2016/09/05 - 2016/10/15
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北スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂をめざして歩く
「サンティアゴ巡礼路、通称カミーノ」。
中世から続くこの巡礼の道をゆく人が、近年爆発的に増えている。
信仰のため、自らの挑戦のため、そして奇跡を信じて、
歩く理由はそれぞれでも、
一度歩いたらその人はもう巡礼者として生きるとも言われる。
長年憧れていたこの道を、2016年に歩いた。
800キロという距離、運動不足のからだ、言葉の壁、不安。
それでも無名の旅人として、一人で道に飛び込んだ。
50歳のチャレンジだ。
私のカミーノは「フランス人の道」と呼ばれる一番メジャーなルート。
フランスとスペインの国境ざかいの小さな村から巡礼は始まる。
初日はアップダウンの厳しいピレネー越え。
簡単な地図と巡礼手帳を持ち、バックパックを背負い、
道や壁に書かれた黄色い矢印を辿る。
1日平均25キロ、まだ暗いうちから痛む足をだましだまし歩き始める。
毎日、誰かに出会い、
「ブエン カミーノ(良い旅を) !」と励まし合う。
美しい景色や建物にはっと立ち止まる。
時には飽きるほど平坦な何もない大地。
今日はこの宿と決めたら、
まだベッドはありますか?と尋ねる。
宿に着いたら洗濯と食料の確保。
痛そうな顔の人とツボ押しで仲良くなる。
そしてついに到着したサンティアゴ・コンポステーラの大聖堂。
ふるまわれたボタフメイロという香炉振りの儀式。
そして「生まれ変わりの地」と呼ばれる、
西の果てフィステーラで見た圧倒的な夕焼け。
よく人生に例えられるこの道を、歩いて見えてきた巡礼の意味。
見えてきた自分のエゴ。
簡素で美しくあたたかい毎日だった。
このコロナ禍の中で、あの日々をたびたび思い出す。
世界が落ち着きを取り戻したら、またいつの日にか。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩 飛行機
- 航空会社
- カタール航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
マドリッドから二つのバスを乗り継いで、
ピレネーふもとのフランスの小さな街、サン・ジャン・ピエ・ド・ポーへ。
ここから旅が始まる。
夜明けの雲海を背に歩き始めた。サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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標高差1250m、25キロの行程は、初めの関門。
天候の変わりやすいピレネーだが、お天気には恵まれた。
ひつじの鳴き声、カウベルの音、
道端の牛や馬ものんびりと草を食んでいる。
スペインの国境に入った。 -
「とうとう来ちゃった!」の
アドレナリン頼りで数日歩いて来たけれど、
足がもうヒイヒイ言っている。
宿のトレッキングシューズはもうどれも白っちゃけている。
シューズとトレッキングポールは、だいじな相棒。 -
4日目、牛追い祭りと美食で名高い、ナバラ州首都のパンプローナへ。
偶然、州のお祭りの最中。
鍛冶屋のデモや銀製品のお店、カラフルなキャンディ屋は子供でいっぱい。
移動式のバイキングブランコやメリーゴーラウンド。
教会前の中世の衣装を身につけた人々の踊りに目を奪われる。
バルで気に入ったタパスをお代わり。
夕暮れの広場で「私はここでは名前のない旅人」と一人悦にいる。カスティーリョ広場 広場・公園
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ゆっくり起き出して、
今日は風力タービンの並ぶ、ペルドン峠を目指して歩く。
が、歩いても歩いても頂上に近づかない。
ベンチでクサっていたら、南米からのおばちゃんがキャラメルをくれた。サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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枯れかけたひまわりの丘を、足を引きずり登りきったら、
オブジェと風力発電機の並ぶペルドン峠頂上だった。
写真を撮ってくれた自転車巡礼のおじさんふたり組。
「気をつけて」と言いながら、石の急坂をヨレヨレと下りていく。
心配で目でいつまでも追ってしまった。サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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今日はイタリアからの二人と
くっついたり離れたりしながら葡萄畑の中の道を行く。
全く言葉が通じないがそれでも笑いが絶えない。
青い空を見上げながら
ふと自分がみんなの一歩を歩いている気持ちになる。サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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シラウキの街を通り抜ける時、家族を連れたお父さんが
ワイングラス片手にシャキッと白いシャツで歩いているのを見かける。
中央の広場では、ぶどう収穫祭が行われていた。
自慢の一品を試す、グラスだったのかな。サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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休憩の公園でごろんと横になったら、どうにもこうにも立ち上がれなくなった。
同行の彼女たちともはぐれたが、
約束したエステージャまでよろよろと歩く。
もう日は暮れかかり、どこの巡礼宿にも空きはない。
日曜日でどのレストランもしまっている。
4軒目の宿でようやく見つかったベッド。
お門違いのところに来た気がして、とてつもなくみじめな気持ちで眠った。
朝、みんなが出払った宿で、いらない荷物を泣きながら1キロ半捨てた。 -
自分のペースってなんだろうと改めて考える。
歩けるところまで歩きたいように歩こうと決めて、また歩き出す。
道標には誰かが捨てて行った(んだろうなあ)シューズが、
可愛くデコレートしてあった。サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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これは巡礼宿。
カミーノではこの宿のことを「アルベルゲ」と呼ぶ。
一泊10ユーロくらい。
寝る時にはここに自分の寝袋を広げる。
この宿は全部一段ベッドだが、普通は二段ベッドがずらりと並んでいる。
足の痛い巡礼者には下段のベッドが人気だ。
誰かのいびきで眠れないこともよくある。
どこかで出会った誰かとまた偶然に枕を並べることもけっこうある。サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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これはナヘラ近くのシルエナ、という町のアルベルゲ。
門をくぐるとお香が炊いてあって、それだけで豊かな気持ちになった。
昼過ぎから受付が始まり、ベッドを確保した巡礼者は、
今日の服を手洗いして庭に干す。
服を自分で絞るなんて、何年ぶりだろう。
洗濯機や脱水機があると、ものすごくほっとする。サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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私が宿を出発するのは、だいたい7時ごろ。
まだ外は真っ暗だ。
暗い中、誰かを起こさないように、
iPhoneのライト頼りに寝袋や荷物をまとめて出かけるから
忘れ物をすることもある。
でももう取りに戻ることはない。
野原を歩いていると
後ろの巡礼者の灯りが連なって
天の川のように見える。
この道は天の川の下を通るエネルギーラインとも言われている。
だから、スペイン語の[カミーノ・デ・サンティアゴ]は
サンティアゴ巡礼路と天の川、という二つの意味を持つ。サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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歩き始めて十日ほどして
旅の道連れができた。
ニューヨークから来た元教師の60代の女性と、
スコットランドからの70代半ばのおじいちゃん。
西に向かって歩きだしてから背後に朝日が昇るので、
毎朝、私たちの前にはみっつの長い長い影が伸びる。サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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今日はオカ峠。
こんな果てしない道も
一歩一歩、右左、と足を出していけば
いつか丘を越えている。サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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運良く焼きたてにありつけると、この上なく幸せな気持ちになる。
これは半熟具合がともかく最高で
カミーノ史上いちばんのトルティージャだった。サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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オカ峠を超えて、たどり着いたブルゴス。
・・・が、大都会なのにあまりにもアルベルゲが少なく、
巡礼ベッド難民が多数出現。
顔見知りの彼らと一緒に困っていると
郊外のキャンプサイトを紹介され、そこまでタクシーでなだれ込み、雑魚寝。
翌朝町に戻りこの街でもう一泊することにして、美しい大聖堂を堪能した。ブルゴス大聖堂 寺院・教会
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どこもかしこも美しく歴史に圧倒される。
上ばかり見あげてしまう。
天上のことを思う職人の手で
この大聖堂も作られたのだろう。ブルゴス大聖堂 寺院・教会
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回廊に降り注ぐ光の紋様。
ブルゴス大聖堂 寺院・教会
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オルニージョスデルカミーノという村の雑貨店でコリアンのグループに会う。
「僕たちのディナーにどうぞ」とうれしいお誘い。
空き地のポンチョのカーペットで、久しぶりに炊いたご飯をご馳走になる。
「これじゃなくっちゃ、ぼくたちは力が出ませんね」
その中の二人はこのカミーノ巡礼が新婚旅行で、
日本語が得意なシェフの彼が、
お米や鍋の詰まった20キロのリュックを担いで仲良く歩いていた。サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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さまざまな教会、教会跡がこの道沿いに点在している。
気持ちのいい並木を通り抜けて行ったら
このサンアントン僧院跡がふと現れた。
今はアルベルゲになっている。
向かいのバルでオレンジジュース。 -
三人で歩き出して一週間目。
英語圏からの道連れの英語はテンポが早い!!
元教師のクリスが英語の特訓をしてくれる。
しかしもうお腹いっぱい、、、、
そんな中でもこんな夢みたいなバルに出会うと
にやにやと笑みがこみ上げる。
木陰を作る果樹にはたわわに実がなり、青いプールも。
オムレツは懐かしい味がした。サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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運河の道を歩いて行ったら、フロミスタという町に出た。
宿のチェックインの時、
隣の教会で今日は巡礼者のためのコンサートがあるよ、と教えてもらった。
響きの良い教会で聴いたギターは胸に染み渡り
眠っていた細胞がいきいきと動き出す。サン マルティン教会 (フロミスタ) 寺院・教会
-
翌日、カリオン・デ・ロス・コンデスの教会アルベルゲでも
名物シスターのコンサートを賜る。
代わる代わるなぜ歩きにきたのか話し、自国の歌を歌う。
悲しみを乗り越えようと参加した人、冒険心、好奇心・・・
国は違えど、みんなおんなじなんだなあ。
はるばる来たんだなあ。
痛む足をマッサージしていたら
私にも教えて、と私の前に長蛇の列。
これはミラクルリカバリーポイントなのだと、ツボを教えてあげた。
日程が押して来たのと足が痛いのとで、明日は少しだけバスに乗る。
ちょっとざらっとした心の中で
あんたはどう歩きたい?
何をゴールにしたいの?と問う。Hostal Infanta Doña Leonor ホテル
-
レオンで久しぶりに普通のホテルを取った。
あらゆる方向からお湯が飛び出してくるミラクルシャワーがあった!
街をぶらぶらしていたら
大聖堂で、今日は大きな無料コンサートがあるとのこと。
何が始まるのかわからないまま椅子に腰掛けたら
笛と太鼓の中世音楽が始まった。
途中で奏者が舞台を降りて、歩きながらエキゾチックな笛を吹いた。
教会の贅沢な響きが刻々と変わり、ここがどこだか一瞬わからなくなった。
とにかく久しぶりに、それも3日連続で音楽を聴けて
かすかすになっていた心がたっぷりと潤った。レオン大聖堂 (カテドラル) 寺院・教会
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今日は一人、赤土の大地に乗り込んでいく。
あまり人気のないルート(バルがない)で
見渡す限りひとりぼっち。
英語に耳をすますこともなく
とことんぶらぶらぶらぶらと、たらたらたらたら歩く。サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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これは手作り感満載だけど
聖ヤコブ(サンティアゴ)のオブジェには
ちょいちょい遭遇する。
他にも、道に石を連ねて言葉が書いてあったり
ひまわりの種を笑顔にくりぬいてあったり
だれかの励ましが次に順送りになる。サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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No Pain No Gain
(痛みなくして得るものなし)
でもいたいものはいたいー!サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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道端のドネーション。
果物やナッツが置いてあって、好きなものをどうぞ、と。
我々は感謝の気持ちを込めてコインを置いてくる。サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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アストルガ近くのイグレシア教会の横でふと見上げると
大きな丸い虹がかかっていた。
バルのない道をせっせと歩いて来たご褒美?
通りがかりの母娘の巡礼者に教えて
娘さんと大いに盛り上がった。城壁 (アストルガ) 建造物
-
アストルガのアルベルゲで仲間たちとまた合流して
巡礼者向けイベントを見に出かけた。
民族衣装を着たグループが
次々とダンスと音楽を披露してくれる。
小さな女の子の小競り合いがなんとも微笑ましい。マヨール広場 (アストルガ) 広場・公園
-
森の中でりっぱな鷹と鷹匠が待っていて
巡礼者が必ず持っている巡礼手帳に
スタンプを押してくれた。
教会やバル、アルベルゲで
日付の入ったスタンプを押してもらう巡礼手帳は
私たちが歩いた証明にもなるのだ。サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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彼の愛する鷹の、穏やかで強いまなざし。
サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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家から持ってくる願いを込めた石を投げる
「鉄の十字架」を過ぎたあたりで
心臓破りの下り坂が始まる。
降りても降りても終わらない。
その先のバルでのトラブルが重なって
この日は心が挫けた。
心配する仲間にも笑顔を作れない、情けない夜。サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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フランス人の道最後の山場と言われる
セブレイロ山の山登りが始まった。
仲間はバスで行くという。
ベンチで、もらったオレンジにかぶりつく。
誰も通らない、眠ったような集落。
坂道を登っていたら
通りすがりの人が「違うよ、あっちあっち」と指差して教えてくれた。
正しいルートらしい国道の道は
大型トラックがどんどん抜かして行って怖いったらありゃしない。
喉が乾く。
暑さに耐えかねてバルで立ち飲みしたビールはまるで水だ。
通りすがりの古い家が
ものすごく懐かしい感じがして
立ち止まって写真をパシャパシャ撮った。サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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バルカルセ、という集落でベッドを確保。
これはオスピタレロが「今日は特別!」
と作ってくれたガリシア州の名物ケイマーダ。
銅の器で呪文を唱えながら煮立てる甘いお酒。
この炎の中にも、ほら、顔が見えるでしょ。ふふ。
顔見知りのいない巡礼仲間たちばかりだったけど
ケイマーダで盛り上がり
楽しい夜だった。
明日は早起きしてセブレイロ岳の山頂を越える。サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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まもなく山頂近く、というところで
最後のガリシア州の看板が我々を待っている。
イギリスから来られた白髪のマダムが
感慨深くその看板を見上げていた。
「この私がここまで来たなんて本当に信じられないわ」
マダム、私もです。ペドラフィータ ド セブレイロ 散歩・街歩き
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ガリシア州の名物はチーズ。
チーズに限らず、乳製品がとってもおいしい。
この蜂蜜がけのフロマージュの味。忘れない。サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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セブレイロを降りたところの町で
仲間たちが待っていてくれた。
ここはサモスという修道院のある町。
カミーノ巡礼と深く関わりのある町だ。サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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サリア、という町を過ぎると
道は急に巡礼者の数が増える。
この巡礼路、サンティアゴ・デ・コンポステーラ教会までの
100キロ以上を歩くと、〈巡礼証明書〉が渡されるのだが
このサリアという町がその100キロをクリアする地点なのである。
サリアの先、ポルトマリンという町近く。
この日はとても暑い1日で
木陰で犬が寝ているなと振り返ったら
その向こうに巡礼者も気持ちよさそうにお昼寝中。サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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最後のガリシア州は急に緑が深くなって
どこか熊野古道に似た風景だ。
毎朝、道には靄がかかっていて
だんだんしっとりと明るくなってくる。
コンポステーラに着く日の早朝
誰もいないのに
ザッザッとたくさんの人が歩いている気配がした。
かつて歩いたたくさんの巡礼者たちが
後から来る巡礼者を守ってくれていた気がした。サンティアゴ デ コンポステーラの巡礼路:カミノ フランチェーズとスペイン北部の道 史跡・遺跡
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とうとうサンティアゴ・デ・コンポステーラの街へ。
サンティアゴ デ コンポステーラ(旧市街) 旧市街・古い町並み
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大聖堂が近づくと、ガイタ(バグパイプ)の音が聴こえて来る。
ちょうど2016年当時
大聖堂は長い補修工事中だった。
夕方から、巡礼者向けのミサが始まるので
巡礼事務所で証明書をいただき
宿で一息ついてカセドラルに向かう。
巡礼者は、祭壇の裏側の
聖ヤコブ(サンティアゴ)の肩を後ろからそっと抱き
ここまで来れました、と報告をする。
混んだ大聖堂の中で
たくさんの知った顔が、
喜びにあふれた表情でミサを待っていた。
ミサの中で司祭が
どこの国から、何人の人が、どこから歩いたかを
報告してくださるのだ。サンティアゴ デ コンポステーラ大聖堂 寺院・教会
-
パイプオルガンが鳴り響き、
シスターの歌がくるくると螺旋を描いて立ち上ってゆく。
あれ、涙。サンティアゴ デ コンポステーラ大聖堂 寺院・教会
-
ティラボレイロ(ボタフメイロ ・香炉を振る人)が祭壇に現れ、
火のついた香炉を初めは小さく、そして
段々に天井に着くくらいまで大きく振り始める。
香炉からあふれる乳香の香りがカセドラルに満ち満ちる。サンティアゴ デ コンポステーラ大聖堂 寺院・教会
-
古くから巡礼者は、大聖堂に到着した後に
フィステーラという西の果ての海岸まで歩く。
そして身につけていたものを焼いて
生まれ変わりの儀式とするという。
夕焼けの空は
どんどん色を混ぜていき
風がどうどうとフルートの音のような音をたてた。フィニステレ岬 (フィステーラ岬) 海岸・海
-
巡礼証明書と巡礼手帳。
旅のしるし。
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この旅行記へのコメント (4)
-
- kodamaさん 2023/05/15 18:52:18
- 巡礼の道
- 巡礼の道を完歩されたのですね。
私も10代20代の頃はいつか巡礼の道をサンチャゴデコンポステーラまでと
思い憧れていたのですが、50年が過ぎてしまい、いつしかそんな思いも忘れていました。
たまたま、らくさん様の旅行記を拝読し、流れる雲、吹く風、草の匂いが伝わって
来るようで、胸がキュンとし若い頃の情熱がよみがえるようでした。
フィステーラ岬までとは凄い!
人生を改めて思い起す機会を下さりありがとうございました。
- らくさん からの返信 2025/03/26 11:19:35
- Re: 巡礼の道
- kodamaさま
コメントに、懐かしいタイムカプセルを開けたような気持ちになりました。ありがとうございます。
シニアの巡礼者は自由で優しくて、自分のペースを守ってらして、本当に良き先輩たちでした。
kodamaさんもふと数日でも歩かれたりなんて😊
素敵です
-
- おくさん 2021/07/10 16:56:40
- お疲れ様でした
- 流れるような文章が心地良かったです。
一回で読み終わってしまうのがもったいないようでした。
素晴らしい体験をしましたね。
お疲れ様、そしておめでとうございます。
- らくさん からの返信 2021/07/27 21:32:30
- Re: お疲れ様でした
- おくさん、
読んでくださってありがとうございました😊
もう5年前になりますが、自分へのギフトのような旅でした。
その後、それをもっと自分のものにしたくて、旅中iPhoneに録りためた鼻歌と日記でCDブックまで作ってしまいました。いつか機会があったら手に取っていただけたら嬉しいなー。
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