2020/09/20 - 2020/09/20
12位(同エリア223件中)
かっちんさん
三方五湖(みかたごこ)の中で最も大きな湖「水月湖(すいげつこ)」。
この湖の底には7万年前の歳月をかけて積み重なった「年縞(ねんこう)」と呼ばれる縞模様が形成されています。
「年縞」は、季節ごとに異なるものが堆積することにより、明暗1対の縞が1年に相当し、その縞には過去の気候変動や自然災害の履歴を知る重要な手がかりが記録されています。
「年縞」を解析することで、当時の自然環境や自然災害に関する精度の高いデータが得られ、また化石や遺物の年代を特定する放射性炭素年代測定の較正に使われています。
水月湖の年縞調査は、第1次調査(約75mの堆積物採取)が平成5年(1993)に行われ、年縞から花粉化石を基にした縄文時代開始頃の古気候の変動について研究成果が発表されました。
平成18年(2006)には4本のボーリングを行い、約73mに及ぶ完全な堆積物の採取に成功。縞の数は何年もの年月をかけて数えられ、縞に含まれる葉化石の放射性炭素年代が測定されました。
その研究成果は2012年米科学雑誌「サイエンス」に掲載され、翌年には、水月湖の年縞が、約5万年前までの年代を特定する「世界標準のものさし」となりました。
平成30年(2018)に開館した「若狭年縞博物館」では、第4次調査(平成26年)で採取した実物の年縞が展示されています。
今日は敦賀から小浜線に乗り、若狭町十村にある「円成寺のみかえりの松」を見学、次に三方五湖にある「年縞博物館」を訪れ、年縞博物館ガイドツアーに参加します。
なお、旅行記は下記資料を参考にしました。
・広報わかさNo.154 2018年2月号:石田商店
・現地説明板「円成寺のみかえりのマツ」
・福井県年縞博物館のHPと資料
・若狭三方縄文博物館資料
・若狭湾観光連盟「若狭三方縄文博物館」
・鹿島建設「現場から:湖畔によみがえる縄文文化 三方町縄文博物館新築工事」
・八木マリヨ「アートヒストリー」
・福井県「マスコットキャラクター はぴりゅう」
・福井テレビ、おかえりなさ~い「美浜のスペースシャトル?」
・NHKみんなの趣味の園芸「アサガオ」
・日本マンホール蓋学会「三方上中郡若狭町のマンホール」
・福井新聞「「縄文太郎」化粧直し 福井県若狭町の鳥浜貝塚公園」2016年3月24日
・ウィキペディア「十村駅」「鬼界カルデラ」
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- JRローカル 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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北陸新幹線 2023年春開業予定(敦賀駅)
金沢~敦賀間が2023年春に開業する案内です。 -
どこへ飛び立つのか「スペースシャトル」(美浜付近の車窓)
敦賀発7:45の小浜線に乗り、美浜駅を過ぎたところで発見。
オオギ観光タクシーが作った「スペースシャトル」のオブジェです。 -
黄色いストライプの絨毯(三方付近の車窓)
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稲刈りの真っ最中(三方付近の車窓)
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十村駅に到着
上り電車と下り電車の交換駅です。
この駅から「円成寺みかえりの松」を訪れます。 -
十村駅の駅舎
大正6年(1917)小浜線敦賀駅~十村駅(とむらえき)開業と同時に、終着駅として設置されました。
今年で開業103年を迎え、駅舎は創設当時の建物がそのまま使用されています。 -
イチオシ
十村駅を見守る「石田商店雑貨部」(駅前)
十村駅の開業と同時に営業を始めた「石田商店」。
建物とともに103年の歴史があります。
最盛期には、運送業や宿泊施設も営んでいました。
看板をじっと眺めると、「・貨部」の文字の下にうっすらと「運送」の文字が・・・
そして、「貨」は珍しい看板文字。「人」偏に「ヒ」と「貝」の組み合わせ。
発音や意味が同じで、部品の配置だけが違う漢字のことを「動用字」と呼ばれています。 -
地元に愛される雑貨店(石田商店)
駄菓子から日用品まで揃っています。
「円成寺みかえりの松」までは1.4km。では、歩いて行きます。 -
民家の土蔵(十村付近)
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赤い板壁に囲まれた土蔵(十村付近)
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青空に映える土蔵(十村付近)
蔵ワッペン(蔵飾り)は火除けまじないの文字「水」。 -
集落の「稲荷神社」(十村付近)
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斑のある「カゴノキ」(稲荷神社境内)
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「円成寺みかえりの松」に到着
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イチオシ
県の天然記念物「みかえりの松」
樹齢約270年のクロマツで、どの方向から眺めても美しい枝張り名木であることから「みかえりの松」と名付けたといわれています。
幹廻り4m、樹高12m、枝張りが東西28m・南北30mに及びます。 -
角度を変えた眺め(みかえりの松)
新日本名木百選で「松の名木十選」にも選ばれています。 -
さらに角度を変えた眺め(みかえりの松)
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太い幹と枝(みかえりの松)
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美しい枝ぶり(みかえりの松)
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堂々とした姿(みかえりの松)
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円成寺を参拝
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ギボウシ(境内)
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怪しい跡の続く道(帰り道)
これはビニールハウスのビニールをまくり上げた影でした。 -
観光梨園(帰り道)
美味しそうな梨がなっています。 -
十村駅の待合室
昔の出札口の名残りがわかります。 -
イチオシ
おめかしした「うきうきアヒル」(待合室)
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曜白アサガオ(十村駅構内)
花弁の中心から筋状に白い模様が入る系統。
午後3時頃まで咲き、また開花期間も長いことが特徴。 -
黄金色に染まる稲穂(車窓)
十村駅から小浜線に乗り、三方駅へ向かっています。 -
三方駅に到着
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三方駅周辺の地図
三方五湖は三方湖、菅湖、水月湖、久々子湖、日向湖の総称です。
「若狭年縞博物館」は、「若狭三方縄文博物館」の敷地内にあり、三方駅から1.5km離れており、歩いて行きます。 -
デザインマンホール(三方)
「旧三方町」のマンホールです。現在は三方郡三方町と遠敷郡上中町が合併し、「三方上中郡若狭町」となっています。
魚が三方五湖に泳ぎ、梅の花と梨、梅丈岳が描かれています。 -
イチオシ
縄文人のお出迎え(三方)
鳥浜貝塚公園のシンボルモニュメント「縄文太郎」です。
この地区で縄文時代の貝塚跡が見つかり鳥浜貝塚公園が造られました。
ここから「はす川」沿いに歩きます。 -
「若狭三方縄文博物館」に到着
縄文博物館の形はドーム型の屋根がすべて土で覆われ、その上に芝と笹を植えています。
設計は横内敏人建築設計事務所。
博物館の形は、ちょうど大地が妊娠した女性のように、縄文の文化を胎内に宿したようなイメージで設計したものです。 -
イベント「シマシマにドキドキ」を同時開催(博物館)
2023春 北陸新幹線福井・敦賀間開業PRブースに来ています。
新幹線ヘルメットを被り、ジュラチック王国の鉄道員と挨拶します。 -
山に囲まれた「三方湖」(博物館)
2つの博物館は三方湖畔にあります。 -
環境彫刻「縄の時空」(芝生広場)
芝生広場にあるモニュメント。
縄の包まれる、囲まれるイメージや、縄の中心は空洞であるという概念を形にした国際的な環境芸術/彫刻家の「八木マリヨ」さんの作品。
三方五湖周辺の土を各地から採取し、その土と発掘された破棄放置されていた縄文樹の根っこを利用した作品に左官職人の助けをかり仕上げています。 -
イチオシ
年縞SAND(カフェ)
年縞博物館に併設されたカフェ「縞」で昼食。
年縞の掘削作業をイメージした名物メニュー「年縞SAND」。
真ん中のボーリングを上に引き抜くと、サンドイッチが崩れそうになり、食べるのがちょっと大変(笑) -
縞々重(カフェ)
色鮮やかな彩りの縞々弁当。どちらも美味しくいただきました。 -
「縄文博物館」の見学
鳥浜貝塚から出土した遺物を中心に、縄文文化をテーマにした博物館です。
縄文遺跡から出土した丸木舟や縄文土器、鳥浜貝塚の出土物などが展示されています。 -
埋没林の杉株(縄文博物館)
若狭町気山(きやま)や東黒田・岩屋などの低地の湿田中には、縄文時代前期から晩期のころ植生していたことを示す杉の大木が立株や横倒しの状態で数多く埋没しています。
展示している杉株は、気山埋没林で検出されたもので、幹の直径が1.5m以上、根の張りが5m以上ありました。
樹齢は500~600年くらいと考えられます。 -
三方五湖の全景(縄文博物館)
若狭湾の豪快で男性的な海岸風景に対して、三方五湖は柔軟で女性的な湖岸風景として、より対照を示しています。
三方湖(みかたこ)は、五湖の内ただ一つの完全淡水湖です。
水月湖(すいげつこ)は、五湖の内最も大きく三方湖とは瀬戸口で、久々子湖とは掘割りの浦見川で結ばれ、日向湖とは嵯峨隧道でつながっています。海水と真水の半々の汽水湖です。
菅湖(すがこ)は、五湖の内最も小さな湖で、水月湖と同じ汽水湖です。
久々子湖(くぐしこ)は、南北に長く汽水湖になっていますが、海に少し接しているので満潮時には日本海から海水が逆流し、塩水にもなります。
日向湖(ひなたこ)は、湖口が日本海とつながっており、完全な塩水湖です。 -
特別企画展「シマシマが語る46億年の歴史」
2020.9.19~11.23にふたつの博物館で開催。
年縞博物館では「縞模様でわかる地球の歴史」、縄文博物館では「縞模様でたどる日本人の歴史」を展示しています。 -
「はぴりゅう」のお出迎え(年縞博物館)
福井県マスコットキャラクター「はぴりゅう」が年縞博物館入口でお出迎え。
幸福度日本一「はぴねす」があふれる福井県の「きょうりゅう」=「はぴりゅう」が、皆さんのさまざまな活動を全力で応援し、福井県をもっとワクワクドキドキにするため、日々頑張っています。
観覧料金は500円ですが、今日9/20は無料です。 -
長さ45mの「年縞」展示(年縞博物館)
年縞博物館の2Fに上がると、水月湖の底から掘り出された長さ45mの「年縞」の現物が展示されています。
「年縞」は乾燥に弱く、空気に触れると色が変わってしまいます。
そこで「年縞」を樹脂に埋め込み、ごくごく薄いフィルム状にしてガラス板にはさみ、空気を完全に遮断した「年縞ステンドグラス」にしています。 -
「年縞ステンドグラス」ができるまで(年縞博物館)
1.ボーリング
2014年に立命館大学の協力を得て、博物館の展示のために水深34mの湖底でボーリングを行い、45m=7万年分の「年縞」を採取しました。
1回のボーリング作業で得られる細長い円筒形の泥の年縞は、長さわずか1m。
そこで、深さが少しずつ重複するように湖底の下45mまで順々に101本の泥の円筒を掘り出し、1年分の欠けもない完全に連続した年縞を得られました。 -
「年縞ステンドグラス」ができるまで(年縞博物館)
2.切り分け
「年縞ステンドグラス」に加工するために、円筒形の泥(ボーリング試料)から年縞を薄く切り出して、ドイツの技術者に送りました。
「切り分け」を担当した立命館大学の中川教授は、独自の方法を駆使して作業を進めました。
3.標本作成
「年縞ステンドグラス」を作成したのは、年縞研究で世界をリードするドイツポツダム地球科学研究センターの技師だった、M・ケーラー氏。
ケーラー氏は年縞を凍結乾燥し水分を除去、エポキシ樹脂で固めました。
硬くなった年縞をサンドペーパーと砥石で1mmの20分の1(50μm)の薄さに研ぎ上げ、「年縞ステンドグラス」を作ったのです。 -
古代人の生涯の気候もわかる(年縞博物館)
「年縞」には、過去7万年分のできごとが一年刻みで記録されています。
この「年縞」に含まれる花粉の種類や量、火山灰などから、当時の気温や降水量、火山活動がわかります。
何万年前であっても、当時の様子を1年刻みで詳しく復元することができます。 -
水月湖年縞7万年ギャラリー(年縞博物館)
ここから45m先まで続く展示は、水月湖から掘り出した「年縞」の現物です。 -
中川 毅教授によるガイドツアー(年縞博物館)
イベント「シマシマにドキドキ」のひとつで、立命館大学古気候学研究センター長の中川 毅教授による1時間ほどの展示案内のツアーです。
(参加にはHPから事前申し込みが必要)
「年縞」が歴史の謎を解く鍵になることや、ボーリングから標本をつくるまでの苦労話など、熱の入った説明に引き込まれます。
7万年分の年縞は、細かい縞模様を7万本間違いなく数えて分析する地道な作業により達成できました。 -
イチオシ
現在の年縞(年縞ギャラリー)
最初に2014年現在の年縞から始まります。
年縞1年分は縞模様の厚さ0.7mm。
従って、ボーリング作業時の円筒1本の長さ1mは、1000mm÷0.7mm=1428年分を表します。 -
「天正地震」の痕跡(年縞ギャラリー)
安土桃山時代の1586年、中部地方で発生した巨大地震「天正(てんしょう)地震」の痕跡があります。
地震が起きると、湖の周りから大量の土砂が流入し、厚い層となります。
2本ある年縞は、採取した円筒形のつなぎ部分の欠けをなくすため、円筒形2本の位置をずらして重複させています。 -
「鬼界カルデラの火山灰」(年縞ギャラリー)
7,253年±23年前に起きた「鬼界(きかい)カルデラの火山灰」。
「鬼界カルデラ」は鹿児島県薩摩半島から約50km南の大隅海峡にあるカルデラ。
約7300万年前の噴火は、過去1万年では世界最大規模で、火砕流が九州南部にも到達し、九州南部の縄文人を絶滅させたと推測されています。
降り積もった火山灰の年縞から、火山の噴火した年代を精度よく知ることができます。 -
「7万年前の年縞」(年縞ギャラリー)
7万年間続く水月湖の年縞の出発点です。
この時期に三方断層の活動により、水月湖が沈降し、年縞が形成される水深に達したと考えられます。
深さ45mから64mまでは年縞ではなく泥土堆積物となっていて、この時期は水月湖の水深が浅かったと考えられます。
64mから下に再び年縞が現れ、最深部の堆積物は約15万年前のものと考えられています。 -
地球の磁力が弱まる 4.1万年前(パネル展示)
パネル展示コーナーでは、年縞から読み取れる自然現象を解説しています。
4.1万年前に方位磁石を指す向きが北極から大きく外れる現象が起きます。
地球の磁力が弱まることで、宇宙からやってくる放射線の量が増え、気候が寒冷化した可能性を年縞から知ることができます。 -
年縞に含まれる異物 4.1万年前(パネル展示)
年縞の中には異質な「モノ」が混じり込んでいます。
葉っぱの化石が全部で1000枚以上や、小指ほどの大きな木の枝など。
また縞模様の中にたくさんの白い点が混じっていることに気付きます。
これは、動物や虫などの死骸が変質してできた、藍鉄鉱(らんてっこう)という鉱物。
藍鉄鉱は、しばらく空気に触れると鮮やかな青に変わるので、年縞の中にも青い点が見つかります。 -
過去7万年で最大の湖底地滑り 3.8万年前(パネル展示)
層の上と下で縞の色が明確に異なります。
湖水に含まれるミネラルなどの成分が大きく変化しています。
これは水月湖に流れ込む川の流路が変わったと考えられています。 -
本格的な氷期の到来 3.8万年前(パネル展示)
氷期の海面低下にともなって、世界各地で浅い海が陸化しました。
これにより、大陸や島の間の移動が容易になります。
水月湖でも針葉樹のコメツガやシラカバが増えるなど寒冷期の景観となっていきます。 -
姶良カルデラの火山灰 3万年前(パネル展示)
水月湖の年縞に含まれる一番厚い火山灰層。
噴火年代に2.2万年前、2.5万年前、2.8万年前など諸説ありましたが、水月湖の年縞により正確な年代が判明しました。 -
江戸四大飢饉 1642~1839年(パネル展示)
江戸時代は、大雨・洪水・干ばつ・冷夏などによる凶作・飢饉が絶えませんでした。
年縞に含まれる植物の化石を調べることで、気候や環境の変動を知ることができます。 -
放射性炭素年代測定の較正モデル 2013年(パネル展示)
1947年に放射性炭素年代測定法が発明され、2013年には水月湖年縞データが放射性炭素年代測定の較正モデル(IntCal 13)に採用されました。 -
年縞の調査や研究に使った道具(パネル展示)
新しい分野の研究に取り組む科学者たちは、研究に必要な道具を自作しています。
100円ショップやホームセンターで見つけたありふれたモノを材料に作った道具もあります。 -
三方駅
年縞博物館をあとにし、三方駅17:01発の敦賀行きに乗ります。
敦賀からは金沢経由、北陸新幹線で東京まで帰ります。 -
女性運転士のシルエット(小浜線)
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夕暮れ近くの青空(小浜線車窓)
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日の入り前(小浜線車窓)
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紫色の夕焼け(小浜線車窓)
陽が沈むと空の色が刻々と変わっていきます。 -
イチオシ
真っ赤に染まる黄昏時(敦賀付近の車窓)
当日、北陸本線の特急が遅れていたため、偶然にも1本早い在来線特急と新幹線に乗れました。
水月湖の年縞は7万年の歴史を解き明かすのに役立つことがわかりました。
そして、年縞に打ち込む科学者たちの執念と努力に感動しました。
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