2018/08/11 - 2018/08/20
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タヌキを連れた布袋(ほてい)さん
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【2018年5月2日バコロド共同=岩橋拓郎】
「フィリピンにとっての闘鶏は、米国におけるバスケットボールやニュージーランドでのラグビーのようなものだ」
世界的な旅行ガイドブック「ロンリープラネット」はこう記す。そのくらいフィリピンでは闘鶏が盛んだ。中でも中部ネグロス島バコロドは闘鶏の産地として知られる。
3月中旬の日曜日。バコロドの闘鶏場には、朝から千人以上が詰めかけていた。中央に八角形のリング。それを取り巻くように段々の観客席がある。目を血走らせた男たちが大声や指で賭け金を決めている。
鶏は左脚に長さ約5センチのナイフを装着。戦いの前に人間が抱え、対戦する鶏同士の頭をぶつけ、戦闘モードに切り替えさせる。息絶えるか、闘志を喪失したら負け。早ければ10秒もせずに勝敗が決することもある。
レフェリーの合図で試合が始まると、鶏は数十センチ跳びながら相手を蹴ったり踏んづけたり。リングでは抜けた羽根が舞い、リング外では賭けた金が舞う。冷房はない。場内はぎらついた観客の熱気と汗に包まれる。
コケコッコーの鳴き声と人間の歓声が響く中、われを忘れて見入っていると、売り子の姿が目に入った。視線が合うと「焼きたてだよ」と勧めてきた。焼き鳥だ。あらゆる部位がある。1串30ペソ(約60円)前後。生前の姿の反映か、飛ぶように売れている。
聞けば、負けた鶏は敷地内で炭火焼きにされるという。その後の運命を知ってか知らでか、命懸けの戦いを繰り広げる鶏たち。勇ましく聞こえた鳴き声も、急にもの悲しく聞こえてきた。
「闘鶏場の鶏の声 諸行無常の響きあり」…。戦場に散らばった羽根を見ながら、人の世をもしのぐ鶏の世のはかなさを思った。
バコロド逍遥~その1:ジープニー情報,ラパス・バッチョイ
https://4travel.jp/travelogue/11416758
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 3.0
- ホテル
- 4.0
- グルメ
- 4.0
- ショッピング
- 3.5
- 交通
- 3.5
- 同行者
- その他
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- 高速・路線バス 船 タクシー 徒歩
- 航空会社
- ジェットスター・アジア航空 セブパシフィック
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
今回のバコロドの宿は「Nirvana Pension House」である。
市内交通のハブであるリベルタッドへ徒歩5分以内という好立地にあるので,バコロドの街をジープニーで動き回るにはとても便利だ。
1階は直営の食堂と洗濯屋になっていて,すぐ近くにコンビニチェーンの「i-mart」もある。
ダブルで1泊約850PHPだった。 -
今日はバコロドの中心街をうろついてから,本場のバコロド・イナサルにありつくのが仕事である。
-
町の中心はセントラルマーケット。
この周辺は宿の近くの「リベルタッド」と並ぶ市内交通のハブになっていて,各方面へのジープニーがひっきりなしに発着する。 -
もちろんジープニー以外の乗り物もいる。
これはペディキャブ(Pedicab)。他の国ではサイカーなどと呼ばれるが,だんだんと淘汰されつつある。
フィリピンのペディキャブは車輪が小さくて可愛らしい。素人目には「車輪が小さいと運転手はしんどいのでは?」と考えてしまうが,何らかの合理的な理由があるのだろう。 -
こちらのトライシクルも可愛い。ミニバイクのトライシクルである。
簡易なカウルをつけているが,これは最近アジア各国でよく見かけるようになってきた。 -
セントラルマーケット周辺には様々な商店がひしめいている。
これはレチョン・マノックとリエンポの店。
レチョン・マノックは鶏の丸焼きで,タイのガイ・ヤーンと同じ。専用のロースターで丸鶏をくるくると回しながら焼く。フルでは多すぎるという客のためにハーフやクオーターで売ってくれる店もある。
これから食べようとしているイナサルは部位ごとに切り分けられたマリネ(味付け)肉を串に刺して焼くもので,レチョン・マノックとはその点が違う。
リエンポというのは豚のスペアリブのロースト。カリカリに焼いてしまったものよりジューシーなもののほうが美味しいが,ジューシーさの要素はすべてラードである。健康面ではかなり厳しいということになるのかもしれない。 -
暑い中,懸命にフライドチキンを揚げる屋台。
どうやら「チキンジョイ」が普通名詞化しているようだ。あの奇妙なグレイヴィも付いてくるのだろうか。 -
乾物屋。種類が多くて思わず見とれてしまう。
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炒り豆の屋台。
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回転焼きに似たものが”Japanese Cake”として売られている。
試食してみたが,回転焼き用の鉄板で焼いたパンケーキを2枚くっつけたようなもので,中にフィリング(餡)は入っていなかった。 -
さて,目指すはマノカン・カントリー(Manokan Country)である。
バコロド名物イナサルを食べようとすれば,まずはここに足を運ばなくてはならないという有名処である。
場所はSMシティバコロド北館の東側辺りにある。セントラルマーケット界隈から徒歩で10分ちょっと。 -
マノカン・カントリー(鶏の国)はたくさんのイナサル食堂をテナントに入れた一大長屋である。10軒くらいのイナサル食堂がずらっと横並びになっている。
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どの店舗も特徴のない造りになっている。
まるで公設市場にあるようなそっけない屋号の看板が並んでいて,「どの店に入っても同じです」的な雰囲気を醸し出している。
ところが店子のほうは工夫をするもので,例えば有名店の「AIDA’S」は隣接する2店舗分に同じ看板を掲げて「ウチは繁盛してます」をアピールしているし,同じく有名店の「NENA’S」は姉妹店を「NENA’S ROSE Ⅱ」「NENA’S BETH Ⅲ」と数字の入った屋号にして「ウチらはもっと繁盛してます」ということを巧みに宣伝している。 -
イナサルの客が入るのは夜なので,昼はカリンデリアとして営業している店舗もあった。
なお,店頭に「SOUP #5あります」と張り紙がされているが,これは牡牛の臓物のうち書くのを憚られる部位のスープなので,安易に手を出さないほうがよいだろう。 -
今回は「NENA’S BETH Ⅲ」に入ってみよう。
イナサルの店なので店内に手洗い場がある。まずは手を洗う。インドや中東の食堂を思い出す。
メニューには肉の部位と値段,米飯とサイドメニュー,ドリンクが書いてある程度だ。部位の名前さえ覚えておけば簡単に注文できる。
Pecho(ペチョ)/ Breast/ 胸肉
Paa(パア)/ Thigh/ もも肉
Pak Pak(パクパク)/ Wings/ 手羽肉
Pecho Pak(ペチョパク)/ 手羽のついた胸肉 ※無い店もある。
Atay(アタイ)/ Liver/ 肝
Isol(イソル)/ Tail/ ぽんじりを含む尾肉
Baticolon(バティコロン)/ Gizzard/ 砂ずり
日本人にはなかなか腑に落ちにくいが,イナサルの世界ではパア(もも肉)よりもペチョ(胸肉)のほうが人気が高い。値段も少し高かったりする。
バコロドのイナサル店では肉が焼きあがるまでの間にカキ(Talaba)を食べるのが定番らしいが,私は旅先で貝類を食べないことにしているのでスルーさせてもらう。 -
注文が済むと大皿とサウサワン(Sawsawan)の小皿,フリーの氷水が調えられる。
サウサワンとはつけダレのことだが,イナサルのサウサワンは客が自分の好みの味に作る。
日本でいえば餃子屋で焼餃子を食べるとき,客が卓上の醤油と酢とラー油でつけダレを作るようなものだ。
タイのナムチムにしても中国の醤にしても,つけダレは他店との差別化を図るのにうってつけのところだからそれぞれの店が「秘伝の味」を競い合おうとするものだ。
ところがイナサルの場合はそこを客の自由に任せてしまう。他店との差別化はますます難しい。 -
イナサルの店のテーブルの上には,通常4種類の調味料が用意されている(他のテーブルに持っていかれて無いこともままあるが)。
ひとつは食塩で,残り3つは写真に映っている液体調味料である。
中央の黒いのは普通のフィリピン醤油。味は中国醤油に似ていて,日本の醤油ほど塩っぱくない。
左はシナマク(Sinamak)と呼ばれる香味酢。酢にたっぷりの生唐辛子,生姜,にんにく,ガランガル(タイでいうカー),粒胡椒が漬け込んである。そこそこスパイシーだがフィリピンの酢は薄いのでそんなに酸っぱくない。
サウサワン(つけダレ)はこの醤油とシナマク,小皿のカラマンシーを絞った果汁,唐辛子の組み合わせで好みのものを作る。絞ったあとのカラマンシーは卓上に放り捨ててOK。
辛いのが苦手な人は唐辛子を使わなくていいし,シナマクを使わずに醤油とカラマンシーだけで食べるというのもアリだ。私は醤油とシナマクを半々,それにカラマンシーを絞る。コツは小皿になみなみと作ることだ。 -
では右の赤いのは何だ?ラー油じゃないのか?
そう,ラー油ではない。
だから餃子屋のラー油のようにサウサワン(つけダレ)の中に流し込んではいけない。
これは白飯やガーリックライスの上へ回しかける油である。好みで食塩も一緒に振りかける。
この油はチキンオイルとかアチュエテオイル(Atsuete Oil)とか呼ばれていて,本来は鶏肉の脂にアチュエテ(和名:ベニノキ)の実のアナトー色素を溶かし出したものだ。店によってはニンニクの風味が着けてあるし,鶏脂の代わりに植物油を使っているところもある。
要は色は赤いが辛くない着色用の調味油だ。アチュエテで飯を赤くする手法は海を渡った先のマリアナ諸島(グアム,サイパン)でも行われていて,チャモロのレッドライスといわれる。
アチュエテこそ使わないがハレの飯を赤く染めるのは日本人にもなじみの深い文化だ。みんな四方(よも)の海でつながっている。 -
注文した手羽肉と砂ずりが焼き上がった。
イナサルは手で食べるものなので,調味料のボトルを触ったのが気になる人はもう一度手を洗いに行こう。そして,今後(左手で)ボトルを触るときに備えて紙ナプキンかティッシュを卓上に用意しておく。肉がさわれるくらいに冷めるまでのいい時間潰しになる。
イナサルは串に刺さった状態で供されるが,肉を串から外して食べるというようなマナーはない。しかし,串に刺さった肉にそのままかぶりつくというのはよろしくないようで,肉を右手の指で少しずつちぎって,サウサワンに浸し,口へ運ぶというのが正しい。
ただし,最後のほうで指でちぎることができなかった残りの肉に直接かぶりつくというのはOK。
なお,食べているときに手指が脂まみれになるのを気にする人もあろうが,途中で紙ナプキンで拭こうものなら事態はさらに悪化する。手は脂だけでなく鶏肉のゼラチン質にもまみれているので,それが接着剤のようになって紙ナプキンが貼りついてしまうのだ。 -
こちらはガーリックライス(メニューには白飯もある)。
この店のものはアチュエテで色をつけて炊き,揚げたガーリックチップがあしらってある。
すでに色はついているが,好みでアチュエテオイルと食塩を加えてよい。塩は少し振るほうが美味しい。それを右手の指を使って食べる。
インド料理のダルやカードにあたるものがないから,飯が指にまとまらず食べにくい。
味に飽きてきたら鶏肉用のサウサワンを飯にかけて食べてもよい。 -
手を洗い,勘定を頼むと全部合わせて240PHPだった(1PHP=2.1円)。
有名チェーンの「Mang INASAL」で食べたとしても同じくらいは取られる。それならこちらに軍配が上がろう。
そういえばアチャラ(イナサル定番のピクルス。日本にも「あちゃら漬け」として伝わっている)をもらうのを忘れていた。残念。 -
さすがのマノカン・カントリーだったが,その質の高さを支えているのは日々イナサルを食べまくっているバコロドの人々である。
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そこかしこで昼間からモクモクと焼き,食べている。(なお,ここにも「Soup #5」がある。人気メニュー?)
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バコロドはイナサル店の裾野が広い。
今年(2018年)の5月5日には,ついにバコロドで第1回イナサル・フェスティバルが開催された。炭焼き台を300mも並べて3000本のイナサルを焼き,振舞われたそうだ。 -
最後に今回もっとも印象に残った店を書いておこう。
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この店は醤油・シナマク・アチュエテオイルの容器に哺乳瓶を使っていたのが面白かった。液垂れが少ないのだろうか。卓上にガーリックチップの容器も見える。
店内は申し分なく清潔である。 -
パア(もも肉)1本と白飯2山の定食を頂いた。
注文を受けてから焼きはじめ,マノカン・カントリーの店に遜色ない素晴らしいイナサルだった。 -
これが一人前わずか65PHP(1PHP=2.1円)である。安いカリンデリアで普通に昼食を食べるのと大差ない。
バコロド・イナサルの神髄=「どこでも旨いの!」「どんだけ安いの!」を見せつけられた思いだった。
Jan-Jo's Lutong Bahay, Coffee & Grill(座標:10.661997,122.950304) -
<バコロド・イナサルの食べ方>
☆イナサルは,店内の手洗場で手を洗ってから,右手を使って食べる。カトラリーを使うと美味しさは半減する。
☆イナサルと共に牡蠣を食べる客も多い。
☆カラマンシーと唐辛子が入った小皿からそれらを取り出し,卓上の醤油とシナマク(香味酢)を好みの割合でたっぷり注いでサウサワン(つけダレ)を作る。カラマンシー,唐辛子は適宜サウサワンに追加する。
☆イナサルが到着しても慌てず,手でむしれるほどに冷めるを待つ。ライスには卓上のアチュエテオイルと食塩を振りかける。食べている最中にできるだけ調味料のボトルを触らなくて済むように,最初にたっぷり使っておくのが賢い。
☆イナサルは串に刺したままの肉を少しずつ右手の指でちぎり,サウサワンに浸して食べる。串を持っていきなりかぶりつくのは行儀が悪い。ただし,ちぎることができない残り肉を食べるためにやむをえずかぶりつくのはOKである。
☆肉→飯→飯→肉→飯→飯のようなリズムで交互に口へ運ぶ。飯にサウサワンをかけて食べるのはOKかつ推奨である。
☆食べている最中に右手の脂を紙ナプキンなどで拭こうとするとかえって事態が悪化するのでしないこと。調味料のボトルなどは左手で扱う。
☆食べ終わったら再び手を洗う。
バコロド逍遥~その1:ジープニー情報,ラパス・バッチョイ
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