装飾であろう。がんは大地の神ケブの象徴である。 -
●「有翼の女神、おそらくヌウト女神の形のミイラの装飾」(プトレマイオス時代初期、前332~前246 年頃)
彩色された漆喰と亜麻布で作られたこのカルトナージュは、ミイラの覆いの一部であった。これは翼を広げ、ひざまずく女神を表しており、その腕はかつてミイラの身体上に広げられていた。 -
●「背面にジェド柱を持つオシリス神の小像」(末期王朝時代、前664~前332年頃)
オシリス神は冥界の支配者である。常にミイラの姿をしていて、王権の象徴である湾曲したヘカ杖と殻竿(からざお)とともに表わされる。 -
●「ホルス神に授乳するイシス女神の小像」(末期王朝時代、前664~前332年頃)
イシス女神は、夫オシリス神の死後に彼との間に誕生したホルスの母親である。ホルスは、弟セトにより殺された父の仇を討つものとされ、その後、長い戦いの末にセトを打ち破った。 -
●「ハヤブサの姿をしたホルス神の小像」(プトレマイオス時代、前323~前30年頃)
ハヤブサは、冥界の支配者オシリス神の息子であるホルス神だけでなく、日中、天空を横切る太陽神ラーの象徴でもある。 -
●「コンス神像」(新王国時代・第19王朝、前1279~前1213年頃)
コンス神は、頭に付けた三日月が特徴で、長いカツラの額の聖蛇ウラエウスが彼の神聖な力を強調している。 -
●「ナイルの神の像」(中王国時代・第12王朝、前1976~前1794年頃)
この彫像はナイルの神ハピの上半身を表したもので、カツラをかぶり、胸の前で欠損した2つの容器を抱えている。 -
●「セクメト女神坐像」(新王国時代・第18王朝、前1388~1351年頃)
セクメト女神は、ライオンの頭を持つ女性として低い背もたれのお玉座に厳かに座っている。神としいての威厳と力のしるしとして、太陽円盤と聖蛇ウラエウスを戴き、左手にはアンク(生命の象徴)を持っている。 -
●「セクメト女神立像」(新王国時代・第18王朝、前1388~前1351年)
ライオン頭の女性像をしたセメクト女神は、戦争の強力な女神としてエジプトの地を敵から守るとされた。 -
●「バステト女神坐像」(末期王国時代・第26王朝、前610~前595年)
前方を見据えて座る猫の姿は、穏やかなライオンの女神バステトに捧げられた。耳飾りのための穴や首飾りが彫刻されていることから、この猫は単なる飼い猫の姿ではないことは明らかである。 -
●「腹這いになる山伏の姿をしたアヌビス神像」(新王国時代、前1550~前1070年頃)
黒色に彩色された木製のアヌビス神像は、山犬が腹ばいになる姿で、死者を守護するために祠堂あるいは木棺の蓋に取り付けられていた。葬列の儀式やミイラ化の場面ではアヌビスは主として山犬の姿で描かれた。 -
●「日輪を戴き礼拝するエジプト・マングースの小像」(末期王朝時代、前664~前332年頃)
この青銅聖の小像は、聖蛇ウラエウスと太陽円盤を戴くエジプト・マングースを表している。立ち上がるために尻と後脚で支えているような具合いである。挙げた前脚の「掌」はまるで礼拝の姿勢のように前を向いている。 -
●「座ったヒヒの護符」(末期王朝時代、前664~前332年頃)
トキに加えて、ヒヒも知恵の神の化身である。トト神は偉大な地上の神であり、王と強く結びついている。 -
●「ハヤブサ頭のワニの小像」(末期王朝時代、前664~前332年頃)
細長い台座の上に腹ばいになるハヤブサ頭のワニの小像である。頭を少し持ち上げ、体にはワニの鱗、頭部には羽が見られる。この混合した姿によりワニの神セベクは、水の支配者かつ豊穣の神であり、太陽神ラーやホルスと結びつき、太陽の要素を与えられていると考えられた。 -
●「アメンエムハト3世と思われる王の礼拝する姿の立像」(中王国時代・第12王朝、前1858~前1806年頃)
前に広がった短い腰布と額にウラエウスが施された縞模様の頭巾は王の衣装である。銘文が欠損しているため、彫像の人物を特定することはできない。 -
●「ハトシェプスト女王のスフィンクス像(胸像)」(新王国時代・第18王朝、前1479~前1458年頃)
このスフィンクス像は、アル=ディール・アル=バハリにあるハトシェプトス女王の葬祭殿への参道と中庭に置かれていた。エジプトの王や王女は、古王国時代より、強い動物と同一視されることを意図して、人間の頭を持つライオンであるスフィンクスの姿で描かれた。 -
●「ハトシュプスト女王あるいはトトメス3世のスフィンクス像頭部」(新王国時代・第18王朝、前1479~前1425年頃)
この彫刻の頭部は、下端部の折れ目の方向からも分かるように、スフィンクス像に由来するものである。この像は、人間の頭を持つ横たわるライオンとして王が表されている。王族であるということは、額に聖蛇ウラエウスを戴き、縞模様の王族の頭巾をか被り、支配者の朝日証である下方にまっすぐ伸びた付け鬚を着用していることで明らかである。 -
●「礼拝するヒヒの姿をしたトト神とアメンへテプ3世」(新王国時代・第18王朝、前1388~前1351年頃)
直立したヒヒの等身大彫像の前には、アメンへテプ3世の小さな立像がある。ヒヒは前脚をあげて保護と祈りの姿勢をとっており、王は敬虔な様子で腰布に手を置いている。アメンへテプ3世は、短い腰布と王室の頭巾を身に付けた伝統的な服装で、若々しい強力な支配者としてあらわされている。ヒヒは、王がその恩恵を望む地の神トトを象徴している。 -
●「トゥトアンクアメン(ツタンカーメン)王の前で腰をかがめる廷臣たちのレリーフ」(新王国時代・第18王朝、前1333~1323年頃)
-
●「エジプトとアジア人を描いたセティ1世王墓のブロック」(新王国時代・第19王朝、前1290~前1279年頃)
-
ブロックの左右に描かれている人物像。
-
●「二重冠を被ったハヤブサで表されたホルス神の小像」(末期王国時代、前664~前332年頃)
ハヤブサはホルス神の象徴で、関連する太陽紳の顕現でもある。叔父のセトとの長い戦いの後に、オシリス神とイシス女神の息子のホルスは、父の死後、その跡を引き継ぎ、すべての地上の王たちの前身として全エジプトを支配した。 -
●「王に授乳する女神の立像」(末期王国時代、前664~前332年頃)
-
●「アメン・ラー神に供物を捧げるトトメス3世を描いたアメンエムハトのステラ」(晉王国時代・第18王朝、前1479~前1425年頃)
-
●「王の書記ホリのステラ」(新王国時代・第20王朝・ラメセス8世治世、前1126~前1126年頃)
このステラは、王の書記ホリがアビュドスに奉納したものである。彼はステラの最下段に彼の父(左端)の後ろで他の家族と共に崇拝している姿で描かれている。 -
上記のステラの上段部分を取り出したものであるが、右からファラオのラメセス8世が、オヌリス神、ミイラ姿のオシリス神、二重羽冠を被る人間の姿をしたオシリス神、ハレンドテス神、イシス神にマアト女神の像を掲げている。
-
●「神官の頭部」(末期王朝時代・第30王朝、前380~前324年頃)
-
●「神官で天文観測官タイタイの立像」(新王国時代・第18王朝、前1323~前1319年頃)
-
●「ナクトミンと母メロトセゲルの像」(新王国時代・第19王朝。前1292~1186年頃)
この小さな2人の像は、王の領地の監督官と彼の母メレトセゲルを表わしている。 -
●「神格下されたイアスメス・ネフェルトイリと思われる王妃の立像」(新王国時代・第19王朝、ラムセス2世治世、前1279~1213年頃)
-
●「ヒヒを肩に乗せ、ひざまずく男性の像」(新王国時代・第19王朝、前1292~1186年頃)
-
●「カルナク神殿のアメン神官ホルの方形彫像」(第3中間期・第22王朝、前875~前762年頃)
-
-
●「アメン神を表す牡羊の頭を抱えた男性の坐像」(第3中間期・第22王朝・オソルコン2世治世、前875~前837年頃)
-
●「ハトホル女神あるいはイシス女神に供物を捧げる女性を描いた奉納ステラ」(末期王朝時代、前664~前332年頃)
-
●「ベス神の小像」(新王国時代・第18王朝、前1550~前1292年頃)
この像はダンスでポーズをとっている小人の姿をしたベス神を表していると思われるが、手足は大きく欠損し、顔と胴体はよい状態で残存している。 -
●「ベス神の象嵌」(末期王朝時代・前664~前332年頃)
イラクで発見されたこのガラス製の象嵌には、小人の保護神ベスが表されている。ライオンのたてがみが、舌を出したグロテスクな顔を縁取っている。ヒョウの皮が肩にかかっており、ヒョウのしっぽが足の間に垂れ下がっている。 -
●「壺とライオンの背後の祈る人物が表現された供物卓」(末期王朝時代、前664~前332年頃)
-
●「太陽の船に乗るスカラベを描いたパネへシのペクトラル(胸飾り)」(新王国時代・第20王朝、前1186~前1070年頃)
-
●「マアト女神の像を抱えた神官がひざまずいている小像」(末期王朝時代、前664~前332年頃)
-
●「パタイコスの護符」(末期王朝時代・プトレマイオス時代初期、前664~前250年頃)
-
●「パピルスの巻物を持つ神格化されたイムへテプの坐像」(第3中間期・第25王朝(クシュ王朝)、前746~前655年頃)
-
●「プタハメス墓のピラミディオン」(新王国時代・第18王朝、前1388~1351年頃)
-
●「創造の卵を持つスカラベとして表現された原初の神プタハ」(第3中間期・ダイ25王朝、前746~前655年頃)
-
●「ネフェルトイティ(ネフェルティティ)王妃あるいは王女メリトアテンの頭部」(新王国時代・第18王朝、前1351~1334年頃)
-
-
●「アクエンアテン王の頭部を描いたレリーフ断片」(新王国時代・第18王朝・アマルナ時代、前1351~1334年頃)
-
●「棺台の上のトトメス王子の小像」(新王国時代・第18王朝、前1388~前1351年頃)
-
上記のトトメス王子の棺台に横たわる姿であるが、反対側から撮ってみた。
-
●「王の書記サアセトの人型棺蓋」(新王国時代・第19王朝、前1279~前1213年頃)
-
●「タイレトカプいう名の女性の人型棺・外棺」(第3中間期末期~末期王朝時代初期、前746~前525年頃)
-
●「タイレトカプという名の女性の人型棺・内棺」
-
-
-
-
-
●「タシュリトエンアメンという名の女性のミイラのカルトナージュ」(プトレマイオス時代、前323~前30年頃)
-
-
-
●「タバケトエンタシュケトのカノポス容器」(第3中間期・第22王朝、前841~前816年頃)
-
●「ウジャト眼の護符(左右)」(新王国時代・第18王朝、前1351~1334年頃)
-
●「人間の頭のついたハート・スカラベ」(新王国時代、前1550~1070年頃)
-
●「ウアフのシャブティ像」(新王国時代・第19王朝、前1292~前1186年頃)
-
後から見たシャプティ像の頭部
-
●「デモティックの銘文のあるパレメチュシゲのミイラ・マスク」(ロ―ま支配時代・後50~後100年頃)
今回の展覧会で最も白眉とも言うべき展示品がこのミイラ・マスクである。美しく装飾され、色が鮮やかに残っている。 -
-
-
-
●「上部が丸くなった棺形のシャブティ・ボックス」(第3中間期末期~末期王朝時代初期、前746~前525年頃)
-
●「アクエンアテス王とネフェルトイティ(ネフェルティティ)王妃も娘である王女の頭部」(新王国時代・第18王朝、前1351~前1334年頃)
この彫像の頭部は、アクエンアテン王とネフェルトィティ王妃の6人の娘ぼひとりである。独特の顎部分、突き出た頬骨、柔らかな唇、大きな眼窩が特徴である。 -
●「王の書記ウプウアクトメスのステラ」(新王国時代・第18王朝、前1550~前1292年頃)
-
●「神々を礼拝する死者とその家族を描いたカマのステラ」(新王国時代・第19~20王朝、前1292~前1070年頃)
-
●「アテフ冠を被ったオシリス神の小像」(末期王朝時代、前664~前332年頃)
冥界の王で、ミイラ姿のオリシス神は王権の象徴でであるヘカ杖と殻竿持っている。これはファラオも持っていたものである。また、王権の聖蛇ウラエウスの付いたアテフ冠は、ミイラの姿と同様にオシリスに特徴的な表現である。オリシスは冥界の王であるだけでなく、死者の審判を司る神でもある。
古代エジプトの神々の世界を様々な武術品を通して見てきたが、正直神々の世界はあまりにも複雑で、しかも数千年の長さに及ぶ盛衰を経てきて、これは理解の域を超えているというのが展覧会を見ての感想である。
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
0
78