アメリカ合衆国 ジョージア州 アトランタへ(To Atlanta, Georgia. U.S.A.)

2020/03/22 - 2020/03/22

2020年3月22日(日)、コロナが急速に世界に蔓延と云うことで、予定の任期より1日早く帰国することになる。ほんの4日ほど前までには想像すらしてなかったのが、事態が急激に変化して、帰任が1日早まったのに加え、我々より後の隊員も全員一時帰国することになったので、この前日の便で帰国した一部のメンバー以外が全員集合してキングストン(Kingston)を出発(下の写真1)。

この日からジャマイカ(Jamaica)への入国が制限されると云うことで、変更したフライトがキャンセルにならないかどうか心配したが、お昼前の11時半過ぎ、定刻11：25より少し遅れて飛び立つ。2年前に着任して以来、旅行に出る度に利用してきたキングストンのノーマン・マンレー国際空港(Norman Manley International Airport)からのフライト、7回目でたぶん最後。出発ゲートに向かう途中にジャマイカンパトワ語(Jamaican Patois)を使った絵が並ぶが(下の写真2）、結局ほとんど覚えなかった私・・・

今回利用するのは米国アトランタ(Atlanta)に本拠を置くデルタ航空(Delta Air Lines)。1929年にルイジアナ州(State of Louisiana)でデルタエアサービス(Delta Air Service)として旅客サービスを開始し、1941年にアトランタに移転した米国最古の航空会社。社名は発祥地のルイジアナ州の北東のミシシッピ州(State of Mississippi)に広がるミシシッピデルタ(Mississippi Delta)から命名されている。2010年に当時米国第5位のノースウエスト航空(Northwest Airlines)と統合し、現在は世界の6大陸すべてに就航する世界第2位の航空会社となっている。

私が1990年に初めて米国へ行った時に利用したのがデルタで、それ以来ノースウエストも含めて何度か利用したことはあるが、その後私が米国に駐在したのがサンフランシスコ(San Francisco)やシカゴ(Chicago)近郊で、ともにユナイテッド航空(United Airlines)のハブ空港(Airline Hub)を持つ地域だったので、そんなには乗ってない航空会社。

今回のフライトの機材はボーイング(Boeing)737-800。1997年初飛行のボーイング737NG(Boeing 737 Next Generation)と呼ばれる第3世代型となる小型ジェット旅客機シリーズのメイン機種で、標準座席数は189席。737NGシリーズは日本のJALグループ、全日空グループでも多数就航している。まだ旅行記が書けていないが、約1か月前に行った東カリブ海クルーズ旅行の最後のキングストンへのフライトも同じ機種だった。

この日の目的地はデルタ空港の本拠地であるアトランタ。米国南東部、1776年にアメリカ独立宣言(United States Declaration of Independence)を行った13州のひとつであるジョージア州(State of Georgia)の州都で、都市圏人口は500万人を超え、全米では9番目に多い。ちなみにジョージア州の名前は植民地の設立勅許を与えたイギリス国王ジョージ2世(George II)に由来しており、ソビエト連邦(USSR)の構成国であった東ヨーロッパの南コーカサス(Transcaucasia)にあるジョージア国(Georgia)(日本では2015年までグルジア(Gruziya)と呼んでいた)とは名前の由来は全く異なり、歴史的にも何の繋がりもない。

アトランタはジョージア州の都市の中では後発の都市。紀元前からこの辺りには先住民族が暮らしていたが、16世紀にヨーロッパ人の植民が少しずつ始まる。植民が本格化したのは1733年で、1754年に直轄植民地となる。アトランタへの入植が開始されたのは1822年で、当初この町はディケーター(Decatur)と呼ばれた。1836年に建設が決定されたアパラチア山脈(Appalachian Mountains)を越えてテネシー州(State of Tennessee)へ通じるウェスタンアンドアトランティック鉄道(Western and Atlantic Railroad)の起点として発展を始め、1847年にいくつかの名前を経て、正式にアトランタと云う町になる。名前の由来は諸説あるが、鉄道の名前から付けられたと云う説が有力。

1864年には南北戦争(American Civil War)で灰燼に帰すが、1865年の戦争終結後、急速に再建され、1868年に州都となる。綿花産業によって急激な発展を遂げ、1886年にはコカコーラ(Coca-Cola)も創業、経済的にも政治的にも南部の中心地となった。20世紀にはデルタ航空やCNNもこの地に本社を置いている。

アフリカ系住民の比率が高く、現在でも半数を越える。1997年4月に初めてこの町に来て、ダウンタウンに出た時に、住んでいたサンフランシスコベイエリアの町の様子と全く違う様子にビビったことを思い出す。マーガレット・ミッチェル(Margaret Mitchell)の風と共に去りぬ(Gone With the Wind)の舞台は1860年代のこの町を舞台としている。現在も貧困率と失業率が高く、犯罪発生率は全米都市の中でも残念ながら高い。

1996年の夏季オリンピックの開催地で、日本では「マイアミの奇跡」と呼ばれる男子サッカーがブラジル代表を下した試合が有名だが、日本代表の試合は3試合ともマイアミ(Miami)とオーランド(Orlando)で行われており、アトランタには足を踏み入れておらず、さらに云えばサッカー競技は1試合もアトランタでは行われていない(決勝などの舞台はアトランタから100㎞余り東のアセンズ(Athens)）。

その他、MLB(Major League Baseball)最古の球団ブレーブス(Braves)が1966年から本拠としており、ワールドシリーズ(World Series)を3回制覇している。MLB通算本塁打755本のハンク・アーロン(Hank Aaron)が1974年まで21年間プレーした球団。NFL(National Football League)の2016年NFC(National Football Conference)チャンピオンのアトランタ・ファルコンズ(Atlanta Falcons)、NBA(National Basketball Association)最古のチームの一つ、アトランタ・ホークス(Atlanta Hawks)も本拠を置いている。


アトランタ空港へ続く

エリア アトランタ(アメリカ)

写真1 出発ロビーにて

写真2 パトワ語にお別れ