2019/03/06 - 2019/03/10
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タヌキを連れた布袋(ほてい)さん
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「マラッカ海峡は,『モンスーンが始まり終るところだ』といわれる。確かに,半島が東西に二分するインド洋と南シナ海で季節風は,春と秋に規則正しく入れ替った。
インド洋では4月になると,南西のモンスーンが吹き始め,5月には海峡を越え南シナ海からインドシナに達する。10月には逆に東北風が南シナ海から下って来る。この東北モンスーンのもっとも厳しい12月から翌年の2月にかけては,マラヤ半島東岸の航路が実質的に閉鎖状態になる。
インドからマラッカ海峡に達して往復するのに2年かかった。19世紀半ばに汽船が導入されるまで,東からも西からも,ここを一気に通過できなかった。
誰かが,海峡内の港で風待ちをする。こうしてマラッカ海峡という十字路に古くから発達したのは乗換え駅のような港だったのである。」
「海峡内の港は,必ずといっていいほど河口にある。海峡の両側の海岸は,大部分が湿地帯でマングローブがびっしり生えている。だから人の住める所は,湿地を越えた内陸部にしかないし,船は河口からこの内陸に入った。こうして河口に港町ができた。河口港は海外市場とのつながりであると同時に,内陸部の物産の集まって来る場所だった。
マラッカ海峡内に昔から成立した社会は,河口を中心とする河川型社会だった。上流の合流点ごとに村と関所ができ,この村の村長が,河を上下する物産の交易税を徴収した。この合流点と河口をクアラという。マレーシアの首都クアラルンプールにもその名が残っている。一国は原則として,一河川のクアラ集合として成り立っていた。
内陸クアラの村長全体を河口クアラの村長が束ねた。どうして河口クアラの方が強かったというと,中部スマトラのミナンカバウを除いて内陸には,農業が発達しなかったからだ。海峡を通過する中継貿易の税収の方が大きく,河口支配者の威勢の方が内陸クアラの村長より強かったのである。
内陸のジャングルでは,川沿いに住む僅かな住民が,森林の産物(籐,樹脂,獣の皮,象牙など)を集め,それを河口に運んだ。焼畑も行われたが,水田と較べて,生産性ははるかに低い。
河口支配者は,海外市場とのかかわりが強く,洋化した人物だった。彼の勢力の基盤は,内陸住民の生産よりも,倉庫で船を待っている船荷に一定の割合で掛ける税金である。支配者は交易税で暮し,住民は極端にいうと,拾ってきて食べる状態にある。支配者は民衆の生産に依存しているのでないから,彼らの暮しざまについてきわめて無関心だ。そして農業が未発達だから,大地の生産性に頼る,したがって土地に価値がある,という考えが希薄だった。このことは,のちのちまでマラッカ海峡社会の発展に深く影響する。」
鶴見良行「マラッカ海峡 文明の十字路」(『鶴見良行著作集5 マラッカ』(みすず書房)収録)より
ブキティンギからマラッカへ 海峡と国境を横断する旅~その1:ブキティンギからプカンバルへ
https://4travel.jp/travelogue/11558641
ブキティンギからマラッカへ 海峡と国境を横断する旅~その2:プカンバルからドゥマイへ
https://4travel.jp/travelogue/11559059
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
- ホテル
- 3.5
- グルメ
- 3.0
- ショッピング
- 2.5
- 交通
- 2.0
- 同行者
- その他
- 一人あたり費用
- 10万円 - 15万円
- 交通手段
- 高速・路線バス 船 タクシー 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
翌朝,7時に船会社のオフィスへ行く。
首尾よく切符を入手することができた(330kIDR)。港湾施設使用料の50kIDRを残してインドネシア・ルピアを使いきり,不足分はマレーシア・リンギットで支払う。
なお,クレジットカードでの支払いも可能。 -
ドゥマイは港町であるせいか,結構ガラが悪い。
昨夜,インドマレット(インドネシアのコンビニチェーン)へ行った際も,胡散臭いベチャの男たちがいかがわしい声をかけてきたりした。
他のインドネシアの街より用心したほうがよさそうな雰囲気だ。 -
切符を買ってからいったんホテルの部屋に戻り,8時前にチェックアウトしてオフィスの前で待つ。
そのうち,船会社のマイクロバスがエンジンをかけ,埠頭まで送ってくれる(無料)。 -
ものの5分で立派なターミナルに到着した。
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きれいなカウンターで乗船手続。ここで港湾施設使用料を支払う。
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領収証はしっかりステープル。
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この改札口?を抜けるとイミグレ。
イミグレはパスポートを提出するだけ。係官はとてもにこやかで,すぐに通ることができた。 -
桟橋の風景。船は甲板に出られないタイプの高速艇だ。
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イミグレを抜けたあとは,船へ向かって進んでいくしかない。
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オンボロ船でなくて一安心。航空事故と海難事故は逃げられない。
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船に乗り込む。大きな荷物は乗船口で預かりになる。
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乗船率はいい。
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目を惹いたのは,怪我の治療のために海峡を渡る人の多さだった。
家族などが付き添い,マラッカの病院へ行くのだろう。海峡の彼我で,医療水準にかなりの差があるということか。 -
定刻の数分前に出航。
船内に売店のようなものはないが,サラク(フルーツの一種)を売り歩いている男はいた。もしかしたら船室の隅のほうでインスタントコーヒーくらい売っていたかもしれない。 -
座った場所が悪かったのか,船窓からドゥマイの大石油タンク群を見ることはできなかった。
海面は,出航して一時間ほどは泥の色をしている。 -
泥色が消えるころ,マラッカからドゥマイへ対向する僚船と行き交う。
船の窓が汚れていて,写真はボケたようにしか映らない。 -
海峡には,堂々たる巨大貨物船が往来している。
こちらの船は,その間をすり抜ける木の葉みたいなものだ。 -
出航して一時間半,マラッカ港到着予定の半時間ほど前になると,海の向こうに蜃気楼のようにマラッカの街が見えてきた。
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マレーシアの政権交代により,一時はマラッカ・ゲートウェイ(馬六甲皇京港)の工事が中断されたという報道もあったが,実際にはマラッカの湾岸部の開発はものすごい勢いで進んでいる。
写真↑の左奥に見えている建物(冷奴のような白いの)はアンコール・ムラカ・シアター。最近オープンした東南アジア最大規模の劇場である。
今後,ここでの観劇がツアーのコースに組み込まれていくことだろう。 -
やがて,船はマラッカの波止場に到着した。
勝手知ったるマラッカの街だが,船で着くのは初めてだ。
着いた波止場は,マラッカ川河口の西岸にあった(Googleマップでは東岸にあることになっている)。
オランダ広場やジョンカー・ストリートへは目と鼻の先の距離だ。 -
上陸許可の手続に時間がかかっているのか,波止場に着いてから20分以上も下船することができなかった。
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やっと下船。
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イミグレを抜けた先は,広い吹抜けの待合室になっていた。
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ドゥマイ行きの切符売場・乗船手続カウンターはこんな様子。
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ターミナルの前には,一台だけ客待ちをしているタクシーがいた。
今日の宿は波止場からそう離れていないところにあるので,歩いていくことにしよう。 -
☆今回はブキッティンギ→プカンバルをタクシーで移動して,道中でムアラ・タクス寺院群などを見て回ったが,あまり賢いやり方ではなかった。ブキッティンギ→プカンバルはさっさとバスで移動してしまい,プカンバルを起点にレンタカー(運転手つき)でムアラ・タクス寺院群など郊外へ出かけるほうがよいと思う。
☆プカンバルは大都市。市内交通は整備されているし,次回は時間をとってゆっくり見て回りたい街だ。
☆プカンバル~ドゥマイの移動は難儀した。さすがスマトラ島,一筋縄ではいかない。
☆ドゥマイ港の情報は少ないが,ポートディクソン,マラッカ,リアウ諸島(ビンタン島・バタム島など)との間に航路があり,利用価値は高いと思う。ドゥマイの街自体は大きくない。
☆かつてはプカンバル港(シアク川の河港)まで客船が遡上しており,ごく最近までプカンバル港⇔バタム島を直接結ぶボートが運航されていたような形跡もあるのだが,現在は確認できない。旅行代理店でバタム島行きのチケットを売っていても,それはバス+ボートのジョイントチケットになるようだ。
ブキティンギからマラッカへ 海峡と国境を横断する旅~その1:ブキティンギからプカンバルへ
https://4travel.jp/travelogue/11558641
ブキティンギからマラッカへ 海峡と国境を横断する旅~その2:プカンバルからドゥマイへ
https://4travel.jp/travelogue/11559059
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