2019/11/06 - 2019/11/08
1位(同エリア232件中)
SamShinobuさん
- SamShinobuさんTOP
- 旅行記95冊
- クチコミ1件
- Q&A回答1件
- 156,649アクセス
- フォロワー95人
初めての成都から、高速鉄道で重慶にやって来た。重慶を訪れるのは、今年6月に引き続いて2度目である。サイバーパンクシティ重慶の魅力は、何と言ってもその街自体の存在感だ。崖の上からにょきにょき生えた超高層ビル群やエッシャーのだまし絵のような坂のトリック。アッパータウンとダウンタウンの境界線を見失った時、果たして自分は何処に向かおうとしているのか、その自覚さえ無くしてしまう。前回は完全に街にのまれてしまったが、今度こそ魔都のラビリンスを克服しようと決意した。また、重慶の火鍋屋では当たり前に食べられていると言う「猪脳花」、いわゆる豚の脳ミソにチャレンジすることも、再訪のもう一つの目的だった。
そしてミッションコンプリートかと思ったその時、春秋航空日本の復路便欠航というハプニングが発生した。まさか最後の最後にこんな大掛かりなトラップが仕掛けられていたとは夢にも思わなかった。大昔、学校の先生がよく言っていた「家に帰るまでが遠足です」。そんな言葉が重慶で思い起こされるなんて。でも、そのお陰で、欠航に伴うスラップスティックコメディのようなドタバタも体験出来たし、滞在期間が増えて、もう一日あやかし重慶の街歩きを堪能することも出来た。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.0
- ホテル
- 5.0
- グルメ
- 4.5
- ショッピング
- 3.0
- 交通
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 鉄道 タクシー 徒歩
- 航空会社
- スプリングジャパン
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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11月6日(水)
成都から重慶に到着
地下鉄10号線の重慶北駅北広場駅を出て、中国で一番深い地下鉄の駅、紅土地で6号線に乗換える。 -
小什字駅に着き、6番出口を出ると懐かしい風景に会える。ここからホテルまでは歩いて5~6分。
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解放碑盛捷服務公寓(サマセットホテル)
前回知り合ったサマセットホテルのSales Executiveの王敏さんにウィチャットで予約をお願いしていたので、チェックインもスムーズだった。 -
カーテンを開けると、22階の部屋からは解放碑がよく見えた。
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勝手知ったるホテルなので旅の緊張もほぐれる。
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足楽堂
その解放碑まで歩いて、解放碑から1分の距離にあるマッサージ店に入る。1時間の全身マッサージで160元(2,880円)。個室に案内され無料のお茶を飲みながら待っていると、施術師のおばさんが入ってきた。この人、僕のマッサージ史上かなり上位に入るくらい上手だった。初めのほうは頭ばかりマッサージするので訊いてみると、僕は頭が相当疲れているらしい。確かに旅行中は頭をフル回転させているし、頭から首にかけて疲労が溜まっていた。その後全身を隈なく揉んでもらうと、それはもう至福の時だ。力はそんなに強くないので一瞬物足りない気がするが、終わってみると別人の身体のように軽くなっていた。
マッサージ後は、食事が無料でできるけど何か食べますかと聞かれた。マッサージ屋の食事に興味はあったが、この後ミッションのひとつである豚脳を食べに火鍋屋に行くので断念した。 -
黄家碼頭老火鍋(解放碑旗艦店)
かつて「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」(1984年公開)で、ディナーに猿の脳ミソが供されるシーンを見て衝撃を受けたが、重慶の火鍋屋では普通に豚の脳ミソが食べられていると知って興味を覚えた。猪脳花と言うらしい。
解放碑から間近にあり、中国の食べログ「大衆点評」で星5つの火鍋屋、黄家碼頭老火鍋が良さそうだ。「大衆点評」にはメニューも載っているので、豚の脳ミソがあることを確認すると、この店では「鮮脳花」というらしい。 -
入店時に現金が使えるか聞いて、念のため店員にも「鮮脳花」があるかどうか確認した。
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テーブルに案内されると、まず鍋を選べという。鴛鴦火鍋という辛いスープ半分、辛くないスープ半分のタイプを頼むと、それならば辛くない方はトマトスープがお勧めだと言うので、それにしてもらった。鍋底48元(860円)。
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羊肉はマストだが、それに鮮脳花10元(180円)、鴨血8元(140円)など恐怖の2品を注文。
他にビール、野菜、ワカメなどもお願いし、タレコーナーにつけダレを調合しに行く。 -
僕はゴマダレにパクチーを入れたものと、醤油にたっぷりのニンニクとねぎを入れた2種類のタレを用意する。重慶ではそうやってカスタマイズしたタレに、ごま油(缶入り)を入れるのが主流らしい。
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羊肉は文句なく旨い。
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猪脳花がキター!この生々しいビジュアルに緊張感が走る。店員が穴あきお玉に入れてくれたので、もちろん辛くないほうのスープに投入。よく煮てくださいとのこと。
白くなった豚脳を恐る恐る口に運ぶと、白子のようで上品なお味。ついにこの奇っ怪な食材を食べてしまった。 -
鴨血は、鴨の首をちょん切り逆さにして血を抜く。その血を固めたものだが、これも初挑戦。我ながらチャレンジャーだなあ。臭くはないが、これは正直美味しくなかった。一切れでギブアップ。
結局辛いほうの鍋は一回も使わなかった。 -
食後は解放碑周辺をぶらぶらしながらホテルに戻った。
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サマーセットホテルのBAR「美華」
6月に訪れた時、居酒屋かっ!と思わずツッコんでしまったが、ここの和食の実力は高い。今夜はカウンターに女性が2人おり、一人は日本語が出来る。二人とも僕のことを覚えており、再会を祝して乾杯。
この店はリーズナブルだし、雰囲気もいいのでお勧め。 -
11月7日(木)
朝食はホテルのビュッフェで。 -
朝から食べ過ぎ笑。重慶小面は微微辣にしてもらったが、それでもむせた。
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坂の街、重慶では相変わらず「棒棒」が頑張っている。荷物を運んでもらっている雇い主が棒棒と一緒に歩く姿もよく見かける。
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地下鉄で両路口駅へ。
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4番出口で外に出て階段で重慶駅まで降りるが、この途中の下町っぷりが半端ない。
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この生活感がいい。
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肉の吊るし売り。
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市場の入り口。
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野菜も多彩。
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手前のこれって脂肪?
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豚足。
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鶏をさばいてます。
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食用カエル。
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オープンエアな食堂。
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なんか美味しそう。
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ひょっこり顔を出してきた。
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路地裏にも露天市場が。
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階段のある下町風景。なんかいいなあ。
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この階段をずっと降りていく。
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階段の両脇には趣のある建物が。
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階段に沿って建っているので、降りるにつれて1階が3階になる。
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これから路上販売するのかな?
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かなり長い階段なので、登りはきつそう。そこでエスカレーターが併設されている。
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重慶駅。
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両路口皇冠大扶梯(エスカレーター)
両路口駅と重慶駅を結ぶ高さ52m、長さ112mの中国で1番長いエスカレーターは1996年から運営されており、2分30秒かけて人を運んでいる。 -
なんとここは有料エスカレーターで、利用するのに2元かかる。
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両路口駅にエスカレーターで戻る。市民が普通に使っているが、その異様な長さから地味な観光スポットにもなっており、時たま僕のように写真を撮っている人もいる。
このエスカレーターがカオスなのは、地下鉄の駅に行くのに地上から上がるということ。まさに重慶の地形ならでは。 -
ラッフルズシティ重慶
フルオープンは2020年だが、今年9月にショッピングモールが先行オープンした。 -
今年6月に来た時はまだ建設中で、道も封鎖されている所が多く、ダンプカーが粉塵を巻き上げながら資材を運んでいた。その時はたまたまホテルのバーで知り合ったシンガポール人が、その建設に携わっていたので、興味が湧いて訪れたんだった。6年もホテル暮らしだと言っていたが、まだ重慶にいるのかな。
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ラッフルズは広いので、中で迷いそう。
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ラッフルズの重慶茶園で中国茶を飲む。
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朝天門が見える窓側の席でのんびりと過ごした。
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ホテルのチェックアウト時には、Sales Executiveの王敏さんがわざわざ挨拶に来てくれた。
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それから地下鉄で空港へ。
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空港で腹ごしらえ。
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空港なのでどれも高い。
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辛くない番茄牛肉面38元(680円)と国賓ビール12元(220円)を注文。トマトと牛肉の麺、優しい味で美味しい。
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この時は、チェックインして後は帰るだけだと思っていた。
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【春秋航空日本IJ358便 欠航顛末記】
搭乗口に行くと、春秋航空日本IJ358便は遅延と表示されている。これは下手すると終電に間に合わず、今夜は成田泊りになるかもしれないと覚悟を決めた。 -
すると中国語のアナウンスが流れて、次に日本語で何か言っている。周囲がうるさくて聞き取れたのは、詳しいことが分かったらお知らせしますということだけだった。
しばらくして、再びアナウンスが中国語で流れた。その途端、中国人の乗客たちが騒然とする。皆一様に動揺しており、ある者は呆然としている。彼らのそんな表情から、最悪の場合は欠航の可能性もあるなと思った。今回は日本語のアナウンスはなかったので、何が起こっているのか全くわからない。
カウンターに聞きに行こうと思ったが、中国人の乗客達がわっと詰め寄っていて、グランドスタッフも対応に追われて混乱状態になっている。とてもその中に入れそうもなかったので、とりあえず日本語のアナウンスを待つことにする。しかしいくら待っても結局その後、日本語のアナウンスは無かった。
カウンターに押し寄せていた乗客たちが少し落ち着いたので、スタッフに状況を尋ねてみたが、日本語どころか英語も覚束なくて結局何も判らなかった。すると突然、別のスタッフが、中国語で向こうに行って下さいと言う。そちらには十数人の乗客が係の人に誘導されてどこかに行こうとしていたので、慌てて追いかけた。 -
空港内を訳もわからず連れ回され、もう自分がどこにいるのかもわからない。
ある小さなカウンターの前で止まり、そこで待つように言われたので、カウンターにいたスタッフに、一体何が起こっているのか英語で説明を求めた。英語が話せるそのスタッフによると、思った通りIJ358は欠航になり、明日の0時以降何時に飛ぶかまだわからないので、ホテルで待機してもらうとのことだった。
その時、乗客たちの中に一人の日本人男性がいることに気付き、話しかけてみた。彼は全く中国語が出来ないけれど、スタッフがスマホの翻訳アプリを使って、欠航になったことを教えてくれたそうだ。
僕らが日本語で、困りましたねと話していると、一人の重慶人のお兄ちゃんが、流暢な日本語で話しかけてくれた。彼の話によると、ここにいるのは個人客で、団体ツアー旅行の乗客たちは別に集められているらしい。欠航の原因は飛行機の故障だという。
状況さえ判れば、後はなるようにしかならないのだから、ジタバタしても始まらない。会社に電話して明日は仕事に行けないことだけ伝え終えると、ようやくこの事態を楽しむ余裕が出てきた。 -
それからバスに乗せられて待っていると、後からどんどん乗ってきて、40名くらいだろうか、車内はほぼいっぱいになる。
ようやく出発かと思いきや、突然バスがエンストして、それからエンジンがかからない。おいおい、バスもかよと内心苦笑すると、それには怒っていた他の乗客たちも思わず笑ってしまっている。 -
ようやく走り出したバスは、空港の近くのホテルに行くのかと思いきや、なんと田舎道を30分も走っている。Google mapで現在位置を確認すると、重慶両江魚復工業開発区にある「両江瑞爾大酒店」というホテルに着いた。
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ホテルは結構立派だが、何しろ工業地帯なので回りには何もない。
ホテルのロビーで、我々を引率してきた春秋航空のスタッフの女性が、何やら説明をしているが、中国語なのでほとんど何を言っているのか分からない。
すると皆さんホテルのレセプションでルームキーを受け取り始めた。客の中に揉めている人達がいるので何事かと思いきや、先ほどの日本語が出来る重慶人のお兄ちゃんが、説明してくれた。なんと一部屋を二人で使わせるようで、一人客は他の一人客とツインルームに入るように言われたそうだ。赤の他人と同じ部屋なんて冗談じゃないと思ったが、お兄ちゃんいわく、どうしようもないらしい。僕を心配してくれている彼は、どうせ誰かと組まされることになるのであれば、日本人同士がいいんじゃないですかと言う。ごもっとも。横にいたあの日本人男性も同意してくれたので、諦めて同じ部屋に入室することになった。
ルームキーを貰いにカウンターへ行くと、1枚しか渡されなかったので、2枚くれと言って用意してもらう。春秋航空のスタッフの女性に、英語でこの後僕らはどうなるのか尋ねると、判り次第部屋に電話するので、部屋で待機していて欲しいと言われる。この時点で17時。 -
部屋に入り、あらためてルームメイトとお互い自己紹介する。彼は仕事で重慶に来ていたM氏。歳は僕より少し上に見える。お好きなほうのベッドをどうぞとか、アメニティのカミソリが一つしかないので貰ってきますとか、いろいろ気を遣ってくれる、感じのいい人だ。ひげそりは持っているので大丈夫ですと言うと、彼はベッドの上でスマホをいじり出した。
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念のため春秋航空日本のホームページを見てみると、欠航になったIJ358の変更後時刻表がすでに出ているではないか。
それによると、明日の17時50分発、成田23時00分着となっている。ということは、明日の15時くらいまではこのホテルに缶詰になるということだ。さすがにそれは我慢できない。 -
1時間くらい経って、ようやく電話が鳴り、18時30分から3階で夕食だと言う。
一旦1階ロビーに下りると、先ほどの春秋航空のスタッフの女性がいた。ちょうど重慶人のお兄ちゃんもいたので、彼に通訳をお願いし、
「僕は他人と同室の宿泊は耐えられないし、明日の午後までこのホテルにいるのも辛いので、別行動したい。明日、自力で空港に行くのでホテルを移っても構わないか」
と訊いてもらった。その女性スタッフは少し困ったような顔をしたが、ホテル代や交通費は自腹になることを了承すると、なんとかオッケーしてくれた。
ただ何かあった時のために電話番号を教えてくださいというので、それならばとウィチャットを交換した。
そして、すぐにサマセットホテルの王敏さんにウィチャットで連絡し、訳を話して今夜の部屋を用意してもらう。こんな時本当にウィチャットは便利だ。 -
せっかくなので食事してから行こうと思い、3階の大宴会場に入った。
M氏と、重慶人のお兄ちゃんC氏と、その奥さんの4人でテーブルに着く。
食後にタクシーで解放碑のホテルに移るとM氏に伝えると、彼は部屋をひとりで使える嬉しさと、心細さの入り混じった複雑な表情に見えた。 -
30分近く待たされて、ようやく食事が運ばれてきた。大広間の正面に配膳台が置かれ、給食スタイルでワンプレートに自分でご飯とおかずをよそう。
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辛くない麻婆豆腐とザーサイと豚肉の炒め物、青菜炒めの3種類のおかずだった。それにスープとジュースというかなり安い食事だったが、これがまさに中国の家庭料理のようで意外と美味しかった。
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M氏と重慶人のC氏夫妻
C氏は僕がひとり旅だというと、驚いていた。重慶料理はどうですかと訊かれたので、辛すぎて無理と言うと、昔は今ほど辛くなかったそうだ。それが辛い料理が重慶の名物と言われるようになって、どんどんエスカレートして辛くなっていったと言う。
また、彼の話では、この中の多くの中国人が日本への旅行客で、予定が大幅に狂ってしまって、途方に暮れているそうだ。
例えば箱根の旅館をキャンセルしたり、楽しみにしていた東京ディズニーランドを諦めたり、そのため一様に皆の表情は暗く、こんなに中国人が集まっているのに異様なほど静かだった。小さい子供達だけがカーペットの上ではしゃぎ回っていて、余計に哀愁を誘っている(笑)。
IJ358はほぼ満席だったと思われるので、座席数の189人がそれぞれの事情で、この事態に当惑しているのだろう。他の団体客の皆さんはどこでどうしているんだろうか。 -
夕食を済ませ、荷物をまとめてロビーに下りる。フロントでタクシーを呼んでもらうと、解放碑まで40分くらいでしょうとのこと。エントランスを出ると待つ間もなく、そのタクシーはやって来た。
車が走り出して間もなくすると、ひとりでに笑いが込み上げてきた。ああ、面白かった。いい経験をさせてもらった。さすが春秋航空日本は、期待を裏切らない。毎回本当に楽しませてくれる。
重慶人のC氏は、もう二度と春秋航空には乗らないと憤っていたが、欠航に関していえば大手キャリアだって当然有りうるし、欠航率が多少高いのは格安のLCCを選んだ時点で織り込み済みだ。言ってみれば運が悪かっただけの話で、世界一安全で時間に正確な日本の鉄道だって、止まるときは止まるのである。
ただし宿泊ホテルを用意したまでは良かったが、2名一室というのはいただけなかった。他人と同室なんて有り得ない。無駄に高級ホテルだったが、ホテルランクを落としても、一人一部屋を用意すべきだった。
それでも一人で孤軍奮闘していた春秋航空の女性スタッフJYさんは、実によくやっていたと思う。怒ったりごねたり質問責めする乗客たちの矢面に立って、真摯に対応していた。僕が一人で別のホテルに移ると言ったときも、とても心配してくれて、翌日もウィチャットで「記得早一点去机場」(早めに空港に行くことを忘れないで下さい)」と連絡をくれた。
タクシーは解放碑まで70元(1,260円)だった。 -
サマセットホテルが、お帰りなさいと言っている。王敏さんは、帰国出来なかった僕を気遣ってか、昨夜と同じ部屋を用意してくれた。まさか、またこの部屋に戻ってくるとは。
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昨日行った解放碑のマッサージ店「足楽堂」を再訪した。また来るとは思っていなかったので、あのゴッドハンドのマッサージ師の名前を聞いていなかった。今日の人も悪くはなかったが、昨日の人に比べるとどうしても差があった。
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それからホテルのBARに行くと、日本に帰ったはずの僕が来たので、びっくりしていた。昨夜はお休みだったママもいて、ほかに客がいなかったこともあり、遅くまで飲んでかなり酔っ払った。
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11月8日(金)
ホテルで朝食を取った後、展望台があるWFC(重慶環球金融中心)に行ってみた。ホテルからすぐだ。73階の観景台まで80元(1,440円)。 -
チケットカウンター。
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70階でエレベーターを乗り継いで、73階まで。カフェがあったので、20元(360円)のコーヒーを飲みながら、絶景を楽しむ。しばらくまったりしていた。
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ラッフルズも見える。
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重慶の面白い地形も上から見るとよく分かる。
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ホテルをチェックアウトし、地下鉄「小什字」駅から一駅乗って長江を渡ると、「上新街」駅。ここに、龍門浩老街というおしゃれなリノベタウンが広がっている。
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「市街 SEEWIDE」という店に向かう。
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前回この店を訪れた時、現金が使えなくて大変だった。女性店員が代わりにウィチャットで支払うと言ってくれたので、彼女に現金を渡したが、今度はお釣りがなかった。それはチップとして君にあげると言うと、ではウィチャットを交換してくださいと言われた。ナンパですか?と思ったが、彼女はウィチャットでお釣りを返そうとしたようだ。でも、そもそもウィチャットで支払えないんだから、受け取ることもできないよね。そんなやり取りが面白かったことを思いし、今日は昼食を食べようと再訪してみた。
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例の彼女は僕をよく覚えていて、「現金可以マ?」(現金でも大丈夫ですか)と冗談めかして聞くと、ニヤッとして、なんと大丈夫になったという。美味しいランチにワインを飲んで、いい気分で空港に向かった。
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重慶江北国際空港第3ターミナル
空港に着くと、欠航受難組の中国人達が僕を見つけて、こっちこっちと手を振っている。苦難を共にした仲間的な妙な連帯感が生まれている。重慶人のC氏もおり、ホテルにいても仕方がないので、早い時間に空港に来た人も多かったそうだ。そりゃそうでしょ。何をしていたのか訊かれたので、一応報告をすると、色々な所に行きましたねと感心された。 -
早めにチェックインし、昨日乗るはずだったH01登場口に来ると、やはり欠航受難組のひとりに、「お帰りなさい」と中国語で笑って言われる。連帯感半端ない。僕らに用意されたのは臨時便なので、便名もIJ358ではなく、IJ358Dだった。IJ358は予定通り15時25分に出発したようで、H01登場口には、次のIJ358Dの乗客がちらほら集まっている。出発予定時刻は17時50分だが、予定が変わって少しでも早く飛ぶ可能性にかけて、皆さん早めに来ているようである。
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搭乗が始まり、レッグシートの3Cに座ると、また隣り2席は空席だった。出発は予定より10分早い17時40分だった。
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これで本当に帰国かと思うと、少し寂しい。
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機内販売が始まったので、定番のすき焼き弁当を頼むと売り切れだと言う。いや、はなから置いてないよね。もしかしたら、この便は昨日飛ぶはずだった機体なのかも知れないと思ってCAに訊いてみると、やはりそうだった。それも往路で乗ったJA03GRである。なんだ、君だったのか。シートも同じ3Cなので、さすがに愛着が湧いてきたぞ。
CAの皆さんも昨日僕らと一緒に帰国するはずが、重慶泊になったと言っていた。立場こそ違え、彼女達も帰れなかった欠航受難組じゃないか。
すき焼き弁当は諦めて、カップヌードルシーフードとカレーパン、アサヒスーパードライを貰う。(真ん中のお菓子は重慶人のC氏がくれたもの) -
機長アナウンスがあり、「整備作業の影響により日をまたいでの運航になってしまい、乗務員一同心より深くお詫び申し上げます」とのこと。
また、CAからも何度か「申し訳ありませんでした」と言われたが、あなたたちのせいじゃないから。
飛行機は19時30分に上海上空を通過した。 -
機内で0時15分の成田空港発東京駅行きの深夜バスの案内が配布された。これだと今夜中に家には帰れない。この便は23時00分到着予定なので、入国と空港第2ビル駅までの距離を考えると、やはり0時近くになってしまうのかなと漠然と考える。
「どう考えても(終電の)23時23分の京成スカイライナーには乗れないよね」とCAに聞いてみた。するとそのCAから意表を突いた力強い答えが返ってきた。
「間に合うように、私たちも頑張ります!」 -
いやいや、あなたが頑張っても・・・なんて無粋なことは、もはや言えない。だって、こんな時は「そうですね。難しいでしょうね」と言うのが無難だろう。それをあんな屈託もない笑顔で、頑張ります!と言われたら思わず楽しくなってしまった。そして、そんな彼女の心意気ととびっきりの笑顔が、JA03GRに本気を出させたようだ。なんと予定よりかなり早く成田に到着し、僕は終電の京成スカイライナーに間に合ってしまったのだ。
これだから春秋航空日本のCAは侮れない。
(写真掲載の承諾済み) -
エピローグ
今やスマホがあれば何でも出来る。Google mapか百度地図があれば道に迷うことはないし、中国の食べログ的な大衆点評があれば、初めての店探しも困らない。Google翻訳は会話しながらの翻訳機能もあり、翻訳の精度からいうと百度翻訳はかなりのクオリティを持っている。高速鉄道のチケット予約も日本から出来たし、あとは旅行者がスマホ決済さえ出来るようになれば無敵なんだが。でもきっとこれも時間の問題じゃないかな。スマホによって本当に便利な世の中になった。
僕にとって中国旅行とは不便を楽しむものだった。思いもよらないトラブルが次から次へと襲ってくるような、そんな緊張感がたまらなかった。ところが近頃は意外と快適だったりして、拍子抜けすることもある。
それでも油断ならないのが中国で、今回は帰りの便が欠航になるという最大級のハプニングを用意していてくれた。こんな経験なかなか出来ないのでいい思い出になった。欠航を決断し整備作業をきちんとしてくれたお陰で、飛行機が堕ちないで済んだと思えば、感謝してもいいくらいだ。
いつも通り機内のCAによるサービスは素晴らしかった。彼女たちの機知に富んだ切り返しと暖かい気遣いに、とても愉快な気分にさせてもらった。是非またいつか、この心地良い空間に搭乗したいと思う。
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この旅行記へのコメント (9)
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- ふらんきんせんすさん 2021/12/26 20:25:35
- 中国でのハプニング
- 楽しく旅行記を拝見させていただきました
私は、中国へは一度しか行った事ないのですが、私もハプニング満載でした
主人は、チベット鉄道に乗りに行ったのに、鉄道には乗れませんでした
でも、後になって思い出すのは、ハプニングの楽しかった事です
ありがとうございました
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- ngtii220さん 2020/08/31 17:02:59
- いいね!ありがとうございました。
- SamShinobu様
初めましngtii220と申します、
いいね!ありがとうございました。
再び重慶の旅行記楽しく拝見させて頂きました、やはりLCCは色々制約が有りますよね
私は国内線でしたらLCCでも利用したことが有りますが、国際線ではそう思いません。
でも、中国人も普通にお話出来るいるんですね(中国共産党は別かも)とても良いお話
聞かれて頂きありがとうございました、無事に帰国出来何よりでした。
- SamShinobuさん からの返信 2020/09/01 19:52:51
- RE: いいね!ありがとうございました。
- ngtii220さん、コメントありがとうございます。
いつもご夫婦で仲睦ましくていいですね。
ヒルトンワイコロアビレッジ、いいですよね。私も数十年前に泊まりました。
と言っても、当時はヒルトンではなく、ハイアットリージェンシーワイコロアでしたが。ホテル内をトラムやボートで移動するスケールの大きさにはびっくりしました。
また、面白い旅行記を楽しみにしています。
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- Daisyさん 2020/08/09 19:57:15
- 復路便の欠航をプラス思考で!
- SamShinobuさん、こんばんは。
成都から重慶までの旅、拝見させていただきました。
ちょうど今日、上海の旅行記をアップしたばかりでしたので、火鍋店・高速鉄道など、興味深かったです。
上海の火鍋店は重慶と名のつく店だったので「猪脳花」もあったのかもしれませんが、もしあっても私にはちょっと勇気がないなと思いました。挑戦なさって凄いです!
高速鉄道は結局乗っていませんが事前にTrip.comで購入できるのですね。
次回は利用してみようと思います。
そして復路便の欠航。事態をプラス思考で置き換え追加の1日を有効に過ごされたご様子を拝見しながら、私もロンドンとソウルで復路便が欠航した事を思い出していました。
25年前ですがロンドンからパリ経由で東京帰国の予定がパリ行が欠航になり、その後に乗るパリ発の航空会社への連絡など、周囲の力を借りながら交渉し1日ずれて帰国しました。ソウルは搭乗後に全然出発せず結局欠航。ジャンボジェットだったので500人近くが何台ものバスで誘導されてロッテホテルで1泊し翌朝に同じ飛行機で帰国しました。便名はSamShinobuさんの便と同様に後ろにD(Delay)がついていました。
こういうハプニングは鮮明に思い出すものですね。
当時は大変でも今となれば貴重な体験になっていると思います!
今回アップした上海の失敗は、そんなことで?とお恥ずかしいですが、お読みいただけましたら幸いです。
香港旅行記へのご返信ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。
Daisy
- SamShinobuさん からの返信 2020/08/17 06:55:25
- Re: 復路便の欠航をプラス思考で!
- Daisyさん
コメントありがとうございます!
さすが世界中を飛びまわっているDaisyさん、欠航トラブルのご経験も豊富ですね笑。確かに何もかも予定通りスムーズにいった旅よりも、多少予期せぬ出来事があったほうが記憶に残っているものです。
さてDaisyさんの上海旅行記を拝見させていただきました。蘇州は残念でしたね。最近の中国では高速鉄道のみならず、中長距離バスもパスポートが必要なケースが増えてきて、ますます監視社会に拍車がかかっているようです。
Daisyさんの上海の旅はゴージャスで見ているだけで楽しくなります。僕も次は過去に行った上海でもアップしてみようかと思っています。
-
- かれんさん 2020/07/21 08:54:05
- SamShinobuさん 予期せぬ欠航 大変でしたね!
- 私も 海外への渡航は10回ほどになりますが、欠航した経験はありません。欠航しても、SamShinobuさんの臨機応変な対応は まるで「神」のようですね。旅好きはやはりおおらかに、たとえトラブルに見舞われても、その経験は貴重なものだと思わないといけないですね。私も見習います。投票 ありがとうございました。
- SamShinobuさん からの返信 2020/07/21 10:29:23
- Re: SamShinobuさん 予期せぬ欠航 大変でしたね!
- かれんさん、コメント有難うございます!
かれんさんのイギリスのしくじり旅行記とっても面白く拝見しました。笑っては失礼と思いつつ、次から次へと襲いかかるトラブルにめげずに立ち向かうかれんさんが頼もしい。
旅は人生と一緒で、何も起こらないより波乱万丈のほうが、歳をとってから振り返った時に楽しいと思います。それに命さえあれば大概のトラブルは時間が笑い話に変えてくれますよね。
今はコロナで外遊はままならない状況ですが、いつかまたトラブルにハラハラするような愉快な旅をお楽しみ下さい。
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- yayoさん 2019/11/22 17:01:31
- こんにちは!
- samshinobuさんこんにちは!成都旅行記楽しみにしておりました。てっきり直行便で行かれるのかとばかり思っていましたが、重慶からの高鉄で成都入りだったんですね。ちょうど私も来年あたりで高鉄デビューしようかと思っていたところなので参考になりました。やはりチケットの購入は、trip.comが良さそうですね。調べてみると、日本の新幹線とは違い、飛行機に乗るのと似てるということなのでなんだか不安ではありますが、時間に余裕を持っていけば大丈夫そうですかね。
それから現金が使えないところがあるなんて気をつけないとですね。うっかりお店に入ってしまいそうです。事前に現金を使えるのかお店の人に確認した方がよさそうですね。早く外国人旅行者もスマホ決済が出来るシステムになるといいのですが。。
それにしても最後の最後で欠航で延泊とは・・・!!大変でしたね。私の中で絶対に起きてほしくないハプニング?の一つです。。毎回それだけは絶対に起きてほしくないと願っていますが。。samshinobuさんは今まで中国出張でたくさん飛行機に乗られてたと思うのですが、そういうことは今回が初めてでしたか?
実は、先月の10月の3連休で北京に行く予定が、台風のため飛行機が欠航になってしまい旅行をキャンセルせざるを得なかったという出来事がありました。運が悪いといえばそれまでですが、それで飛行機に乗って飛行機が墜落して命を落とす・・・ことを避けられただけでも良かったのかもしれませんね。
気を取り直して、お正月に名古屋からですが春秋航空で中国の寧波ということろに行くことになりました!今から緊張しつつも楽しみです!samshinobuさんの次の予定はどちらでしょうか?また旅行記も楽しみにしてますね。
- SamShinobuさん からの返信 2019/11/22 19:03:01
- Re: こんにちは!
- yayoさん
メール有難うございます!
成都行って来ました。もう一日あったらパンダ基地も行きたかったのですが、今回は断念しました。今までさほどパンダに興味はなかったのですが、yayoさんの投稿を見ていたら、なんかみんな家族だったり親戚だったりして、そんな世界中に広がっているパンダファミリーの系譜が面白く思いました。
高鉄は時期にもよると思いますが日本で予約した方が確実でしょう。平日でも僕が乗った時はほとんど満席でした。ただ飛行機で着いた日に乗るとなると、時間が読めなくて悩みますよね。
それからキャッシュレス化は日本よりはるかに進んでいて、現金が使えないのは不便でした。
「现金可以吗?」が口ぐせになってました笑。
北京は本当に残念でしたね。中止というのは一番悔しいですよね。僕は弁当が出るくらいの遅延は何度か経験してますが、欠航になったのは今回が初めてでした。LCCは代替機が基本的にないので、こういう事態になると飛ぶまで時間がかかります。当初、翌日も飛ぶかどうかわからないと言われた時はさすがに焦りました。
お正月に寧波ですか。いいですね!僕もまだ行ったことがないので、いつか春秋航空で行こうと画策しております。一足先に行って見てきて下さい。yayoさんの旅行記を楽しみにしています。
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重慶(中国) の旅行記
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