2017/07/24 - 2017/07/24
31位(同エリア641件中)
かっちんさん
行田市(ぎょうだし)では江戸中頃から足袋づくりが盛んになり、明治20年代以降は足袋産業が発展、最盛期の昭和13年には年間約8500万足、全国シェアの約8割の足袋を生産する「日本一の足袋のまち」として繁栄しました。
市の中心部には、「足袋蔵」と呼ばれる個性的で趣のある足袋の商品倉庫を中心に、モダンな洋風足袋工場、北側~西側だけを蔵造りにした行田独特の「半蔵造り」とでも言うべき店蔵や住宅など、足袋産業の栄華を伝える近代化遺産が数多く残されています。
足袋蔵は江戸後期~昭和32年までの間に建てられたものが多く、現在は70棟余りの蔵が裏通りに面して点在しています。
今年の平成29年(2017)4月28日、「和装文化の足元を支え続ける足袋蔵のまち行田」が県内初の「日本遺産」に認定されました。
また、町を通る国道沿いの歩道には、昔ながらの遊びに興じる童の銅人形が並んでいます。
旅行記は行田市教育委員会「足袋蔵と行田市の近代化遺産」の資料、行田市観光協会HP、ぎょうだ足袋蔵ネットワークHP、イサミコーポレーションHPなどを参考にしました。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 高速・路線バス JRローカル 私鉄 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
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秩父鉄道行田市駅
行田市駅前から町歩きを始めます。
行田市へ行くには、JR熊谷駅から秩父鉄道、またはJR行田駅から市内循環バスを利用します。 -
「足袋蔵のまち行田」の案内図
駅前の市内中心部に、足袋工場や足袋蔵が残されています。 -
時田足袋蔵(蓮華寺通り)
この土蔵は、「かるた足袋」、「桜都足袋」などの商標で知られた時田啓左衛門商店が昭和4年(1929)に棟上した大型の足袋蔵です。
昭和初期の行田足袋産業全盛期の面影を伝える近代化遺産と言えます。 -
忠次郎蔵(蓮華寺通り)
足袋原料問屋小川忠次郎商店の店舗兼住宅として大正14年(1925)に棟上げした2階建ての土蔵造りの店蔵です。
通りに面して店舗が建ち、その後ろにL字形にした住宅部分が繋がっています。
住宅部分は北側だけを土壁にした行田独特の「半蔵造り」です。
店蔵は足袋蔵再活用のモデルとして整備され、現在は手打ちそば店です。
国登録有形文化財に指定されています。 -
奥の住宅部分(忠次郎蔵)
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牧禎舎(まきていしゃ、蓮華寺通り)
足袋・被服の製造を行っていた牧禎商店が、創業に伴い昭和15年(1940)に建設した木造2階建ての事務所兼住宅と工場です。
事務所兼住宅は、落ち着いた佇まいの住宅建築で、原形を良く留めています。
現在は藍染体験&アーティストシェア工房として再活用されています。 -
イチオシ
時田蔵
時田啓左衛門商店の足袋蔵です。
建築年代は不明ですが、行田では珍しい表通りに面した袖蔵形式の土蔵です。 -
住宅と繋がる袖蔵(時田蔵)
住宅は昭和15~16年頃の足袋産業全盛期に建てられています。 -
牧野本店店蔵
「力弥足袋」の商標で知られた牧野本店の店舗兼住宅は、大正13年(1924)頃に建てられた行田を代表する「半蔵造り」の店蔵です。
右脇の木造洋風二階建ての工場は、大正11年(1922)に棟上げされたもので、現在、「足袋とくらしの博物館」として再活用されています。
博物館は土日のみ開館するので、今日はお休みです。 -
武蔵野銀行 行田支店(国道125号)
市中心部に位置する鉄筋コンクリート造2階建ての本格的銀行建築です。
忍貯金銀行店舗として昭和9年(1934)に竣工しましたが、戦時中に行田足袋元売販売株式会社が建物を買収しました。
戦後足袋会館(足袋組合の会館)となり、昭和44年(1969)から武蔵野銀行行田支店となっています。
県内でも数少ない戦前の銀行建築であり、足袋産業とも深く関わる行田を代表する近代化遺産です。
国登録有形文化財に指定されています。 -
鼓を叩いてポポン・・・(国道125号)
市役所前から栄橋の歩道に、860mにわたって並ぶ櫓の上には、昔ながらの遊びに興じる銅製の童たちの姿(全39基)があります。
この銅人形のタイトルは、「おまつりのおと」 -
星に願いを・・・(国道125号)
タイトルは「七夕」 -
釣れるかな・・・(国道125号)
タイトルは「こいつり」 -
夏を彩る「サルスベリ」(国道125号)
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鍵の手に曲がる道(新店通り)
行田の忍城(おしじょう)に攻め込む敵の進行を遅らせ、先の見通せない曲がり角で迎え撃てるようにつくられた城下町特有の通りです。
江戸時代にはこの通りを境に、東側が町人町、西側が武家町と身分によって住む場所が分けられていました。
北側付近が新店(しんだな)と呼ばれていたことにより、「新店通り」となりました。 -
孝子蔵(新店通り)
江戸時代以来の短冊形の細長い敷地の奥に建てられた足袋蔵です。
この2階建ての石蔵は「孝子足袋」の商標で知られた大木末吉商店が昭和26年(1951)に棟上げしたものです。
当時は木材不足で、支柱を建てずに大谷石を積み上げて壁を造り、その上に屋根をのせています。
窓も大谷石の引き戸です。
戦後の行田を代表する足袋蔵のひとつです。 -
足袋を使ったユニークなデザイン(左上、新店通り)
NPO法人「ぎょうだ足袋蔵ネットワーク」の屋号デザインです。
NPOは、行田の近代化遺産を再評価しネットワークを形成することにより「点在すること」を楽しめるいきいきしたまちづくりを目指しています。 -
足袋蔵ギャラリー「門」(新店通り)
門の両側に奥貫忠吉商店が大正5年(1916)に棟上した2階建てと3階建ての足袋蔵があります。
現在、ギャラリー、パン屋、クチキ建築設計事務所に活用され、建物が改修中です。 -
うどん大地(市役所通り)
ここで昼食にします。
このお店には「TABI得(足袋得)」があり、旅に来た観光客とわかると割引してもらえます。
かっちん夫婦はカメラをぶら下げていたので、無事パスしました(笑) -
ぶっかけうどん(大地)
讃岐うどんの上に、刻み海苔、鰹節、ネギ、胡麻、大根おろしと生姜がのり、汁をかけます。
暑い夏には、ツルツルしたうどんと具がピッタリ。美味しくいただきました。
写真にはありませんが、別注文の昆布天は噛み締めると昆布のうまみがじわじわと伝わってきました。 -
お盆飾りを並べた店(中央通り)
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大澤家住宅旧文庫蔵(中央通り)
「花型足袋」の商標で知られた大澤商店の7代大澤専蔵氏が書類などの保管を目的とした文庫蔵で、市内唯一の煉瓦蔵です。
桟瓦葺切妻造で、南面に出入口を設けています。
間口4.5間、奥行2.5間のイギリス積みの煉瓦蔵2階建で、補強のための鉄筋コンクリートの水平ラインが印象的です。
関東大震災で被災した東京都内の土蔵を目の当たりにした専蔵氏は、復興博覧会で煉瓦の耐火試験を見て煉瓦造りを思い立ち、調査研究を重ねて鉄筋コンクリート補強煉瓦蔵を大正15年(1926)に建設しました。
国登録有形文化財に指定されています。 -
煉瓦蔵の路地(大澤家)
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イチオシ
懐かしい看板「大和運輸」(中央通り)
現在は「ヤマト運輸」ですが、昭和57年(1982)まで「大和運輸」でした。
当時の看板のまま今でも営業しています。 -
白壁の美しい「奥貫蔵」(中央通り)
間口9間、奥行3間の2階建ての大型の土蔵は、「ほうらい足袋」、「栄冠足袋」の商標で知られた奥貫忠吉商店が、大正時代~昭和初期頃に建設したと伝えられる足袋蔵です。
足袋生産量の増加と共に大型化していった足袋蔵の代表例で、足袋産業全盛期を象徴する近代化遺産と言えます。
現在は蕎麦・創作料理の店「あんど」として再活用されています。 -
民家の中にある蔵(中央通り)
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田代医院(向町)
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イチオシ
ノコギリ屋根の工場(向町)
イサミコーポレーションの昭和初期建設と伝えられるノコギリ屋根の木造洋風足袋工場です。
昭和初期の足袋産業郊外進出を物語る近代化遺産です。 -
イチオシ
歴史を感じる「イサミ足袋」(向町)
創業110年の「イサミコーポレーション」です。
髷を結った男性は通称「松さん」。
元治1年(1864)江戸市村座で初演された河竹黙阿弥作の全六幕の世話物「曽我綉侠御所染」(そがもようたてしのごしょぞめ)に登場する『御所五郎蔵』役の(尾上)松緑がモデルです。
社名の由来の「いさみ」は歌舞伎の登場人物で、『月雪花蒔絵の巵-つきゆきはなまきえのさかずき)』」や『筐花手向橘-かたみのはなむかしのそでのか』というお話に登場します。 -
焼肉屋さん(旭町)
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イサミスクール工場(旭町)
この工場はイサミコーポレーションの前身の鈴木勝次郎商店が開設した、現存する行田で最も古い大規模足袋工場(現在は被服工場)です。
工場内には、大正6年建設のノコギリ屋根を持つ木造洋風工場、大正7年建設の旧事務所、昭和13年建設のモルタル造りの足袋蔵などがあり、戦前の大規模足袋工場の面影を良く留めています。
現在は学生の制服を縫製しています。 -
大正・昭和の時代にタイムスリップ(スクール工場)
表門から、旧事務所(右手前)、赤いノコギリ屋根の工場が見えます。
朝ドラ「ひよっこ」に登場した向島電機の工場に似ています。 -
モルタル造りの足袋蔵(スクール工場)
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板張りのノコギリ屋根(スクール工場)
平日なので、工場は操業しています。 -
イチオシ
赤いトタンのノコギリ屋根(スクール工場)
昔、ノコギリ屋根の明かり取りだった窓が、赤いトタンで塞がれています。 -
イチオシ
美しい板壁模様の「旧忍町信用組合」
大正11年(1922)建設の木造洋風銀行店舗です。
足袋商店主たちが出資して創業した地元金融機関の創業時の店舗で、足袋産業の発展を支えました。 -
横から入る玄関(旧忍町信用組合)
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今津蔵(今津印刷所)
江戸時代後期~末期の建設と思われる現存する行田最古の店蔵で、店舗後ろの住宅部分は「半蔵造り」になっています。
今津印刷所は、江戸時代の元禄年間(1688~1703)創業と伝えられる老舗印刷所で、田山花袋の小説「田舎教師」の「行田印刷所」のモデルにもなっています。 -
お洒落な「長井写真館」
行田では数少ない木造洋風建築で、大正時代にフヂイ写真館の店舗兼住宅として建設されました。
その後、所有者が変わりましたが、写真館のまま引き継がれています。
1階が住宅、2階がスタジオで、北側の屋根が1階まで急勾配で伸び、そこにスタジオの明かり取りの窓があるのが特徴です。 -
スタジオの明かり取り窓(長井写真館)
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小川源右衛門蔵
近江商人の小川源右衛門商店(カネマル酒店)が昭和7年(1932)に建設した、間口4間、奥行8間の大谷石組積造2階建ての商品倉庫です。
この石蔵の建設には約1,100本もの大谷石の切石が使われています。
屋根は大正初期以降の行田の蔵に多い洋小屋組みが採用されています。
足袋蔵ではありませんが、昭和初期の行田を代表する大型の石蔵と言えます。 -
煉瓦塀と蔵(国道125号)
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翠玉堂(すいぎょくどう、国道125号)
木造2階建ての商家建築のこの店舗は、元は山田荒物店の店舗で、昭和4年(1929)に建設されたと伝えられています。
約20年程前に山田荒物店が閉店して以降は、家具店、甘味処、喫茶店と目まぐるしく変わり、現在は天然酵母パンのお店になっています。 -
十万石ふくさや(国道125号)
十万石の本店として知られるこの黒漆喰塗りの重厚な店蔵は、元は呉服商山田清兵衛商店の店舗として明治16年(1883)に棟上げされたものです。
行田では珍しい江戸様式の店蔵で、昭和27年(1952)に青柳合資会社の足袋蔵となり、昭和44年(1969)から十万石の店舗となりました。
昭和53年(1978)に改修が行われ、外壁にナマコ壁が設けられています。
行田を代表する店蔵と言えます。
国登録有形文化財に指定されています。 -
夏の暑さを吹き飛ばす和菓子(十万石)
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保泉蔵(国道125号)
城下町特有の短冊形の細長い敷地に並ぶ行田一の足袋原料商であった保泉商店の足袋蔵群です。
手前の石蔵は昭和7年(1932)棟上です。 -
白壁の栗代蔵
この間口5間、奥行3間の2階建ての土蔵は、「クリダイ」の名で親しまれている栗原代八商店の白壁が美しい足袋蔵です。
明治39年(1906)に日露戦争後の不景気で仕事を欲しがっていた職人に作らせた、と伝えられています。 -
蔵の2階(栗代蔵)
栗原代八商店は、文化5年(1808)創業の老舗足袋商店で、「小町足袋」、「旗印足袋」の商標で手広く商売を営んでいました。
現在はNPO法人「ぎょうだ足袋蔵ネットワーク」によって、観光案内所兼まちづくり情報センターとして再活用されています。 -
秩父鉄道行田市駅
駅に戻ってきました。 -
風情のあるホーム(行田市駅)
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窓を開けると風が通ります(行田市駅)
-
7500系(行田市駅)
この電車に乗り、熊谷駅へ向かいます。
以前は東急電鉄8090系だったので、懐かしい車両です。
数多く残る足袋蔵の町並みを歩き、足袋産業で栄えてきた行田を知ることができました。
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この旅行記へのコメント (2)
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- ちちぼーさん 2017/08/05 10:01:47
- 今度はこちらの旅行記を参考に歩きたいです
- かっちんさん、こんにちは。
旅行記が追い付かず書いていないのですが行田のハスと行田市の駅周辺を
ちょっと歩きました。
時間がなくきちんと歩けなかったのですが、
行田の街良い雰囲気だなあと思ったので、こちらで復習させていただきました。
いつもながらかっちんさんとは行く場所が被ることが多いのに
私はその良さを知らずに帰ってきてしまうので
かっちんさんの旅行記を拝見するとまた行きたくなってしまいます。
ちちぼー
- かっちんさん からの返信 2017/08/06 10:55:15
- RE: 今度はこちらの旅行記を参考に歩きたいです
- ちちぼーさん
こんにちは。
行田のハスと行田市の駅周辺に行かれたのですね。
行田市は、足袋蔵やノコギリ屋根工場の町並みをゆっくり楽しめるところです。
駅前の観光案内所に町歩きのパンフレットがあるので、参考になりますよ。
かっちん
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