１５回目のソウル。晩秋の紅葉のつもりが、既に冬・・・。～②２日目。最高気温僅か４℃の中、百済の遺跡を歩きます。

2017/11/17 - 2017/11/19

１５回目になる韓国。
昨年は１１月初旬に訪韓し、チョンジュ（全州）へ紅葉を見に行きましたが少し早かった。そこで、今年は１１月１７日～１９日の２拍３日で計画。昨年度パク大統領罷免要求デモ騒ぎで見送った「ランタンフェスティバル」にも行って来ました。
しかしながら、この時期、既にソウルは初冬。
天気こそ良かったものの最低気温－３℃・最高気温４℃と東京の真冬並みの気候の洗練を浴びて来ました。

２日目は、まず、百済の遺跡を歩きます。

　(1)早朝ソウルに出発。早速ウォーキングツアーで街を歩きます。
★(2)２日目。最高気温僅か４℃の中、百済の遺跡を歩きます。
　(3)ミュージカル「パルレ」と「清渓川ランタンフェスティバル」！
　(4)「ソウル国立中央博物館」を満喫！

エリア ソウル(韓国)

• 旅行の満足度: 4.5
• 観光: 4.5
• ホテル: 4.0
• グルメ: 4.5
• 交通: 4.5

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 一人あたり費用: 3万円 - 5万円
• 交通手段: 鉄道 徒歩 飛行機
• 航空会社: アシアナ航空
• 旅行の手配内容: 個別手配

ヒル ハウス ホテル。
簡単な朝食付きです。

ヒル ハウス ホテル ホテル

これを手製サンドイッチにして食べました。

今日もウォーキングに向かいます。
今日のコースは「夢村土城コース」。
百済の都跡とオリンピック公園を歩きます。
なお、この日の最低気温－３℃・最高気温４℃と東京の真冬並みの天気予報ですが行ってみましょう。

地下鉄で集合場所に向かっています。

韓国の「妊産婦配慮席」。
「ピンクカーペット、明日の主人公のための席です」とあります。
習っている韓国語の先生によると、当初、なかなか定着しないのでクッションを置いたりクマのぬいぐるみを置いたりしていたそうです。

地下鉄は４号線「会賢」→　「東大門歴史文化公園」５号線に乗換え　→　「千戸」８号線に乗換え「江東区庁」駅まで行きます。
写真は８号線「千戸」駅。

千戸駅 駅

出発して４０分ほどで「江東区庁」駅に着きました。
７号線に「江南区庁」駅があるのでお間違えのないように。

江東区庁駅 駅

ソウルウォーキングツアー「夢村土城コース」。
ガイドさんとも無事合流できました。

ソウル市観光局によるこのコースの説明です。
～「風納土城(プンナプトソン)と夢村土城(モンチョントソン)を中心に、都心の中の休憩の空間、オリンピック公園を回るコースです。徒歩観光コースの中にある公園緑地施設や音楽噴水、芸術彫刻品等を通して爽快な気分を感じることができます。三国の歴史の息遣いと、88年ソウルオリンピックの感動が生きている「夢」村土城コースで、百済の歴史の中へと夢のような旅に出発しましょう。」

最初は、「風納土城」にやって来ました。

ソウル市松坡区には百済時代の土城が２ヶ所ありますが（夢村土城と風納土城）、こちらは夢村土城より先に立て建てられたと推定され、その周囲は約 3.5kmに達します。

風納土城 史跡・遺跡

百済は、朝鮮三国時代B.C 18 ~ A.D 660年まで678年間31代の王が続いた王朝ですが、その間に現在のソウル、公州、扶余と都を移します。

ご覧のような土手みたいなところが土城です。百済時代は後の朝鮮時代やその他の時代でも一般的に見られる石積みの城でない所が大きな特徴です。
土城の向こうには現代アパート（現代自動車関連会社）が林立しています。

左に見えるのが「ロッテワールドタワー」。
2017年春にオープンした555メートル、123階建ての超高層タワー。
百済の遺跡との対比が面白い。

風納土城は今でこそ高さ３メートルほどですが、造られた当時は１０メートル以上、その後増築され１４～５メートルあったとされます。
すぐ近くに漢江が流れますので、5階建てのマンション相当の高さに土を積み上げ、総延長3.5キロの巨大な土の城壁を完成させていました。

以下は東亜日報ＨＰ記事より。

「風納土城」が初めて発見されたのは１９２５年、この地域が大洪水に見舞われた時だ。
しかし政府や学界はあまり関心を寄せなかった。１９６１年になってからようやく復元作業が始まった。しかし、このときさえもうやむやになった。
１９９７年、マンション再建築工事の過程で、百済漢城時期だった３世紀の遺物や遺跡３万点余りが出土した。それでようやく学界はここが、百済初の王城ともいえる河南慰禮城かもしれないという可能性を提起した。
現在はこの学説は定説と受け止められており、政府もこれを基に発掘や復元作業を進めている。

風納土城が「王城か、平凡な城か」は、学界だけでなく、地元住民にはより敏感な問題だ。これまで、漢城百済の王城だったという主張が固まり、住民らは数十年間財産権行使に制限を受けてきた。最近は移住費用を巡り、文化財管理庁、ソウル市と対立している。

今でこそ整備され公園風になっていますが、昔（と言ってもつい最近）はただの荒地だった・・・。

この柵の向こう。モミジは綺麗に紅葉していますが、その向こうにブルーシートが張られています。
ガイドさんによると、地権者が建物を建てようとしたところ、ここが百済時代の「堀」ではないかとなって文化財管理庁、ソウル市による調査が入って、工事がストップしているそうです。

ところで、こちらのガイドさん。
終戦当時、小学校で日本語教育を受けられていました。
その後成人され教員になられましたが、京都で朝鮮学校の教員を５年間、さらに駐日韓国大使館付きの通訳として５年間勤務されていたそうです。
ということはもう結構なお歳ですが、お元気。
また、日本語も極めてお上手です。
丁寧に解説していただきました。

昔はこのような柵さえなかったそうです。

「風納土城」見学を終えて、広い通りに沿って歩いています。

左に見えるのは、「ソウルアサン病院」。有名な大病院です。
国際クリニックもあって、日本語OK・英語OKだそうです。

で、この通り沿いにずーっと並ぶのが院外処方箋対応の薬局。
一帯何軒あるのか・・・。

更に進み、独特の形のオブジェがありました。

説明書があります。

これは、「七支刀」といい奈良県の石上神宮に伝来した古代の鉄剣です。４世紀頃、倭に対し百済が朝貢した際に献上されたものとされています。
表裏に銘文が彫られていて、これまで様々な研究がなされてきました。
内容は「百済王が倭王に贈った」との解釈が定説とされ、当時の背景として、高句麗の圧迫を受けていた百済が倭との同盟を求め、贈られたとされている。
ただ、これらの説は日本側の説に近く、韓国側の説では百済が倭国に献上ではなく下肢または訪問の土産として渡したと言う説も・・・。

ガイドさんは日本に行き本物を見ようとしましたが 、厳重に保管されていて閲覧は不可（年に数回一般公開するらしい）だったそうです。

次のスポットにやって来ました。
「夢村土城」です。
百済初期の代表土城で、百済が今のソウルに都を置いたときの土城で、全体周囲は約2.7kmに達し、南北730m・東西540m規模のひし形をしています。
先ほど見て来た「風納土城」より後の時代だと推測されています。

広い土城跡がすっぽりオリンピック公園になっていて、遊歩道が整備され、木々も植えられて綺麗です。

こんな感じ。
思わぬ紅葉散歩でした。

右側が土城部分で、左側は水濠になっています。

夢村土城 広場・公園

この正面が、オリンピック公園の平和の門付近です。

八角亭がありました。
紅葉と相俟って風流です。

紅葉、ススキ、葦など秋らしい景色です。
植生が日本とほぼ一緒なんですね。

散策路、大変綺麗に整備されていて、美しい紅葉も相俟って素晴らしい体験になりました。

夢村土城散策路 広場・公園

「コムマル橋」。

コムマルは夢村土城の「夢村」を意味する純粋な韓国語。

コムマル橋 建造物

ちょうど正面がソウルオリンピックを記念して出来た万国旗広場。

ややきつい坂ですが、もう少し歩きます。

これ、ナホロナム（｢一人ぼっちの木｣ ）。

夢村土城、オリンピック公園のビューポイントのひとつで、韓国映画「猟奇的な彼女」のロケ地としても知られてるとか。
同じくドラマ「未生」のオ次長役のイ・ソンミンが主演したドラマ「記憶～愛する人へ～」のロケ地でもあったような気がする・・・。

土塁に沿って遊歩道が続きます。

一番高い所にまで来ました。
この前方の方向に、先ほど訪れた「風納土城」があります。

さっきの｢一人ぼっちの木｣の向こう側にブルーシートが掛かっています。

KOREA.NETのサイトによると、
「2016.11の「夢村土城」発掘調査で百済全盛期の大型舗装路が見つかりました。
舗装路5基と竪穴状遺構(地面から垂直に掘った穴状の跡)18基、溝状遺構(地面を細長く掘りくぼめた跡)1基が確認されました。とくに北門址の門道と一直線につながる第1号道路は、当初は百済が造成しその上にもう一度道路を敷いて利用された重層の道路であることも明らかになった。さらに北側の側溝を挟んで平行に伸びたもう１基の道路と側溝があることから、1つの道路が3車路で構成された可能性が高く、百済が利用した下層と中層の道路を高句麗も増・改築して利用するなど、時期別に3回に渡り築造されたことが発掘の結果確認された。
また第1号道路は北門址の外側まで延びて風納土城(プンナプ・トソン、北城)とつながる主要道路だったと推定される。」

百濟全盛時代の二つの都城が舗装道路で繋がっていたなんて、ロマンですね。

ここからも「ロッテワールドタワー」が見えました。

百済王朝は、高句麗(コグリョ)の攻撃によりここの王城を陥落され、朝鮮半島中部の公州(コンジュ)へ、さらには扶余(プヨ)へ遷都し、最後は滅亡します。

カササギ。
韓国ではカチ。国鳥で吉鳥とされます。

両班で元々この地の所有者だった方の墓がありました。
ご当人やご家族も、まさかこの地が百済時代の王城跡だったとは知らなかったのでしょう・・・。
その後、ここから百済の遺跡が出て、ソウル市などから撤去・移動の要請を受けるも、ずっと断り続けているのだそうです。

モミジの紅葉、綺麗でした。

この辺り一帯は、彫刻公園となっています。

公園のいたる所に世界各国から集まった数百点あまりの彫刻品が展示されているのだそうです。
時間がなくて横目で観ただけでした・・・。

最後のスポット「漢城百済博物館」にやって来ました。

｢漢城百済博物館｣は、百済が漢城（ソウル）を都としていた漢城時代(紀元前18年～紀元後475年)と三国時代(紀元前１世紀～紀元後７世紀)の歴史・文化に関する資料を展示しているスポットです。
入館は無料。
今日のウォーキングツアーのガイドさん、以前、こちらでボランティアガイドをされていたそうで、お仲間に紹介して下さいました。

漢城百済博物館 博物館・美術館・ギャラリー

入館してすぐ正面に目に付いたのが、今回のウォーキングで最初に行った「風納土城」の断面を再現した展示。

高さ11m幅43mの「風納土城」の城壁を、実際に薄くスライスして模型にしたものです。

築城の様子が再現されています。

百済王朝の年表があり説明書きがあります。
初代王とされる「温祚王」。

出土した土器類。

百済王は自らの権威や威厳を表す目的で、金や青銅を用いた装飾品を早くから作ったとされます。展示はその複製品。
また、それに先立ち、鉄器類も作られました（手前）。

碁盤のようです。

積石塚（墳墓）の模型。

ウォーキングの途中で見たオブジェにあった、倭王に献上したと伝わる「七支刀」（複製）。

百済の朝鮮半島内での領土・都の変遷。

墳墓から出土した金銅大香爐（複製）。

焼物類。

まだまだ展示は一杯あり、ガイドさん、予定時間をオーバーして案内して下さいました。

韓国にはもう１５回目なんですが、今年の夏に慶州で新羅王朝に触れ、今回初めて百済王朝に触れました。韓国ドラマも李氏朝鮮時代のものが多く、どうしても朝鮮時代に偏ってしまいますね。勉強になりました。

ガイドさんと別れ、彫刻広場を歩いています。駐車場ですが、何やら作品があります。

訪韓１５回目にして始めてやってきたのがこちら「オリンピック公園」。
1988年のソウルオリンピックの舞台となった蚕室のジャンボパークです。

世界平和の門 モニュメント・記念碑

これは「世界平和の門」

ル・コルビュジェに学んだ韓国を代表する建築家「キム・ジュンオプ」の作品です。

チャンスン(男女一対の木像)型の列柱です。

飲食店も数店舗あります。
当初予定ではこのエリアで食事するつもりでしたが、時間はなさそう・・・。

「国旗広場」。
ソウルオリンピックに参加した160ヶ国の国旗が力強く翻っています。

国旗広場 モニュメント・記念碑

1988年のソウルオリンピックの聖火が今でも消えずに燃えています。
（この時間、相当強い風が吹いていましたが、消えません）

オリンピック公園を含む「夢村土城」全体図がありました。

何かと思えば、クレヨンしんちゃん。
たこ焼きの屋台でした。

次のスポットに参ります。
(3)に続きます。
https://4travel.jp/travelogue/11305453