2020/11/22 - 2020/11/22
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SamShinobuさん
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都内にも秋色の装いが増えて、マイルス・デイヴィスやビル・エヴァンスの「枯葉」が似合う季節がやってきた。
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有栖川宮記念公園
広尾駅から8分ほど歩くと、閑静な高級住宅街に広大な公園が出現する。もともとは南部藩の下屋敷だったが、明治になって有栖川宮威仁親王がここに居を構えた。そのため大名庭園の名残をとどめている。都心にこれほど緑深い公園があることに驚くが、無料の施設の割にきちんと整備されている。 -
都会は緑が少ないと思われがちだが、東京には意外と公園や庭園がある。それは参勤交代で各藩の屋敷が江戸中にあったことが関係しているのかもしれない。浜離宮恩賜庭園や六義園などは、まさに大名藩邸内に作られた庭園を保存し一般公開している。
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モミジの鮮やかな赤が庭園を美しく彩っている。
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公園内にある都立中央図書館。
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その1階に素敵なカフェ、有栖川珈琲がある。
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ここで一休みすることにした。図書館の隣がドイツ大使館だからかどうかは分からないが、ここでは美味しいドイツコーヒーが300円から飲める。
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ガラス張りの店内からも色づいたイチョウの大木を眺めることができるが、今日は小春日和なので外のテーブルに座った。少しばかり風は冷たいが、よく晴れた爽やかな天気だ。大使館やインターナショナルスクールが多いせいか、広場には休日を楽しむ外国人の家族連れがやたらに多い。
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笛吹き少年の像
突如現れる全裸の少年。背筋を伸ばして笛を吹いている。制作者は著名な彫刻家らしいが、なぜ裸にしたのかな。人の親としては、「風邪引くからパンツくらい穿きなさい」と言いたくなる。 -
渓流にかかる橋のなんと美しいことか。
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黄色に色づく樹木が眩しい。
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森に野鳥のさえずりが響いている。
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バーガーマニア
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広尾駅から徒歩1分にあるグルメバーガーの人気店。広尾の他に白金、恵比寿とハイソな街に展開している。
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ここの素晴らしい点は、何と言っても美味しいクラフトビールが飲めることだ。東京ホワイトというホワイトビールとチーズバーガーを注文。
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コロナの感染拡大になかなか歯止めがかからない中、店内は空いているのにもかかわらず、テイクアウト客が長い列を作っている。また引っ切りなしにウーバーイーツもやって来るが、土地柄か外国人の配達パートナーもいて驚いた。外人の客もちらほらおり、店員は流暢な英語で接客している。店内には少しばかり気の早いクリスマスソングが流れ、完全に開放しているドアから入ってくる秋のひんやりとした空気が心地よい。
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渾身のチーズバーガーがきた。ヤバいくらい旨い!
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ザムザムの泉
天現寺橋の交差点のすぐ傍に、西川口の蘭州拉麺店と同名の店を見つけた。4トラの投稿を見て気になっていた店だ。店内はまだ改装中のようだが、何故広尾に?と思い、ドアを開けてみた。出てきた優しそうな中国人店主と少し話をすると、今月頭に西川口から移転して来たようだ。オープン日はまだ決まっていないらしく、少しずつ準備をしているとのこと。営業日など詳細はTwitterでお知らせしますので見てくださいと言っていた。広尾にまたひとつ名店が登場した。 -
オープンから数カ月後に再訪してみた(画像は2021年4月)。
なんと一番安いこのセット(牛肉麺と付け合わせ)でも3,520円(税込)だ。もはやラーメンの値段ではない。麺は5種類の太さから選べる。僕は2番めに幅広の、ニラの葉より広めという「寛韮葉」という麺を選択。パクチーもたっぷり入れてもらい、高まる期待とともにスープをひとくち。さすがに旨い!伝統牛肉麺というが、僕が中国で食べたどの牛肉麺とも違う味わい深き逸品だった。だって中国では150円程度で食べられるのだから、20倍以上払って同じだったら怒るよね。確かに極上の牛肉麺だが、この価格はかなり強気だ。気がつくとスープを一滴残らず飲み干していた。塩分控えなきゃいけないのに、やらかしてしまった。 -
広尾プラザ
明治屋の協賛で毎週開催されている無料ジャズライブがある。OTO-YA HIROOという広尾プラザの2階にあるオープンスペースにて、有名ジャズプレイヤーたちの演奏や歌を十二分に楽しめるのだ。ここに通うようになって何年にもなるが、毎回タダで至福の時間を過ごさせて貰っている。ここで初めて知ったミュージシャンも多い。 -
今年はコロナの影響でしばらく中断していたが、ようやく再開されたので嬉しい限りだ。普段は主に日曜日に行われているが、この三連休は広尾プラザでフランスフェアを開催しており、三日連続で無料ライブが堪能できる。
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今回お目当てのDennis Lambertも実はここで初めて聴いたピアニストで、それから何度か生で聴きCDも買わせてもらった。好きなジャズミュージシャンのひとりだ。彼はもともとアメリカ空軍音楽隊のメンバーとして世界中で演奏活動をしていたそうだ。以前、僕は横須賀米軍基地でアメリカ第七艦隊音楽隊の演奏を聴いたことがあるが、その実力といいエンターテイメント性といい、迫力のステージに心酔した。だからDennisさんがクリントン元大統領の前で演奏したことがあると聞いて、相当な腕前だと確信した。
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ファーストステージは13:00〜13:50。ご自身もjazz singerであるTA高木さんの司会で始まる。
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先ずはインストで一曲聴かせた後、歌姫が登場した。ボーカルのEmi Martinは初見だが、エンターテイメント性の高いご機嫌なステージを見せてくれた。
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セットリスト
1曲目「セ・シ・ボン」
イヴ・モンタンが歌って大ヒットしたが、ルイ・アームストロングがこのシャンソンの名曲をジャズで歌い上げたバージョンも有名。最近はハーゲンダッツのCMで流れていた。
2「枯葉」
これもシャンソンのスタンダードナンバーだが、ジャズ界でもカヴァーしているミュージシャンは数え切れない。
3「ラ・ジャヴァネーズ」
これもシャンソン。ここまですっとシャンソンのジャズアレンジばかりだなと思って聴いていた。そこでようやく、はたと気が付いた。前述の通り、本日ここ広尾プラザはフランスフェアの真っ最中なのだ。だからそういう趣向でいくのだろう。ていうか、気付くの遅すぎ、俺。
4「If you go away行かないで」
思った通り、またシャンソンのジャズバージョンで、Emiさんは英語にフランス語を織り交ぜながら歌っている。
5「ブルームーン」
さすがにシャンソンしばりに飽きたのか、Dennisさんが英語で「そろそろスイングの有名曲をやります」と言って、スタンダードナンバーを2曲続けて演奏した。
6「A列車で行こう」
言わずと知れたデューク・エリントン楽団の代表作。僕はモダンジャズが一番好きで、その後のフュージョンやフリージャズはほとんど聴かない。ところが最近はモダンジャズよりさらに遡ってビッグバンドのスイングジャズが心地よくなっている。トミー・ドーシーやデューク・エリントンなど聴くと、やはりこのあたりが僕のジャズの原点のような気がする。 -
ファーストステージが終わって、セカンドは14:30から。インターミッションが40分あるので、珈琲でも飲んでこよう。
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ブルーボトルコーヒー
広尾プラザのすぐ前に、いつの間にかブルーボトルコーヒーが出店していた。カリフォルニア発のサードウェーブコーヒーの代表だが、銀座SIXに入っておりブルーボトルのロゴが気になっていた。調べてみると、創設者は日本の喫茶店に感激して、スタバやタリーズとは違うコンセプトで、個人の香りがするコーヒーチェーンを作りたかったそうだ。何種類もある豆を指定して、その場で挽いてもらうカフェは世界にあまりなくて、実は日本の喫茶店の特徴らしい。まさに一周回って、それが世界に認められるとは驚きだ。 -
せっかくなので、ブレンドではなくシングルオリジンのグァテマラを注文してみた。さすがにコーヒーは旨いが、ガラスのカップがどうも好きじゃない。耐熱と分かっていても、熱いコーヒーを薄いガラスで飲みたくないなあ。
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セカンドステージが始まるので慌てて戻る。
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インストは「All the Things You Are」。Dennisさんのピアノは繊細で実に美しく、職人芸が光る演奏をする。
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そして、アルトサックスのJim Butlerが渋い。Zak Croxallは何度か聴いたことがあるが、どんな曲でも要求通り弾きこなしてしまう天才肌のベーシストだ。
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Emiさんが装いも新たにステージに上がる。
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セットリスト
1曲目「Beyond the Sea」
シャンソンの名曲「ラ・メール」は僕の大好きなナンバーだ。あまりにも美しいメロディなので、様々な映画で使われている。その英語版もジャズスタンダードとして歌い継がれている。
2「La Vie en rose」(バラ色の人生)
シャンソンの女王エディット・ピアフの代表作で、この曲も1946年の発表当時からあらゆる映画で使用されている。今までカバーされまくっているが、やはりルイ・アームストロング版が有名だ。
3「パローレパローレ」
ダリダとアラン・ドロンのデュエットがなんとも艶めかしい楽曲。デュエットと言っても、アラン・ドロンはずっと愛の言葉を囁きかけているだけで、メロディは歌わない不思議な曲だ。その永遠に続く口説き文句に、ダリダがパローレ、パローレ(言葉、言葉)、あなたは口先ばかりじゃないと冷たく突き放す歌詞が楽しい。今日はアラン・ドロンはいないので、Emiさんの大人の色気溢れる歌で会場を包み込む。 -
4「スワンダフル」
ようやくスイングジャズがきた。歌の途中でもEmiさんは気さくに客いじりする。今まで相当ステージをこなしてきたと感じられるショーマンシップが楽しい。
5「Je Ne Veux Pas Travailler」(働きたくないの)
最後はまたシャンソンに戻り、今日はそういう日なのねと自分を納得させた。 -
アンコールは、お手軽「L.O.V.E」で締めくくった。とてもご機嫌な演奏で、日曜の昼下がりに贅沢な時間を過ごさせてもらった。
Dennisさんとツーショット。 -
吉祥寺
広尾から地下鉄とJRを乗り継いで、吉祥寺にやって来た。
吉祥寺に吉祥寺というお寺が無いことは有名だが、ではなぜ吉祥寺というのだろう。もともと吉祥寺という寺は現在の水道橋付近にあったが、明暦の大火(1657年)でその門前町が焼失してしまった。幕府は住むところを失った人々を五日市街道沿いに移住させ、住人達はそこを吉祥寺村と呼んだのが始まりだそうだ。
当時、玉川上水が開通し、このあたりは新田開発が始まっていた。とはいえ移住させられた人は武蔵野台地の自然を見て、どんだけ田舎なんだよ!と愕然としたに違いない。賑わい盛んだった吉祥寺門前町に帰りたいと、泣きたい思いで吉祥寺村と名付けたんじゃないかな。
そんな吉祥寺だが、今ではなんと住みたい街No.1の栄誉を何度も獲得している。363年前の江戸の大火事が、めぐりめぐって今の吉祥寺の隆盛に繋がっているとは、なんとも不思議な気がしてならない。 -
サンロード
吉祥寺駅北口から五日市街道までの約300mのアーケード商店街。吉祥寺のメインストリートだ。 -
武蔵野八幡宮
サンロードの突き当たりの五日市街道を左折すると、吉祥寺のパワースポット、武蔵野八幡宮が見えてくる。 -
お参り前に身を清めようと手水舎に向かうが、コロナの影響で柄杓がない。
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神霊を発動させる拝殿の鈴も仕舞われてしまっている。日本の八百万の神は、基本何でもありのゆるーい神様ばかりなので、コロナ対応の参拝でも問題ないのだろう。そこで僕は手を合わせて、人類の叡智でコロナを終焉させることを誓い、今日も美味しいお酒が飲めることに感謝する。結局、そこかい!
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ハーモニカ横丁あるいはハモニカ横丁
渋谷ののんべい横丁、新宿の思い出横丁と並び、僕の中では東京3大飲み屋横丁のひとつ、ハーモニカ横丁。 -
狭いアーケードに100店ものお店がひしめき合っている。
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戦後の闇市から始まった古き商店街に、その昭和の雰囲気を面白がって若者も集うようになった。
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撮影所に組まれた映画のセットのようだ。
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立ち飲み屋からお洒落なバルまで何でもござれのごちゃ混ぜ感がいい。
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美舟
又吉直樹の芥川賞小説「火花」にも登場する創業から半世紀以上の老舗居酒屋。小汚さもハモニカ横丁一かも。 -
「火花」では主人公の二人が「ハーモニカ横丁の美舟で肉芽という料理を一皿だけ注文し、それをあてに呑み」とある。
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では僕も小説に敬意を表し、とりあえず生ビールと肉芽を一皿だけ頼んだ。
また小説の後半でも美舟に行くシーンがあり、「あの頃と同じ安い惣菜達が僕等を癒してくれた」と書かれている。
又吉、どんだけここが好きなんじゃ。
「火花」は映画化もされて美舟のシーンが何度もあったが、店内はセットのようだった。 -
しめ鯖
しめてあるかどうかくらいの素材の味を活かしたしめ鯖とは違って、しっかりしめてある笑。こういう店では「生きぐされ」の鯖はこれくらいのほうが安心だし、美味しい。 -
2階は広いが1階はカウンター席8席のみ。
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僕以外は3組の若いカップル。こんな店と言っては失礼だが、お洒落な男女のデートには凡そ似つかわしくない店に、なんで?と思う。しかし今の若者にはこの時代に取り残されたようなオンボロ感が、かえって新鮮なのかもしれない。そして皆さんとても礼儀正しくて、おじさんびっくり。男性のほうも料理が出されるたびに「有難うございます」とか「美味しかったです」などと、女子か!とツッコミたくなるほど好青年だらけだった。
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古い店だけに有名人のサインも数多く、天井に鳥羽一郎の1989年のサインを発見。31年前である。もうその当時は「兄弟船」で大ブレークした後なのに、よくもまあこんな店に(ってまた言ってしまったが)来たものだ。
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と思って他のサインを探していると、今度は松本零士が1983年に来店している。37年前って、まさに昭和じゃないか。
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ワカサギの唐揚げ
ここはメニューの数が半端なくて、何を注文しようか悩み始めると、カオスな料理の迷宮から抜け出せなくなる。ポコ天という○○ポコを模った魚肉ソーセージの天ぷらやカンガルーの唐揚げまであるが、ここはオーソドックスにそろそろ旬のワカサギでも食してみよう。臭みは全くなく、ホクホクして旨い。 -
いいちこのお湯割りに体がポカポカしてきた。ここは無くなって欲しくない吉祥寺の名店だと思う。
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吉祥寺SOMETIME
広尾から始まって長い一日だったが、本日のトリは、ここで行われる「中村誠一&紗理"Swing for"レコード発売記念LIVE」だ。 -
日本を代表するサックス奏者、中村誠一さん(Ts)とそのお嬢さんである紗理さん(Vo)のレコ発ライブは、一月ほど前からずっと楽しみにしていた。
その他のミュージシャンは、まさにレコーディングメンバーである吉岡秀晃さん(Pf)、田辺充邦さん(Gt)、金子健さん(B)、小泉高之さん(D)である。
中村誠一さんは長年タモリの「今夜は最高!」に出演していたが、そもそもタモリのデタラメな言語ハナモゲラは、中村誠一さんのアイデアだった。フリージャズで一世を風靡した中村さんだが、そんな御年73歳の彼が、近頃はビッグバンドのスイングジャズなどを喜々として演奏している。 -
紗理さんは、現在ラジオ日本の「オトナのJazz Time」のパーソナリティをやりつつ、都内ジャズバーを中心にライブ活動をしている。今年の横浜ジャズプロムナードの配信ライブでは、TOKYO LINDY HOP PERFORMANCE GROUP と一緒にスウィングダンスも披露していた。
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では、この最新アルバムから一曲、Jay Livingston & Ray Evanceの名曲、Nat King Coleでお馴染みの「I Was a Little Too Lonely 寂しすぎて」を、是非聴いていただきたい。なんとMVの撮影場所は、ここ吉祥寺SOMETIME。演奏メンバーも全く同じなので、今日のライブの雰囲気が少しでも伝われば嬉しい。
https://youtu.be/Qg9143ndIKc -
19:00 First Stage開始。
セットリスト
1「I Was a Little Too Lonely 寂しすぎて」
紗理さんの声を初めて聴いたら、その可愛らしさにブロッサム・ディアリーを思い浮かべる人が多いと思う。伸びやかな声質が耳に心地よく響き、その実力の高さから安心して歌に酔える。
2「Shoo Fly Pai シューフライパイ」
ジャズスタンダードの名曲「My One and Only Love」の作曲者、Gui Wood の1945年の作品。ハスキーボイスのジューン・クリスティも歌っている。
3「Under Paris Skies パリの空の下」
シャンソンの代表曲だが、もともとはフランス映画「巴里の空の下セーヌは流れる」の挿入歌だった。もちろん英語の歌詞もあるが、原語のフランス語で歌う歌手も多い。僕の大好きなギターの田辺充邦さんをフィーチャーして、途中中村さんのテナーのソロが入る。紗理さんは英語と自ら翻訳した日本語の歌詞を付け加えて歌う。
4「Lonesome Road 孤独の道」
インスト。
店内を見回すと、9割近くの客がきちんとマスクをしている。ミュージシャンもサックスの中村さんと紗理さん以外は口を使わないので、マスクを着用して演奏している。それに紗理さんは首から下げるタイプの空間除菌製品(効果のほどは何とも言えないが)を付けて、対策をとっている。ライブと言ってもジャズの場合、演奏中観客はほとんど会話もなく静かに聴いているので、居酒屋なんかに比べたらよっぽど感染リスクは低いと思う。にもかかわらずライブハウスでクラスターが出て以来、ライブと言うと危ないような、ある種風評被害に苦しんでいる店が多いという。 -
5「Violets for Your Furs コートにすみれを」
マット・デニスの原曲は男性の歌詞で「I bought you violets」だが、女性シンガーはそこを「You brought me violets」と女性の歌詞にかえて歌う人が多い。紗理さんも「You brought me」と歌っていた。
6「On the Street Where You Live 君住む街角」
ミュージカル「マイ・フェア・レディ」の中で、僕の一番好きな曲。吉岡秀晃さんのピアノソロに痺れた。
7「I Got Rhythm アイ・ガット・リズム」
1930年のジョージ・ガーシュインの代表作。その後のジャズに多大な影響を与えたこの曲を歌った歌手は数え切れない。映画「巴里のアメリカ人」ではジーン・ケリーが見事なミュージカルシーンを披露している。
8「Snack Coltrane ”Louise” スナックコルトレーン」
「Louise」という1929年の古いスイングに、中村さんの昔からのお仲間である作家の嵐山光三郎が替え歌の歌詞を付けた。不思議なことにメロディも場末のスナック感たっぷりで笑える。 -
20:30 Second Stage開始。
セットリスト
1「All of Me」
これはアルバムにはない曲だが、セカンドの一曲目は中村家の親子デュオで始まった。
2「Exactly Like You まさにあなたのような」
みんなが大好きダイアナ・クラールも歌っているが、紗理さんのスキャットと中村さんのテナーソロが泣かせる。
3「Give Me the Simple Life シンプルな毎日が一番」
中村さんと紗理さんの親子スキャットが楽しい。打ち合わせでは掛け合いでスキャットする予定だったそうだが、中村さんがひとり暴走していた笑。そんなところもジャズライブならでは。
4「Moonglow 月灯り」
吉岡秀晃さんのピアノが光るインスト。もちろん中村さんのテナーも気持ち良さそうに歌い上げている。
5「“A” You’re Adorable 「あ」愛らしい」
これこそブロッサム・ディアリーと一瞬間違えてしまう。子供みたいな可愛い声で歌っているが、英語の発音は正確で耳触りがとても良い。
6「Easy Living 気ままな暮らし」
「あなたが好きすぎて、あなたのためにすべて捧げて生きることが、私にとってはEasy Living(気ままな暮らし)なの」って、ビリー・ホリディが歌うと女の情念みたいな怖さが漂うが、紗理さんの歌声は淡々としていて、しかもどことなく切なく心に沁みる。 -
ミュージシャン全員のサイン入りCD
7「Anything Goes 何でもあり」
「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」のオープニングで、後のスピルバーグ夫人になるケイト・キャプショーが歌っている。1935年の上海租界にあるナイトクラブという設定だったが、この曲は1934年にコール・ポーターが大ヒットさせたので、時代考証はあっている。往年のミュージカルにオマージュを捧げた映画のシーンは、まさにザッツ・エンターテイメントだった。
8「It’s a Pity to Say Goodnight まだおやすみは言いたくない」
紗理さんが「今夜はとても楽しいので、まさに今の私の気持ちです」と言って歌い出す。コロナ禍の中、なんとかレコ発ライブまでこぎつけられた、この愛おしい時間を惜しむように丁寧に歌う姿が印象的だった。
9「Les Champs-Élysées オーシャンゼリゼ」
今日はCDの曲順通りに演奏するというレコ発ライブでも珍しい構成だったが、CDのラストにこの曲を持ってくるなんて、偶然にしてもなんと凄い選曲だと感心した。今年はコロナ自粛を強いられたまま、とうとう1年が過ぎようとしている中で、これほど明日に希望が持てる曲はないだろう。メロディといい歌詞といい、ベストオブ解放感の曲なんじゃないかと確信している。そうだ、コロナが収束したあかつきには、是非世界中のミュージシャンに作って貰いたいMVを思いついた。それはシャンゼリゼ通りから始まって、ロンドン、ニューヨーク、東京等主要都市の目抜き通りで、その国のミュージシャンたちが手を繋ぎ、「オーシャンゼリゼ」を口ずさみながら闊歩するのだ。それを上手いこと編集して、人類がコロナに打ち勝った凱旋歌とする。聴いている間ずっと、そんな妄想や夢を見させてくれるような心躍る楽しい演奏だった。
アンコール曲は「リンゴの木の下で」。
「上海バンスキング」の中で吉田日出子が日本語の歌詞で歌っているが、オリジナルが作られたのは1905年というからかなり古い曲だ。バンドも昭和のダンスホールを彷彿とさせるような軽快な演奏でアンコールを盛り上げた。 -
吉祥寺SOMETIMEは僕の中では東京BEST3に入るジャズバーだ。1975年にオープンし、1978年にはなんとあのアニタ・オデイがこの店で歌っている。エラ・フィッツジェラルド、カーメン・マクレエと並び史上最高のジャズシンガー、アニタの歌をここで聴くことが出来たら、それは夢のような時間だったろう。その時のライブCDがあり、ジャケットには店のテーブルについたアニタがグラスを片手に写っている。ある時、店の若い女性に尋ねてみた。
「あのジャケットの写真はどのテーブルで撮ったのかな?」
「私はまだ生まれてなかったので分かりません」
思わず吹き出してしまった。でも、背景から何となく見当はついている。たまたまそのテーブルに座れると、思わずほくそ笑んでいる自分がいる。
さて、コロナ禍で有名ジャズバーが閉店に追い込まれている中、とうとう六本木サテンドールも12月末に店をたたむことになった。僕が30年以上通った老舗だ。今までも同じ六本木の中で2回移転しており、その時は一時的に店を閉めることはあったが、今回は完全に閉店らしい。なんともやりきれない思いがしたが、仕事場にしているミュージシャンたちにとってはそれどころではなく、まさに死活問題だろう。ここ吉祥寺SOMETIMEはなんとかこの苦境を乗りきって、生き残って欲しいものだ。 -
こうして吉祥寺の夜は更けていった。
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この旅行記へのコメント (5)
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- katsu nagoyaさん 2022/05/14 15:57:24
- 雰囲気のあるお洒落なJazz.barですね。
- 訪問、投票有り難う御座います。
今のご時世なかなかLiveで音楽を楽しむ気分になれなくて残念です。
浜松市、掛川市のスナック、クラブでは店の隅にピアノが置いてあり、週末には気軽にLiveが楽しめたが今は中止です。
コロナが終息したら、少しお洒落をしてbarでJazzとWhiskyを楽しみたいものです。
又訪問します。
Katsu.Nagoya
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- olive kenjiさん 2021/07/24 17:18:22
- お洒落街にジャズ三昧 必ず行きます
- SamShinobuさん 初めまして 私のサイゴン旅行記にいいね有難うございました。
いい旅行記をお描きになっていますね。大人の匂いがする知的な文章、惚れ込んでしまいます。
私もジャズが大好きですが、お話するのが恥ずかしくなるので止めておきます。
広尾は行きづらい場所ではありますが、有栖川珈琲の字体と300円に惹かれ、バーガーマニアのヤバイハンバーガーを食べて、広尾プラザのジャズコンサートを必ず聴きに行きたいと思いました。
ブルーボトルコーヒーは同感、二度と行きません。ガラスの器で台無しです。
吉祥寺はよく行く街ですが、名前の由来は初めて知りました。
またジャズハウス sometimeも知りませんでした。
紗理さんというシンガー、中々いけた声をしていますね。必ず寄ってみたいと思います。
他にも興味ある旅行記が沢山あるので、ボチボチ読まさせて頂きます。
これからもよろしくお願い申し上げます。
最後に、シャツがとってもお洒落でしたよ。
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- Charlielongさん 2020/12/07 13:13:49
- 懐かしのSometime
- はじめまして!
36年前に行ったのが始まりで、よく通いました。
懐かしいです!
- SamShinobuさん からの返信 2020/12/18 06:53:57
- RE: 懐かしのSometime
- コメントありがとうございました。
大漁の社長のお宅とお料理の投稿、面白く拝見しました。私も大漁は何度か行ったことがあります。
- Charlielongさん からの返信 2020/12/20 20:24:20
- Re: 懐かしのSometime
- 大漁に行かれたことがあるのですね。
昔は安い食べ飲み放題の日本料理といえば大漁でした。
今は上海には美味しい日本料理屋が、沢山でき、大漁も地方都市の方に移動しています。
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