2020/06/21 - 2020/06/27
1397位(同エリア1525件中)
ちゃおさん
今日最後の霊場西林寺。八坂寺から来る途中、少し道を間違えたりしたが、5時閉門までには十分の時間がある。この寺は伊予国の関所寺と擬せられていて、境内もほど広く、ごちゃごちゃ感のないさっぱりした感じのお寺だ。関所寺とは各国に1ケ寺あって、今まで参拝した阿波国では小松島にある立江寺で、そこも又立派な山門を備えていて、総門の2階は嘗てお遍路さんも寝泊まりできたとのこと。又土佐の高知では安芸郡にある神峰寺で、そこは高い峰の上にあって、遥かに土佐湾を見下ろす場所にあった。ここも又立派な総二階の山門を有していて、今までに見てきた所によれば、関所寺と呼ばれる寺は、どこも立派な総門を備えているようだ。
山門からは参道が真っすぐ本堂に続いていて、参詣者が一人いる。見ると白装束の脚絆ばき。歩き遍路だ。今回の巡礼で初めて会った。二言三言言葉を交わす。初老に近い彼には衒いも気負いもなく、淡々としている。もう何人からも同じような質問をされてきたのだろうから、当方からは敢えて愚問は発しない。毎日暑い中大変ですね。頑張って下さいと。身の引き締まった、細身の体ではあるが、どこか世俗の抜けた汚れの無い顔立ちで、本当にそうですねえ、暑いですねえ、と。多分Spiritualな日本人なのだろう。これから後何日歩いて満願達成するのか・・。
この寺のご本尊も十一面観音菩薩。この寺も又行基菩薩の開基で、寺伝によれば、その時行基が十一面観音菩薩を彫ったと伝えられている。その後空海がこの地を訪れ、寺を今の地に移したとのことである。それから更に下って江戸時代、松山藩主、久松松平家の厚い庇護を受け、本堂、鐘楼、大師堂等が再築され、そして最後の江戸末期に、この立派な山門(仁王門)が再建されたとのことである。
本堂、大師堂と一通りのお参りを済ませ、最後の鐘を撞くために鐘楼まで来ると、先のお遍路さんが疲れた表情で鐘楼の前のベンチに腰かけている。もうそろそろ閉門の時間が近づくが、本当に歩き疲れて休んでいるのか、今晩の遍路宿をどこにするのか思案しているのか、その胸中は分からないが、当方、ボーンと一つ鐘を撞き、お先に、と挨拶し、寺を出た。お遍路さんとの接し方が分からないが、変に車に乗りませんか、とか、自分のホテルでよければ一緒に行きませんか、等々の言葉をかけるのは、却って失礼に当たる。彼の純な、崇高な気持ちをないがしろにするように思えたからだった。山門の所からそれとなく見ると、彼は同じような姿勢でベンチに腰掛けたままの状態だった。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 交通手段
- レンタカー
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