2019/07/09 - 2019/07/09
59位(同エリア499件中)
かっちんさん
十日町市「松代(まつだい)」は、「東頸城(ひがしくびき)丘陵」にあり、山は南西~北東方向にいくつかの列をなし、間に「渋海川(しぶみがわ)」が流れています。
この周辺は構造運動が激しく東西方向の圧縮を受けて隆起した褶曲帯です。
「渋海川」は長野・新潟県の県境にある三方岳(標高1130m地点)を源流とし、東頸城丘陵を穿ち(うがち)ながら北流し、松代地区のあたりから激しく蛇行を繰り返し、信濃川と合流します。
流域は地すべり地帯であり、また豪雪地帯でもあるため融雪による崩壊も多く、崩落によって形成された山腹の緩斜面に集落や棚田が散在します。
また、蛇行した川を、山を削って直線的な流れに変え、もとの流路を耕地にする「瀬替え(せがえ)」という方法が古くから行われてきました。
まつだい周辺の前島新田(現在のまつだい駅北側)では、かつて大きく蛇行する渋海川が度々氾濫、昭和14年(1939)流路を直線状にする「瀬替え」が完成し、田畑の決壊の恐れもなくなりました。
現在のまつだい駅周辺は、ほくほく線トンネルの残土で埋め立てられ、駅及び周辺開発の基地として発展しています。
まつだい駅の南側では、2000年より「大地の芸術祭」が開催され、アートにより里山の魅力を発信し、地域再生の道筋を築いています。
3年ごとに開催される大地の芸術祭は、次回が2021年夏ですが、発表した作品がそのまま残されているので、通年見学ができます。
2020年夏には、季節プログラム「越後妻有2020夏」が、2020年7月23日~8月30日に開催されています。
https://www.echigo-tsumari.jp/event/20200723_0830/
今日は松之山温泉「凌雲閣」から車で「まつだい駅」まで送ってもらい、まつだいの棚田と瀬替えした渋海川の地形を歩き、「大地の芸術祭」のアート作品を鑑賞します。
なお、旅行記は下記資料を参考にしました。
・越後妻有アートフィールドHP、作品の説明
・大地の芸術の里MAP
・越後妻有「大地の芸術祭の里」資料
・まつだい「農舞台」フィールドミュージアムMAP
・十日町市観光協会「まつだい郷土資料館」
・道の駅まつだいふるさと会館HP
・蝶狂人さんのブログ「日本の原風景;渋海川の瀬替え」
・長岡技術大学研究論文「渋海川における瀬替えの分布及びその特性に関する研究 」pdf
・日本観光ミシュラン「弓削地区の還流丘陵」
・東頸城丘陵を歩く「まつだいの瀬替田」
・北越急行「ほくほく線 大地の芸術祭ラッピング列車DAICHI号 運行開始」
・LINEトラベル「雲海の絶景露天風呂を求め新潟へ!まつだい芝峠温泉・雲海」
・NHKみんなの趣味の園芸「ネムノキ」
・ウィキペディア「松代町(新潟県)」「東頸城丘陵」「渋海川」「ハルシャギク」「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
「大地の芸術祭」のお出迎え(まつだい駅前)
生き生きした巨大な花は、大地の芸術祭2003年に草間彌生氏が制作したアート作品「花咲ける妻有」です。 -
在りし日の在来線特急「はくたか」(まつだい駅前展示)
越後湯沢~ほくほく線~金沢間を走っていた特急「はくたか」が、御影石で再現されています。 -
今でも乗れる「はくたか」(まつだい駅前展示)
出発進行~! -
フィル―ドミュージアムMAP
まつだい駅近くの、渋海川(しぶみがわ)のほとりや緩やかな山の斜面に、アート作品が展示されています。
会期終了後もそのまま残されるので、作品の数が毎年増えていきます。
では、アート作品の鑑賞をはじめます。
紹介する写真のタイトルは正式な作品名ではなく、感じたままを表現しています。 -
メタボ気味のカエルくん(芸術祭作品)
2009年に大西治・大西雅子両氏が制作したアート作品「ゲロンパ大合唱」。
「ゲロンパ」は大きな口を開け、刈り終えた草をお腹に飲み込んで堆肥にしてくれる優れもの。
という想定のアートです。
後方にほくほく線のトンネルがあり、電車が来ないかな・・・ -
「げろんぱ」と「ほくほく線」(芸術祭作品)
トンネルから顔を出す「ほくほく線」の電車。
待っていた甲斐がありました。 -
石畳の迷路(芸術祭作品)
2003年に歳森勲氏が制作したアート作品「旅人の迷路」。
この迷路の形状は古代ヨーロッパに多く見られたもので、海辺で公開の安全を祈願するために、儀式として使われたとされ、「旅人の迷路」と呼ばれていました。
実際に石畳の迷路をぐるぐる回りながら歩いて行きます。 -
大きな壺(旅人の迷路)
迷路の終点にあったものは「大きな壺」。 -
壺に書かれた文字(旅人の迷路)
読めるところを書き出すと
「・・・踏み越え、迷うも振り帰らず、歩き続け、今 此に到る」
「・・・・我、行先を唯、道行に幸多からんことを」 -
誰もいない課外教室(芸術祭作品)
2003年に井上廣子氏が制作したアート作品「記憶-再生」。
越後妻有の風土と人々の生活が深く呼応する土地を訪ね歩くことによって、この豊穣な時間と光景の中に、生と死と再生の永遠の循環の場をつくろうと考えた作品です。 -
「瀬替え」で直流化した渋海川(まつだい)
流路延長82kmの渋海川は、新潟県内では、信濃川、阿賀野川に次ぐ第3の長さを誇ります。
渋海川流域の多くの場所では、沢と山とが連続する起伏に富んだ地形を有し、川には穿入蛇行(せんにゅうだこう)と呼ばれる部分が多く存在します。
穿入蛇行によって狭くなった丘陵の脚部を人工的に切断して直流化し、今まで流れていた地帯(環流丘陵地帯)を新田として耕地を確保してきた歴史があります。
この直流化のことを「瀬替え(せがえ)」とよび、江戸前期から昭和中期まで行われてきました。 -
緑に染まる田んぼ(まつだい)
渋海川の対岸に渡ったところです。
ここから「まつだい城山」の緩やかな山道沿いにアート作品が展示されています。 -
イチオシ
地面から飛び出す「赤とんぼ」(芸術祭作品)
-
お洒落な花「ハルシャギク」(道端)
北アフリカ原産の帰化植物です。 -
木炭人の盆踊り(芸術祭作品)
2000年にクリスチャン・ラピ氏(フランス)が制作したアート作品「砦61」。
<作品の解説>
山の中腹の棚田に黒い木が、まるで集落か群像のようにそそり立つ。
昔家があった場所や記憶に残る樹木の周りにひとつの世界をつくり、漆黒の像は、人の生死や歴史を内包して黙々と立つ。 -
イチオシ
念仏を唱えるお坊さんたち(砦61)
-
ヤッホー、ガラガラガラ・・・(芸術祭作品)
2009年に岩井亜希子・大場陽子両氏が制作したアート作品「サウンド・パーク」。
<作品の解説>
聴覚+アート。
楽器と遊具が一体となった作品は、人間が本来もっている繊細な聴覚を呼び覚えます。
耳を澄ませば里山の自然と響き合うアートが聴こえてくる。
当時の野外ライブでは、大場陽子の新曲をサクソフォン奏者・鈴木広志が初演。山びこや、作品が奏でる音との共演となる。 -
「赤とんぼ」の出初式(芸術祭作品)
2000年に田中信太郎氏が制作したアート作品「○△□の塔と赤とんぼ」。
塔は□-○-△形状のパイプを組み合わせています。
<作品の解説>
高さ14m、青空を背景に羽ばたくランドマーク、赤とんぼの彫刻。
木々越しに見える赤とんぼの風情は、里山で暮らす人々と都市に住む人々をつなぐ心の故郷なのかもしれない。 -
スタンプラリー(芸術祭作品)
ペットボトルの中にスタンプが収納されているので、雨に濡れません。 -
は~いと挨拶する「真っ赤なかかし」(芸術祭作品)
2000年に大岩オスカール氏(ブラジル/アメリカ)が制作したアート作品「かかしプロジェクト」。
<作品の解説>
棚田に立ち並ぶ真っ赤なかかし。両手を広げていたり、赤ちゃんを抱えていたりと、棚田で働く人やその家族を表す。 -
やぐらを組む「相撲場」(芸術祭作品)
アート作品「リバース・シティー」は取り外され、雪国農耕文化村センター「農舞台」で見ることができます。(次の写真) -
色鉛筆の雨(芸術祭作品)
2009年にパスカル・マルティン・タイユー氏(カメルーン/ベルギー)が制作したアート作品「リバース・シティー」。
<作品の解説>
松代城山に現れた、太い柱に吊るされた大きな鉛筆の群れ。
一本一本には世界の国々の名前が書かれている。さまざまな色に着色された特大の鉛筆は、背の低いものも高いものもある。
鉛筆の街はステンレスの柱で枠に固定され、地面から約2mの高さ、里山の自然から離れた位置に浮かぶ。
逆さまに吊るされたカラフルな都市は、人びとに先端を向け、見上げる者にその迫力とともに脅威を感じさせる。 -
眼下に「まつだい雪国農耕文化村センター 農舞台」(芸術祭作品)
「農舞台」は、渋海川とほくほく線の間に位置し、まつだい駅に隣接しています。
建物を宙に浮かせることで、建物下のエリアを、冬は雪がかからないゾーンに、夏は涼しい日陰の広場とすることができます。
屋上には、岩山のランドスケープがつくられています。それは足状のブリッジの力学上の必要から生じた「力の風景」にもなっています。
この人工的な「氷」の屋上風景は、魅力的な遊び場、そして山々やアート作品を眺める展望台を提供します。 -
上れば下りる不思議な階段(芸術祭作品)
2018年にジョン・クルメリング氏(オランダ)が制作したアート作品「hi 8 way」。
<作品の解説>
まつだい城山に設置された、高さ4mの展望台。
2つの螺旋階段がねじれるように組み合されたその形は、無限を意味する記号「∞」を表現したもの。
見る角度によって、8の字に見えたり、大きな円に見えたりと、さまざまな形を変化させ、上り下りの動きも自然と無限に繰り返されるデザインとなっている。 -
巨大な盃(芸術祭作品)
2000年に立木泉氏が制作したアート作品「水のプ―ル」。
<作品の解説>
棚田の跡地に設置された水琴窟。
水盤から滴り落ちる水滴が微かな音色が奏でる。
棚田存続に不可欠な要素である水を意識した作品。 -
これは何だろう?(芸術祭作品)
2000年に河口龍夫氏が制作したアート作品「関係-大地・北斗七星」。
<作品の解説>
大地に置かれた鉄板には、北斗七星の形に空けた7つの穴。
その穴から、大地から発芽した植物が顔を出す。
北極星の大きな穴からは植樹された木が伸びている。 -
イチオシ
里山を走る「ほくほく線」(まつだい)
電車は偶然にも大地の芸術祭ラッピング列車「DAICHI(だいち)号」。
「2018大地の芸術祭」の参加作品で、夜と朝の「妻有(つまり)の森」をモチーフにしたデザインです。
新潟県南部の十日町と津南町からなる世界有数の豪雪地帯は「越後妻有(えちごつまり)」と呼ばれています。
そして棚田には、芸術祭のアート作品が花を添えます。 -
反対側の山に見える「芝峠」(まつだい)
まつだい駅(標高193m)の北側に位置する標高397mの芝峠は、十日町市の山々と棚田の絶景が見渡せます。
ここには展望露天風呂がある宿「まつだい芝峠温泉 雲海」があり、幻想的な雲海を楽しむことができます。 -
秘密基地の電波塔(芸術祭作品)
2000年に牛島達治氏が制作したアート作品「観測所」。
<作品の解説>
上下に伸びた伝音管は、片耳に田んぼの音、もう片耳に空の音を伝える。
ジャングルジムのような構造物に入り、静かに耳を澄ませてみよう。
普段とは異なる時空体験が味わえる。 -
イチオシ
美味しそうな実を食べたいな~(芸術祭作品)
2015年に松田重仁氏が制作したアート作品「円-縁-演」。
<作品の解説>
2003年にトーテムポールを制作した際、そばにタイムカプセルも埋め、12年後に開封すると銘板に記した。
そして今年、当時の制作メンバーが集まり、未来へとつながる作品「希望の実」を手掛け、設置する。 -
元々の作品は「円-縁」(芸術祭作品)
2003年に松田重仁氏が制作したアート作品「円-縁」は、6つの彫刻と木のベンチでした。
そのうち3つの彫刻は現在「まつだい雪国農耕文化村センター 農舞台」の近くに展示されています。
<当時の作品の解説>
アートトリエンナーレの会場となる6市町村(新潟県十日町市・川西町・津南町・中里村・松代町・松之山町)を、一つの作品で結ぶという構想が、いかに多くの人々の理解と協力の上に成り立ったかを思うと、実に感慨深い。
6市町村の職人たちと共に、宙・風・火・水・土・木の6つのテーマを持つ彫刻と木のベンチを制作した。
作品に関わった職人たちは、プライドを持ち、それぞれの技術と感性で臨んだ。
ときには思わぬ表現に気をもむこともあった。
しかし、設置された作品を見ると、ひとりの作家では、とうてい造りだせない世界が広がっていたように思う。
このプロジェクトを通して、アートが本来持っている見えない力と木の職人たちの優しさを改めて感じることができたように思う。 -
繊細な「ネムノキ」(道端)
淡紅色の長い雄しべをもつ花です。 -
電車に手を振る「かかし」(芸術祭作品)
本業の田畑の作物を荒らす鳥を追い払う仕事も忘れないでね。 -
稲刈りだ、わっせわっせ・・・(芸術祭作品)
2000年にイリヤ&エミリア・カバコフ両氏(ロシア/アメリカ)が制作したアート作品「棚田」。
<作品の解説>
伝統的な稲作の情景を詠んだテキストと、対岸の棚田をする人々の姿をかたどった彫刻を配置。
農舞台内の展望台から見ると、詩と風景、彫刻作品が融合した形で現れる。 -
馬を使った田植え前の耕作(アート作品の棚田)
-
ネジバナ(道端)
-
渋海川の堰堤(まつだい駅近く)
直流化した渋海川の流速を緩和するため「堰堤」が築かれています。 -
「まつだい郷土資料館」(大地の芸術祭)
ケヤキ造りの古民家を移築し、内部に囲炉裏や古民具を展示した施設です。
地域で実際に使用していた民具や上杉謙信ゆかりの品、また、当時を忍ばせる重厚な作りの仏壇や神棚、2階には伝統的な書院造りの部屋など、見ごたえのある展示が並びます。 -
美味しそうな西洋料理店(芸術祭作品)
2000年に白井美穂氏が制作したアート作品「西洋料理店 山猫軒」。
<作品の解説>
色鮮やかな8枚の扉が空間を区切る。
宮沢賢治の「注文の多い料理店」を具現化したものだ。
客に対する注文の言葉がつづられた扉をくぐると、物語の世界に迷い込んだような気になる。 -
イチオシ
左側の白いドアから入ります(山猫軒)
「どなたもどうかお入りください けっしてご遠慮はありません」 -
ドア裏側には(山猫軒)
「ことに肥ったお方や若いお方は大歓迎いたします」
~たんまりとご馳走がでることかな? -
鏡と青色のドア(山猫軒)
「鉄砲と弾丸をここへ置いてください」
「注文はずいぶん多いでしょうが、どうかいちいちこらえてください」
~鉄砲など持ってないのに、少しうるさいお店だ -
黄・白のドア(山猫軒)
「ネクタイピン、カフスボタン、眼鏡、財布、その他金属物類、ことに尖ったものはみんなここに置いてください」
~財布を置いたら支払えないけど、いいのかな?
「クリームをよく塗りましたか 耳にもよく塗りましたか」
~しっとり潤うクリームなんて、サービスがいい。でも耳になぜ塗るの?
「料理はもうすぐできます。十五分とお待たせいたしません。すぐ食べられます。早くあなたの頭に酢をよく振りかけてください」
~料理がすぐ食べられるのですね。でも、頭になぜ酢をかけるのかな? -
赤・グレーのドア(山猫軒)
「いろいろ注文が多くてうるさかったでしょう。お気の毒でした。もうこれだけです。どうか体中に塩をたくさんよく揉みこんでください」
~食べる前の注文が多いお店だ。体中に塩を揉みこんだら痛くてしょうがないけど??
「いやわざわざご苦労です。たいへん結構にできました。さあさあ、おなかにお入りください」
~おなかって次のドアの中なの?ドアを開けたら大きな口がギャ~・・・ -
棚田と農舞台(芸術祭作品)
アート作品のお百姓さんの裏側は気にしてないようで・・・ -
里山の神社(まつだい)
アートの世界ではなく、昔からある里山風景があります。 -
特急「はくたか」(まつだい駅前)
道の駅「まつだいふるさと会館」に戻ると、館内に展示されています。
北越急行の特急車両は「スノーラビット」の愛称で呼ばれていました。
今日は大地の芸術祭を棚田を歩きながら、ゆっくり鑑賞できました。
これから今晩の宿「栃尾又温泉」へ向かいます。
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