2019/03/17 - 2019/03/20
150位(同エリア49307件中)
SamShinobuさん
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大学生の息子と妻と久しぶりに家族旅行。たっぷりと癒されました。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
- ホテル
- 5.0
- グルメ
- 4.5
- ショッピング
- 3.0
- 交通
- 3.5
- 同行者
- 家族旅行
- 交通手段
- 鉄道 タクシー
- 航空会社
- エバー航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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ポルトガル人が初めて台湾に上陸した際に、緑あふれる風光明媚な土地を見て、思わず「フォルモサ(麗しの島)!」と叫んだとか。1895年の日清戦争の勝利により台湾は日本領となり、それから終戦までの50年間まさしく日本だったその島は、中華圏にも拘わらず、どこか懐かしい佇まいをしていて安らぎすら感じさせる。中国とは文化、習慣、言語をほぼ同じくさせているが、まるで対極にあるかのような肩の力が抜けた緩さがある。2005年にアテンドで2度訪台したが、平穏な時間が流れる台湾は今一つ物足りなさを感じていた。しかし今回は家族旅行ということで、無用な緊張感は必要あるまい。中国では感じることの出来ないヒーリングを求めて、麗しの島、台湾の首都・台北をぷらぷらしてみようと思う。
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エバー航空
その料金の安さと聞き慣れない社名から、初めはLCCかと思った。ところが調べてみると、スカイトラック社の2018年「ベストエアラインアワード」(航空会社格付けランキング)で、なんと5スターを獲得したれっきとしたフルサービスキャリアだった。ちなみに、このランキングで5スターの栄光を手にしたのは、300社中11社しかない。主に機材、客室乗務員、チェックインカウンター、機内食、顧客満足度などから評価されるようだ。
LCCならもっと安い便もあるが、往復の出発時刻も含めサービス等の快適さを求めたら、価格の割り(45,000円)にかなりお得な気がする。
さすが5スターのエアラインだけあって、ダークグリーンを基調にした制服に身を包んだ客室乗務員は美形が揃っており、日本人のCAが4人も乗っている。全てのシートにブランケットが用意されているのも嬉しい。
機内食も、美味しかった。特にビールは、台湾メーカーのバックスキンビールが置いてあり、台湾で飲みたいと思っていたビールをさっそく頂くことが出来た。ドイツ式ということだが、ドイツビールに比べるとやや薄めでおとなしい感じがする。しかし日本の第3のビールを常飲している僕にとっては、フレイヴァリーで甘味と旨みたっぷりな実に美味しいビールだった。このビール、後述するカバランウイスキーを作っている「金車」が満を持して発売したビールで、中国同様薄くて味のしないビールしかなかった台湾に、革命を起こすのではないかと期待している。
飛行機が高度を下げて、いよいよ台北市内に入る。すると今回宿泊する圓山大飯店が歓迎するかのように左側の窓から目に飛び込んできた。さすが台湾のランドマークだけあって、威風堂々の巨大建築は、他を圧倒して目立っている。 -
空港ではまず台湾銀行で両替を済ます。1TWD(ニュー台湾ドル)=3.74 円。市民は誰もニュー台湾ドルとは言わず元と言っているので、ここでは元に統一する。空港での両替手数料は30元(110円)だった。
それから空港のセブンイレブンで地下鉄、台鉄、バス等で使えるSUICAの様な悠遊カード(1枚100元)を3枚購入し、それぞれに300元ずつチャージして貰った。 -
圓山大飯店
そのホテルは丘の中腹に建っているので、遠目にもよく見える。初めて台北を訪れた者は、宮殿のような中国建築に、「何じゃこりゃ!」と目を見張るだろう。タクシーが近づくにつれて、更にそのスケールを実感することになる。入口の中華門をくぐると、眼前にそびえる壮大なホテルは紫禁城を連想させる。金色の瑠璃瓦と朱色の柱で構成されていて、屋根の先端には走獣まで並んでいるじゃないか。
そして広々としたロビーに一歩足を踏み入れると、真っ赤な絨毯の続く先に、中央の大階段が目に飛び込んできた。高い天井に吊るされたランタンまで赤く、中華世界に僕らを誘っているようだ。風水にもこだわり抜いて建てられたそうなので、ここは台北屈指のパワースポットということになるのだろう。ホテルより歴史的建造物と言う方が似合いそうな圓山大飯店に3泊すると思うと、テンションと同時に運気も上がりまくって、最高の旅になる予感がしてきた。 -
チェックインするためにフロントに向かう。ロビー天井の梅の花の形をした「藻井(そうせい)」が美しい。5匹の龍が龍珠を囲んでおり、これも相当の縁起もんだろう。
フロントの男性は日本語がペラペラだ。拍子抜けしてしまう。宿泊代の21,000元を支払い、デポジットの3,000元を預ける。カードキーを渡されると、ちゃんと人数分の3枚ある。最近は海外に行っても安宿しか泊まらないので、そんなことにも感動してしまう。
それからコンシェルジュのカウンターに行き、明日の夕食を予約して貰う。「馬辣頂級麻辣鴛鴦火鍋 中山店」という火鍋屋だ。超人気店で予約必須とネットに書いてあったのだ。コンシェルジュの女性も、「ここは美味しい」と言っていた。19時に予約したかったが、20時半か18時半しか空いていないと言われたので、18時半でお願いした。 -
圓山大飯店のPrestige Horizon Roomは本館7~9階に位置し、台北市街を一望できるシティビューの最高級クラスだ。この部屋が予約できた時点で、この旅の成功は半分決まったようなものだ。
このツインルーム、楽天トラベルで予約して、朝食付き一泊25,900円。ひとりで宿泊しても3人でも同価格である。今回ひとり分にして、朝食付き一泊8,600円になる計算だ。ツインルームに3人で宿泊するので、もしかしたら朝食は2人分しか付かないんじゃないかと思っていた。しかしフロントで確認したら、ちゃんと3人分付くとのこと。仮に朝食をその場で支払うと、税込660元(2,400円)になるので、宿泊代だけだと、ひとり6,200円でPrestige Horizon Roomに泊まれることになる。 -
このホテル、1968年にはアメリカの雑誌で、なんと世界10大ホテルにも選ばれている。51年前のことなので当時と今とでは大きく変わっているだろうが、それにしてもかつては世界のベスト10に選ばれた由緒あるホテルにこの価格で泊まれるなんて、お得すぎる!
さて、9階の908号室に入ってみよう。広い部屋にセミダブルベッドがふたつ。息子がひとつのベッドを使い、僕と妻がふたりでもうひとつのベッドを使えばいい。僕らなら広さは十分だが、かけ布団がひとつなのは困った。後でもうひとつ部屋に届けて貰おう。 -
バスタブとシャワールームは別になっている。アメニティは英国王室御用達のモルトンブラウン。もちろんトイレはウォシュレットだ。バスローブも3人分揃っている。
広いバルコニーに出てみると、市内が一望できる。手前に基隆川が流れ、遥か遠くに台北101が見える。そしてホテル真正面に先ほど乗ってきたエバー航空の飛行機が右から左に横切っていき、ずっと見ていたらなんと空港に着陸する瞬間まで見届けることが出来た。 -
そんなことをしていたら、ドアマンからベルボーイに引き継がれたスーツケースが届く。ドアを開けると可愛らしいベルガールが満面の笑顔で立っている。日本語は覚束ないが、英語でコミュニケーションが取れる。そこで、かけ布団をひとつ余計に持ってきて欲しいとお願いした。客室係に伝えますと言うので、30分後には出掛けると言うと、すぐに布団が届いた。
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日本統治時代、ここには台湾神宮があった。その跡地に1952年に蒋介石の命で豪華絢爛なホテルが建てられた。オーナーは夫人の宋美齢。蒋介石はここを自宅兼用で使っていたので、地下には避難用秘密通路がある。事前に10名以上で申し込めば、地下トンネルの見学が出来るらしい。そんな凄い歴史遺構があるなんて、ホテルの範疇を超えている。このホテルをデザインしたのは、故宮博物院や中正紀念堂などを手がけた建築家の楊卓成。なるほど、どの建造物も左右のシンメトリーが特徴だ。
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圓山大飯店は、僕らが宿泊している本館の他に、金龍廳、麒麟廳の二つの建物があり、3棟とも歩廊で繋がっている。3棟で計500人が宿泊出来る。まずは本館から隈なく歩いてみよう。ロビーは吹き抜けで、2階部分はロビーを取り巻くように回廊になっており、高級品ショップが並んでいる。また、このホテルに宿泊した世界の著名人の写真が数多く飾っていて、個人的には李香蘭、エリザベス・テイラー、アラン・ドロン、チャールズ・ブロンソンらを見つけて嬉しくなった。
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麒麟廳の入口には「第一夫人」というカフェがあり、その横には昨年末にオープンしたばかりのファミリーマートがあった。ここは24時間で営業しており、息子は夜食用のカップ麺やお菓子を調達する。僕は、ここで幻のカバランウイスキーを購入した。
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kabalan whiskyは、2008年に台湾で誕生したニューカマーだ。それまでの暖かい土地のウイスキーは美味しくないという定説を打ち破り、発売以来世界各国で多くの賞を受賞し、ついにはスコットランドのウイスキーテイスティング大会で並み居るスコッチを差し置いて優勝してしまった。その後10年で世界中の230もの賞を受賞している。日本ではなかなか手に入りにくい(入っても高くて買えない)カバランが、ファミリーマートにあって、他の酒と一緒くたに並ぶ様は、まさに玉石混交と言いたい。今夜の寝酒用に1本お買い上げ。
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ファミリーマートの横から外に出て、今度はホテルの敷地を散策してみよう。左手の坂道を下っていくと、一番奥まった所に屋外プールがある。さすがにまだプールに入る季節ではないが、真夏に来たら是非のんびりとプールサイドで、カクテルでも飲んでみたいものだ。
プールサイドでは、ちびっ子のお誕生日会らしきパーティーが催されていて、生バンドが入っていた。
このプール、NMB48が「ドリアン少年」のPV撮影でロケしたそうである。 -
プールサイドの息子笑
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士林夜市
台北最大の夜市へは、ホテルから歩いて行くことが出来る。圓山大飯店から裏道を通って、剣潭駅まで徒歩15分。士林夜市はここからすぐだ。ホテルから剣潭駅までの無料シャトルバスもあるが、まずは歩いてみよう。 -
晶棧熱炒
「士林市場」という建物の地下1階に、数十店舗の飲食店がひしめいている。美食区というその一画に、お目当ての『晶棧熱炒』はあった。
熱炒というのは、日本で言う居酒屋みたいな意味で、台湾の居酒屋では海鮮料理がメインになる。店頭に新鮮な海の幸が所狭しと並んでいる。それらを眺めていると、店のおばちゃんが「チャーハン、美味しいよ」と日本語で客引きしてきた。初めからこの店に入るつもりだったが、そのまま客引きされた体で席に付いた。 -
元気なおばちゃんは、ほぼ日本語で名物料理を薦めてくる。一番のお薦めは、雙冠軍蝦仁蛋炒飯(90元)という海老チャーハンだ。しかし、その前に、臭豆腐をやっつけないといけない。これを克服出来なければ、旅の間中、負け続けることになる。逆に言えば臭豆腐さえ味方にすれば、台湾は制したも同じなのだ。
ということで、さっそく臭豆腐(50元)を注文する。おばちゃんに日本語で「チャレンジね~」と言われる。運ばれてきた臭豆腐は一皿に結構たくさん乗っている。臭豆腐はカリカリに揚げたものと、タレに漬け込んだものがあるが、この店のは揚げた方だ。こちらの方が比較的臭くない。とは言っても、腐っても臭豆腐。久しぶりの、正確には3年ぶりの臭豆腐は旨いという程ではないが、ただの揚げ豆腐じゃんという感想は以前と変わらず。
はじめは訝し気に見ていた妻だが、いざ口に入れてみると意外と平気そうだ。息子もなんとか食べられるということで、一番心配だった臭豆腐は、思い切って食べて貰うことであっさりクリア。 -
さて、おばちゃんの一推し、台北市市場対抗炒飯大会で優勝したというチャーハンは、間違いない味だ。大きめの海老がたくさん入っていて、味付けも絶妙である。
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小さい蟹をカリカリに揚げて塩コショウしただけの、香酥一口蟹(150元)も絶品だった。ソフトシェルクラブのように、そのままいけるビールの最高のお供だ。妻が店によって客の入りが全然違うと言うが、確かにそうである。この店はまだ18時前にもかかわらず大繁盛していた。
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士林夜市の中にある慈諴宮は、横浜中華街にある媽祖廟と同じ神様を祀った道教寺院。もともと士林夜市は、慈諴宮の参拝客向けに市が立ったのが始まりのようだ。今では観光夜市の片隅にひっそりと佇んで、夜市に来た客をそっと見守ってくれている。このお宮の周りにもびっしりと小さい屋台が隙間なく詰まっており、人気店は行列が出来ている。臭豆腐の匂いも漂ってくるが、もはや無敵の僕らには没問題。
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辛發亭
台湾の名物のひとつに雪片というデザートがある。見た目はかき氷だが、カチコチに凍らせたミルクを薄く削った何とも不思議な食感。その雪片発祥の店が、創業40年以上の辛發亭。珈琲雪片(80元)、いちご雪片(80元)と西瓜ジュースを注文。 -
いくら日本より暖かいと言っても、3月中旬の台北は最高気温で23~24度である。真夏だってかき氷を完食するのはきついのに、見た感じかなり大きそうだったので、2つを3人でシェアして残せばいいかなと思っていた。しかし初めての雪片の不思議な美味しさに、気が付くとほとんど食べていた。
メニューによるとマンゴー雪片が一番の売りらしいが、まだマンゴーの季節ではないので、置いてなかった。うーん、マンゴー雪片も食べてみたい。 -
大腸包小腸
大腸で小腸を包むとは何ぞや。名前のインパクトは強烈だが、言ってみればライスホットドッグ。パンの部分がもち米でできており、そこに台湾ソーセージを挟んだ夜市には欠かせない屋台料理だ。試しにひとつ買って食べてみよう。こういう時は客が並んでいる屋台で買うのが鉄則だ。色々な物をトッピングできるようだが、オーソドックスなやつ(60元)にした。うん、旨い。「香腸」と書く台湾ソーセージは甘くて独特のスパイスが効いている。モスのライスバーガーなど比べものにならないような下品な味が良い。 -
得披薩D’mall piza,bar & restaurant
突然、激しい雨が降ってきた。そこで慌てて雨宿りできるところを探す。無数の露店が並ぶ何本かの入り組んだ路に、その店はあった。「得披薩D’mall piza,bar & restaurant」は、入口こそ狭いが奥行きがあり、2階も広々とした綺麗な店だ。
ここで「18天台湾ビール」を頼む。大抵ビールの保存期限は6か月から1年なのに対して、このビールの賞味期限は18日しかない。瓶詰めされてから18日以内のビールということである。そのため置いている店は少ないが、コンビニとかでは普通に買える。飲んでみると確かに旨いが、基本は薄い台湾ビール。 -
ぼったくられタクシー
そろそろホテルに帰ろうと、タクシーに乗る。走り始めてメーターを見ると、止まっている。運転手のおっさんにメーターを動かすように言うと、しれっと「壊れている」と言う。出た。ぼったくりタクシーだ。降りるのも面倒くさいので、ホテルまで幾らかと聞くと、150元だと言う。空港から165元だったので、それはないと思い、「高すぎる。100元でどうだ」と言うと、それなら110元で行くと言う。「いや、100元だ」と粘ったが、どうしても110元だと言い張るので、諦めてOKした。
どこの国から来たと聞くので、日本人だと言うと、知っている日本語の単語を披露してドヤ顔になっている。可愛いかっ。それから中国語の練習のつもりで、色々話しかけたら結構話が弾んだ。
ホテルの周りは高速道路が走っている関係で、一般道は大回りしなければならなくて、思ったより時間がかかった。ホテルに着くと、小銭がなくて、200元渡す。おっさん、おつりの90元を10元コインで数え始めたが、途中で面倒になったのか「100元でいいよ」と言い出した。あんなに10元(37円)で粘ったくせに。
ところが翌々日に、同じ士林夜市からタクシーに乗って帰ったら、なんと105元かかったのだ。それもこの日乗った所より若干遠い所から乗ったのに。と言うことは、110元というのは案外正しい料金だったのだ。はじめは40元ぼるつもりで150元と言ったが、抵抗されて、あっさり相場に戻した。にもかかわらず100元にしたので、ぼったくられたのはタクシーの運ちゃんの方だった。アジアのタクシーのこんな緩いところが好き。 -
3/18(月)
松鶴廳(朝食ビュッフェ)
ロビー左手にある松鶴廳は、400人収容するビュッフェレストランだ。置いてある料理を一通り確認するだけでも時間がかかる。中華、洋食に和食まで揃っている。 -
よくコンビニのレジ横で売っている茶色の煮玉子を貰ってみた。お茶で煮ているようで、食べてみると少しだけ漢方薬の味がする。あと大根餅が美味しかった。
息子はアヒルの玉子や、担仔麺等を持ってきた。青味がかったアヒルの玉子はとても塩辛いと言っている。確かに料理の表示は「塩玉子」となっているが、日本のように後から自分で塩をふればいいのにと思う。
台湾バナナがあったので、1本を3人で分けた。日本におけるバナナのシェアは、フィリピン産80%、エクアドル産15%で、台湾産は1%にも満たない。これは他の国のバナナより成長に時間がかかる為甘く美味しいが、その分価格も高いからだ。日本では高級料亭か千疋屋くらいでしかお目にかかれない。久しぶりに食べるバナナは味がしっかりしていて甘かった。 -
ドアマンに「Taxi、please」と言うと、待機しているタクシーを呼んでくれるし、もしタクシーがいなくても、敷地内に入ってくるタクシーに目を光らせ、来たら待っている順番に声を掛けてくれる。更にドアマンは日本語で「どこに行きますか」と客に訊ね、それを運転手に伝える。それだけではない。そのタクシーのナンバーをさっとメモして渡してくれる。これはそのタクシーの運転手とトラブったり、万一忘れ物をした時のため。それに運転手に対しても、ぼったくりやマナー違反の抑止力になるだろう。さすが圓山大飯店のドアマン、至れり尽くせりである。
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運転手にあらためて「台北駅」と告げると、「台鉄の?」と訊かれた。なるほど、台北駅はふたつあって桃園空港に行く空港線の台北駅もある。台鉄の台北駅と地下で繋がってはいるが、6~7分歩くので荷物が多いと大変だ。ホテルからだと空港に向かう客も多いので、都度確認しているのだろう。「九份に行くので、台鉄の台北駅へ」と言うと、運転手は僕の中国語にニヤリと頷いた。
通勤のバイクラッシュの間を縫うようにして市内を走り、ほどなくタクシーは台北駅に着いた。 -
この駅舎を設計したのは郭茂林と言って、なんと霞が関ビルを設計した人。1968年竣工の霞が関ビルは、僕が子供の頃は日本一高い超高層ビルで東京のランドマークだった。
この駅舎1989年に完成したので、思ったより新しい。荘厳でどっしりとした巨大な建物だが、ほぼ正方形というのが駅としては珍しい。コンコースは広々としており、6階相当の吹き抜けのガラス天井から差し込む光が、構内に降り注いでいる。旅の出発点としてはテンションの上がる駅なので、ここから鈍行で台湾一周の鉄道旅も面白そうだと思った。 -
台湾鉄路(TRA)の改札は地下1階。悠遊カードで改札を通り、9時25分台北発の区間車、蘇澳行きに乗る。車内は空いており、3人とも座れた。各駅停車で約1時間。瑞芳まで49元(180円)。悠遊カードを使うと割引になるので、実際はもっと安い。
台湾鉄路というのは台湾の国鉄で、急行や快速にあたる電車もあるが全席指定なので事前予約が必要らしい。瑞芳までなら一番速い電車でも10分程度しか変わらないので、各駅停車でのんびり行こう。出発すると電車はしばらく地下を走り、地上に出るともう都会の風景ではない。駅で急行に抜かれたりしながら、電車は自然の中を進んでゆく。 -
瑞芳駅は日本の田舎の駅みたいだ。ここから20分位タクシーに乗って、九份を目指す。タクシー乗り場の看板に、九份まで205元(770円)と書かれている。山道をどんどん登って行き、九份の有名な階段、豎崎路shùqílùの下でタクシーを降りた。
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九份
山の中腹から海を見下ろす小さな田舎町は、かつては9世帯しかなかったので九份と呼ばれていた。ところがある日突然金が見つかり、金鉱山として急激に発展する。その後、金が枯渇すると再び寂れ果てたが、運命とは分からないもので、ホウ・シャオシェン監督が九份を舞台に撮った映画「非情城市」が公開されると、そのノスタルジックな風景が人気を呼び、一大観光スポットとして返り咲いた。そのブームが落ち着いた頃、今度は「千と千尋の神隠し」の舞台のアイデアになったんじゃないかと噂が独り歩きし、日本人のみならず宮崎ファンが世界中から訪れるようになる。今では人出が多くなる夜ともなると歩くのもままならない。 -
そこで今回は敢えて午前中に訪れた。山の傾斜面に貼りついているような町なので、遥か眼下に太平洋が望める。雨が大変多い地方だと聞いていたが、曇ってはいるものの見晴らしはいい。細い階段を上がっていくと、ウエディングドレスを着た女性とフォーマルな男性がプロのカメラマンに写真を撮って貰っている。風光明媚な屋外で結婚の記念写真を撮るのは中華圏の文化なので仕方ないが、こんな狭い路地で撮るのは、ちと迷惑なのでは。案の定、渋滞しているではないか。
ちなみに九份はかつて顔雲年という実業家が金鉱管理をしており、九份一帯のオーナーだった。この顔雲年という人、なんと一青窈の曾祖父だそうだ。 -
昇平戯院
この映画館は1934年に金採掘で賑わっていた頃、建てられた。前回訪れた時は見るも無残に朽ち果てていたが、2011年にリニューアルしたようだ。現在は無料で映画の上映をしている。ここに古い35ミリの映写機が展示してあった。当時使っていたものだ。 -
九份茶坊
さらに豎崎路を上り、基山街を右折すると、100年以上前に建てられた茶館がある。ここで高級台湾茶を嗜もう。
東方美人茶はウーロン茶の一種で、ウンカという害虫に食われた葉を摘んでお茶にする。この茶葉はウンカに噛まれることで、蜜のような甘い香りが出る。ウンカを付かせるために無農薬でないといけないし、毎年同じ茶畑にウンカが発生するとは限らない。それに一枚一枚摘まなくてはいけないので、手間ががかる。
ここでは東方美人の茶葉を700元で買い上げ、お湯代としてひとり100元を払う。3人なので、一人当たり1,250円の計算になるが、山間の自然の中で、目の前で入れてくれたお茶をゆっくり飲めるのだから、高くはあるまい。それに茶葉は1両(37.5g)あるので、結構余り、残った茶葉は、お持ち帰りできる。 -
九份茶坊からの眺め
炭火で湧かされる鉄瓶から湯気が立ち昇る。店のおばさんがお湯を注ぎ、まずは香りを楽しんで下さいと言う。東方美人茶の麗しい香りが、心身共にリラックスさせる。ビクトリア女王も愛したというオリエンタルビューティーは、ヨーロッパでは紅茶のカテゴリーで飲まれているそうだが、さて、そのお味は?えっ、ウンカが齧ったお茶なんて気持ち悪いって?大丈夫。だって紅茶の王様であるダージリンは誰だって飲んだことあるでしょう。最高級クラスのダージリンは、同じようにウンカにハムハムされた葉から作っていたのでした。 -
張記傳統魚丸
臭豆腐の匂いが立ち込める基山街には、土産物屋や小さな飲食店がひしめきあっている。
そろそろ昼時だが、ホテルの朝食ブュッフェを死ぬほど食べてしまったので、あまりお腹が空いていない。そこで軽い昼食を取ることにして、大人気のこの店に並んだ。九份の有名店だけあって凄い人だ。 -
張記傳統魚丸
店の奥の丸テーブルが空いて、台湾人家族と相席で着席。魚丸湯という魚のつみれスープが名物だと聞いていたので、綜合魚丸湯50元(180円)を3つ、魯肉飯35元(130円)を2つ頼んだ。 -
張記傳統魚丸
綜合魚丸湯は魚やイカのつみれ4個入りで、香辛料等余計なものを一切使っていないだし汁が絶品。素朴な味に癒される。魯肉飯はトロトロに煮込んだ角煮のそぼろを煮汁と一緒にご飯にかけたもので、これがB級感半端なくて旨かった。着丼からあっという間に完食する息子。台湾の吉野家的なファストフードに、「表参道にあったら毎日食う」と言っていた。 -
台北101
市内の台北101までは、タクシーで戻ることにした。地球の歩き方によると、市内までタクシーの相場は1,200元だそうだ。運転手のおじさんに台北101まで幾らか訊くと、1,000元だと言う。それならばと、乗り込んだ。車は45分で台北101に着いて、快適だった。
前回(14年前)ここを訪れた時は、台北101は世界一高いビル(509m)だったが、現在は6位ということで、ちょっと微妙。それでも台北市内を一望できるので展望台まで上がってみよう。5階のエントランスで大人600元(2,200円)の入場券を購入すると、本日は50%の視界ですがよろしいですかと、日本語で訊かれる。東芝製の高速エレベーターで一気に89階(382m)まで。一面ガラス張りの展望フロアから、まずは宿泊している圓山大飯店を探す。うーん、視界50%では難しいか?多分あの辺りではないかと見当はつくが、はっきりとは見えなかった。現在建設中の台北ドームはよく見えた。
91階には屋外展望台もあり、高い柵越しとは言え、風を感じられて絶景を楽しめる。 -
青絲舫美容院 qīngsī fǎng
中山駅から徒歩5分のところに、台湾シャンプーで有名な美容室がある。台湾シャンプーとは、椅子に座ったまま頭皮マッサージをしながら洗髪し、泡立った髪の毛で遊ばれるのが特徴。妻と息子は30分 500元(1,850円)のコースを選び、僕は写真係。ふたりにふた付きコーヒーが運ばれ、シャンプーが始まる。ソファに座って寛いでいると、僕にもコーヒーをサービスしてくれた。シャンプーの様子を後ろからぼーっと眺める。早速妻の頭がシャンプーの泡で一角獣のようになって、美容師の女性が僕に写真を撮れと催促する。ぼーっとしている場合ではなかった。それからハートや巨大なリボンを作ってくれたり、インスタ映えする泡の芸術が次々と登場した。
息子の担当は若い男性の美容師だったが、客を見る目があるのか、モヒカンにしたり、トサカやうんこを乗せられたりと、息子は完全に遊ばれていた。 -
誠品R79
中山駅から隣の雙連駅までは地下街で繋がっている。その通路沿いに300mにも及ぶ書店がある。アジア一長い書店だそうだ。
この誠品書店、今秋オープンのコレド室町テラスに、メインテナントとして日本初上陸が決定している。その後は、ららぽーとに出店していくようだ。
ここ誠品R79は本屋だけでなく、文具店やMIT雑貨も豊富に並んでおり、可愛いマスキングテープも見かけた。 -
夏威夷養生行館中山二店
夕飯まで時間を持て余しそうだったので、急遽足裏マッサージをすることにした。マッサージ店が3軒並ぶ激戦区?(実際、おばちゃんの客引きが凄い)で、どこに入るか吟味する。マッサージ店の目利きには自信があるので、ハワイ(夏威夷)と名乗るこの店を選んだ。入ってみると日本の芸能人も多く訪れており、清潔かつ技師も上手かったので、ここにして正解。30分、400元(1,500円)の足裏マッサージをお願いする。
店長とおぼしき日本語ペラペラのおばさんが、何かと世話を焼いてくれる。テキパキと仕切ってくれて、こちらの要望にも的確に答えてくれるやり手おばさんがいると快適だ。天然のあら塩を使った足湯からスタート。サービスのお茶を飲みながら10分ほどお湯に浸かった後は、蒸しタオルで足全体を包まれる。これが気持ちいい。そしてクリームを塗られて、マッサージスタート。
僕の担当は女性だったが、力の加減はちょうど良かった。妻は年配のベテラン男性の技師さんで、息子は力任せの若いお兄さんだった。妻は股関節が悪いと指摘されていたが、確かにここのところ股関節に違和感を覚えていたそうだ。さすがベテラン技師!息子はひじや首、喉などいたる所が悪いと言われ、マッサージもやたらと痛がっていた。僕は一箇所だけ痛い所があったので、どこが悪いのか訊いてみたら、「頭が悪い」と言われた。泣。
気持ち良かったので30分はあっという間に過ぎた。帰り際、あのおばちゃんに「いつ日本に帰りますか」と問われたので、「明後日」と答える。すると、「では明日また来てください」と、旅行お約束の会話をして別れた。 -
馬辣頂級麻辣鴛鴦火鍋 中山店
ひとり、768元(698元+清潔費70元)の火鍋食べ放題の店に行った。ところで、この清潔費って何?
昨日ホテルで予約して貰った際に渡された予約番号のメモを見せると、すんなり席に案内される。食べ放題と言うと安い食材だと思われがちだが、ここはいい材料を揃えているということで、台北市民に絶大な人気を誇っている。そのため予約しないとまず入れない。768元ということは、2,800円。そんなに安くないと思われるかもしれないが、なんとアルコールも飲み放題だ。それにハーゲンダッツアイスクリームやケーキ、フルーツなどのデザートもついており、768元以上一切かからないシステムだ。 -
まず5種類あるスープの中から2つ選ぶが、店員がやたら麻辣鍋と野菜鍋を推してくるので、それにした。麻辣鍋は火鍋の基本だが死ぬほど辛いので、毎度僕はもうひとつの辛くない鍋ばかり使うことになる。
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まず肉からチョイスしてオーダーシートに記入。火鍋と言えば羊肉だが、アジアで羊と言うと山羊肉のことが多い。味の違いはよく分からない。この店は牛肉も充実している。そこでオーストラリアラムと、アメリカンプライムロース、アメリカンカルビを選ぶ。ポークやチキンもあるが、今回は羊肉と牛肉に特化しよう。何しろうちは小食なのですぐお腹いっぱいになってしまう為、食材は厳選しなければならない。他にホタテや海老等の海鮮ときのこ、野菜を少々頼み、メインは肉で勝負することにする。
食材が届く間に、タレを作りに専用カウンターへ向かう。20種類近くあるタレの材料の中から、自分の好みに合わせてカスタマイズしていく。僕はしゃぶしゃぶ同様、醤油ベースと胡麻ダレベースの2つを用意し、醤油ベースにはたっぷりのネギを、胡麻ダレにはニンニクとパクチーを入れる。訳の分からない薬味がたくさん置いてあるが、余計なものは入れない。
そして台湾生ビールを、サーバーから自分で注ぐ。飲み放題なので、グラスは小振りだ。他にワインやソフトドリンクも充実している。
席に戻ると、注文した肉がテーブルに乗っている。まずは羊肉から。うー、旨い!昨年北京で食べて以来だから半年ぶりの再会を祝い、羊肉独特の甘みに舌鼓を打つ。あっという間に肉がなくなったので、どんどん追加する。羊肉はもちろん、他にニュージーランドロースやアンガスビーフもあるので、片っ端から注文。でも鍋の中で一緒くたになると、羊以外は何の肉だか判別不能である。まあ、美味しいので気にしない。次から次へと肉を頬張るうちに、もう何皿注文したのか分からなくなる。 -
ビールもお代わりし、白ワインまで飲んで、デザートに突入。小粒だが甘い苺やグァバやワックスアップル、時期的には少し早い青いマンゴーなど、さすがフルーツ天国台湾だけあってどれも美味しい。帰国して調べてみると、これは土マンゴーと言って、皮が青いのは熟していないのではなく、こんな種類らしい。隣のテーブルの台湾人も、マンゴーがある!と喜んでいたが、台湾ではこの土マンゴーも普通に食べられているのだろう。
息子は更にケーキやハーゲンダッツアイスまで取ってきた。どんな胃袋をしているんだろう。よし、僕もハーゲンダッツアイスを最後に食べよう。20種類はあっただろうか。スプーン一杯分くらいを3種取ってみた。ハーゲンダッツの他に、モーベンピックと言う聞いたことのないアイスも置いてあった。これはスイスの世界的にも有名なアイスメーカーで、日本未上陸だそうだ。それなら食べておけばよかった。
もうこれ以上1ミリも入らないくらい詰め込んだので、元は十分取ったと思う。いくら何でも食べ過ぎである。ホテルに帰ったら、食べ疲れて、全員速攻で寝た。 -
3/19(火)
菁英貴賓廳(プレステージラウンジ)
10階のプレステージラウンジは、プレステージクラス専用の朝食ラウンジだ。せっかくなので、今朝はこちらで朝食を取ろう。昨日朝食ブュッフェを食べた松鶴廳ほど料理の品数は多くないが、何しろハイクラスのラウンジなので、わちゃわちゃしていないのが良い。
レセプションで部屋番号と名前をサインし、入室すると客はひとりもいない。僕らに気付いた料理人たちが、ちょっと慌てている感じが見受けられる。内装はシックで瓢箪型の窓がお洒落。僕らしかいないので、頼んだ目玉焼きもテーブルまで持ってきてくれる。今朝もついつい取り過ぎてしまったが、たっぷり時間をかけた優雅な朝食というのは気分が良い。結局、僕らのいる間に来た客は、他にひとりだけだった。 -
雙連市場(朝市)shuānglián shìchǎng
ホテルからタクシーで雙連市場まで120元(450円)。観光地化された夜市と違い、地元の人の生活感溢れる朝市を訪れた。茹でたトウモロコシや大根餅、葱焼等の屋台もあるので、ここで朝食でもOKだ。
庶民の台所には野菜や色とりどりの南国フルーツが並び、どれも美味しそうである。魚は氷を敷き詰めた台に並べられ、肉は塊のまま吊るされている。人でごった返す細い道にバイクが無遠慮に入ってくるなど、実に混沌とした活気があって、これぞまさに市民の朝市である。 -
中正紀念堂zhōngzhèng jìniàn táng
広大な敷地の遥か正面に、リンカーン記念堂を模した本堂が見える。その手前両脇には、国家戯劇院(オペラハウス)と国家音楽庁(コンサートホール)が建っている。 -
中正紀念堂
対面の国家戯劇院では、例によってウエディングドレスの写真を撮っている。あれ?よく見たら、昨日九份の階段で渋滞の原因になっていたカップルだ。ここでも結婚の記念写真を撮っているのかと思っていたら、妻が、あれは雑誌のモデルじゃないかと言う。そう言われてみれば確かにそんな気もする。少なくともこのふたり、全然幸せそうじゃない。 -
中正紀念堂
本堂に鎮座ましまする蒋介石は、言わずと知れた中華民国初代総統だ。本名を蒋中正と言うので中正紀念堂と名付けられた。しかし、2007年に国民党から民進党に政権が代わると、台湾民主記念館と改名され、蒋介石の銅像は見学出来なくなった。それは戦後中国から逃げて来た蒋介石という独裁者に、迫害弾圧されてきた人々の抵抗であろう。しかし、その後また国民党が与党に返り咲くと、再度、中正紀念堂の名称が復活した。現在の与党は民進党だが、さすがにこの不毛な小競り合いというか、政治キャンペーンに利用しての看板架け替えはやめたようだ。
台湾はかつて50年もの間、日本だった。よく植民地だったと勘違いしている人がいるが、当時のヨーロッパ諸国の植民地政策とは全く違っていた。例えばイギリスのインド支配のように、自国の利益追及を目的に武力によって絞り取るといったものではなく、あくまで日本の一部としてみなして、その発展の為に莫大な資金と人を投じたのだ。鉄道、道路、ダム、水道、電気といったインフラから、病院、学校、警察まで作り遵法精神を確立した。だから終戦から70年以上経っても台湾には親日家が多い。
さて、戦後日本が負けて台湾から追い出され、そこに蒋介石率いる国民党が大挙してやって来た時、誰も蒋介石を歓迎していなかった。それどころか国民党の民衆弾圧は酷く、汚職も横行していて、台湾人が辛抱堪らなくなった頃、2・28事件という両者の衝突が起こる。国民党の虐殺により3~5万人の犠牲者が出たそうだ。それでも長年に亘って政権を担っていた国民党が蒋介石を神格化し続けたので、台湾における蒋介石の評価は分かれている。確かに中国共産党を排除し、当時中国に侵略されないだけの軍事力を台湾にもたらしたのは蒋介石だ。しかし現在の与党は民進党なので、ここのところ蒋介石は分が悪い。ここに来る前に、息子から素朴な疑問を投げかけられた。
「蒋介石って、台湾で嫌われてるんじゃないの?それなのにどうして中正記念堂に祀られているの?」
これには「2・28事件でググれ」と回答。 -
衛兵交替式
衛兵交替式はなかなか良い。それは単なるショーではなく、本物の軍人の行進を間近で見られるからだ。国防に身を捧げている軍人はカッコいい。本日はブルーの制服なので、衛兵は空軍が務めている。
台湾は徴兵制を敷いており、19歳になると大学に進学しない男子は全員入隊することになる。大学や大学院まで進む男子は学業が終わってから入隊し、現在の徴兵期間は4か月である。 -
鼎泰豐dǐngtàifēng信義店(本店)
11時00分に店の前に着くと、何かあったのかと思うほどの黒山の人だかり。これは世界的に超有名な小籠包の名店に入ろうとする人でごった返しているのだ。まだ11時にもかかわらず、60分待ちと掲示板に表示されている。ピーク時には2時間待ちになることもあると言うのだから、さすが本店だけあって侮れない。
それもそのはず、1993年にはニューヨークタイムズ紙で「世界の人気レストラン10店」の一つに選ばれたのだ。その味を求めて、台湾のみならず世界中から食べに来るのだから、待つ価値はあるし、勿論想定内だ。
受付で整理券と注文票を貰う。待っている間にこの注文票に記入しておく仕組みらしい。それでは、これから買い物タウンとして評判の永康街に繰り出すとしよう。店で並んでなくてもいいのかって?いいんです。スマホで店のホームページを見ると、整理券の呼び出し番号がリアルタイムで表示されているので、自分の番号が近づいたら店に戻ればいいのだ。
そのような情報を得る為に、この旅でもauの世界データ定額が大いに役立った。毎月1回分(980円/24時間)、海外におけるデータ通信が無料になるサービスだ。アプリの利用開始をタップするだけでいい。時々呼び出し番号をチェックしつつ、お目当ての雑貨屋などを見て回ろう。 -
ついに鼎泰豐本店に入る
ぶらぶら見ていたら、あっという間に時間になり、鼎泰豐に戻る。なんと11時50分には、掲示板に100分待ちと表示されていた。少し待つと、自分の番号が出て、受付の女性に呼ばれる。あらかじめ食べたい物に印をつけておいた注文票を渡すと、2階席に行って下さいと言われる。
席に付くと、まずビールと、冷製料理として注文した鶏肉の紹興酒漬けが出る。これが絶品だった。通称、酔っ払い鶏(酔鶏)。本場紹興で紹興酒のつまみに頼んだものも旨かったが、こちらも負けていない。紹興酒が飲みたくなったが、ボトルしかなさそうなので断念。
可愛らしい店員が日本語で、小籠包のタレの作り方を説明してくれる。お酢3に醤油1が黄金比らしい。小皿に言われた通りタレを作って待っていると、ヘチマと海老入り小籠包(5個入り)が届く。中にたっぷりの肉汁が入っているので、薄皮が破れないように、そっと剥がすように持ち上げる。タレを付けて生姜を乗せたら、レンゲの上でちょっと端を噛むと、肉汁がレンゲに出てくる。これを飲みながら小籠包を頬張ると、口の中から至福の瞬間が訪れるのだ。そこで今更だが、ヘチマって普通に美味しいんだと感心した。
次に、オーソドックスな小籠包(10個入り)がやってくる。こちらも間違いなく旨い。10個で210元なので、1個80円。台湾の物価からしたら高い方だが、この味を80円で食べられるなら安い。
と、ここまで持ちあげておいてなんだが、ここが世界を代表する10大レストランと言われると、ハードルが上がり過ぎて、そんなもんですかねぇーとなる。それに考えてみたら、小籠包は上海料理なので、台湾人からしたら複雑な心境なんじゃないかな。だって、仮に日本に世界10大レストランの一つがあったとして、それが韓国料理屋だったら、日本人としてなんか微妙でしょう。
他に海老蒸し餃子やA菜炒めがやってきた。A菜とは、油麦菜とも言って、レタスの一種。形はサニーレタスっぽくて、中国、台湾ではよく食べられている。根っこの方を持って持ち上げると、Aの形に似ているので、台湾ではA菜と言うらしい。中国では何度か食べたことがあったので注文してみたが、これも美味しかった。
合計1,325元(5,000円)だった。 -
淡水dànshuǐ
東門駅から地下鉄で淡水行に乗ると、終点の淡水駅まで 44分で着く。44元(160円)だ。地下鉄といっても途中からは地上に出て、高架を走っていた。
ここは淡水河の河口に位置する港街で、1800年代にはカナダのマカイ牧師が布教活動のために淡水に住みつき、教会を始めとして西洋建築を建てていく。そのためお洒落な歴史的建造物が点在している。
近年は海沿いの遊歩道も整備されて、随分とお洒落なデートスポットになった。今日は天気もよく、潮の香りが鼻をくすぐる。 -
紅毛城
1600年代にスペイン人が築いた城で、台湾の世界遺産候補にもなっている。インスタ映えすること間違いなし。80元でチケットを買い、坂道を登って行くと、堅固な赤い要塞が見えてくる。四角い2階建ての中には牢獄もあって、まさに城。
その隣には1891年に建てられたイギリス領事館があり、赤レンガで建てられたコロニアル建築様式の建物は大変美しく、庭には大砲なども展示されている。
どちらも丘の上に建っているので、淡水の景観を堪能できる。海から上がってくる潮風が心地良い。 -
水湾Bali景観餐廳 榕堤店
坂を下りて、またウォーターフロントの遊歩道に出る。ここでビールでも飲もうと、オープンエアでのんびりくつろげる店を探した。
すると、かなり広めなバリ島をイメージしたレストランがあったので、飲み物だけでも構わないか確認し、入店する。案内されたテーブルは東屋風な茅葺屋根の下で、海を望めるまさに南国。ソファでリラックスしながら美味しい生ビールを飲めば、ここはバリ島の最高級リゾート、ヌサドゥアかと見紛う程である。熱帯植物の緑溢れる店内、耳に優しいBGM、アジアンテイストの調度品等、こんなセンスのいい店が淡水にあるなんて、絶対にお薦めである。
ビールの心地良い酔いからか、随分と長居してしまったが、気に入った店でぼーっと過ごすのも旅の醍醐味だ。気が付くと、綺麗な夕陽が海に沈み始めていた。 -
海風餐廳 hǎifēngcāntīng
海辺の街なので海鮮料理が美味しいに違いない。淡水老街(中正路)にあるネットで評判の海鮮料理店に入る。店先に並べられた魚や蟹、貝類を見ていると、元気な店のおばさんに「まず魚を選べ」と言われる。食材を選んで調理法を指定するスタイルらしい。でもよく分からないので、「店の中でメニューを見て決める」と言うと、あっさり店内に案内された。 -
まずは、ビールで乾杯。そして、ネットで推薦されていた炒螃蟹と言う蟹の炒め物を注文する。サイズが2種類あったので、小さいほう(690元)にした。見ると、どのテーブルにもこの炒螃蟹が乗っているので、皆これがお目当てらしい。卵と玉ねぎで炒めており味は抜群だが、蟹だけに食べにくい。つい無言になるやつだ。この蟹、甲羅に3つの黒い斑点があり、中国語では「三点蟹」、日本語では「ジャノメガザミ」と言う。秋が旬らしいが十分旨かった。
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三杯中卷が食べたかったが、メニューには三杯小卷しかなかった。中卷とはイカのことであるが、小卷とは小さいイカのことだろうか。店員に「三杯中卷はありますか」と訊くと、「有るよ。美味しいよー」と言ったので、中卷も小卷も大差ないのだろう。三杯とは酒、醤油、ごま油、台湾バジルで炒めること。単純にイカの炒め物だが、台湾バジルがいい仕事をしている。
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店先に新鮮な小振りの牡蠣があったので、初日に夜市で見送った蚵仔煎ôáchian(牡蠣オムレツ)も頼む。台湾人は皆大好きなソウルフードだが、ただの牡蠣入り卵焼き。ケチャップを付けて食べる。牡蠣が小さいので食べやすい。
蛤蜊湯と言うあさりのスープも胃に優しく、生姜が入っていて、さっぱりして美味しかった。
合計1,600元(6,000円)だった。 -
Funky Fresh
士林夜市で台湾クラフトビールが飲めると言ったら、このBARだ。陽気なおにいちゃんが、「ハッピーアワーだから安いよ」と日本語で言っている。全てのビールが150元(560円)で飲めるらしいが、確かにHappy Hour Before 9pmと黒板に書いてあった。って、どんだけハッピーアワー長いんだよ!
GoldWomanのへそがTap1の「Taiwan No,1」(180元→150元)と言うラガービール(4.8%)で、妻が頼んだ。同じくGoldWomanの右のおっぱいがTap3の「Hoppy me」(220元→150元)と言うIPAビール(5.8%)で、僕と息子はこれ。SilverBoy は人気がなかった。
「Hoppy me」と言うだけあって、ホップの香りの強いクラフトビールは、飲みやすくで旨い。軽食はないかと訊くと、食べ物はないが、持ち込み可だそうだ。屋台で何か買って来ようかとも思ったが、ポテトチップスをサービスで出してくれた。 -
カウンターには台湾とネパール?のハーフ美女がいて、片言の英語で相手をしてくれるし、日本語が堪能なおにいちゃんはノリが良くて楽しい。日本で宅建の試験を受けるそうで、仕事の合間に宅建の参考書を読んでいる。まじか?このカオス、東南アジアぽくって好き。
10人も入ったらいっぱいになってしまいそうな狭い店だが、雨さえなければ店先に椅子を出して飲んでいる客もいる。息子は、店のおにいちゃん一押しの台湾ウイスキーのハイボールを追加注文し、僕はジントニックを貰う。 -
3/20(水)
八二三砲戦紀念公園
朝食後は、ホテルに隣接する公園を散歩した。
1958年8月23日中華人民共和国の人民解放軍が、台湾の金門島を侵攻しようとして砲撃した金門砲戦。ここはその戦闘に勝利したことを記念した公園だ。金門砲戦で活躍した長距離砲撃用の大砲や対航空機用の機関砲等が鎮座しており、平和な公園が少しばかり物々しい。平和は自ら守り抜いて勝ち取るものだと再認識させられる。この時金門島の台湾軍は47万発の砲弾を浴びたが、一歩もひるまず猛反撃して島を死守した。尖閣諸島もいつ中国に侵攻されるか分からないが、日本全国民ばかりか政府まで総平和ボケの現状だと、あっという間にとられてしまいそうだ。金門島民のたくましいところは、この47万発の砲弾から質のいい包丁を作り、今では金門菜刀と言って金門を代表する名産物になっている。 -
迪化街 díhuàjiē
かつては水運の拠点として発展した淡水河の船着き場一帯は、大稻埕と言った。その後日本が統治し始めると、大稻埕は永楽町通りと改名され、戦後は迪化街と呼ばれるようになった。迪化街には1910年頃からそれ以降に建てられた178棟もの歴史的建造物が建っており、それをリノベーションして使っている店舗も結構ある。約600m続く迪化街は道の両脇に、乾物屋、漢方薬局、フカヒレ・干アワビ・燕の巣等の高級食材店、カラスミ・パイナップルケーキ・お茶といったお土産屋がずらっと並んでいる。この箱庭のような可愛らしい街は、歩くだけでもワクワクしてくる。
基本的に朝は外食が一般的な台湾では、安くて美味しい店や屋台がどこにでもある。この迪化街もB級グルメの宝庫だ。タクシーを降りた所にも数軒大衆食堂が並んでおり、運ちゃんが「そこ、美味しいよ」と教えてくれたが、さすがに食後だったので無理だった。この一本隣の通りには、「孤独のグルメ」の井之頭五郎(松重 豊)が訪れた小さな食堂があり、店先に貼られた撮影時の写真を偶然見つけて、嬉しくなった。 -
永楽市場
庶民の市場はやはり面白い。この古い建物には、野菜、肉、魚をはじめとした市場や、なぜか寿司屋風な寿司屋も入っている。ここで寿司は食べたくないなあ。また便當も売っていて、これは中国語で弁当と言う意味。便に当たるって、これもちょっと食べたくない。 -
騎楼
騎楼と言って、2階部分がせり出したアーチ式の歩道がずっと続く建築様式に、思わずうっとりしてしまう。亜熱帯特有の強い日差しと雨を防ぐ騎楼は、大変合理的でかつ美しい。店の前に商品を並べたり、飲食店はテーブルを出しているところもある。またバイクが停まっていたり、巨大な袋に入ったニンニクが山積みされていたりと、騎楼は様々な使い方をされている。
騎楼はなんと日本統治時代に、日本人が街づくりの一環として法で設置を義務付けたそうだ。西洋の影響を色濃く受けた騎楼は厦門発祥の中国建築だが、実際に厦門で騎楼を見た時は映画のセットを見るようで萌えた。当時それを見て僕と同じように感激した日本人が、同じ気候の台湾に騎楼を造らせたのだ。いいものは積極的に取り入れるという、日本人の都市開発への柔軟な姿勢は素晴らしい。 -
大稻埕碼頭広場
一旦迪化街から外れて、淡水河沿いの広場で寛ぐ。ごちゃごちゃした問屋街からここに来ると開放感は半端ないが、日陰がなくて暑かったので、やはり騎楼は偉大である。ここから淡水行きの船も出ているので、夕日を追いかけて淡水までクルーズするのも悪くない。
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