2018/11/19 - 2018/11/19
38位(同エリア471件中)
かっちんさん
豊田市足助(あすけ)町は、かつて尾張・三河から信州を結ぶ伊那街道(中馬街道)の重要な中継地にあたり、物資運搬や庶民通行の要所として栄えた商家町です。
足助の町並みは、南北を山で挟まれた足助川の谷筋に沿う段丘上に広がっています。
安永4年(1775)の大火後に復興された町並みは、漆喰塗り2階建ての町家で、防火を意識した瓦葺きが普及し、屋根勾配が比較的急になっています。
今も町並みには大火後の江戸時代後期から明治末までに建てられた建物が数多く残っています。
大正期や戦後の建物でも伝統的な町家形式を踏襲するものが多く、現在まで古い町並みの景観が保たれてきました。
街道沿いに平入や妻入の町家が混在する景観や街道脇の趣のある小路は、足助の町並みの特徴です。
これから紅葉の香嵐渓と隣り合わせの足助の町並みを訪れます。
なお、旅行記は下記資料を参考にしました。
・豊田市教育委員会「足助町並み散策ナビ」
・足助観光協会「足助観光マップ」「川村屋」「芸術さんぽ 町並みウォッチング」「マンリン書店」「風外」
・豊田市の公式観光サイト「豊田市のイベント情報、第20回 中馬のおひなさん in足助」
・足助町文化財保護委員会の町並みに設置した説明板
・公益社団法人日本水道協会「全国の水道キャラクター紹介」
・愛知県警察「コノハけいぶファミリー」
・足助のかゑで本舗 加東家「お店からの一言」
・愛知県三河地方の情報サイト「みかわこまち、白久商店」
・豊田市報道発表「田口家寄付の経緯」
・足助を盛り上げ隊「足助スタイル」
・地域人文化学研究所「とよた世間遺産」
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
足助の町歩きルート
足助川の谷筋に沿う段丘上に町並みがあります。
旧足助町域は、北東側から田町、本町、新町、西町、宮町と続きます。
町歩きは中央部の足助橋から伊那街道を東(案内図では右)にある田町を歩き、コミュニティバス終点の百年草で昼食にします。
午後は足助橋から西側の地域(本町、新町)を街道脇の小路に入ったりしながら、地蔵公園の六地蔵にも立ち寄ります。
次に中橋を渡って西町(足助川の西側)に入り、香嵐渓の入口へ出ます。 -
梶平交差点
珍しいゼブラ板付きの信号機です。
午前中に香嵐渓もみじと足助資料館を見学し、庚申堂のある梶平交差点に出てきました。 -
足助川と石垣の上に建つ家並み
足助橋から西側の本町の眺めです。
幕末から近代にかけて川岸に石垣を築き、家を建てています。
では、町歩き開始。 -
精肉店「井筒亀」(田町)
足助橋を渡り、街道を東の田町に向かって歩くと、「井筒亀(いづかめ)」があります。
明治23年創業し、当時と変わらぬ建物です。
屋号は初代の「亀吉」の名前から取り「井筒亀」としました。 -
名物のシシコロッケ(井筒亀)
食べてみると、癖もなくホクホクした美味しいコロッケです。 -
イチオシ
何コレッ・・・(井筒亀)
店を出てふと振り向くと、板塀にイノシシの毛皮がぶら下がっています。 -
その横には・・・(井筒亀)
狩猟してきたイノシシが横たわっています。
そういえば、昨日から狩猟解禁になったとか。 -
日月 大納言もなか(田町)
大正5年創業以来、もなか一本を貫いている老舗の日月もなか「川村屋」です。
「本店限定つめたて」にひかれて食べることにします。 -
餡をつめてる、つめてる・・・(川村屋)
店の奥の作業風景が見えます。 -
日月もなか(川村屋)
つめたばかりの大納言小豆が口の中で溶け、濃厚な甘みがじわじわと伝わってきます。
もう一つの白いんげんの白あんもなかは、上品な甘さです。
「日月(にちげつ)」の名前は、後醍醐天皇の笠置山行在所において、皇軍の総大将であった足助重範公の軍旗に用いられたものです。 -
足助中馬館(田町)
大正元年(1912)稲橋銀行足助支店として建てられ、昭和57年に足助中馬館(ちゅうまかん)として開館し商業・金融・交通・町並みなどの資料を展示しています。
切妻平入の木造2階建で、外壁に漆喰を塗って耐火性能を高めています。 -
店の内部(足助中馬館)
1階は客溜を土間とし、カウンターから内側の営業室はすべて板張りの床となっています。
客溜とカウンターの上部は吹き抜けとなり、周囲にはギャラリーが廻っています。
外観は日本の伝統的な町家の形態としながら、内部は当時の典型的な銀行建築の形態となっています。 -
足助は中継地(足助中馬館)
足助は、尾張・三河から信州を結ぶ伊那街道(中馬街道)の重要な中継地として栄えた商家町です。
中馬とは江戸時代に信州の馬稼ぎ人たちが作った同業者の組合のことです。
この中馬と呼ばれる人たちが行き来したことから街道は別名「中馬街道」とも呼ばれています。 -
足助牛乳(田町)
安政4年(1857)の建築で、格子と漆喰壁の美しい町家です。
当初、薬屋「藤屋」として営業した後、昭和47年から「名古屋牛乳足助販売所」として営業しています。 -
お土産品(足助牛乳)
牛乳だけでなく、たま麩、こんにゃく、ラムネ、なべしきなどもあります。 -
莨屋の塩座(たばこやのしおざ、田町)
江戸時代から明治38年専売制度が開始するまでの間、足助には13件の塩問屋が並ぶ、町を挙げての商いでした。
莨屋はその中でも代表格であり、その作業場を塩座と呼んでいました。
足助の塩は、江戸時代より各地の海から運ばれてきた塩を、品質及び量を均一化するために混ぜ合わせた合わせ塩です。
この塩を合わせることを「塩直し」、「塩ふみ」と呼んでいました。
そして足助の塩として、足助直しとして信州の塩尻まで運びました。
これが三河湾の塩も瀬戸内海の塩も信州に運んだ塩の道でした。 -
主屋と塩座(莨屋)
街道沿いに妻入の主屋と平入の塩座が建ち並び、足助川側の石垣の上に離れ座敷や土蔵が建つ姿は、足助の町並みの特徴をよく表しています。
足助町の町並みは、妻入と平入の建物の混在が特徴で、この形式が同一屋敷内の構成として見られる点が貴重です。 -
イチオシ
軒先にかか藁で作ったサイレン・・・(莨屋)
足助八幡宮の例大祭・足助まつりの魅力は山車と火縄銃。
火縄銃の筒の中程に締められているものが、このサイレン形の〆縄です。
五穀豊穣、無病息災を願い、新藁で作ります。
また万が一の暴発等から身を守る意味もあります。
祭りの終わった後は、厄除け、家内安全として軒先にかけられます。 -
梅村酒店(田町)
明治末に創業した梅村酒店は、ほぼ昔のままの店構えです。 -
昭和の雰囲気の漂う食堂(田町)
今は営業していません。 -
お釜稲荷の鳥居(田町)
鳥居脇の建物は大衆食堂だった「槌谷食堂」です。
2階の外八角形窓や壁の丸穴デザインがお洒落です。 -
イチオシ
川沿いの石垣の上に建つ家並み(田町)
鳥居とは反対方向に曲がり、真弓橋から下流側の眺めです。
足助川沿いでは、幕末から近代にかけて川岸に石垣を築き、川に張り出すように座敷などが建てられました。
川へ下りる石段は各家につくられ、川が生活と密着していたことがわかります。 -
川沿いの旧街道(田町)
真弓橋から上流側の眺め。
江戸時代の街道(旧道)は観音山(紅葉している山)を避けて川沿いを通ります。
この道沿いには大庄屋を勤めた商人が住み、多くの人馬が行き交いました。
明治以降に田町新道が開削されて、街道は裏道となってしまいました。 -
「ぴっちゃん」消防隊
豊田市水道キャラクターの「ぴっちゃん」は、水滴をイメージしています。 -
白とピンクの冬桜(旧道)
川沿いの街道から見えます。 -
彩りのある観音山の紅葉(旧道)
足助の香嵐渓もみじが有名ですが、観音山は隠れたもみじの名所です。 -
醸造の小出家(旧道)
江戸時代に醸造業が足助にあった中で最も財力のあった小出家は、代々足助の大庄屋を勤め、町の政治・経済の実権を握っていました。
建物は川沿いの急峻な斜面をうまく利用した家敷構えに特徴があります。 -
斜面に張り出す家構え(旧道)
-
足助の伝統的建造物群案内板(旧道)
商家の町として発展してきた足助は、安永4年(1775)の大火で大半が焼失。
その後すぐに町は再建され、現在では江戸時代中期以来の重厚な町家が多く残されています。
平成23年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。 -
信号機の押しボタン「コノハけいぶ」
愛知県警察のシンボルマスコットです。
愛知県を象徴するため、県の鳥「コノハズク」をモデルにデザインし、また、幅広く県民の皆様に親しまれるよう、テレビ等でなじみ深い「警部」の階級を用いて「コノハけいぶ」と名付けました。
「コノハけいぶファミリー」は、じぃじ、ばぁば、まま、長女あい、長男まもる、次女みらいがいる7人家族です。 -
百年草
旧道とは離れ、県道33号線を歩き、百年草(ひゃくねんそう)に来ています。
ホテル、フレンチレストラン、足助ハムのzizi工房、ベーカリーバーバラはうす、日帰り入浴などの機能の他、介護デイサービス施設も兼ね備えた、福祉と観光をミックスさせた新しい形の施設です。 -
バーバラはうす(百年草)
ここで美味しいパンを昼食にします。 -
おいでんバス(百年草)
戻りはこのバスで足助学校下まで乗り、再び町歩きをはじめます。 -
かゑで本舗 加東家(本町)
足助橋を渡り、街道を西側の本町に入ると、創業79年の和菓子屋「加東家(かとうや)」があります。
江戸後期に酒造業、大正期から昭和初期には質屋が営まれていました。
西側の座敷の床柱に残る刀傷は、天保7年(1836)の加茂一揆による打ち壊しの際のものといわれています。 -
栗きんとん(かゑで)
今が旬の栗きんとんを店内でいただきます。 -
本屋「白久」(本町)
江戸時代後期文化12年(1815)、十一代将軍徳川家斉の頃に「白久(はくきゅう)商店」が創業し、当初太もの繊維を扱っていました。
屋号の形は「ヤマジュウイチ」。
梁が太くて天井が高い木造二階建の店舗は200年程前に建てられたものです。
この建物は白木屋の屋敷の一棟で、明かりとりをした天井と立派な井戸、足助川へ通ずる石段など、今の建築技術をしのぐ粋な様式となっています。 -
旅籠「三嶋屋」(本町)
元は呉服屋でしたが、若干の改造で明治に旅館に変わりました。
開戸・格子・障子戸等に足助の古き良さが表れています。 -
田口家(本町)
1階に格子、2階に虫籠窓(むしこまど)があり、江戸末期以前からある歴史的建造物です。
平入2階建ての主屋の背後に4棟の蔵が連なり、街道沿いから裏通りまでの屋敷構えを良好に維持しています。
平成28年に足助観光協会会長を務める田口氏より歴史的に価値の高い建造物「田口家」を豊田市に寄付されました。
田口家はお茶屋から金物屋、灯油・ガソリンの販売と時代の変化とともに商いを変えてきました。 -
イチオシ
貝印灯油のホーロー看板(田口家)
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妻入家屋
今まで平入家屋が多かったのですが、この付近に妻入家屋が続き、平入と妻入が混在します。 -
こめ助の米俵(本町)
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地蔵小路(本町)
街道脇の小路が地蔵堂横にあるので入ります。 -
からくりの小路(本町)
地蔵小路の坂道を上がると街道と並行している中通りに出ます。
ここはなぜか「からくりの小路」と呼ばれており、歩いてみます。 -
ありました!「からくり小屋」
近所の浦野さんが手作りした「からくり作品」が展示されています。
右側の方に「このハンドルを廻すとお日さまがのぼってくるよ」と書いてあります。 -
富士山ご来光(からくり小屋)
ハンドルを廻してみると、お日様が徐々にのぼってきました~。
これは凄い!! -
次の「からくり小屋」
こちらは釦を押したり、紐を引っ張ると、いろんなものが電動で動き出します。
壁に「とよた世間遺産」認定書が貼られています。
とよたのオモシロいヒト・モノ・コトで、とよたをもっと面白くする。それが「とよた世間遺産」です。
からくり小屋は隣にもあり、遊び心満載です。
からくりは季節や干支にあわせて作品替えしているそうです。 -
寿ゞ屋(中通り)
かつて足助の高級料亭として名を馳せた「寿ゞ屋」。
大正から昭和にかけて建てられた本館・新館の建物は、空き家となり建物が傷んでいたものを再生し、現在、地域内外の交流の場として活用されています。 -
イチオシ
晩秋の街道脇から続く小路(新町)
中通りから街道につながる別の小路を下りてきました。
白い漆喰と黒板壁の土蔵に挟まれ、落ち着いた雰囲気が漂います。
ここは「マンリン小路」と呼ばれています。 -
マンリン書店(新町)
ここは書籍と文具のお店。奥へと連なる蔵を活かし、ギャラリーと喫茶があります。
「マンリン」という名前は、屋号の「万屋(よろずや)」と当主が代々「林 右衛門」を名のったことから、「マンリン(万林)」という名がつけられました。
なるほど。 -
御菓子司「風外」(新町)
古くから質屋、煙草の販売、養蚕業などを営んできて、昭和40年より和菓子屋として創業。
店内の一角に「風外まちかどギャラリー」があり、作品を見ながら一服できます。 -
魚屋「魚九」(新町)
勿論、本物の魚もあります。 -
お天王はん(新町)
明治4年新町住民のご寄進によって建立。
牛頭天王を祭神としている津島神社を祀っており、地元では「お天王はん」と呼んでいます。
祠には二つの神棚があり、向かって左側が津島神社、向かって右側が天神様です。 -
見事なツタの紅葉(新町)
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石畳の道(本町)
川沿いの道に来ています。 -
イチオシ
晩秋の六地蔵(本町川沿い)
六地蔵は江戸時代の中頃、正徳5年(1715)に造立されたものです。 -
皇帝ダリア(本町)
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石段(本町)
石垣に石段が残されています。
石段を支える土台がなく、石垣の間に石をはめているように見えます。 -
旅籠「玉田屋」(西町)
中橋を渡り西町に入ると街道沿いに旅籠「玉田屋」があります。
宿場の入口である西町には、明治、大正期に宿屋が7軒あり、現在この1軒が残っています。
当初の屋根は切妻でしたが、後の改造により前面が入母屋、背面が切妻という個性的な造りとなりました。
足助の町歩きは、古い町並みと小路を3時間ほど楽しみました。
紅葉の香嵐渓もみじとあわせた旅になりました。
この後、西中金へコミュニティバスで移動し、旧三河線の廃線跡へ行きます。
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