2020/12/15 - 2020/12/15
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motogenさん
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可睡斎は、遠州三山の一つに数えられる曹洞宗の禅寺。
修行中の若いお坊さんも集まり、そんじょそこらの寺ではない。
その寺で『秋葉の火まつり』が行われるのは、どうしてか?
秋葉とは、この寺から北方25kmの山頂にある秋葉神宮(火の神・大権現)のこと。
火の神と禅寺は、どのような関わりがあるのか?
秋葉神社の創建には諸説あるが、元々は秋葉山そのものが神だ。
そこに修験道や仏教が入り込み、古の言い伝えや土着信仰も合体して、1300年も前に神社が建立されたという。
日本の宗教は神仏習合、様々な文化を取り入れて、何でもありと柔軟に発展する。
秋葉神社は戦国時代に荒廃して衰退したが、江戸時代になると徳川家と縁のある可睡寺の別当寺となって、火の神(大権現)の本山として隆盛を誇った。
ところが明治になると、宗教界は国家神道一色にゆがめられ、神仏分離が強要される。
神道の部分は秋葉神社となって秋葉山に残り、仏の部分は可睡斎に遷座された。
なるほど、そういう訳があったのか・・
民衆の心情、経済的な基盤、権力者の思惑、そういった諸々のものが関わってきた日本の宗教。
その歴史に興味がわいてくる。
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 自家用車
-
始めに動画でご覧ください。
動画の長さはおよそ6分です。
https://youtu.be/ui_Bkx0HFZY -
ということで、信者でない私たちだが、興味本位で不謹慎であると思いつつ、一度は郷里の『火まつり』を見るべきだと、可睡斎に到着した。
大祭祈祷などは3時から始まり、松明道中が始まるのは7時30分。
早めに家を出て、着いたのは6時40分。
警備員が案内してくれた駐車場は、まだ車は少なく、そしてなんと無料だった。
ありがたい。 -
土産物屋の並ぶ門前は、夜の冷気が幻覚を見せるようで、
「あれっ! ここに、こんなお店があったっきか?」
と異世界に迷い込んだ妻の顔。
この冬一番の寒波到来だが、ありったけの防寒対策をしてきた私たちは、足も背中もホカホカしている。 -
まずは下調べと、境内に立ち入る。
仁王門に続く石段には、灯篭の列が並び、まつりだというのに人影が一つだけ。 -
灯篭の一つ一つに名前が記されていて、信者の奉納品だとわかる。
-
燃えているのは蝋燭ではなく、植物油だ。
-
仁王門の前では、写真マニアが松明道中を待ち構えている。
見物仲間がいてくれるのは心強く、
「あとで一緒に撮影させてね。」と声をかけておく。
(私たちの撮影機材は高級カメラでなく、玩具みたいなものだけど) -
門の奥には、ライトアップされている本堂が、漆黒の森の中に浮かんでいる。
神仏を信じない私でも、神秘的な霊力を感じてしまう演出だ。
やるなあ!
可睡斎! -
本堂前には消防団員が見張りをしていた。
防火の神の火まつりで、火災なんか起こしたら洒落にもならないからね。
ごくろうさま。 -
左側に人だかりが見える。
四方にしめ縄の結界が張ってある。
のぞくと、白装束の男たちがなにやら作業中。 -
地面に薪を並べ、祭壇に礼拝しているようだ。
おおっ!
ここが火渡りの祭儀場となるらしい。 -
祭壇の前で高僧のお経が始まった。
-
さて、松明道中はどうなっているんだろう?
駐車場に戻る途中、きんきら衣装を身に着けた天狗が、友達のおじさんと立ち話していた。
この人たち、祭を支えるボランティアの氏子のようだ。 -
駐車場には思いもよらぬ大勢の人が、列を作って集まっていた。
先頭は、袈裟をまとったお坊さんたち。
続いて、巨大な松明を肩にかついだ法被姿の男たち。 -
その後に、真っ赤な装束の烏天狗たちが続いている。
この天狗たち、浮ついたコスプレではなく、神に仕える由緒正しいコスプレだ。
(しかしその表情は、ウキウキ気分で楽しそう) -
天狗の後に、一般大衆が松明を手にしてずらりと並んでいる。
その列は信じられないほどの長蛇だ。
平日の、それも凍える夜なのに、いつの間にこんなに大勢の人が集まったのか?
「密にならないよう、間隔を充分とってお並びください!」
のアナウンスにも何のその、神様がついているから大丈夫と、元気な笑顔ばかり。 -
まだまだ人が集まって来て、1000円を奉納して松明を受け取っている。
受付のお姉さんたちも地元のボランティアらしい。 -
ボー・ボー・ボー
ほら貝の重厚な音が響きだすと、行列が動き出した。
ほら貝の後に続くのは、見たこともない長い長い筒の笛だ。
ほら貝も筒笛も、坊さんが吹いている。
おごそかな笛の音だ。 -
山門をくぐって進んでいく行列。
いつの間にか、先ほどのきんきら天狗も加わっていた。
その白い髪が金色に輝く。 -
巨大な松明に炎が上がる。
秋葉三尺坊大権現の御神火から頂いてきた、神通力を持つ炎だ。 -
一般参加者の松明にも炎が移されていく。
これを掲げて歩けば、無病息災、心願成就が約束される。 -
ありがたい炎が石段を登っていく。
「気をつけて歩け!」
「坊さんに当たってしまうぞ!」
そんな声も聞こえるにわか信者たちの道中だが、 -
夜の闇に赤い炎が動く光景は、一見の価値がある。
写真マニアたちもシャッターを押しっぱなしだ。
(スマホの人も多いけど) -
御神火は仁王門をくぐり、
-
本堂に向かっていく。
-
本堂の横に炎が立ち上がった。
掲げてきた松明を納める護摩壇だ。 -
炎は風にあおられて大きく燃え上がり、人々の顔や樹々を赤く染め、
-
炎を見守る烏天狗の面々が、歌舞伎役者のように闇に浮かぶ。
-
と、どこかで爆発音。
振り向けば、火の粉が舞い上がっている。 -
手筒花火だ。
境内にまぶしい火の粉を吹き上げると、爆発して残像となる。
その残像の中に、男がすっくと立っている。 -
そんな男が次から次へと現れて、全身火の粉を浴びながら、火の神への奉納に身をささげる。
(おおげさかな?) -
火渡り修行の場にも御神火が移され、白装束の男たちがその炎を回りながら儀式を進めていた。
しかしどこかぎこちない。
「もう一周、回ろうか?」
なんて声も聞こえてくる。
白装束の方々は、やはりプロのお坊さんではなく、氏子の素人衆だと確信する。 -
練習もしているはずだが、剣を振り回す所作も不ぞろいだ。
しかしこの素人ぶりが、なかなか良い。
神社仏閣にも商業主義かはびこる昨今、この田舎くささには、素朴な郷土愛が感じられるではないか。
地域行事として、この価値を見直さなくて・・
と自分勝手に解釈する。 -
最後の祈祷が終わって、
-
最初に火渡りに臨んだのは、白装束のこれらの方々だった。
足元がおぼつかなく、よろけて火の中に落ちてしまいそうな人もいたが、仲間に助けられて、全員無事に渡り切ると、 -
次に天狗が錫杖をついて渡り終え、
-
いよいよ一般参加者の順番になった。
-
「あちっ! あちっ!」
と悲鳴を上げる人もいれば、ひょいひょいと飛ぶように渡っていく人もいる。 -
この場を取り仕切っている白装束たちは、火が弱まらないよう薪を投げ入れる。
炎の中に踏み込んで行く人たちは、火あぶりの罰を受ける受刑者みたいだ。 -
運気向上
無病息災
家庭円満
そんな願いを込めて、「えいっ!」とばかりに炎に突入していく人たちに、喝采を送ろう。。
日常生活から脱出した、この夜限りの荒行だ。 -
長い長い行列が続いている。
「みんな渡れますから、大丈夫です。」
「間隔をあけて、お待ちください。」
アナウンスが繰り返される。 -
いつまで見ていても終わりそうになく、
「ここら辺で、帰ろうか・・」
と背後を見ると、渡り切った人たちに『火渡り証明書』のお守りが配られていた。 -
「ああ・・すごかった!」
ごったがえす人々の歓声や足音、アナウンス、読経が心地良い冬の境内。
可睡斎って、大衆と共に生きてきたお寺なんだな・・
そんな気持ちになって帰路についた。
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