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 鹿児島ってどこ?と地理の苦手な妻に聞かれる。九州の南端にある県だよ。何がおいしいの?と聞かれ,豚骨ラーメンとかだろうか,いや,私も初めてだから知らないんだよ,と答えた。初めての鹿児島出張。なにがそこにあるのか,私も知らない。観光に行くわけではないんだよ,とにかく仕事,仕事と,事前に何も調べることもなしに,飛行機に乗った。朝が早かったせいか,うつらうつらしている間に,鹿児島空港に着陸。滑走路は長いけど,小さな空港だ。市内への空港バスは,補助座席まで埋まるほどの満員。空港バスの座席ポケットに入っていた情報誌を眺める。黒豚に,鹿児島ラーメンに・・・,きびなご。きびなごか!傷みやすいニシン科の小魚で,新鮮でないと刺身は食べられないという,この地域限定のお魚だ。これは楽しみになってきた。40分から50分ほど乗ったのだろうか,鹿児島中央駅バスターミナルに降り立つ。地方都市の閑散とした街並みを想像していたので,賑わいのある市内の様子にびっくりした。路面電車にも人がいっぱい。人口は60万人いるんですと,現地の仕事仲間に言われ,なるほどと思う。<br /> 仕事を終えて,仕事仲間と打ち上げ。早めに切り上げて,きびなごの刺身を食べに行こうと思っていたが,薩摩揚げやらきびなごの天ぷらなど,ビールが進み,すっかり居座ってしまった。薩摩揚げは,甘ったるいけど,それがまた,なんだか九州っぽくていい。きびなごの天ぷらは,ちょいと塩をつけて,口に苦みが混ざり,ビールが進む。豚の角煮もほろほろで,ビールが進む。いや,鹿児島のご当地の酒のつまみ,こんなにおいしいとは知らなかった。<br /> 一泊だけの出張,しかも明日は早朝第一便に乗って帰ることになっている。他の仕事仲間は,すでに昨日から鹿児島入りしているので,鶏の刺身がうまかっただの,いや,牛もなかなかでしたよ,また焼酎がなかなかでね,なんて,旨い話しをしてくる。私が食べたのは,まだ序の口だと言わんばかりだ。なんだか,くやしい。朝が早いから,次のお店ってわけにもいかず,天文館にあるホテルに向かう。街一番の繁華街らしく,にぎやかだ。ホテルのスタッフに明日の早朝に乗る空港バスの停留所の場所を確認する。地図をもらうと,近場の鹿児島ラーメンのお店が載った地図も手渡される。鹿児島ラーメン,私のまったく知らない未体験ゾーンだ。そういえば,仕事仲間も昨日,昼に食べたと自慢していた。寝る時間が刻々と短くなるが,鹿児島ラーメンぐらい食べていかないと,出張を豊かには語れない。決心して,もう一度,ホテルを出る。<br /> 少々うろうろして,地元っぽさを存分に出している赤のれんの「のり一(いち)」を見つける。お店は,カウンターと小あがり,客でいっぱいだ。のれんをくぐると,お店のおかあさんが振り返り,まずは食券買って下さいと言う。事前の知識がない私は,食券販売機の前で戸惑う。お店のおかあさんが近づいてきて,簡単に説明してくれた。カウンターの一番端っこの席に通され,ラーメンを待つ。お店の人はやさしいし,丁寧だし,いい雰囲気のお店だ。<br /> カウンターには,ニンニクとコショウが置いてある。お店のおかあさんは,またまた親切に,まずは何も入れずに味わって,途中でニンニクとコショウを入れると,また味が変わって二度楽しめますよって,教えてくれた。淡い色のスープに豚バラのチャーシューがのっている。もやしがちらばり,青ネギが浮かぶ。黒いのがちらほら浮かぶ。焦がしネギだろうか。スープは,てっきり九州だと豚骨かなと思っていたら,鶏ガラのようだ。いや,鶏ガラだけでもなさそうだ。わからない。でも,難しい味じゃない。あっさりしている。麺がとても白い。塩味に合う中国で味わったことのあるような淡泊な麺だ。少し食べて,お店のおかあさんが教えてくれたように,ニンニクを二匙,コショウを少々入れる。なるほど,確かに,味が変わった。塩分控えめにしなくちゃいけない体なのに,スープを飲みたくなる。ごちそうさま,美味しかったですと,お店のおかあさんに頭を下げると,素敵な笑顔を返してくれた。その笑顔で良い気分になって,にぎやかな繁華街をのんびり歩いてホテルに戻った。<br /> 翌朝,朝4時半に起床した。外はまだ真っ暗。空港バスは天文館を6時5分に発車するのが,最初のバス(中央駅バスターミナルに行けば,もう少し早い時間のバスもあるようだけど)。これを逃すと飛行機に乗り遅れそうだ。それに,空港から市内までのバスが満席だったので,心配になって早めにバス停に向かった。繁華街は,まだ酔っ払った人たちの歓声が時折響く。心配には及ばず,バス停には,10人ほどの人しかバスを待っていなかった。中央ターミナルから乗車してくる客も多くなく,席に余裕がある状態でバスは空港に向かった。<br /> 昨晩,妻やこどもたちへのお土産も買う余裕がなかったし,搭乗までの時間もなく,空港売店であわてて目の前の「かるかん」なるものをつかみ,飛行機に乗り込んだ。この「かるかん」,ういろうや花見団子好きのこどもたちには大好評だった。「かるかん」をほおばるこどもたちの横で,鹿児島の短い出張の四方山話しを妻に聞かせた。桜島や薩摩藩の史跡など,一切触れることなしの出張だったし,きびなごの刺身は食べられなかったけど,鹿児島は,とてもおいしい街だった。<br />

かごしまうまし,滞在みじかし(鹿児島出張編)

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2019/12/21 - 2019/12/22

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Jake

Jakeさん

 鹿児島ってどこ?と地理の苦手な妻に聞かれる。九州の南端にある県だよ。何がおいしいの?と聞かれ,豚骨ラーメンとかだろうか,いや,私も初めてだから知らないんだよ,と答えた。初めての鹿児島出張。なにがそこにあるのか,私も知らない。観光に行くわけではないんだよ,とにかく仕事,仕事と,事前に何も調べることもなしに,飛行機に乗った。朝が早かったせいか,うつらうつらしている間に,鹿児島空港に着陸。滑走路は長いけど,小さな空港だ。市内への空港バスは,補助座席まで埋まるほどの満員。空港バスの座席ポケットに入っていた情報誌を眺める。黒豚に,鹿児島ラーメンに・・・,きびなご。きびなごか!傷みやすいニシン科の小魚で,新鮮でないと刺身は食べられないという,この地域限定のお魚だ。これは楽しみになってきた。40分から50分ほど乗ったのだろうか,鹿児島中央駅バスターミナルに降り立つ。地方都市の閑散とした街並みを想像していたので,賑わいのある市内の様子にびっくりした。路面電車にも人がいっぱい。人口は60万人いるんですと,現地の仕事仲間に言われ,なるほどと思う。
 仕事を終えて,仕事仲間と打ち上げ。早めに切り上げて,きびなごの刺身を食べに行こうと思っていたが,薩摩揚げやらきびなごの天ぷらなど,ビールが進み,すっかり居座ってしまった。薩摩揚げは,甘ったるいけど,それがまた,なんだか九州っぽくていい。きびなごの天ぷらは,ちょいと塩をつけて,口に苦みが混ざり,ビールが進む。豚の角煮もほろほろで,ビールが進む。いや,鹿児島のご当地の酒のつまみ,こんなにおいしいとは知らなかった。
 一泊だけの出張,しかも明日は早朝第一便に乗って帰ることになっている。他の仕事仲間は,すでに昨日から鹿児島入りしているので,鶏の刺身がうまかっただの,いや,牛もなかなかでしたよ,また焼酎がなかなかでね,なんて,旨い話しをしてくる。私が食べたのは,まだ序の口だと言わんばかりだ。なんだか,くやしい。朝が早いから,次のお店ってわけにもいかず,天文館にあるホテルに向かう。街一番の繁華街らしく,にぎやかだ。ホテルのスタッフに明日の早朝に乗る空港バスの停留所の場所を確認する。地図をもらうと,近場の鹿児島ラーメンのお店が載った地図も手渡される。鹿児島ラーメン,私のまったく知らない未体験ゾーンだ。そういえば,仕事仲間も昨日,昼に食べたと自慢していた。寝る時間が刻々と短くなるが,鹿児島ラーメンぐらい食べていかないと,出張を豊かには語れない。決心して,もう一度,ホテルを出る。
 少々うろうろして,地元っぽさを存分に出している赤のれんの「のり一(いち)」を見つける。お店は,カウンターと小あがり,客でいっぱいだ。のれんをくぐると,お店のおかあさんが振り返り,まずは食券買って下さいと言う。事前の知識がない私は,食券販売機の前で戸惑う。お店のおかあさんが近づいてきて,簡単に説明してくれた。カウンターの一番端っこの席に通され,ラーメンを待つ。お店の人はやさしいし,丁寧だし,いい雰囲気のお店だ。
 カウンターには,ニンニクとコショウが置いてある。お店のおかあさんは,またまた親切に,まずは何も入れずに味わって,途中でニンニクとコショウを入れると,また味が変わって二度楽しめますよって,教えてくれた。淡い色のスープに豚バラのチャーシューがのっている。もやしがちらばり,青ネギが浮かぶ。黒いのがちらほら浮かぶ。焦がしネギだろうか。スープは,てっきり九州だと豚骨かなと思っていたら,鶏ガラのようだ。いや,鶏ガラだけでもなさそうだ。わからない。でも,難しい味じゃない。あっさりしている。麺がとても白い。塩味に合う中国で味わったことのあるような淡泊な麺だ。少し食べて,お店のおかあさんが教えてくれたように,ニンニクを二匙,コショウを少々入れる。なるほど,確かに,味が変わった。塩分控えめにしなくちゃいけない体なのに,スープを飲みたくなる。ごちそうさま,美味しかったですと,お店のおかあさんに頭を下げると,素敵な笑顔を返してくれた。その笑顔で良い気分になって,にぎやかな繁華街をのんびり歩いてホテルに戻った。
 翌朝,朝4時半に起床した。外はまだ真っ暗。空港バスは天文館を6時5分に発車するのが,最初のバス(中央駅バスターミナルに行けば,もう少し早い時間のバスもあるようだけど)。これを逃すと飛行機に乗り遅れそうだ。それに,空港から市内までのバスが満席だったので,心配になって早めにバス停に向かった。繁華街は,まだ酔っ払った人たちの歓声が時折響く。心配には及ばず,バス停には,10人ほどの人しかバスを待っていなかった。中央ターミナルから乗車してくる客も多くなく,席に余裕がある状態でバスは空港に向かった。
 昨晩,妻やこどもたちへのお土産も買う余裕がなかったし,搭乗までの時間もなく,空港売店であわてて目の前の「かるかん」なるものをつかみ,飛行機に乗り込んだ。この「かるかん」,ういろうや花見団子好きのこどもたちには大好評だった。「かるかん」をほおばるこどもたちの横で,鹿児島の短い出張の四方山話しを妻に聞かせた。桜島や薩摩藩の史跡など,一切触れることなしの出張だったし,きびなごの刺身は食べられなかったけど,鹿児島は,とてもおいしい街だった。

旅行の満足度
4.5
ホテル
4.5
グルメ
5.0
交通
3.5
同行者
一人旅
交通手段
ANAグループ
旅行の手配内容
個別手配
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