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 可睡斎は、遠州三山の一つに数えられる曹洞宗の禅寺。<br /> 修行中の若いお坊さんも集まり、そんじょそこらの寺ではない。<br /> その寺で『秋葉の火まつり』が行われるのは、どうしてか?<br /> 秋葉とは、この寺から北方25kmの山頂にある秋葉神宮(火の神・大権現)のこと。<br /> 火の神と禅寺は、どのような関わりがあるのか?<br /><br /> 秋葉神社の創建には諸説あるが、元々は秋葉山そのものが神だ。<br /> そこに修験道や仏教が入り込み、古の言い伝えや土着信仰も合体して、1300年も前に神社が建立されたという。<br /> 日本の宗教は神仏習合、様々な文化を取り入れて、何でもありと柔軟に発展する。<br /><br /> 秋葉神社は戦国時代に荒廃して衰退したが、江戸時代になると徳川家と縁のある可睡寺の別当寺となって、火の神(大権現)の本山として隆盛を誇った。<br /> ところが明治になると、宗教界は国家神道一色にゆがめられ、神仏分離が強要される。<br /> 神道の部分は秋葉神社となって秋葉山に残り、仏の部分は可睡斎に遷座された。<br /> <br /> なるほど、そういう訳があったのか・・<br /> 民衆の心情、経済的な基盤、権力者の思惑、そういった諸々のものが関わってきた日本の宗教。<br /> その歴史に興味がわいてくる。

秋葉の火まつり・可睡斎

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2020/12/15 - 2020/12/15

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motogen

motogenさん

 可睡斎は、遠州三山の一つに数えられる曹洞宗の禅寺。
 修行中の若いお坊さんも集まり、そんじょそこらの寺ではない。
 その寺で『秋葉の火まつり』が行われるのは、どうしてか?
 秋葉とは、この寺から北方25kmの山頂にある秋葉神宮(火の神・大権現)のこと。
 火の神と禅寺は、どのような関わりがあるのか?

 秋葉神社の創建には諸説あるが、元々は秋葉山そのものが神だ。
 そこに修験道や仏教が入り込み、古の言い伝えや土着信仰も合体して、1300年も前に神社が建立されたという。
 日本の宗教は神仏習合、様々な文化を取り入れて、何でもありと柔軟に発展する。

 秋葉神社は戦国時代に荒廃して衰退したが、江戸時代になると徳川家と縁のある可睡寺の別当寺となって、火の神(大権現)の本山として隆盛を誇った。
 ところが明治になると、宗教界は国家神道一色にゆがめられ、神仏分離が強要される。
 神道の部分は秋葉神社となって秋葉山に残り、仏の部分は可睡斎に遷座された。
 
 なるほど、そういう訳があったのか・・
 民衆の心情、経済的な基盤、権力者の思惑、そういった諸々のものが関わってきた日本の宗教。
 その歴史に興味がわいてくる。

同行者
カップル・夫婦(シニア)
交通手段
自家用車
  •  始めに動画でご覧ください。<br /> 動画の長さはおよそ6分です。<br />https://youtu.be/ui_Bkx0HFZY<br />

     始めに動画でご覧ください。
     動画の長さはおよそ6分です。
    https://youtu.be/ui_Bkx0HFZY

  •  ということで、信者でない私たちだが、興味本位で不謹慎であると思いつつ、一度は郷里の『火まつり』を見るべきだと、可睡斎に到着した。<br /> 大祭祈祷などは3時から始まり、松明道中が始まるのは7時30分。<br /> 早めに家を出て、着いたのは6時40分。<br /> 警備員が案内してくれた駐車場は、まだ車は少なく、そしてなんと無料だった。<br /> ありがたい。

     ということで、信者でない私たちだが、興味本位で不謹慎であると思いつつ、一度は郷里の『火まつり』を見るべきだと、可睡斎に到着した。
     大祭祈祷などは3時から始まり、松明道中が始まるのは7時30分。
     早めに家を出て、着いたのは6時40分。
     警備員が案内してくれた駐車場は、まだ車は少なく、そしてなんと無料だった。
     ありがたい。

  •  土産物屋の並ぶ門前は、夜の冷気が幻覚を見せるようで、<br /> 「あれっ! ここに、こんなお店があったっきか?」<br /> と異世界に迷い込んだ妻の顔。<br /> この冬一番の寒波到来だが、ありったけの防寒対策をしてきた私たちは、足も背中もホカホカしている。

     土産物屋の並ぶ門前は、夜の冷気が幻覚を見せるようで、
     「あれっ! ここに、こんなお店があったっきか?」
     と異世界に迷い込んだ妻の顔。
     この冬一番の寒波到来だが、ありったけの防寒対策をしてきた私たちは、足も背中もホカホカしている。

  •  まずは下調べと、境内に立ち入る。<br /> 仁王門に続く石段には、灯篭の列が並び、まつりだというのに人影が一つだけ。

     まずは下調べと、境内に立ち入る。
     仁王門に続く石段には、灯篭の列が並び、まつりだというのに人影が一つだけ。

  •  灯篭の一つ一つに名前が記されていて、信者の奉納品だとわかる。

     灯篭の一つ一つに名前が記されていて、信者の奉納品だとわかる。

  •  燃えているのは蝋燭ではなく、植物油だ。

     燃えているのは蝋燭ではなく、植物油だ。

  •  仁王門の前では、写真マニアが松明道中を待ち構えている。<br /> 見物仲間がいてくれるのは心強く、<br /> 「あとで一緒に撮影させてね。」と声をかけておく。<br />(私たちの撮影機材は高級カメラでなく、玩具みたいなものだけど)<br />

     仁王門の前では、写真マニアが松明道中を待ち構えている。
     見物仲間がいてくれるのは心強く、
     「あとで一緒に撮影させてね。」と声をかけておく。
    (私たちの撮影機材は高級カメラでなく、玩具みたいなものだけど)

  •  門の奥には、ライトアップされている本堂が、漆黒の森の中に浮かんでいる。<br /> 神仏を信じない私でも、神秘的な霊力を感じてしまう演出だ。<br /> やるなあ!<br /> 可睡斎!

     門の奥には、ライトアップされている本堂が、漆黒の森の中に浮かんでいる。
     神仏を信じない私でも、神秘的な霊力を感じてしまう演出だ。
     やるなあ!
     可睡斎!

  •  本堂前には消防団員が見張りをしていた。<br /> 防火の神の火まつりで、火災なんか起こしたら洒落にもならないからね。<br /> ごくろうさま。

     本堂前には消防団員が見張りをしていた。
     防火の神の火まつりで、火災なんか起こしたら洒落にもならないからね。
     ごくろうさま。

  •  左側に人だかりが見える。<br /> 四方にしめ縄の結界が張ってある。<br /> のぞくと、白装束の男たちがなにやら作業中。

     左側に人だかりが見える。
     四方にしめ縄の結界が張ってある。
     のぞくと、白装束の男たちがなにやら作業中。

  •  地面に薪を並べ、祭壇に礼拝しているようだ。<br /> おおっ!<br /> ここが火渡りの祭儀場となるらしい。

     地面に薪を並べ、祭壇に礼拝しているようだ。
     おおっ!
     ここが火渡りの祭儀場となるらしい。

  •  祭壇の前で高僧のお経が始まった。<br /> <br /> 

     祭壇の前で高僧のお経が始まった。
     
     

  •  さて、松明道中はどうなっているんだろう?<br /> 駐車場に戻る途中、きんきら衣装を身に着けた天狗が、友達のおじさんと立ち話していた。<br /> この人たち、祭を支えるボランティアの氏子のようだ。

     さて、松明道中はどうなっているんだろう?
     駐車場に戻る途中、きんきら衣装を身に着けた天狗が、友達のおじさんと立ち話していた。
     この人たち、祭を支えるボランティアの氏子のようだ。

  •  駐車場には思いもよらぬ大勢の人が、列を作って集まっていた。<br /> 先頭は、袈裟をまとったお坊さんたち。<br /> 続いて、巨大な松明を肩にかついだ法被姿の男たち。

     駐車場には思いもよらぬ大勢の人が、列を作って集まっていた。
     先頭は、袈裟をまとったお坊さんたち。
     続いて、巨大な松明を肩にかついだ法被姿の男たち。

  •  その後に、真っ赤な装束の烏天狗たちが続いている。<br /> この天狗たち、浮ついたコスプレではなく、神に仕える由緒正しいコスプレだ。<br />(しかしその表情は、ウキウキ気分で楽しそう)

     その後に、真っ赤な装束の烏天狗たちが続いている。
     この天狗たち、浮ついたコスプレではなく、神に仕える由緒正しいコスプレだ。
    (しかしその表情は、ウキウキ気分で楽しそう)

  •  天狗の後に、一般大衆が松明を手にしてずらりと並んでいる。<br /> その列は信じられないほどの長蛇だ。<br /> 平日の、それも凍える夜なのに、いつの間にこんなに大勢の人が集まったのか?<br /> 「密にならないよう、間隔を充分とってお並びください!」<br /> のアナウンスにも何のその、神様がついているから大丈夫と、元気な笑顔ばかり。

     天狗の後に、一般大衆が松明を手にしてずらりと並んでいる。
     その列は信じられないほどの長蛇だ。
     平日の、それも凍える夜なのに、いつの間にこんなに大勢の人が集まったのか?
     「密にならないよう、間隔を充分とってお並びください!」
     のアナウンスにも何のその、神様がついているから大丈夫と、元気な笑顔ばかり。

  •  まだまだ人が集まって来て、1000円を奉納して松明を受け取っている。<br /> 受付のお姉さんたちも地元のボランティアらしい。

     まだまだ人が集まって来て、1000円を奉納して松明を受け取っている。
     受付のお姉さんたちも地元のボランティアらしい。

  •  ボー・ボー・ボー<br /> ほら貝の重厚な音が響きだすと、行列が動き出した。<br /> ほら貝の後に続くのは、見たこともない長い長い筒の笛だ。<br /> ほら貝も筒笛も、坊さんが吹いている。<br /> おごそかな笛の音だ。

     ボー・ボー・ボー
     ほら貝の重厚な音が響きだすと、行列が動き出した。
     ほら貝の後に続くのは、見たこともない長い長い筒の笛だ。
     ほら貝も筒笛も、坊さんが吹いている。
     おごそかな笛の音だ。

  •  山門をくぐって進んでいく行列。<br /> いつの間にか、先ほどのきんきら天狗も加わっていた。<br /> その白い髪が金色に輝く。

     山門をくぐって進んでいく行列。
     いつの間にか、先ほどのきんきら天狗も加わっていた。
     その白い髪が金色に輝く。

  •  巨大な松明に炎が上がる。<br /> 秋葉三尺坊大権現の御神火から頂いてきた、神通力を持つ炎だ。

     巨大な松明に炎が上がる。
     秋葉三尺坊大権現の御神火から頂いてきた、神通力を持つ炎だ。

  •  一般参加者の松明にも炎が移されていく。<br /> これを掲げて歩けば、無病息災、心願成就が約束される。

     一般参加者の松明にも炎が移されていく。
     これを掲げて歩けば、無病息災、心願成就が約束される。

  •  ありがたい炎が石段を登っていく。<br /> 「気をつけて歩け!」<br /> 「坊さんに当たってしまうぞ!」<br /> そんな声も聞こえるにわか信者たちの道中だが、 

     ありがたい炎が石段を登っていく。
     「気をつけて歩け!」
     「坊さんに当たってしまうぞ!」
     そんな声も聞こえるにわか信者たちの道中だが、 

  •  夜の闇に赤い炎が動く光景は、一見の価値がある。<br /> 写真マニアたちもシャッターを押しっぱなしだ。<br /> (スマホの人も多いけど)

     夜の闇に赤い炎が動く光景は、一見の価値がある。
     写真マニアたちもシャッターを押しっぱなしだ。
     (スマホの人も多いけど)

  •  御神火は仁王門をくぐり、

     御神火は仁王門をくぐり、

  •  本堂に向かっていく。

     本堂に向かっていく。

  •  本堂の横に炎が立ち上がった。<br /> 掲げてきた松明を納める護摩壇だ。

     本堂の横に炎が立ち上がった。
     掲げてきた松明を納める護摩壇だ。

  •  炎は風にあおられて大きく燃え上がり、人々の顔や樹々を赤く染め、

     炎は風にあおられて大きく燃え上がり、人々の顔や樹々を赤く染め、

  •  炎を見守る烏天狗の面々が、歌舞伎役者のように闇に浮かぶ。

     炎を見守る烏天狗の面々が、歌舞伎役者のように闇に浮かぶ。

  •  と、どこかで爆発音。<br /> 振り向けば、火の粉が舞い上がっている。

     と、どこかで爆発音。
     振り向けば、火の粉が舞い上がっている。

  •  手筒花火だ。<br /> 境内にまぶしい火の粉を吹き上げると、爆発して残像となる。<br /> その残像の中に、男がすっくと立っている。

     手筒花火だ。
     境内にまぶしい火の粉を吹き上げると、爆発して残像となる。
     その残像の中に、男がすっくと立っている。

  •  そんな男が次から次へと現れて、全身火の粉を浴びながら、火の神への奉納に身をささげる。<br />(おおげさかな?)

     そんな男が次から次へと現れて、全身火の粉を浴びながら、火の神への奉納に身をささげる。
    (おおげさかな?)

  •  火渡り修行の場にも御神火が移され、白装束の男たちがその炎を回りながら儀式を進めていた。<br /> しかしどこかぎこちない。<br /> 「もう一周、回ろうか?」<br /> なんて声も聞こえてくる。<br /> 白装束の方々は、やはりプロのお坊さんではなく、氏子の素人衆だと確信する。

     火渡り修行の場にも御神火が移され、白装束の男たちがその炎を回りながら儀式を進めていた。
     しかしどこかぎこちない。
     「もう一周、回ろうか?」
     なんて声も聞こえてくる。
     白装束の方々は、やはりプロのお坊さんではなく、氏子の素人衆だと確信する。

  •  練習もしているはずだが、剣を振り回す所作も不ぞろいだ。<br /> しかしこの素人ぶりが、なかなか良い。<br /> 神社仏閣にも商業主義かはびこる昨今、この田舎くささには、素朴な郷土愛が感じられるではないか。<br /> 地域行事として、この価値を見直さなくて・・<br /> と自分勝手に解釈する。

     練習もしているはずだが、剣を振り回す所作も不ぞろいだ。
     しかしこの素人ぶりが、なかなか良い。
     神社仏閣にも商業主義かはびこる昨今、この田舎くささには、素朴な郷土愛が感じられるではないか。
     地域行事として、この価値を見直さなくて・・
     と自分勝手に解釈する。

  •  最後の祈祷が終わって、

     最後の祈祷が終わって、

  •  最初に火渡りに臨んだのは、白装束のこれらの方々だった。<br /> 足元がおぼつかなく、よろけて火の中に落ちてしまいそうな人もいたが、仲間に助けられて、全員無事に渡り切ると、

     最初に火渡りに臨んだのは、白装束のこれらの方々だった。
     足元がおぼつかなく、よろけて火の中に落ちてしまいそうな人もいたが、仲間に助けられて、全員無事に渡り切ると、

  •  次に天狗が錫杖をついて渡り終え、

     次に天狗が錫杖をついて渡り終え、

  •  いよいよ一般参加者の順番になった。

     いよいよ一般参加者の順番になった。

  •  「あちっ! あちっ!」<br /> と悲鳴を上げる人もいれば、ひょいひょいと飛ぶように渡っていく人もいる。

     「あちっ! あちっ!」
     と悲鳴を上げる人もいれば、ひょいひょいと飛ぶように渡っていく人もいる。

  •  この場を取り仕切っている白装束たちは、火が弱まらないよう薪を投げ入れる。<br /> 炎の中に踏み込んで行く人たちは、火あぶりの罰を受ける受刑者みたいだ。

     この場を取り仕切っている白装束たちは、火が弱まらないよう薪を投げ入れる。
     炎の中に踏み込んで行く人たちは、火あぶりの罰を受ける受刑者みたいだ。

  •  運気向上<br /> 無病息災<br /> 家庭円満<br /> そんな願いを込めて、「えいっ!」とばかりに炎に突入していく人たちに、喝采を送ろう。。<br /> 日常生活から脱出した、この夜限りの荒行だ。

     運気向上
     無病息災
     家庭円満
     そんな願いを込めて、「えいっ!」とばかりに炎に突入していく人たちに、喝采を送ろう。。
     日常生活から脱出した、この夜限りの荒行だ。

  •  長い長い行列が続いている。<br /> 「みんな渡れますから、大丈夫です。」<br /> 「間隔をあけて、お待ちください。」<br /> アナウンスが繰り返される。

     長い長い行列が続いている。
     「みんな渡れますから、大丈夫です。」
     「間隔をあけて、お待ちください。」
     アナウンスが繰り返される。

  •  いつまで見ていても終わりそうになく、<br /> 「ここら辺で、帰ろうか・・」<br /> と背後を見ると、渡り切った人たちに『火渡り証明書』のお守りが配られていた。

     いつまで見ていても終わりそうになく、
     「ここら辺で、帰ろうか・・」
     と背後を見ると、渡り切った人たちに『火渡り証明書』のお守りが配られていた。

  •  「ああ・・すごかった!」<br /> ごったがえす人々の歓声や足音、アナウンス、読経が心地良い冬の境内。<br /> 可睡斎って、大衆と共に生きてきたお寺なんだな・・<br /> そんな気持ちになって帰路についた。

     「ああ・・すごかった!」
     ごったがえす人々の歓声や足音、アナウンス、読経が心地良い冬の境内。
     可睡斎って、大衆と共に生きてきたお寺なんだな・・
     そんな気持ちになって帰路についた。

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