艋舺青山王祭 暗訪2日目

2020/12/04 - 2020/12/06

12月4日から6日まで、台北三大祭事の1つである艋舺青山王祭が行われた。今年は青山宮創建165周年記念の年であることに加え、青山宮の主祭神である青山王に疫病を抑え込む力があると信じられていて、「新型コロナウィルス退散」を標榜して行われたため、かつてないほどの盛況となった。台湾媽祖信仰の代表である北港の朝天宮の媽祖神像が85年ぶりに台北青山宮へお出ましになったほか、台湾各地の媽祖やその他の神像がこの祭りのために青山宮に集まった。

エリア 台北(台湾)

暗訪2日目は青山宮ではなく、西門町へ向かった。若者が多く集まるこの繁華街も青山王祭の会場となっていた。

西門町 散歩・街歩き

準備中の八将軍

大勢に向かってメイクされるのは恥ずかしいだろうけれど、このようなメイクであれば、家族や友人でもほとんど気付かない。

八将軍の冠や武器

八将軍を導く童子が持つ瓢箪

八爺も手にする榜牌（虎牌）

将軍が抱える虎

この日は暗訪に先駆け、一般人による○（足＋采）街があった。これは言わば暗訪のプロモーション活動。インターネットで事前に申し込んだ人たちは枷鎖将軍のお面を受け取り、記念撮影をしていた。

子供連れの参加者が多かった。

自分は申し込みが出遅れ、現地申し込み（キャンセル待ち）の列に並んだ。

整理券を配布する開始時刻の30分前から列に並び、22番の整理券をもらった。

その後、呼び出しまで30分あったから、特設会場で行われていた、台湾戯曲学院の学生の芝居を観ていた。

ほんの数分しか観なかったけれど、たぶん青山王の物語だと思う。

その後、無事参加証をもらった。100人ほどがキャンセル待ちに並んで、皆参加証をもらえたようだった。

それから紙製のお面も。

もらったのは鎖将軍のものだった。

お面の裏には「COVID-19退散」と書かれていた。青山王には疫病を抑え込む力があるとされている。

○（足＋采）街は13時から始まった。

自分が普段歩く速度の半分ぐらいでの前進し、1時間ほどで青山宮に到着。参加者全員でお参りをした後、参加記念の福袋をもらった。

暗訪2日目は土曜日で、多くの人で青山宮は混み合っていた。

艋舺青山宮 寺院・教会

待機中の八将軍。

青山会の先頭を行く車。

14時過ぎに遅めの昼食をとった。龍山寺の近くにあった「誠記」で原汁排骨スープ、桜海老キャベツ炒飯、水出し冷茶のセット。3品すべておいしかった。特に排骨（豚カルビ）が大きく、煮込み加減が絶妙だった。

店内席のほか、店外にも10人ほどが座れる席がある。

○（足＋采）街参加記念のお面と福袋

食後は龍山寺へ。

龍山寺 寺院・教会

いつ行っても多くの参詣者で混み合っている龍山寺。

龍山寺 前殿 寺院・教会

正殿の観世音菩薩のほか、後殿に祀られる台湾ではポピュラーな「天上聖母」、司法神にして地域の守り神「城隍爺」などを皆がお参りする。

健康の神「華佗」や学問の神「文昌帝君」の参拝客や……

關聖帝君（関羽）や月下老人に祈りを捧げる参拝客も多い。

台北にある多くの寺院の中で、龍山寺の参拝客は特に多い。

青山宮の裏手にある建物の中から準備が整った八将軍の一行が出てくるのに偶然居合わせた。

その後、華西街夜市をぶらついた。この通りには、レストランのほか、マッサージ店も多い。

華西街観光夜市 市場

それから「薬膳料理」を提供する店も。

この店の「薬膳料理」とは蛇のこと。この蛇を見て、多くの女性が拒否反応を示すものの、そのような人に限って、近づいてじっくり見る人が多かった。

いろいろな食し方があるようだ。

再度、龍山寺に戻り、暗訪行列を観た。まずは頭燈がご挨拶。

続いて頭旗が龍山寺に祀られる神仏に表敬。

土地公の神輿は動きが激しい。神様をしっかり固定していなければ、間違いなく落下。

康定路と廣州街の交差点にある、剥皮寮歴史街区の建物。

剥皮寮 旧市街・古い町並み

管理がしやすいように日本時代に屋内式で生まれた新富市場。

続いてやってきたのは爐主壇。

龍や獅子が神将や青山王を出迎える。

七八爺をお運びするトラックが目の前を走り去っていった。

爐主壇のすぐ横に歌ったり踊ったりする女性たちのパフォーマンス舞台。爐主壇の伝統的な音楽と露出度の高い服を着た女性たちのポップな音楽が大音量で混じり合う。日本人の感覚では受け入れるのは難しい。

舞台上の女性は拍手が少ないとか、盛り上がりにかけているとか、人々に訴えていた。会場を盛り上げるために、こうした舞台が設けられることが多いけれど、有名人が来ない限り、しらけムードであることが多い。

爐主壇に立ち並ぶ4人の女性。

やがて、七八爺がやってくる時間になり、一般人の前に警察官が立ち、さらにその前に爐主壇のスタッフが並んだ。せっかく最前列を確保したのに、視界がとても悪くなった。

他所では観ないほど活発な動きをする八爺。

七爺。七八爺は友情が深く、そのために命を落とした。玉皇上帝がこれを知り、2人を神になさった。背の高い七爺が八爺の肩に手を回し、背の低い八爺が七爺の体に手を添えて、仲良く横並びで歩くのを初めて見た。

（七八爺については彰化の旅行記を参照）

こちらが今年の爐主。青山宮の職員に尋ねたところ、誰にでも爐主になる資格があり、神杯で聖杯が多く出た人がそれに就任するとのことだった。実際は爐主ゆえの出費が多く、経済的にだいぶゆとりがなければできないように感じた。

その後、雨が降り出した。人が多すぎて傘をさせる状態ではなかったし、隣のダンスミュージックを騒がしく感じたから、爐主壇を離れた。

再度、剥皮寮歴史街区。古い建物やエリアを大事に残す努力をする台湾。

そして、青山宮へ。画像は三川殿の藻井。

多くのお供物

電車に乗って、北港朝天宮からわざわざおいでになった媽祖。台湾を代表する媽祖廟の媽祖がご乗車になるにあたり、1両丸ごとを貸し切ったようだった。

梧州観光夜市

食堂の厨房

シーフード、豚足、かえるなど、台湾のさまざまなグルメが楽しめる。伝統的な料理が多くあり、台北でもっとも好きな夜市だ。

華西街観光夜市の入口

空腹になり、食事する場所を探していたけれど、昼に食べたものをもう一度食べたくなった。

まったく同じセット。豚カルビのおいしさは言葉で言い表せない。

夕食を食べた食堂のすぐ近くにある、1760年創建の艋舺地藏王廟。地蔵菩薩のほか、府城隍爺、田都元帥，范将軍、謝将軍をお祀りしている。

人間が扮する陰陽司にやっと出会えた。

微動だにしない陰陽司。

街に溢れる爆竹の燃えカス。

土地公

八爺

七爺

艋舺で建材商をしていた人物が石灰建設材を寄贈し、多くの地元名士が協力し合って、1862年に創建された艋舺晋徳宮。助順将軍を主祭神としている。

この日最後に訪れたのは天上聖母を主祭神とする台北天后宮。その前身は新興宮といい、1746年に艋舺に建設された。新興宮は道路拡張を理由で取り壊され、媽祖神像は龍山寺に預けられていた。戦後、西門町にあった日本の真言宗の寺である弘法寺に日本人がいなくなり、ここに媽祖をお移しし、廟名を台北天后宮と改め、現在に至っている。

台北天后宮 寺院・教会

千里眼将軍

順風耳将軍

正殿

2階にある玉皇殿には、玉皇上帝、三官大帝、太陽星君、太陰星君が祀られている。

2階から正殿を望む。

2階から下りてきたときに、神々に扮した台湾戯曲学院の生徒がいた。どうやら天后宮のトイレを借りにきたついでに記念撮影をしているようだった。

1階正殿には天上聖母、千里眼、順風耳を祀る。

1階右側には觀音佛祖、註生娘娘など。

左側には關聖帝君、文昌帝君、孚佑帝君など。

媽祖が乗る神輿が置かれてあった。

地藏王菩薩

福徳正神

その下に虎爺。信徒からの卵のお供えも置かれている。

虎爺は祀られる廟により、形も大きさも色も表情もさまざま。

台北天后宮には弘法大師が祀られている。もともとこの地に真言宗弘法寺（真言宗の台湾総本山）があり、信徒の夢に弘法大師が現れ天后宮に祀るよう託されて、ここに大師像を祀ることになったようだ。高野山と台北天后宮とは現在も交流があるらしい。

龍や象で賑やかな池。

その池の横に弘法大師石像がある。

やがて外が賑やかになり、神様がお越しになることがわかった。天后宮の入口を陣取り待っていると、八爺がまず現れた。

そして、七爺。

繁華街にある天后宮の前は、驚くべきほどの人だかり。

神々は正殿前まで進まれ、媽祖にご挨拶（小柄な八爺のみ正殿内部へ進んだ）。

入口の高さが足りないため、担がれうつ伏せ状態で門をくぐる。

最後に青山王が乗られた神輿が天后宮の前を猛スピードで走り去っていった。

天后宮のある成都路は多くの人でごった返していた。前方に見えるのは爆竹が燃えている様。

火災発生と見紛うほどの炎。これも爆竹の使用によるもの。

神々が通り過ぎた後には、色とりどりの紙片が路上に散らばっていた。

この日もらった福袋に入っていたものは、Tシャツ、夜市で使えるギフト券90元分、ティッシュ3つ、石鹸などの詰め合わせ。オリジナルTシャツがもらえたのがもっともうれしかった。

「艋舺青山王祭 正日遶境」に続く。