2020/02/09 - 2020/02/11
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ノーーウォリーズさん
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サウジアラビアの数少ない観光地に世界遺産のマダインサーレ(またはマダインサーレハ、ヘグラ)が挙げられます。アラビア半島の古代の貿易・メッカ巡礼ルート上にあり多くの歴史が残る場所です。イスラム以前のギリシャ等に影響を受けたナバテア文明が栄えた遺跡が見られ、隣のヨルダン・ペトラ遺跡と似ているためミニペトラとも呼ばれています。またアメリカ・モニュメントバレーの様な奇岩に囲まれた絶景もあります。サウジではメッカ・メディナに次ぐ名所ですが、巡礼ではなく純粋な観光としてはサウジアラビアで最も有名な観光地でしょう。
サウジアラビアは2019年9月に観光ビザを解禁して、外国人観光客を積極的に誘致しています。その一環として2020年1月に日本の安倍晋三首相とサウジのムハンマド皇太子の首脳会談はマダインサーレがあるアルウラーの町で開催され、安倍首相はサウジ観光のPRを引き受ける事に。マダインサーレを視察した安倍首相は「サウジアラビアのいにしえより守ってきた伝統や文化を感じることができた」と語ったとか。安倍首相に誘われ?私もまだあまり知られていないマダインサーレを2020年2月に個人旅行で訪れてみます。
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202001/13middleeast.html
https://www.arabnews.jp/alula/
関連旅行記:
ペトラと死海、世界でここにしかできない体験
https://4travel.jp/travelogue/11210394
- 旅行の満足度
- 4.0
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この旅行記を書いている2020年3月上旬はコロナウィルスが世界中に蔓延しており、サウジアラビアの観光ビザも2月28日に暫定的に無効となりました。もし3週間時期が遅かったら旅行はキャンセルになっていたでしょう。
2020年1月上旬:中国・武漢でコロナウィルス発生。アメリカがイランの司令官を暗殺してその報復にサウジも狙われる危険性が高まる。しかし状況は落ち着き、安倍首相がサウジ訪問。
2020年2月上旬:日本でクルーズ船が隔離される。この時点ではコロナウィルスは世界的な広がりはなかったのでサウジ旅行は催行。
2020年2月下旬:コロナウィルスが世界的に広がり始める。サウジに感染者はいないもの、G20財務会談とサウジカップが終わった時点でサウジ政府は外国人の巡礼ビザと感染国からの観光ビザを無効化。
2020年3月上旬:OPECプラスでの交渉決裂からサウジは原油価格を大幅に下げることを決定、ロシア・アメリカとのオイル戦争に。また後継者争いで現国王の兄弟を拘束するなど、きな臭いニュースは絶えません。
旅行中は中国人に間違えられたら嫌な思いをすると思い、私はバッグに国旗を立てることで対策しました。しかしサウジ人からコロナウィルスの話は一度もなく、サウジ人は歓迎してくれました。2月上旬時点ではサウジでは大きな懸念とはなっていませんでした。 -
マダインサーレ Madain Saleh(遺跡はヘグラ Hegraと呼ばれています)は現在のところ期間限定でオープンしており、2019/20年シーズンは12/19から3/7までの木曜から日曜日の間に公開されています。これ以外の時期はクローズです。また遺跡を見るには個人旅行でも現地ツアー参加が必須です。ツアーを利用しないで車で直接行っても中には入れません。期間中は遺跡ツアーの他にもスポーツイベントや西洋圏での有名人を招いてコンサートなど多くのイベントを企画しています。
マーケティング戦略なのか、トップページには非常に高価なパッケージツアーしか表示されず、比較的安い現地ツアーへのリンクは非表示にしてあります。URLを直接入力しないと現地ツアーのページにアクセスできないので注意がいります。私はヘグラ遺跡ツアー(半日の現地ツアー)を以下のURLから予約しました(来年以降は変わっているかもしれません)。現地ツアーは85リアル。
https://book.experiencealula.com/tour/experience-hegra-an-unesco-world-heritage-site/ -
2/9の朝7時、リアド Riyadhからアルウラー Al Ulaへは国営のサウジア航空を利用。マダインサーレの最寄りのアルウラー空港まで、週3便の運行のみでサウジア航空しか飛んでいないので割高です(約400リアル)。マダインサーレはサウジ有数の観光地のはずなのに、訪れる人は少ないのでしょうか。他にリアドからアルウラーへSAPTCOの公共バスもありますが14時間もかかります。ジェッダからアルウラーへの公共バスは10時間と近いですがメディナを経由するため、非ムスリムの人には利用できるかは流動的です。
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飛行中見えるのは砂漠ばかりですが、アルウラーに近づくと山が多くなります。サウジにも3000M近い高さの山があり、そこでは冬には雪が積もることもあります。
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アルウラー空港に到着、町まで20Kmほどで周りには何もありません。タクシーが待っていると期待していましたが全くなし、Uberも朝9時には車が見つかりません。カウンターにタクシーの名刺が置いてあったのですが、アラビア語の数字で読めません。近くにいた人に電話してもらい何とかタクシーを手配できました。料金はUberでは40リアルだったのですが、吹っかけられて3人でシェアして合計300リアル。。
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アルウラーのホテルはBooking.comではすべて高かったので、ロンプラに載っているAl Harbiに直接行ってみます。予約なしでも部屋はありますが一泊一部屋250リアルとここも割高。他のサウジ都市の同じレベルのホテルなら半額でしょう。市外には150リアルのホテルもある様ですが、毎回タクシーが必須で不便なので、中心に位置するAl Harbiに2泊することに決めます。
朝10時半にホテルに着くなり荷物を置いてまた出ます。マダインサーレは月・火・水とクローズで、滞在中はこの日(日曜日)しかオープンしていないためです。事前に11時半の現地ツアーを予約しています。地図で見るとツアー出発地Winter at Tantoraは町の北外れにあり20分ほど歩いて到着します。しかし会場はクローズされており誰もいません。 -
Winter at Tantoraには旧市街の街並みが残っています。この旧市街は比較的歴史は浅く、1980年頃まで実際に使われていたとか。修復もされずそのままの状態です。
アル ウラー旧市街 旧市街・古い町並み
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旧市街を一望する丘の上で現地ツアーの出発を待ちます。11時半になっても誰も現れず、慌てます。予約を受けたのにやっていないなんて、サウジではよくあることなのでしょうか??ネットでもう一度確認すると、Winter at Tantoraは2箇所あり、更に北へ5Kmほど行った場所がツアー出発地と分かります。ヒッチハイクに成功するも金を要求され、細かい札がなかったので車で5分の距離に50リアル払います。
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ここがもうひとつのWinter at Tantora。奇岩が目に入ります。12時ごろ着き予約より30分遅れましたが、ちょうどヘグラ(マダインサーレ遺跡の呼び名)ツアーが出発するところです。ここでまた問題が、現地ツアー料金は85リアルなのですがこれには往復のバス代は含まれておらず、追加料金バス代170リアルとツアー料金の倍のぼったくり価格。ここまで来て辞める訳にはいかず、仕方がなく払います(合計255リアル)。まだアルウラーに来て数時間ですが、フライト・タクシー・ホテル・ツアーに大金が無くなっていきます。物価はとても高いです。それでもパッケージツアーよりは個人旅行の方が安いと思いますが。
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ツアーは大型バスですが、参加者はわずか4名。ウェブサイトには30分ごとに1日に10回ほどツアーがあるのですが、実際にはこの日は朝と昼の2回だけ出発の様です(他に日本からの団体ツアーがいました)。ウェブサイトに比較的安価の単体ツアーのリンクを非表示にしているためか、ほとんど参加者が集まっていません。大型バスは10台ほど並んでいたので、ツアー会社は本気で30分ごとにツアーを出すつもりだったみたいですが。
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マダインサーレまでバスで30分、入口からまず鉄道駅が見えます。これは20世紀初めにシリアのダマスカスからメッカまでイスラム巡礼者を運ぶためにドイツが建設されたヒジャーズ鉄道です。しかし実際に使われたのはわずか10年ほどで、第一次世界大戦の影響で鉄道は廃止されます。この道は古代から貿易ルートに使われており、そのために色々な歴史があります。
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当時の駅舎は立派に修復されて新築みたいです。4名のツアー参加者に対して多すぎるガイド達。私たちが100m歩く毎にガイドが交代してその度に挨拶、一応仕事をしたという事にしたいのか変なシステムです。
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定番のデーツと伝統のアラビアンコーヒー(普通のコーヒーとは全く違う何とも表現できない味)で迎えられます。
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マダインサーレの歴史を学びます。ここでは約2000年前にイスラムが広まる以前にはナバテア文明のマダインサーレとして繁栄しました。当時はヨルダンのペトラに次ぐ規模だったとか。その後はローマ帝国の支配からイスラム文化圏へと移っていった歴史があります。サウジアラビアでは非イスラムに関するあらゆる文化を排除していたので、マダインサーレもかつて排除対象でした。近年になってようやくその価値が認められ、サウジ国内で非イスラムのナバテア文明が見られる貴重な場所です。2008年に世界遺産に登録され、約10年間の発掘・修復工事を終えてようやく一般公開までたどり着きました。
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マダインサーレ(ヘグラ)にバスで入ると奇岩の中に霊廟が点在するのが見えます。ここには136の霊廟が残っています。
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Al Diwan。ここは霊廟ではなく、祭事などに使われたスペース。ペトラと同じく切り立った岩の隙間にひっそりと存在します。
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ラクダなどの壁画が見られます。しかしアラビア文字なので、イスラム時代に後から描かれたものです。
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Qasr Al Bint、高さ30Mほどで大きめの霊廟。ここが安倍首相が1ヶ月前に視察した場所。ガイドは首相を迎えるために沢山準備したらしいですが、首相が視察したのはここだけで15分ほどであっという間にいなくなってしまって残念と言っていました。日本では僅かに報道された程度で、残念ながらマダインサーレが観光地として日本で知られるきっかけとはなりませんでした。ムハンマド皇太子による、安倍首相をサウジ観光大使としてのPRは失敗に終わった様です。
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霊廟の内部、王族の家族全員が祀られています。ペトラとの違いは、ミイラ化させるときに臓器を取り除かなかったそう。すごく臭いそうですが、今では臭いもありません。
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これは小さい霊廟で高さは10Mほど。位が高いほど大きな霊廟で、下の者には霊廟はなくこの岩の上部に祀られました。それは熱気球に乗って上空から見ることができるそうです。霊廟のデザインは、ペトラとも共通するギリシャやメソポタミアの影響が見られます。
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マダインサーレの霊廟は町を囲む様に位置しています。中央のかつて町があった場所には現在は何も残っていない様に見えますが、発掘作業のために立ち入り禁止です。
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奇岩の中にも霊廟が。2月は冬で最高気温は20度ほど、直射日光は強いものの酷暑ではありません。ツアーでは野外を多く歩きますが、辛いということはないです。
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Qasr Farid 一番大きくて立派な霊廟。岩全体が霊廟で遠くからも存在感があります。サウジの観光ガイドの表紙にも、ここの写真が多く使われています。
マダイン サーレハ(アル=ヒジュル古代遺跡) 史跡・遺跡
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ひととおりバスで周って鉄道駅近くへ帰ってきます。これはオスマントルコ時代に建てられた守備塔、今は土産物屋になっています。
ツアーは3時間ほどで終了。この日マダインサーレのを訪れた観光客は、2回の現地ツアーで10人ほど、他に日本人ツアーが20人ほどだそう。今なら世界遺産を貸し切り気分で廻れます。有名観光地にしては人が少ないですが、ガイドによれば修復工事を終えて観光ビザを解禁した今年の訪問者は大幅に増えたそうです。将来は観光客で溢れる日が来るかもしれません。 -
ツアー解散後近くにあるマダインサーレもうひとつの古代都市ダダン Dadan (Al Khraibah)遺跡へツアーではなく歩いて行ってみます。ダダンはヘグラより少し前に栄えていた町です。ここがその遺跡、かつて崖の下にはダダン人の町があった様ですが、建物は残ってなく今では瓦礫のみ残っています。町があったという雰囲気は感じます。
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崖にはいくつかの霊廟 Lions Tombが見られます。ここにはイスラム以前のダダン文明壁画が残っているそうですが、残念ながら日没でクローズされてしまい遠くから眺めただけです。
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翌朝2/10、この日はアルウラーの町を散策します。リアドやジェッダの都市は近代化が進んでいるので、田舎のアルウラーでしか見られない伝統的なサウジらしいものをきままに探してみます。
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地下水が豊富なのか、パームツリーのプランテーションが盛んです。水があることで、こんな砂漠の真ん中でも文明が栄えたのでしょう。
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町外れには名もなき遺跡が。イスラム以前の古代ダダン人の家のスタイルに似ていますが、本物かどうかは分かりません。ダダンにもかつてこの様な家が並んでいたそうです。
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アルウラーには観光客向けの施設はほぼありません。唯一と言って良いのが、このアルウラー博物館。正面入口は閉まっていますが、左の脇から入れます。小さな建物には町の歴史が紹介されています。この岩にはイスラム以前のダダン人の文字が刻まれています。
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土産物屋もありません。ここは現地人向けの服、壺、カーペットを売るスーク。地元民との会話は挨拶の「マルハバ」以上は進みませんが。
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サウジ伝統のレストランは、床に座って手で食べます。ケバブ、フライドチキン、カレーなど、ほとんどのレストランは今では多国籍化しており、伝統的なサウジスタイルのレストランは今では少数派です。サウジの田舎町で外国人が歩いていると良くも悪くも注目されると思っていましたが、思ったより皆無関心で特に何も起こらず。でも皆フレンドリーな感じです。
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午後になってエレファントロックへ向かいます。街中でタクシーは殆ど見かけませんが、午後になるとUberが拾いやすく移動は楽です。Uberで往復100リアル。普通のタクシーは見つからず、行き先を口頭で伝えるのは大変で、値段交渉はもっと大変です。ここではUberは必須です(朝は車が見つかりませんが)。この入口からは、どこがエレファントロックなのか全く分かりません。
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完全に擬態していますが、右側の岩の一部がエレファントロックのお尻です。左へ移動して正面から見ると確かにエレファントの形をしています。右下のテントから大きさを想像できると思います。
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次に向かったのが、アルウラーの町並みを一望できる展望台 King Abdulaziz Park。車は400mの高低差の急勾配の道を登ります。
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山の頂上には平野が広がっているテーブルマウンテンです。アルウラーの町は山に囲まれている様に見えますが、実は町は窪地の底にあります。
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King Abdulaziz Park展望台からはアルウラーの街並みが一望できます。サウジのグランドキャニオン、モニュメントバレーという感じです。この地形は雨による侵食で形成され、かつてこの辺りでは雨が降っていたことを示すそうです。
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特に日没の時間は幻想的です。サウジの砂漠にも皆を魅了する絶景があります。
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沢山の奇岩が。これは人差し指に登る二人の小人でしょうか。
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夕食もまた同じサウジのレストランへ向かいます。サウジ伝統料理と、ゴズレメ。これだけ食べてわずか30リアル、物価の高いアルウラーで唯一安く感じた場所です。
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2/11 この日は朝7時発のSAPTCOバスで南下してメディナへ向かいます(もしメディナに入れないなら、予備行程として北のタブック Tabuk経由でジェッダへ飛ぶつもりです)。パスポートを見せて、何の問題なくチケット入手します。早朝の気温は3度で冷え込みます。
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5時間のバスの旅、車中から見られる景色もなかなか見事で飽きません。サラサラの砂漠らしい光景から月の上の様な石だらけな場所まで、砂漠と言っても色々あります。山が多いので景色に変化もあります。
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ラクダの群れを発見。
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砂漠の中に突然現れる緑、サウジの砂漠でも川に水が流れています。
マダインサーレを訪れてみて、前評判どおりヨルダンのペトラを小さくした感じです。どちらもかつてのナバテア文化圏で共通点は多いです。もしペトラに行ったことがあるのであれば、次はマダインサーレと比較してみるのも面白いでしょう。また地形もダイナミックで、アメリカのモニュメントバレーの様な雰囲気です。マダインサーレとペトラどちらも行く価値はありますが、欠点はここまで非常に遠く費用も割高です。ペトラは世界的に有名観光地で人が多いですが、マダインサーレは世界で最も新しく開放された世界遺産を貸し切り気分で楽しめるのが魅力です。4ヶ月前までは特別ツアーのみ訪問を許可されましたが、今では観光ビザと個人旅行でも行くことができます。サウジ観光で貴重な経験ができました。
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2020 サウジアラビア観光ビザ解禁後の旅
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