2017/02/24 - 2017/02/26
1074位(同エリア6876件中)
のまどさん
長年の憧れで定年後に移住を夢見るバルセロナ。
近郊の海を思わせる大胆な曲線で描かれるモデルニスモ建築を堪能しました。
ガウディの世界観が味わえるバトリョ邸、近代的な集合住宅ミラ邸はやはり今まで見てきた他の国のアール・ヌーヴォーとは異なる貫禄を見出しました。一方、採光技術など共通点も多くあります。
あいにくの雨でしたが、市民の胃袋ボケリア市場では魚介をはじめ食材の豊かさに圧倒されました。ネオクラシカル様式ですが、モデルニスモと同時代から一日も休まずに開業しているカフェにも立ち寄りました。
ガウディと並ぶ巨匠モンタネールが手がけたカタルーニャ音楽堂は至る所に花のモチーフがあしらわれ、象徴となっている大ホールの天井のステンドグラスはあまりの美しさに何度も見入ってしまいました。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 5.0
- グルメ
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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マヨルカを飛び立ってバルセロナの空港に着き、電車の切符を買うのに手間取ってしまった。
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無事に最寄りの地下鉄駅に着。出口すぐにはライトアップされたバティリョ邸。だいぶ遅い時間ですが、気分が高揚します。
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カタラネス大通りに面するアパートホテルCorner 592。バーが受け付けになっているなど怪しい感がありましたが、大通りに面している割には静かで、一人旅には余裕の部屋だったので満足。シャワーを浴びて即寝ます。
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朝食取らずにモデルニスモ・ウォーク開始です。小雨で肌寒いあいにくの天気。でもこういう時にこそ採光技術が光るもの。
まずはムレラス邸。 -
続いてボネット邸。チケット代がバカにならないので中に入りません。
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イチオシ
早朝見学を予約したバトリョ邸。間近で見ると竜の鱗などカタルーニャのシンボルを象ったファサードに圧倒されます。ほぼ線対称ですが、各階で異なる趣き。豊かな色彩がライトアップされています。
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ガウディの最高傑作の一つとされているこの邸宅は繊維産業の起業家ジョセフ・バトリョの依頼で1906年に完成した。一歩入ると直線は平衡感覚を保つ以外には徹底して排除されている感じがした。
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何だか潜水艦の中にいるよう。
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中庭から。庭自体はモデルニスモだけど、振り返って見た邸宅の裏側は際立った特色がないのはむしろ新鮮だった。
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そして、このショット。異次元に続くような錯覚を覚える。
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イチオシ
バトリョ邸の心臓はこのサロンにあると言ってもいいでしょう。至る所3次元に曲線を配置して自然美を生活に取り込みます。最大限に平面を拡張した張り出し窓からは今日のような曇った日でもふんだんに光を取り込みます。
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ほら、我らがオルタの建築美学がここにも見られます。
建物の中央の吹き抜けが光を呼び込んで建物全体に行き渡るようになっています。 -
破片を集めたようなガラスが光を屈折させて海底にいるような気がします。
海に近いバルセロナで生まれたモデルニスモの特色は男性的とも言える大胆な曲線と海のモチーフなのだと直感しました。 -
この廊下は中世の趣きがあります。
バトリョ邸はモデルニスモの都市邸宅に対する理解が深まるとともに朝早く人が少なかったせいか居住者の趣向を想像できたので今回の旅の中では一押しの建築物でした。 -
次の目的地に行く前に小雨の街を散歩します。モデルニスモ以外にも素敵な建物があるバルセロナはやはり豊かな街です。
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さて、束の間の散歩の後、同じくガウディの代表策であるミラ邸です。水平の線がことごとく曲線なので一目瞭然です。でも建設時にはそのあまりにも斬新な造りが批判を浴びたようです。
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パティオから中に入ります。こちらも線対称に整った馬蹄形を描いていますが、それぞれの窓にアイアンワークが施されています。
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依頼主のミラ夫妻はグァテマラでのコーヒー栽培で富を得てバルセロナに集合住宅を兼ねた邸宅を建てることにしました。
階段のペンキは1980年代に元の色に塗り直されたようです。 -
イチオシ
屋上から見下ろすパティオは下から見上げるのと全く異なる趣き。
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屋上の煙突は人のようにも動物のようにも見えて今にも動きそうです。『魔除け』とも呼ばれています。
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続いては当時の住宅を再現したアパートへ。今住んだとしても快適そうです。ミシンは産業革命で生み出され、20世紀になって市民の家庭に普及した機具なのでしょう。
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パティオを囲む外面が馬蹄形をしているので十分に自然光が届きます。一方、あらゆる箇所が曲線なのでグランドピアノを置けないとの苦情も受けました。ガウディは「ピアノが置けないなら代わりにバイオリンを弾けばいい」言い返したそうです。
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ガウディは家具のデザインも手掛けていたようです。モチーフは蝶と花のように見えます。凝りだすととことん探求していく性質だったのでしょう。
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ミラ邸のアパートは当時の生活の温かさが伝わるようでした。集合住宅は同時代にオルタが手がけたブリュッセルの建築にはなかった発想。
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24時間有効の地下鉄乗車券を買ってボッケリア市場へ。
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これだ!
その歴史は1217年まで遡る。 -
最初は肉市場だったようで、今でもチョリソーやハムを売っている肉屋が目を引きます。
一歩踏み入れるとそこは幻想の世界。観光地だとかどうでもいい。 -
私はただバルセロナの食文化の豊かさに圧倒されるだけでよかった。生のフルーツジュースの安さと種類の豊富さ。
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自身が日本人である故に痛感する海の幸の豊かさ。
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生で食べられそうだ。
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イチオシ
密かに老後はベルギーの年金を受給しながらスペインで生活するという夢を持つ。
今回出発前に同僚から定年退職後の準備のためにバルセロナに行くのかときかれた・・・。 -
夢が叶ったら豚足でも尻尾でもどんな食材でも調理してみますとも。
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食事処が何か所かあるので昼食を取ります。観光地だけあって英語のメニューがあります。カヴァにマテ貝にピーマンの天ぷら。おいしいんだけど、とにかく寒い。これも南方旅行を甘く見ていた私がいけないのだが。
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好物のカラスミ(←酒)を安価で手に入れたはいいが、結局この後泊まるホテルに置き忘れてしまう。
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市場を後にして次に向かったのはモデルニスモのカフェ・ド・ロペラ。店構えはこんな感じです。
http://www.cafeoperabcn.com -
中は照明は弱く、20世紀初頭の雰囲気を演出しています。
創業は1928年。 -
壁にはギリシア神話の神のようなシンボルが描かれている。モデルニスモのカフェとして検索結果に出てきましたが、店のサイトではネオクラシカルと。納得。
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コーヒーを飲みながら長閑な一時を過ごします。店内はとにかく温かい。
開業は1日18時間、365日。創業時からスペイン内乱の間も1日も欠かさずに営業し続けているというのは偉業。 -
市場の昼食では足りなかったのでコロッケを頼みます。普通でしたが、お腹の足しになってよかった。
さあ、時間になったのでバルセロナ音楽堂に移動です。 -
意を決して再び外に出ます。こう言った小道も風情があります。雨さえ降っていなければ心軽やかに街歩きを楽しめただろうに。
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バルセロナ大聖堂。今回のテーマはモデルニスモと決めているので残念ながらスキップ。
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中を覗くに留めます。
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サンテ・カテリーナ市場に少しだけ立ち寄る。ボッケリアと比べると静かで落ち着いた感じ。
鶏冠ごと頭の付いた鶏に衝撃を受ける。 -
続いてはバルセロナ音楽堂。ガウディと並んでモデルニズモの巨匠であるドメネク・モンタネールの作品。
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集合場所は建物後ろのホワイエでこれが分かりづらかった。少し遅れたが、ガイドが到着してツアーが始まったのは10分後。
ホワイエはバラのモチーフが見られ、早速モデルニスモの雰囲気が出ています。 -
最初に音楽堂の歴史を紹介したビデオを見てから上階に移動します。
照明を落としたホールには青いステンドグラスから差し込む光が幻想的。 -
ルイス・ミレットの間は休憩所もしくは演奏家と観客の交流に使われる。
ガウディが曲線を強調したのに対して、モンタネールは花のモチーフを多用してモデルニスモの世界を表現していった。女性的な感じがするけれどもそれぞれの花ははっきりと描かれていてどこか力強い。 -
このシャンデリアは正確な数字は忘れたけど、相当な重さらしい。細部までとことん凝っていて、女性のアクセサリーにも見える。
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柱も一つ一つが丁寧に装飾されていて、上部には花のモチーフが施されている。更に上にはバッハやベートヴェンなどの胸像が見られる。
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ホールへと向かう階段。華やかです。
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イチオシ
そして、いよいよ有名なステンドグラスを天井に構えた大ホール。
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ここで上演されるのはクラシック音楽やバレエが主。それでも色々なジャンルの演奏家が講演を行います。ただしオペラは舞台が小さいので無理なようです。
どこを撮っても絵になる。窓からの光と室内の照明が絶妙なバランス。 -
イチオシ
それでも昼間はこのステンドグラスの光だけでコンサートの上演が可能なようです。
万華鏡のようにどこを取っても線対称にまばゆく光る。オパールのようにも見える。 -
中央の太陽を囲んで女性のコーラス隊が讃美歌を歌う様子が描かれている。
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ホール上部に移動。ガイドさんに張り付いていたため、運良く最初に入場してこのショットが撮れました。後から来た人は写真を撮らずに前進するように注意されていました。
舞台左にはカタラン民謡復興に貢献したアンセルム・クラーヴェ、右にはワーグナーのオペラよりワルキューレの像が見られます。 -
再び天井に目を向ける。いつまでも見ていたい美しさ。
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窓の上には音楽家の名前が刻まれています。あらゆる装飾が音楽を物語、芸術を讃えています。
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名残惜しく見納め。
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最後はホワイエに戻る螺旋階段。
ここまでなかなか好調にモデルニスモ探訪ができました。この後は一服しましょう。
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この旅行記へのコメント (2)
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- sanaboさん 2018/02/13 23:32:40
- バルセロナはやはり圧巻ですね。
- のまどさん、こんばんは
バルセロナはあまりにも見所が多く、2014年のスペイン旅行の際には時間的にとても無理と諦め、別の機会にバルセロナを訪れることにしました。 近い将来、実現できると良いのですが…。
恥ずかしながらモデルニスモという言葉を初めて知りました。 調べましたら、アールヌーボーと類似したカタルーニャ独自の芸術様式のことだそうですね。 一番見たいと思っているカタルーニャ音楽堂はモデルニスモ建築の代表格だったのですね~。
のまどさんらしい視点の解説もとても勉強になりました。 そういえば、ブリュッセルではオルタ邸も訪れましたよ。
ホテルにお忘れになったカラスミは人のことでも悔しかったです!(笑)
sanabo
- のまどさん からの返信 2018/02/15 05:41:02
- Re: バルセロナはやはり圧巻ですね。
- sanaboさん、こんにちは。
いつもながらご丁寧なコメントありがとうございます。
バルセロナ再訪、近いうちに実現しますよ。確かにすごい貫禄を讃えた街なので、2泊は要すると思います。むしろ2014年に外したのは正解だったかもしれません。思いが強ければいつかは実現します。
アール・ヌーヴォーは私のライフワークとしているのですが、昨今論調が単純になっていますよね・・・。あまり勉強していなくて。オルタ邸ご訪問ありがとうございますと、ブリュッセル市民を代表して申し上げます。私は最初に訪れた時は?と思いましたが、色々な情報を得てその価値が分かるようになりました。ヨーロッパに思い入れがあるsanaboさんならではの素敵な旅になったとお察しします。
私の旅にはいつもながら悲劇が待っています。でも、カラスミは事足りているのでどうぞご心配なく。
明後日からはギリシアに短期間旅行します。まったく、旅行記をあげるのはいるになることやら。
では、また。
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バルセロナ(スペイン) の旅行記
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