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母方父方双方に移民した者がいる。両親の叔父、叔母世代である。<br />週に一度、スーツとハットにステッキで、海のそばの家から市内の我が家にやってくる。彼の姪、母に買い物リストを渡し、米国からの通知を父に読んでもらう。半世紀も住みながら、文字(英語)が読めない!<br />英語が読めなくても成功できる!母に生前形見として贈ったのは、サファイアとダイヤのリング。本人曰く、米国人老婦人の借金の形として手に入れたもの。今は私の指にたどり着いている。<br />私がレモンゼリーを初めて口にしたのは、松林の中のあの家。<br /><br />いわゆる密航。奉公の休みの日、神戸の港に遊びに行き、つい船に乗ったと。<br />その冒険談、来るたびにせがんだのは、もう遠い日。

海の向こうを想い乍ら~ アメリカ村

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2020/11/11 - 2020/11/11

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mom K

mom Kさん

母方父方双方に移民した者がいる。両親の叔父、叔母世代である。
週に一度、スーツとハットにステッキで、海のそばの家から市内の我が家にやってくる。彼の姪、母に買い物リストを渡し、米国からの通知を父に読んでもらう。半世紀も住みながら、文字(英語)が読めない!
英語が読めなくても成功できる!母に生前形見として贈ったのは、サファイアとダイヤのリング。本人曰く、米国人老婦人の借金の形として手に入れたもの。今は私の指にたどり着いている。
私がレモンゼリーを初めて口にしたのは、松林の中のあの家。

いわゆる密航。奉公の休みの日、神戸の港に遊びに行き、つい船に乗ったと。
その冒険談、来るたびにせがんだのは、もう遠い日。

旅行の満足度
5.0
  • 毎年台風がやってくる土地柄。<br />屋根の勾配が低く、沖縄の赤瓦と葺き方が似ている感じがする。

    毎年台風がやってくる土地柄。
    屋根の勾配が低く、沖縄の赤瓦と葺き方が似ている感じがする。

  • 和歌山県日高郡美浜町三尾、通り名「アメリカ村」。<br />今、この名で呼ぶ人はいない。<br />

    和歌山県日高郡美浜町三尾、通り名「アメリカ村」。
    今、この名で呼ぶ人はいない。

  • お庭から眺める。

    お庭から眺める。

  • カナダ帰りの家は、すぐわかる。ペンキ塗りで、カラフルな壁板張り。<br />60年代ごろまでは、このあたりは名にふさわしい風景だった。<br />誰もがアメリカ村と言っていた。

    カナダ帰りの家は、すぐわかる。ペンキ塗りで、カラフルな壁板張り。
    60年代ごろまでは、このあたりは名にふさわしい風景だった。
    誰もがアメリカ村と言っていた。

  • 三代目の家主が亡くなった後、町に寄贈されたおうち。<br />大抵の洋館は修理の際サッシに替えられていくが、この家はペンキを<br />塗り変えながら、ほぼ建築当時のままを守る。<br /><br />今や「村」ではとても珍しい。<br />よって、今は文化財に登録されている。

    三代目の家主が亡くなった後、町に寄贈されたおうち。
    大抵の洋館は修理の際サッシに替えられていくが、この家はペンキを
    塗り変えながら、ほぼ建築当時のままを守る。

    今や「村」ではとても珍しい。
    よって、今は文化財に登録されている。

  • 玄関ポーチの天井。カナダ暮らしを彷彿。

    玄関ポーチの天井。カナダ暮らしを彷彿。

  • 玄関入って、左手にコレ。<br />出かけるときにもう一度<br />自分の身じまいを確かめるためだったのかしらん。<br />見学はできないが、地下室も作られているそうだ。<br />うーん、カナダ暮らしの長さよ。

    玄関入って、左手にコレ。
    出かけるときにもう一度
    自分の身じまいを確かめるためだったのかしらん。
    見学はできないが、地下室も作られているそうだ。
    うーん、カナダ暮らしの長さよ。

  • 玄関床も当時のタイル。シックな暮らしをこの小さな漁村で営む。

    玄関床も当時のタイル。シックな暮らしをこの小さな漁村で営む。

  • 引き上げる際、持ち帰った衣服のトランク。<br />帰国者が、新たに結婚渡米する者に当時庶民には入手不可能だった<br />洋服を贈ったという。<br />

    引き上げる際、持ち帰った衣服のトランク。
    帰国者が、新たに結婚渡米する者に当時庶民には入手不可能だった
    洋服を贈ったという。

  • 現地発行の日本人社会の新聞

    現地発行の日本人社会の新聞

  • かの地では重宝されただろう暮らしの道具。<br />紀州よりうんと緯度が高い。

    かの地では重宝されただろう暮らしの道具。
    紀州よりうんと緯度が高い。

  • カナダで経営していた食堂で使用していた土瓶と湯呑み。<br />輝きが、つい最近の歴史と物語る。

    カナダで経営していた食堂で使用していた土瓶と湯呑み。
    輝きが、つい最近の歴史と物語る。

  • 日本へ帰国時のトランク

    日本へ帰国時のトランク

  • 子供のころ我が家にあったのは、これ!<br />もう一度「ぼこぼこ」が見たい。聴きたい。<br />部屋中に満ちるコーヒーの香り・・・。

    子供のころ我が家にあったのは、これ!
    もう一度「ぼこぼこ」が見たい。聴きたい。
    部屋中に満ちるコーヒーの香り・・・。

  • ミュージアム管理者?素敵なマダムが、<br />「使えるんですよ。おかけしましょうか。」と、ぐるぐるグル。<br />戦前の、大正の、エレガントな空気が流れる。<br />マダム曰く「でもこの蓄音機の中に入っていたレコードは、浪花節とか講談の<br />ようなものばかりだったんですよ。」<br />

    ミュージアム管理者?素敵なマダムが、
    「使えるんですよ。おかけしましょうか。」と、ぐるぐるグル。
    戦前の、大正の、エレガントな空気が流れる。
    マダム曰く「でもこの蓄音機の中に入っていたレコードは、浪花節とか講談の
    ようなものばかりだったんですよ。」

  • このような写真を飾る習慣は、日本では当時日常的とは思えない。<br />アメリカ村の人たちは写真をたくさん持っていたそうだ。<br />身内でない私でも魅かれます。今は彼のひ孫やその下の世代でしょうか。<br />彼がいて、今、私がいる。<br />いいなあ、こんな風に偲べるよすが。

    このような写真を飾る習慣は、日本では当時日常的とは思えない。
    アメリカ村の人たちは写真をたくさん持っていたそうだ。
    身内でない私でも魅かれます。今は彼のひ孫やその下の世代でしょうか。
    彼がいて、今、私がいる。
    いいなあ、こんな風に偲べるよすが。

  • 床の寄木も美しい。<br />ここは、海からの風が強く、案外隙間風で冬はとても寒い土地柄。<br />それでもサッシにしなかったあなた。<br /><br />同じ風景を楽しませていただいていますよ。

    床の寄木も美しい。
    ここは、海からの風が強く、案外隙間風で冬はとても寒い土地柄。
    それでもサッシにしなかったあなた。

    同じ風景を楽しませていただいていますよ。

  • 紅茶をお願いしたら、メープルクッキーを添えてくださいました。<br /><br />そこに村の常連グランマ三人組来館。<br />何々ペタンク?!ゲートボールではないんですね。<br />彼女たち、「今日は何のケーキかしら」とお尋ね。<br />「チーズケーキにアップル○○、シフォンケーキ・・・」とマダムが<br />パントリーから声を上げます。

    紅茶をお願いしたら、メープルクッキーを添えてくださいました。

    そこに村の常連グランマ三人組来館。
    何々ペタンク?!ゲートボールではないんですね。
    彼女たち、「今日は何のケーキかしら」とお尋ね。
    「チーズケーキにアップル○○、シフォンケーキ・・・」とマダムが
    パントリーから声を上げます。

  • アメリカ村への最寄り駅は、内原駅と特急の止まる御坊駅。<br />いずれからも10キロ以上ありそうです。

    アメリカ村への最寄り駅は、内原駅と特急の止まる御坊駅。
    いずれからも10キロ以上ありそうです。

  • 両駅からバスでアクセスできます。<br />ここは内原駅前。<br />左手、太陽の方向がアメリカ村。<br />

    両駅からバスでアクセスできます。
    ここは内原駅前。
    左手、太陽の方向がアメリカ村。

  • 右手向こうに見えるのは、今年無人駅になった「紀伊内原」駅

    右手向こうに見えるのは、今年無人駅になった「紀伊内原」駅

  • 今回の旅の契機は、少し前の新聞で、東京から一人の大学生が、<br />自前「留学」と称して、休学。一年滞在という記事を目にしたから。<br />彼個人に縁も何のゆかりもない土地に住む。それを自分で「留学」とする行動に脱帽。しかも町づくり(おこし)をしたという。後ろ立ても「地域なんとか隊」など肩書も必要としないたった一人の取り組みに惚れ惚れ。<br /><br />「いざ、アメリカ村へ!」<br />となりました。秋晴れが応援してくれました。<br /><br /> <br /><br />

    今回の旅の契機は、少し前の新聞で、東京から一人の大学生が、
    自前「留学」と称して、休学。一年滞在という記事を目にしたから。
    彼個人に縁も何のゆかりもない土地に住む。それを自分で「留学」とする行動に脱帽。しかも町づくり(おこし)をしたという。後ろ立ても「地域なんとか隊」など肩書も必要としないたった一人の取り組みに惚れ惚れ。

    「いざ、アメリカ村へ!」
    となりました。秋晴れが応援してくれました。

     

  • 「紀伊内原」駅を、特急「くろしお」が疾走していきます。

    「紀伊内原」駅を、特急「くろしお」が疾走していきます。

  • 今朝降り立ったのは、「御坊」駅。<br />帰りは、「紀伊内原」駅がふさわしいとふと。<br /><br />表紙の写真は2代目「日の岬灯台」のレンズ。<br />ミュージアムのお庭に展示。<br /><br />今回の小さな旅では、東京からの「移民」、素敵な女性にも会えました。ミュージアムのマダム。

    今朝降り立ったのは、「御坊」駅。
    帰りは、「紀伊内原」駅がふさわしいとふと。

    表紙の写真は2代目「日の岬灯台」のレンズ。
    ミュージアムのお庭に展示。

    今回の小さな旅では、東京からの「移民」、素敵な女性にも会えました。ミュージアムのマダム。

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