2020/12/13 - 2020/12/13
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motogenさん
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万瀬のヘリポートまでは車で移動し、三森神社の周辺を歩くことにした。
ヘリポートまでは尾根を伝う狭い道で、所々に車がすれ違える場所が確保されている。
ここを通る車は、一日に何台あるんだろう?
整備補修も大変だろうが、ここに住む人にとっては重要な生活道路だ。
そんなことを考えながら、自分専用の道のように走る。
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
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-
途中の崖下に2軒ほどの家屋が見え隠れした。
万瀬の集落は一箇所にまとまっていなく、日当たりの良い山頂付近に点在しているようだ。 -
ヘリポートに到着した。
「広い!」
これが第一印象だった。
次に頭に浮かんだのは、
なぜこんな山頂付近にヘリポートがあるんだろう・・ということだった。
ここの標高は215m。
周囲に人家は見えない。 -
広場に建っているのは、公会堂だろうか?
この地区としては大き過ぎる。
奥の建物には『緊急避難所』の看板が掲げられていた。 -
広場に車が2台入って来た。
銃を持った男性が降り立つ。
猟友会の人だ。
本物の銃を見たくなって話しかけると、10人の仲間と一緒に猟をしている最中だという。
獲物は猪と鹿だが、まだこの日は収穫なし。 -
冷たい風を避けて、車の中でお弁当を食べる。
-
大きな玄米のおむすびに、卵焼きと天ぷら。
たくさん持って来たつもりなのに、あっという間に平らげてしまった。 -
食べ終わると、車が9台終結していた。
どの車も山の中で機動性のある軽自動車。
それぞれにカップラーメンなどを食べて休憩している。 -
「あれっ! 猟犬もいる!」
怖いな・・と思いながらも近寄ると、 -
何頭かの犬がいて、どの犬もおとなしかった。
純潔種の犬も雑種の犬もいるが、猟犬としての利口さには変わりなく、それよりも育て方らしい。
どの犬にもGPS装置が付いていた。 -
胸に入っているのは銃弾。
直径が1㎝以上もある鉛の玉で、戦争博物館で見た戦闘用の銃弾とは違っていた。
こんなのに撃ち抜かれたら、獲物はバラバラに砕けそうだ。
この人たちに付いて、猟の現場を取材させてもらいたかったが、迷惑かと思って、言い出せなかった。
惜しいことをした。 -
猟の密着取材は諦めて、紅葉の森を見ながら三森神社をめざす。
-
もみじって、こんなに綺麗だったのか。
紅葉した葉を近くで鑑賞するなんてのは、久しぶり。 -
幹線道路(と言っても狭い道だが)をはずれて、さらに細くなる山道を登って行くと、崖の上に建物が見えた。
庭でおばあさんが作業をしている。
28軒もあった集落が、9軒に減ってしまったこの万瀬で、娘さん(かなりの歳となっているはずだが)と2人きりの生活だという。 -
このおばあさんも話し好きだった。
作業の手を休めて、この地区のことを色々話してくれる。
危険な急斜面ばかりの土地で、新築の認可は下りず、どんどん人も家も減っていくばかりで、もう終わりだと言う。
住んでいるのは、みんな高齢者ばかり。
まさに限界集落そのものだ。
不便な生活だが、それでも生まれ育った土地が良いともいう。 -
崖下には、人が住んでいない家屋がある。
放置して置けば荒れ放題で、困ったことが起こるのは必然。
しかし、どうにもならないらしい。
日本はどうなってしまったんだろう。
山が荒廃すれば、下流の村や市街、そして海にも被害が出るだろう。
「美しい日本を取り戻す!」と叫んだあの人は、いったい何だったんだろう。 -
この地区に妻の幼馴染が嫁いでいる。
つい最近病気で亡ってしまって、妻はお通夜に出掛けた。
その家をおばあさんに聞くと、集落の一番高い場所らしい。
三森神社の帰りに立ち寄ろう。
話し足りなさそうなおばあさんにお礼を言って、神社のある山に登っていく。 -
「いぼ石」があるはずだ。
すると道のすぐ脇に「いぼ石」と書かれたオブジェがあった。
茶畑の中だ。
「えっ?」
「これがいぼ石?」
よく見れば切り株の案内板で、本物はその後。
何の変哲もない二つの石だった。 -
この石に触るといぼが取れると言われている。
それを信じる人がいるのか、5円玉が一つ乗っかっていた。 -
三森神社に到着した。
特別どうのこうのと言った神社でなく、地元の山を祀った地味な神社だ。
9月のまつりには、集落の人々がここに集まって神事を行うようだが、
神輿もネリも露店もない、素朴な「村まつり」なんだろう。
しかし神社はこれで良いのだ。
山の神を祀り、共同体の親睦を図るための大切な神社だ。 -
鳥居に大きなしめ縄が飾られている。
太くて綺麗。
何と立派なしめ縄だろう・・と思ったら、藁ではなく合成樹脂だった。 -
拝殿の前に立ってお参りする。
拝殿の周りは綺麗に掃除されていて、地面にはほうきの跡が残っている。
1年ごとに交代するお宮当番は、今年は先ほどのおばあさん。
「毎月一回、掃除に行くんだよ。」
そうか、おばあさんが掃き清めたばかりなんだ。 -
境内に「おおっ!」と見上げる御神木が立っている。
この優雅な姿が、この地区の自然を象徴しているようだ。 -
帰り道、脇道に入って、さらに高所に登って行く。
妻の幼馴染が嫁いだ家は、少し前までは車では行けず、途中に車を置いて歩いたと聞く。
以前は人が歩けるだけの細い道。
ここを幼馴染の△△ちゃんは、毎日歩いていたんだ・・ -
山頂近くの開けた場所に、その家は現れた。
立派な建物だった。
窓をのぞくと遺影が飾られていた。
一人住まいになってしまったご主人に挨拶する。 -
ここは集落の最も高い場所。
四方の景色を眺めていると、気持ちが晴れ渡ってくる。
亡くなった△△ちゃんは、愛するご主人のこの集落に嫁いで来て、ずっとこの景色と共に暮らしてきたんだ・・
△△ちゃんの数々の想い出が、この野山に溶け込んでいるように思え、目頭が熱くなってしまう妻。 -
「右側の白く光って見えるのが、掛川のエコパスタジアムです。」
と、ご主人が教えてくれる。
-
「こっちの白く見える建物は、中東遠医療センターです。」
こんな遠くから、それらが見えるんだ・・と驚く私たち。
夜景も綺麗なんだろう。
しかし風の音しか聞こえない漆黒の夜、一人きりでこの人は、どう過ごしているんだろう。 -
大平(おいだいら)集落までの坂道を、ブレーキを踏みつつ走った。
途中に『山の神』があるはずなのに、見つけることができなかった。
『湯沢冷泉』も想像以上にお粗末で、ここではあるまいと通り過ぎ、引き返してやっと見つけた施設だった。 -
寂しい山の中に、荒れ果てた姿で建っているおんぼろ小屋。
これがそうらしい。 -
壊れかけた太陽光温水器、その下に薪で沸かす風呂釜が、無造作に置かれていた。
長い間使用した形跡がなく、廃棄物同然となっている。 -
ここで煮炊きして食事をしたんだろう。
当時は風流な湯治場だったのか? -
冷泉が湧き出す井戸が見つかった。
ひしゃくで水をすくって手を触れる。
見たところ綺麗な水だった。
何となく硫黄臭く感じたのは、気のせいだろうか。 -
大平集落センターのある三叉路まで下りてきた。
観光マップではこの場所に、六地蔵が紹介されている。 -
道路脇にすぐ見つかった。
六体の地蔵さんが、石柱に刻まれていた。
めずらしい地蔵さんだ。 -
この近くには薬師堂、円通寺、そして六所神社が建てられている。
この集落は、歴史ある裕福な集落であったと思われる。
大きくて立派な民家も多い。
円通寺を見学する。
後方にあるのが円通寺で臨済宗の寺だ。
今は住職がいなく、お坊さんは町の本寺からやって来るらしい。
手前の建物は薬師堂で、12年に1度建て替え普請があり、来年はその年となるようだ。 -
そんな説明をしてくれたのが、梅の木の剪定をしていたおじさんで、梅園を作っていた。
後方に共同墓地が見える。
梅園き中に参拝者のため、彼岸花や菊の花園を作るのだと張り切る、心優しいおじさんだった。 -
六所神社にも足を向けた。
神社の名前は、六柱の神を祭神とする説があるが、神社を登録・管理する「禄所」が六所になったとの説もある。
また「録所」は墓地の意味もあるという説もあって、面白い。 -
鳥居をくぐって参道を進む。
すると巨大な幹が、参道に覆いかぶさっていた。
その姿、樹木に神が降臨してきたようだ。
こんな参道は初めてだ。
-
興奮してあちこちから眺め、観察し、
神社そのものにはうわの空だった。 -
スマホの歩数計を見ると、本日の歩数は1万4千歩を超えている。
そんなに歩いたつもりはなかったのに、10kmは歩いていたのだった。
帰路の天竜浜名湖線の踏切で、カラフルなディーゼル車に遭遇した。
嬉しくなって、あわててシャッターを押した。
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